垂れ込み部屋にメモしたコメントです
http://www.asahi.com/politics/update/0405/OSK201204050032.html
大阪市の橋下徹市長は5日、同市営地下鉄の駅長室で喫煙し、火災報知機を作動させた男性助役(54)の免職を検討するよう指示した。橋下氏は「裁判闘争になっても構わない。服務規律の厳格化を呼びかける中で、今回の事例だけは許し難い」と話した。
大阪市交通局によると、助役は駅長室内の湯沸かし室で喫煙したといい、「朝食後でつい吸いたくなった」と釈明しているという。報知機の作動で電車4本が最大1分遅れた。市営地下鉄構内は全面禁煙になっている
普通こんなことは交通局の中で処分が行われるだろうに、いちいち市長がしゃしゃり出て免職を支持するなど前代未聞じゃないでしょうか。本当に人を支配してクビにするのが大好きな職権乱用暴君ですこと。
かたや煙草一本で免職
かたやひき逃げしても「一度は見逃して・・・」
どうでしょこの身内に対する甘さは
(2012.04.05 ( Thu ) 12:51:00 | 秋原葉月 |)(引用ここまで)
相変わらず敵認定した市職員に対してはむちゃくちゃな攻撃&身内の不祥事には甘い傍若無人ぶりですが、これについて浦部先生が大事なことを書かれているのでお持ち帰りです。
◆法学館憲法研究所
浦部法穂の憲法時評
「日本が壊れていっている」 http://www.jicl.jp/urabe/backnumber/20120412.html (引用開始)
全国には報道されなかったかもしれないが、4月はじめ、大阪市営地下鉄のある助役が朝出勤後、勤務につく前に駅長室の給湯室で喫煙し、火災報知器が作動して列車4本に最大1分の遅れが出た、という出来事があった。大阪市営地下鉄では、今年に入ってから、運転士が列車内で喫煙したとか、駅の清掃業者従業員のたばこの不始末によるぼや騒ぎといった、喫煙をめぐる不祥事がつづき、市交通局はあらためて全駅禁煙とする通達を出していた。そういうなかでの助役の喫煙に、橋下市長は激怒し、この助役を懲戒免職にするよう検討を指示した。たばこ1本で懲戒免職というのは、前例もないし懲戒処分としては重すぎて違法の疑いが強いが、橋下市長は「法的に問題があるかもしれないが、司法で決着すればいい」と強気の姿勢を貫いている。
助役の喫煙は、たしかに非難されるべき行為である。懲戒処分の対象にされてもおかしくはない。だが、免職は行き過ぎであろう。問題は、しかし、助役の喫煙行為をどう評価するかではなく、市長が、免職は行き過ぎで法的に問題があることを承知していながら、法的に問題があるなら裁判で決着をつければいいとして、あえてそれを強行しようとしていることである。こういうやり方がまかり通るなら、権力をもつ者は法には一切拘束されずに思い通りの処分や命令を発し、あとで裁判によって違法とされたら取り消せばいい、ということになる。国民の側は、どんな違法な処分や命令であっても、裁判を起こしてそこで勝つまでは、その処分や命令に従わされることになるのである。これでは、「法律による行政」という法治国家の根幹が否定されてしまうことになる。
かりに、くだんの助役の懲戒免職処分が強行され裁判で争われることになったとしても、その裁判の決着がつく頃には橋下市長は市長の座にいない可能性が大きいし、損害賠償ということになっても賠償金を払うのは大阪市であって橋下氏個人ではないから、橋下市長は違法処分を強行しても何の責任もとらされることはない。市長としても個人としても、橋下氏には痛くもかゆくもないのである。だから、「やった者勝ち」で、橋下市長はやりたい放題にやれるわけである。権力をもつ者が「司法で決着すればいい」という論理をかざすことは、そういう意味をもっているのであり、およそ法というものの意味を否定することに等しいのである。大阪市民のなかには「けしからん公務員を懲らしめてくれた」として橋下市長に喝采を送る向きもあるようだが、裁判の結果損害賠償となったときには結局自分たちが(税金で)賠償金を払うことになるのだということ、そして、法を無視したやりたい放題が自分たちに向けられないという保証はどこにもないのだということを、是非冷静に認識してもらいたい。
(引用ここまで・強調は私)
以前「法治国家」という言葉の悪質な誤用 というエントリーを書きましたが、これでは「崩壊する法治国家」ですね。なるほど、なにかにつけ「日本は法治国家だから」と言いたがる橋下氏ですが、実は橋下氏自身が法治国家の根幹を揺るがしてることがよくわかります。
また、浦部先生は公務員バッシングをはじめとする「足の引っ張り合い」の現状についても述べてらっしゃいますので、次に引用させていただきましょう。
(引用開始)
もっとも、「壊れていっている」のは、大阪だけではない。日本全体が「壊れていっている」ように、私には思われる。あっちでもこっちでも、言葉は悪いが「貧者の足の引っぱり合い」ばかりで、社会全体が殺伐とした空気に包まれているような気がするのである。そういう「足の引っぱり合い」をそそのかすような政治が、ここ10数年ずっと続いてきたせいだと、私は思う。そしてまた、そういう政治に無批判的に追随して「足の引っぱり合い」をさらに助長してきたメディアの責任も大きい。たとえば、社会保障や年金問題では「高齢者は得をし、若者は損している」という形で世代間の足の引っぱり合いをさせ、雇用や給与等の問題では「民間は非正規労働や賃下げで苦労しているのに、公務員は身分保障で守られ高給をむさぼっている」といった意識を植え付けて文字どおり「貧者」の足の引っぱり合いをさせ(かつて公務員は安月給の代名詞のようなものだったことを思い起こすべし)、震災「がれき」処理の問題では「がれきの受け入れを拒否するのは薄情だ」式の人情論で受け入れ反対派を糾弾し、等々である。「橋下徹なる現象」は、そういう足の引っぱり合いのなかから誕生してきたものにほかならない。しかし、こうした「貧者の足の引っぱり合い」で得をするのは「1%」の富者だけであり、まさにそのために、権力をもつ者は国民のあいだにあえて対立を作り出し足の引っぱり合いをさせているのだ、といって過言ではない。それにまんまとのせられて結局ひどい目にあうのは、「99%」の「われわれ」なのである。いい加減、足の引っぱり合いはやめたいものである。
(引用ここまで)
これに関してASさんがコメント欄で教えてくださった赤旗の記事も是非お読みください。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-17/2012041705_01_0.html http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-18/2012041805_02_0.html http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-19/2012041905_01_0.html http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-20/2012042005_02_0.html公務員バッシングをはじめとする「足の引っ張り合い」に踊らされてることに国民が気づかない限り、この国も私たちの暮らしも悪くなる一方だということは、はっきり言えると思います。
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