では、第一回講座でご紹介した解説付き書きおこしの続きを順次こちらに掲載していきましょう。
かなりの長文になりますので、3つほどに区切らせていただきます。
あの記者会見での市長の
下品で乱暴な怒鳴り声勇猛さに恐れをなして動画をご覧になれない方も、R指定にかかる方も、心臓、血圧に問題のある方も、書きおこしならじっくり冷静に見て分析、判断することができるでしょう。前回の講座であげた詭弁術テクニックを思い出しながらお読み下さい。みなさんのお役に立てることを祈っております。
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m: では、一律強制で歌わせることについては思想良心の自由についてどうですか
橋: 教育委員会に聞いたらいいじゃないですか。起立斉唱命令で教育委員会が全教員に出したんだから。教育委員会に聞いたらいいじゃないの。
m: いや、市長にお聞きしてるんですけど。
橋: 教育委員会が出したんだからその命令は。
m: でも市長が条例を制定されて出したんです
橋: 条例に基づいて出したのは教育委員会なんだから。出すか出さないかは教育委員会の教育マネジメント。それが地教行法による教育委員会のマネジメントなんです。我々は条例を作っただけ。職務命令をだすかどうかは教育委員会のマネジメント。2002年に教育委員会が起立斉唱を決定したのが教育委員会。まずそこを取材しないと。
(おっと)m: あの、取材はしています。
橋: じゃあ教育委員会はなんて言ってました?
m: うたわせるかどうかを(遮る
橋: 教育委員会はなんていってたか。
m: 市長、あの(遮る
橋: いや、教育委員会がなんて言ってたかまず聞かないと。思想良心(の自由)に反すると言ってた?
(お、また取材する側とされる側が逆転し始めました。逆質問というのは、自分に都合の良い方向へ話をそらせる、あるいは、相手を黙らせる手段として使います。
それにしても、まるで市長が取材してるみたい) m: いや、それは仰ってませんよ
橋: じゃあいいじゃないのそれで。
(これかなり強引ですね。記者は一律に歌わせることは思想良心の自由の侵害にはならないか市長の考えをお聞きしたい、と言ってるのに、「教育委員会が侵害はないと言えばそれでいい」ですから。
これは市長自身がどう考えてるかよほど言いたくないのかも・・・なぜなら最高裁は、起立斉唱行為は「思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面があることは否定し難い」と言ってるので、無理に歌わせるよな口元チェックは憲法に抵触する可能性があるからだと思われます。
従って「教育委員会に聞いてくれ」は、「もし思想良心の自由に問題があっても命令出したのは教育委員会」と責任転嫁する前ぶりでしょう )
(結局市長はここでは自分の考えを答えません。しかし記者会見の後半、市長は開き直ります。 テクニック「話の流れ次第では、曲解から虚偽に移行してもよい」発動です。それはまた次回の書きおこしでチェックしてください。) m: だから、中原校長の口元チェックについてはこの条例の枠内だというふうに仰って(遮る
橋: じゃあそれでいいじゃないの
m: だから教育委員会は(遮る
橋: 職務命令の範囲内じゃないですか。
(質問を最後まで言わせないで、質問の内容を自分に都合のいいよう引きつけて答えてますね) m: だから教育委員会がやり過ぎだとは仰ってないですよね?
橋: 誰が
m: 私は市長にお聞きしたいんです。
橋: 僕が命令の主体じゃないんだから。まず法律のその構造をきかないと。考えないと。
m: それは無責任じゃないですか?
橋: 無責任じゃないよ、それが教育委員会制度だよ。僕に決定権があるんだったら命令出すよ。決定権がないから教育委員会が出してるんじゃないか。それが教育委員会の中立性ってもんだろ何が無責任なんだ。
地教行法見て、誰が教育委員会が決定主体なのかどうか見てみろってんだ。
(恫喝ボリュームアップ) m: 条例を作られたのは(遮る
橋: 条例と命令は違うだろ。
m: 学校(遮る
橋: 命令は違うだろ。条例は命令とは違う。
(記者は「条例を作った市長で、その条例に従って教育委員会は動いてるのだから、市長の意思が反映した命令になってる。市長が関係ないというのはむりがあるのでは」と言いたかったと思われます。しかし、記者の話を遮ることで、とうとうそれを言わせませんでした。あくまで自分の言い分「命令は教委が出した。だから命令のことは教委に聞いてくれ、自分は関係ない」を全面に出して記者に質問をさせません。仕方なく記者は質問を変えます。) m: じゃあ、学校長のマネジメントについていかがでしょうか
橋: それは教育委員会が考えること
m: このアンケートについては(遮る
橋: 教育委員会の、それは、教育行政の範囲内じゃないの。僕が答える事じゃないでしょ。
m: それは逃げてらっしゃいますよね?
橋: 逃げてないよ。
m: じゃあ私が答えなかったら逃げてると仰ったじゃないですか
(確かに。でもこれは市長、スルーです)橋: 地教行法の、じゃあ教育委員会の首長の権限分配のこと言ってみなさい。24条と25条にかいてあるから
(いきなり「教育委員会の首長の権限分配のこと言ってみなさい」との逆質問です。これは、テクニック「満たせない前提条件」発動です。(1)の書き起こしでもこれ、やりました。相手がおよそ満たすことのできない前提条件をクリアしたらこっちもそちらの言い分を呑んでやる、というふっかけテクニックです。
記者が 教育委員会の首長の権限分配まで知らない可能性は大いにあります。もししらなかったとしても「市長は思想良心の自由に反しないと考えているのか」と言う質問をするのに何の問題もないはずですが、市長は「そんなことも知らないで取材に来るな!」と恫喝の材料にするでしょう。こうすることで記者の質問を封じようとしています。)
(ちなみに市長、23条と24条の間違いでっせ・・・もしこんな間違いを相手がおかしたら絶対見逃してはあきまへんでw) m: こちらとしては学校長がこの思想良心の自由の配慮はなくなったと。無理して一律に歌わせるということ、思想良心の自由への配慮がなくなったと受け止めてる校長が9人いらっしゃるんですけど
(お。記者は、市長の「満たせない前提条件ふっかけ」にはさすがに載せられずに軽くスルーしましたね。) 橋:教育委員会に聞いたらいいじゃないの。教育行政は教育委員会が最終決定責任者なんだから。校長のそういう考えを全部くみ取るのは教育委員会でしょうが。今の法律上の制度では。誰が教育行政の最高の決定権者と責任者なんですか。答えてみなさい。そこに問題提起をしたのが今の僕の考え方なんでしょ
(市長はまたしても「誰が教育行政の最高の決定権者と責任者なんですか。答えてみなさい」とふっかけます。「そんなこともしらないのか。話にならない」と罵倒、打ちきる算段でしょう) m: 条例を作られたのは市長ですよね。
橋: 教育行政の決定権者と責任者は教育委員会なの。
m: じゃあこの話と切り離しまして、この斉唱、歌ってるかどうかと、憲法19条についてはどうお考えなのか、ちょっとお伺いさせてください
橋: 教育委員会に聞いてください。教育委員会の命令に対して僕が答えるようなことじゃありません。教育委員会の命令です。
(斉唱を命令することが憲法19条にふれないかどうかについて、市長はよほど自分の考えを答えたくないと見えます。) m: いや、一般論としてお聞きしてるんです、どうお考えですか
橋: 僕の職務権限外です。質問の仕方が悪い。
m: じゃあもう一つ質問させていただきます。なんのために教職員は君が代を歌うんですか?
橋: 教職員や公務員は、職務宣誓をしています。憲法、法令、条例に基づいて職務をしっかりすると言う職務宣誓をしている。だから条例に基づいてちゃんと仕事をすればいいじゃないですか。条例に君が代は起立斉唱する、入学式や卒業式の時に子供たちの晴れ舞台の時に起立斉唱するという風に条例に定まっている。だからその条例に基づいて職務を全うする。服務宣誓をやっ てるじゃないの公務員は。何がおかしいんですか。
(おおっと、公務員は憲法に基づいて職務をしっかりするって・・・市長、下手したらブーメランになりますよ、だって市長が憲法違反の思想調査アンケートをしたことは(ry)m:じゃ(遮る
橋: 答えてみなさいよ、なにがって。
(何のために君が代を歌うのか市長の考えをきいているのに、「条例に従って何がおかしいのか答えろ」と、またしても逆質問です。市長は記者を「君が代強制は おかしいと考えてる論破すべき敵」と認定しているのがそもそもの市長のすり替え(2で説明しました)。
記者は単に君が代を歌わせる目的を聞いているだけなので、市長はたとえば「愛国心を育てるため」とかなんとか自分の考えを述べれば良いだけなのです。なのにこの抵抗。結局ここでは答えずじまいです。
答えがもらえない記者は次の質問に写ります) m: じゃ、その、一定に、その、歌いたくない先生にも歌わせる、っていうこともそれは憲法の中ですか?
橋: 条例は国民に対してもやりたくないことも条例は命じてるでしょ。国民に対してみんな条例、みんな命じてるじゃないの。嫌なことでも。
m: それは憲法の範囲内だと思うんですけども
橋: それは憲法の範囲内かどうかは最高裁判所の解釈でしょ、あなたの解釈じゃないよ
m: いや、だから市長の解釈を聞いてるんです
(ごもっとも) 橋: 条例は全然憲法に問題ないですよ。何にも問題ないですよ。
(市長、やっと正面から答えました!しかし口元チェックは問題ないと断言しちゃうと憲法に抵触する恐れがありますから、条例は問題ないって言ってますね。条例に口元チェックしろとは書いてないので。 ) m: 最高裁は職務命令が合憲と言うところまではいってますけれど、その守らせ方(※口元チェックのような方法で守らせるのは合憲か)については言ってないと思うんですけれども。
橋: 条例を制定しただけですよ我々は。職務命令を出したのは教育委員会ですよ。そしたら教育委員会に確認しなさいよ。それ(※口元チェックを指していると思われます)が憲法に違反してかどうかを。我々は条例を作っただけですよ。
(こうして「教育委員会の命令、ボクは条例を作っただけ」と言い逃れるのは市長の十八番です。
・WTC問題は「部下のせい」「平松市長のせい」
・思想調査は「野村顧問の判断」
・もし原発再稼働しても「耐えきれなかった住民の選択」
・学童保育の補助廃止について「あれはPT試案。ボクが言っているのではない」) (口元チェックが憲法に抵触しないかどうか市長の考えを聞き出せないので、記者は質問の仕方をかえます。) m: じゃ、最後にお聞きします。市長が学校長だったら中原校長と同じ事をされますか?
橋: 当たり前ですよ。職務命令、起立斉唱ってのものが出てるじゃないですか。
(質問の角度を変えて市長の本音を引き出しました!これで市長自身、口元チェックは思想信条の自由19条に抵触しないと考えていると答えたも同然です。上手な、あ、いえ、ずるがしこい聞き方だったと思います。ね?市長) 子供たちに音楽の課題を与えてうたいなさいと言ったときに、唇のチェックをしない音楽の先生がいますか。それがダメなんだったら教育委員会が起立をするだけっていう命令に切り替えたらいいんですよ。君が代を歌うときには起立だけでいいっていう命令にしたらいいじゃないですか教育委員会が。
(のちほど市長は口元チェックは憲法に違反しないと強引に断言し始めます。「どんなにいいかげんでつじつまが合わないことでも自信満々で断定する」テクニックです)(続く)
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