またぞろ自民党が「日の丸不敬罪」を国会に提出するつもりのようです。
日の丸「損壊罪」創設=刑法改正案提出へ-自民
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012052401008
自民党は24日、日本を侮辱する目的で日の丸を傷つけたり汚したりした場合に処罰できる「国旗損壊罪」を新たに盛り込んだ刑法改正案を、今国会に提出する方針を固めた。25日の党総務会で了承した上で来週にも提出する。
同改正案は、日の丸を「損壊、除去、または汚損」した場合、2年以下の懲役または20万円以下の罰金とする「国旗損壊罪」を新設する内容。現行法には外国の国旗に対する損壊罪が定められているが、日の丸に関する規定はない。(2012/05/24-23:11)
この条項の不当性については去年エントリーに書きましたので繰り返しません。
よろしければこちらをどうぞ。
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自民党の「国旗損壊罪」創設、君が代替え歌に刑事罰検討は戦前の不敬罪の復活ですhttp://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-207.html今回はもしこの法案が通ったときに考えられるちょっと間抜けな(?)話をマイミクさんの日記から拝借しましょう。
「日の丸損壊罪」が新設されるとどうなるのだろう?
日の丸に限らず、他人の物を損壊する行為は現行法では器物損壊罪(刑法261条)に該当する。
刑法第261条
(器物損壊等)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
刑法が改正され、自民党案の「日の丸損壊罪」なるものが新設された場合、日の丸を損壊したらどうなるのだろう?
「日の丸の損壊」という一個の行為が器物損壊罪と「日の丸損壊罪」という二個の罪名に触れることになり、観念的競合とされよう。
(現行法で観念的競合とされる典型例は、公務執行中の公務員に暴行を加えて負傷させた場合など。傷害罪と公務執行妨害罪の観念的競合とされる。)
観念的競合の場合、刑はどうなるかというと
刑法第54条
(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)
Ⅰ 一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
つまり、器物損壊罪と「日の丸損壊罪」で「最も重い刑」になるわけだが、自民党案の「日の丸損壊罪」の刑は
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS25020_V20C12A5PP8000/?at=ALL
>2年以下の懲役または20万円以下の罰金
だそうなので、現在もある器物損壊罪の「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」が科されることになる。
結局、処断刑は現行法と変わらない。
これでは「日の丸損壊罪」を設置した意味がなくなるので、器物損壊罪と「日の丸損壊罪」を法条競合の特別関係(即ち、2つの刑罰法規が一般法と特別法の関係に立つので、特別法のみ適用される。)と解釈すべきかも知れない。
(法条競合の特別関係の例として、業務上横領行為がある。単純横領罪と業務上横領罪の2つに該当するように見えても、業務上横領罪しか成立しないとされる。)
つまり、日の丸を損壊した場合、器物損壊罪は成立せず、「日の丸損壊罪」のみ成立というわけだ。
刑は「2年以下の懲役または20万円以下の罰金」。現行刑法の器物損壊罪の「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」より軽くなる。
そうか。日の丸を損壊した場合の刑を軽くしたいのか。
自民党が刑法改正案を提出する意味がやっとわかった。
(強調は私)
なんと!
自民党の改正案だと、日章旗を損壊したとき、現在の法律で罰せられるよりも、刑が軽くなるんです!そうだったのか~、自民党は、日の丸を損壊するという表現の自由をこうして少しでも尊重しようとしてたんですね、見直しました(爆)
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