オバマ氏勝利の喜びのエントリーが多かった中で、あえて
テンションが低いエントリーを書いたのですが、その理由がうまく形にならなくてもやもやしてたところ、たまたまNPJの
「オバマ候補が大統領に就任して 日米同盟、憲法問題に変化が来るか」を見て、ああそうかこれだ、と思いました。
自分の言わんとすることをほかの人がうまく表現していてくれたわけで、ちょっと情けないのですが、自分の頭の中をクリアにするために抜粋してメモ(汗)
オバマ氏の勝利で、アメリカ国内では成果がすぐには出ないにしても、新自由市議の見直し、格差是正という方向に向かうのは間違いないと思いますし、それはアメリカ国民にとって喜ばしく、正しい選択であったと思います。
しかし私達はアメリカ国民でないので、この恩恵をダイレクトにうけることがないでしょう。
では、日本にとって、世界にとってはどうなのか、というと、やはり日米軍事同盟、イラク、アフガン戦争に関心が行くのです。
チェンジをスローガンにしてきただけに、何か日本の憲法問題、安全保障問題に大きな変化があるではないかと期待したくなるのは無理からぬことでしょう。私にとって関心があるのは、オバマ大統領になって、9条改悪と、その裏腹の関係にある、日米同盟強化路線に、私たちが期待できるような変化がくるのかという点です。結論から先に述べると、ブッシュ政権下で進められた日米同盟の強化路線には変化がなく、9条改悪の圧力は弱まることはないと考えています。オバマに対して私たちが期待を持てば持つほど、9条改憲阻止の運動の足元をすくわれはしないかと気がかりです。
ブッシュ政権の国家安全保障戦略では、米国の主要な脅威は、ならず者国家、非国家的主体 (国際テロリスト) などの非対称的脅威、大量破壊兵器の拡散とし、これらの主体が何時どこから米国本土を攻撃するかもしれないし、大量破壊兵器が使われたら、その被害は 9・11を幾何級数的に上回る、これらの主体は旧ソ連のように抑止が効かない、だから危機が迫る前に先制攻撃するというものです。
実は、ブッシュ戦略の基本的な内容はすでにクリントン政権末期には形成されているのです。
(略)
では、この米国の戦略が日本の憲法問題にどのような影響を与えるのでしょうか。日米同盟強化路線は、ブッシュ政権下で進められた対テロ戦争対応のための軍の変革と、それに合わせた同盟国軍の変革が根底にあります。日米防衛政策見直し協議はそれを実現させるために行われたのです。この路線を推し進めるためには、9条の制約を突破することは必須条件であることは見やすいことです。
わが国で憲法改正問題が現実的な政策選択の問題に浮上したのは、決して遠い過去のことではありません。 2000年10月国防大学国家戦略研究所対日特別報告書 (アーミテージレポート) が発表されてから後のことです。アーミテージレポートは、自ら超党派レポートと称しました。その意味は、当時大統領選挙で民主ゴア、共和ブッシュのどちらが勝っても不思議ではない状況下で、日米同盟を強化するため、どの政権になっても採用されるべき対日政策として作成されました
(略)
レポートが日本への勧告として述べている内容は、改憲論議は日米同盟を強化する上で憲法9条の制約を意識している、憲法問題を解決すべき、自衛隊海外派兵恒久法を制定すべきというものです。
このレポートの内容を、オバマ政権は採用するでしょう。
(略)
オバマは選挙期間中、政策綱領案でイラクからの撤退は明言しましたが、対テロ戦争政策は、米国の主要な国家戦略として継続すること、アフガニスタンを主戦場として、アフガニスタンへ米軍を増派することを述べています。
米国から日本を見ると、ブッシュ政権の対日政策を変える理由はどこにもないのです。対テロ戦争政策を進める限り (しかもこの政策の基本はブッシュ政権以前から米軍部が形成したものです)、米軍の変革は進められるでしょう。それに対応した日本の軍事政策と自衛隊の変革も進められるでしょう。日本は米軍にとってきわめて居心地がよい同盟国なのです
非国家的主体 (国際テロリスト)のテロは、武力で鎮圧したらゲームオーバーになるものではありません。(そこが一応法に従って行われる国対国の戦争と異なるところではないかと私は感じます。)
アメリカは誤爆もいとわず大量に爆弾を投下しますが、そこで殺されるのは罪のない民間人です。誤爆で家族を殺され生き残った人々は、新たに復讐を誓うようになります。まるで、オニヒトデを退治するのに次から次へと体を裂いても、裂いた破片から増殖していくようなものです。終わりがないのです。
何故アメリカは、テロとの戦いは、武力鎮圧ではダメなのか、他の道はないのかと、少し考え直してみることができないのでしょうか?色々理由はあるでしょうが、その精神的なバックボーンは「アメリカは正義であり、リーダーであり、ヒーローだ」という根強い国民感情だと思うのです。
このいかにもアメリカ的なお山の大将的なナショナリズムを謙虚に問い直すようにならなければ、テロとの戦いは泥沼のままでしょう。
またそもそも、自国の利益のため、他国に憲法を変えるように迫る権利があるのだと当然のように思っているのは、傲慢だし大変失礼な話です。ジャイアンか!とツッコミたくなります。
オバマ氏に熱狂する後ろには、我々は、チェンジできる→そんなアメリカは素晴らしいのだ→アメリカはヒーローなのだ、というナショナリズムが常に土台にある気がします。だからオバマ氏勝利の喜びから一歩引いたエントリーになったのだと思います。
ここまで書くと、何かしら先行き悲観的になってしまいそうですが、そうではありません。オバマ政権に根拠のない期待を抱かないことを強調しているのです。ブッシュ政権とオバマ政権では、国際紛争へのアプローチの仕方に違いが出る可能性があります。そうであるだけに、日本が、私たちが変わるチャンスには出来るでしょう。イラクからの撤退、アフガン問題での外交力の活用は、日本が9条を実行する外交戦略を採用するチャンスです。日本が変わることによって、オバマ政権の 「変革 (チェンジ)」 を、言葉だけではなく本当の 「変革」 にしなければなりません。
オバマ氏の「チェンジ」を受け身で一緒になって喜ぶのではなく、「イラクからの撤退、アフガン問題での外交力の活用は、日本が9条を実行する外交戦略を採用するチャンス」ととらえ、自らのチェンジのきっかけにしなくては、ただのお祭り騒ぎで終わって、むなしさが残るでしょう。
もっとも自民政権では無理ですし、民主単独でも追従路線をおいそれと変えはしないと思います。民主単独ではなく、社民、共産などの野党との連携は必須だと思います。
しかしまずは政権交代!!これが私たちのチェンジの第一歩ですね。
麻生さん、いい加減、あきらめてくれないかしら・・・
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