政府、防衛省は、歴史修正主義に断固としたNOを(1)
- 2008/11/14
- 11:44
【田母神論文の検証】
あんな程度の文章で300万も貰えるなら、私もネットをコピペして応募すれば良かったな、と残念に思う今日この頃です(笑)もっともアパと田母神氏の合法的な金銭授受の出来レースとの見方も濃厚ですから、受賞の望みはなさそうですが。
この論文の中身に対するツッコミは碧猫さんと春霞さんのエントリーから孫引用させていただきます。
とりあえず、コピペハリハリ、ご容赦ください。
碧猫さんより
参考;東京新聞2008年11月1日 朝刊
「『小学校から勉強を』 「低レベル」論文内容 識者らあきれ顔」より
空幕長の文章は旧満州について「極めて穏健な植民地統治」とするが、笠原教授は「満州事変から日中戦争での抗日闘争を武力弾圧した事実を知らないのか」と批判。「侵略は一九七四年の国連総会決議で定義されていて、日本の当時の行為は完全に当てはまる。(昭和初期の)三三年にも、日本は署名していないが『侵略の定義に関する条約』が結ばれ、できつつあった国際的な認識から見ても侵略というほかない」
by 笠原十九司教授@都留文科大
「特徴的なのは、満州事変にまったく触れていないこと。満州事変は謀略で起こしたことを旧軍部自体が認めている。論文は『相手国の了承を得ないで一方的に軍を進めたことはない』というが、満州事変一つで否定される」
by 上杉聡氏@「日本の戦争責任資料センター」事務局長
春霞さんより
朝日新聞平成20年11月11日付朝刊2面
「検証 田母神前空幕長論文
波紋を広げる防衛省の田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長の論文。日本の侵略を否定する考えは、自衛隊内でどう受け止められているのか。幹部の歴史教育はどうしているのか。11日の参院への参考人招致を前に取材し、論文の問題点を、近現代史が専門の秦郁彦、保阪正康両氏に聞いた。 (聞き手=編集委員・藤森研、川端俊一)
満州事変は一方的
<1>日本の進軍
<日本は相手国の了承を得ず軍を進めたことはない>
秦 論文の冒頭近くにある記述だが、これは思いちがいだろう。「満州事変はどうだったのか」と反問するだけで崩れてしまう論だ。満州事変は、日本の関東軍が謀略で鉄道を爆破し一方的に始めた戦争だ。謀議者から実行部隊の兵士まで、すでに関係者の多くの証言がある。当時の軍首脳も政府も追認し、予算も支出している。日中戦争も大東亜戦争も相手国の了承なしに始めた戦争だ。
保阪 史実を押さえれば、田母神論文のような解釈はできない。「国際法上合法的に中国大陸に権益を得て……」とあるが、西欧列強もアジアでの支配を合法化した。だから正しい、と言うのは歴史の見方ではない。帝国主義の支配者は被支配者より何倍も狡猾(こうかつ)だ。「多少の圧力を伴わない条約など存在したことがない」とも記述しているが、子どもの言い訳に等しい。
謀略説 実証性乏しい
<2>コミンテルン
<我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた>
秦 国民党内にコミンテルンのスパイがいたから、蒋介石はコミンテルンに動かされていたなどと言うのは、「風が吹けばおけ屋がもうかる」式の強弁だ。張作霖爆殺事件についても、コミンテルンの仕業という説が「極めて有力になってきている」などと田母神論文は書くが、歴史学の世界では、問題にされていない説だ。
張作霖爆殺事件が関東軍の仕業であることは、首謀者の河本大作はじめ関係者が犯行を認めた。このため田中義一内閣が倒れ、「昭和天皇独白録」でも、「事件の首謀者は河本大作大佐である」と断定されている。他にもコミンテルン謀略説が論文のあちこちに出てくるが、いずれも根拠となる確かな裏付け資料があいまいで、実証性に乏しい俗論に過ぎない。
保阪 当時の国民党の指導者に取材したことがある。共産党側の人間が国民党に入っていたのは事実だが、コミンテルンが国民党を動かしていたというのは間違いだ。日本の軍部がソ連や共産主義への危機感をあおっていた見方だ。「陰謀史観」で歴史を見るようになると、何でもそれに結びつける。「盧溝橋事件でだれが撃ったか」は本質的な問題ではない。中国で日本軍が軍事演習を行っていた背景を見なければならない。
外交の失策こそ問題
<3>米大統領の罠
<日本はルーズベルトの罠(わな)にはまり真珠湾攻撃を決行>
秦 バージョンを変えて繰り出してくる「ルーズベルト陰謀説」の一種だ。ルーズベルト大統領は日本側の第一撃を誘うため真珠湾攻撃を事前に察知していたのに現地軍へ知らせなかった、という筋書きのものが多い。ミステリー小説のたぐいで、学問的には全く相手にされていない。
保阪 米国が日本に先手を打たせたかったというのは事実だろう。だが、日本外交の失策に目をつぶって共産主義者が悪いというのはおかしい。41年4月に日米交渉が始まり、7月に日本は南部仏印に進駐。それに対し、米国は日本の在米資産凍結、石油禁輸措置を決める。政府や大本営が米国を見誤った「甘さ」の方が問題だ。日本が正しくてはめられた、などという論は無責任だ。
都合の良い話だけ
<4>アジア諸国の評価
<多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価>
秦 果たしてそうだろうか。田母神論文はこれに続けて「タイで、ビルマで、インドで、シンガポールで、インドネシアで、大東亜戦争を戦った日本の評価は高い」と国名を列挙するが、日本軍が華僑虐殺をしたシンガポールでは、最近まで反日的な空気が強かったと承知している。独立国だったタイも日本軍の駐屯で被害を受けているので、感謝しているとは思えない。何より、列挙には、一番損害が大きかった中国が入っていない。満州事変に触れなかったのと同様、重要な史実からは逃げ、都合の良い話だけをつないだように見える。
保阪 インドネシア独立義勇軍に加わった何人もの元日本兵に取材した。独立のため戦死した日本兵も多い。本当に東南アジアの解放のために戦ったのはそういう人だが、国は「逃亡兵」とした。そういう事実を見もしないで、都合のいいことを語っている。
否定するなら論拠を
<5>侵略国家
<我が国が侵略国家だったというのは正に濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)>
秦 田母神論文は前の方で、「よその国がやったから日本もやっていいということにはならないが、日本だけが侵略国家だといわれる筋合いもない」と書いている。そこはその通りだと思う。しかし、日本も他の国も侵略国家だったとすると、論理が合わなくなるのではないか。
保阪 「侵略国家」とは、どういう意味か。戦後、一つ一つの史実を検証したうえで「これは侵略だ」と認定してきた。中国を侵略したことは政府でさえ認めたことだ。否定するならば論拠を示すべきだ。
論文に書かれている事実はいずれも核心ではない。一部を取り出して恣意(しい)的につなぎ合わせるだけでは一面的だ。戦後、史実を実証的に積み重ね、一連の戦争を検証してきた。論文は「60年」という時間を侮辱している。
全体を通じて
秦 論文というより感想文に近いが、全体として稚拙と評せざるをえない。結論はさておき、その根拠となる事実関係が誤認だらけで、論理性もない。
保阪 かつて兵士たちが生還して色々なことを知ったとき、「日本もむちゃをやった」と素朴な感慨を持った。われわれはそこからスタートしている。昔の日本に批判的なことを「自虐史観」というが、「自省史観」が必要なのだ。「輝かしい」などの形容詞で歴史を語ってはいけない。ナショナリズムを鼓吹した時、それは偏狭な運動になる。歴史を誇るのであれば、事実に謙虚でなければ。
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秦郁彦氏 はた・いくひこ 元日本大学教授、現代史家。当事者からの聞き取りや一次資料の確認など実証的な軍事史の研究で知られる。75歳。
保阪正康氏 ほさか・まさやす ノンフィクション作家。日本近代史、とりわけ昭和史に詳しく、戦争や軍部研究で多くの著作がある。68歳。
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<キーワード>
【コミンテルン】 1919年に創立された共産主義政党の国際組織で、43年に解散。
【盧溝橋事件】 1937年7月7日、北京郊外の盧溝橋付近で日本軍と中国軍が衝突。日中戦争の発端となった。
-----------------------------------------------------------------------」
ハイ、終了(笑)
http://www.asyura2.com/08/senkyo55/msg/846.html
(略)・・田母神氏が更迭直前、論文に最優秀賞(賞金300万円)を与えたアパグループの元谷外志雄代表に「空幕長感謝状」を贈っていたことが分かった。2人の近すぎる関係とは。
感謝状は、防衛基盤の育成や就職援護などに功績のあった部外の団体・個人に贈られるもの。今年度の贈呈式は先月28日、東京・市谷の防衛省講堂で行われ、損害保険ジャパンなど9団体とともに、元谷氏も「アパグループ代表、小松基地金沢友の会の会長」の肩書で、個人として受章した。
これを報じた、安保・防衛問題の専門紙「朝雲」(11月6日号、週1回発行)には、田母神氏が受賞者に感謝状を手渡す写真が掲載、アパホテル社長で妻の芙美子氏と出席している元谷氏の姿も映っている。
田母神氏は贈呈式で、感謝状とともに記念の楯を贈ったという。
(中略)
元谷氏は航空自衛隊小松基地がある石川県小松市の出身。98年に田母神氏が同基地司令に赴任してから意気投合し、翌99年に元谷氏が地元政財界による「小松基地金沢友の会」を設立し、以後会長を務めている。
2人の親交は続き、アパホテルの雑誌に田母神氏が登場したり、元谷氏もF15戦闘機に体験搭乗。今年6月に開かれた元谷氏の出版記念パーティーにも田母神氏が制服姿で出席した。
田母神、元谷両氏の近すぎる関係とともに、感謝状贈呈と論文受賞の絶妙のタイミングが気になるが、空幕広報は「感謝状の贈呈は1961年から毎年行っている。全国の部隊から『隊に貢献されている』という推薦が挙がり、最終的に空幕長が承認する。今回(田母神氏が元谷氏に感謝状を贈呈したの)は、たまたまでしょう」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081109-OYT1T00131.htm
◆情報誌で対談◆
「安全保障の根幹の問題を解消しないと、この国を守ることはできない」
6月2日、千葉・幕張のホテルで開かれた元谷代表の著書の出版記念パーティー。田母神前空幕長は来賓としてあいさつに立ち、約1000人の出席者に、そんな持論を披露していた。
前空幕長と元谷代表との親交が始まったのは、前空幕長が1998年7月に石川県小松市の第6航空団司令として着任してから。
2人は同グループが発行する情報誌の99年4月号で対談し、10月には金沢市内のアパホテル内を事務局に、後援組織「空自小松基地金沢友の会」を設立。以後、前空幕長は07年6月まで3度、同グループの情報誌の座談会に招かれていた。
パーティーという場で自衛官の制服を着て来賓の挨拶をすれば、誰だって自衛官としての発言と受け取ります。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081111-00000140-jij-soci
田母神氏はこの日の参院外交防衛委員会で、月曜日だった6月2日に開かれたアパの元谷外志雄代表の出版パーティーに公用車で出掛けたことを認めたほか、同社主催の「日本を語るワインの会」に計3回出席、同代表が航空自衛隊の戦闘機F15に体験搭乗した際、空幕長として許可したことを明らかにした。
(強調は私)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081111-00000033-yom-soci
日本、弱腰ではダメ」田母神氏、基地友の会でも“過激発言”
11月11日14時40分配信 読売新聞
田母神前空幕長とアパグループの元谷代表は、前空幕長が石川県小松市の空自小松基地に勤務して以来、親交を続け、同基地の支援組織の会合では「日本は弱腰ではダメだ」などという国防観や歴史観を語り合っていた。
「話が過激すぎて、我々でもついていけなかった」。支援組織のメンバーはそう振り返った。
同基地の支援組織「小松基地金沢友の会」が、石川県内の企業経営者など約200人によって設立されたのは、前空幕長が、第6航空団司令として同基地に着任してから1年3か月後の1999年10月。
友の会関係者によると、前空幕長は、小松市出身の元谷代表とアパグループの情報誌「アップルタウン」(1999年4月号)で対談。「日本の戦後教育には問題もある」などという話で意気投合した。
友の会の年1回の総会と会費制の宴会は金沢市内のアパホテルで開かれた。参加者の一人は宴会で、前空幕長と元谷代表が「日本は弱腰ではダメだ」「集団的自衛権を行使できないのを、何とかしないといけない」などと話しているのを聞き、「会話がどんどん過激になって、ついていけない」と感じたという。
アパグループと言えば耐震偽装問題をとりざたされ、社長の元谷外志雄氏と言えば、安晋会の会員で、自爆史観のきな臭い人物です。
詳しくはこちらに
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%91%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B8%B5%C3%AB%B3%B0%BB%D6%CD%BA
報道を見てもわかるように、田母神氏と元谷氏は、単なる私的な、個人的な友達の域を超え、自衛隊幕僚長の肩書きを通したつきあいだと言えるでしょう。国家公務員が自衛隊幕僚長の肩書きをつけたまま、こういう一民間企業とズブズブの関係になってていいのでしょうか?
自衛隊法は自衛官に政治的な発言を過剰なまでに制限し、倫理規程は私企業との付き合いも細部にわたって規制している。内容のひどさは言うまでもないが、最高幹部が底の抜けたような政治的発言をして三百万円もの賞金をもらうのは資金援助に近い。
by 水島朝穂教授@早大 (碧猫さんから孫引き)
いくら資金提供は受けていないと答弁しても、賄賂ではないかと疑いを抱かせるような関係を一企業と持ち続けてきたこと自体が自衛隊法の趣旨に反します。
こんな派手なつきあいを、防衛省の人間は誰も気付かなかったのでしょうか
(2)に続く
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