「kojitakenの日記」で知ったブログ「H-Yamaguchi.net」のエントリー『「ぞっとした」にぞっとした話』は、私も必読だと思います。
このエントリーを読み、そして原発再稼働にむけ動き出した野田政権をみるにつけ、有史始まって依頼の未曾有の大惨事を引き起こしたのにその現実を直視できない国と原子力村の臆病さと、現実から逃避してひたすら強欲に走るその無責任さを思い知らされます。
エントリーと報道記事をお持ち帰りしましょう。彼らは一つも懲りていない証拠として。
これが私たちの国のトップです。
◆
H-Yamaguchi.net「ぞっとした」にぞっとした話
http://www.h-yamaguchi.net/2012/03/post-017c.html「菅首相が介入、原発事故の混乱拡大…民間事故調」(読売新聞2012年2月28日)
東京電力福島第一原発事故に関する独立検証委員会(民間事故調、委員長=北沢宏一・前科学技術振興機構理事長)は27日、菅前首相ら政府首脳による現場への介入が、無用の混乱と危険の拡大を招いた可能性があるとする報告書を公表した。
報告書によると、同原発が津波で電源を喪失したとの連絡を受けた官邸は昨年3月11日夜、まず電源車四十数台を手配したが、菅前首相は到着状況などを自ら管理し、秘書官が「警察にやらせますから」と述べても、取り合わなかった。
バッテリーが必要と判明した際も、自ら携帯電話で担当者に連絡し、「必要なバッテリーの大きさは? 縦横何メートル?」と問うた。その場に同席した1人はヒアリングで「首相がそんな細かいことを聞くのは、国としてどうなのかとゾッとした」と証言したという。
このブログ管理人さんは違和感を感じます。
違和感があったのは、「首相がそんな細かいことを聞くのは、国としてどうなのかとゾッとした」という証言だ。「首相がそんな細かいことを聞くのは国としてどうなのか」という疑問と、「ゾッとした」という感想とがどうもいまいち結びつかない。百歩譲って結びつくとするなら、何かが抜けている。たとえば「首相がいちいちこんな細かいことをやっているのではこの緊急事態において首相が下すべき重要な判断が遅れてしまい最悪の事態が起きてしまうかもしれない」みたいな話が間に入るならわかる。が、それがない。
記事書いた人は違和感なかったんだろうかと思っていたら、その「ぞっとした」ご本人である内閣審議官の下村健一氏がツイッターで発言の真意を明かしておられた。
以下、下村氏のツイッターが紹介されています。
(引用開始)
【民間事故調/2】まず、大きく報道された、《電源喪失した原発にバッテリーを緊急搬送した際の総理の行動》の件。必要なバッテリーのサイズや重さまで一国の総理が自ら電話で問うている様子に、「国としてどうなのかとぞっとした」と証言した“同席者”とは、私。但し、意味が違って報じられている。
【民間事故調/3】私は、そんな事まで自分でする菅直人に対し「ぞっとした」のではない。そんな事まで一国の総理がやらざるを得ないほど、この事態下に地蔵のように動かない居合わせた技術系トップ達の有様に、「国としてどうなのかとぞっとした」のが真相。総理を取り替えれば済む話、では全く無い。
【民間事故調/4】実際、「これどうなってるの」と総理から何か質問されても、全く明確に答えられず目を逸らす首脳陣。「判らないなら調べて」と指示されても、「はい…」と返事するだけで部下に電話もせず固まったまま、という光景を何度も見た。これが日本の原子力のトップ達の姿か、と戦慄した。
【民間事故調/5】それが、3・11当日の総理執務室の現実。確かに、こういう張り詰めた時の菅さんの口調は、慣れていない者を委縮させる。それは30年前の初対面の頃から感じていた問題。しかし、「だって怖かったんだもん…」という幼稚園のような言い訳が、国家の危機の最中に通用していいのか?
【民間事故調/6】この部分、他の証言も総合して、報告書はこうまとめている。「菅首相の強い自己主張は、危機対応において物事を決断し実行するための効果という正の面、関係者を委縮させるなど心理的抑制効果という負の面の両方の影響があった。」 この評価、私も同感。《以下明日以降》
【民間事故調/7】報告書P.77「官邸が電源車を用意手配したにも関わらず、11日夜から12日にかけて電源車に繋ぐコードが無い等の報告があり…」⇒これ、私も見ていた通り。この文から2つの事が判る。つまり、総理室詰めの技術陣は電源車の手配にも即応できず(だから「官邸」が手配)、更に…
【民間事故調/8】「電源車が現場に到着したら、電気を原発側に送るコードが要る」ことにも前もって1人も気付かなかった。この後も、こうしたトホホは信じ難いほど続く。当時の私のノートの走り書きより:「うつむいて黙り込むだけ、解決策や再発防止姿勢を全く示さない技術者、科学者、経営者」
..【民間事故調/9】一方でノートにはこんな殴り書きも。「Kに冷却水が必要」…Kとは菅さんのこと。危機が刻々募る中、技術陣の無様さに、次第に総理のテンションが高じていったのも事実。あそこは優しく彼らの硬直を解いてあげるのがリーダーの務め。…私がその立場でも、それができた自信は無いが。
【民間事故調/10】自分だけ冷静だったように振り返るのはフェアじゃないから、正直に言う。私自身、あの時は人生最大の緊張状態にいた。眼を合わせない専門家さんに、「頼むから、1つの作業が始まったら、次に何を備えなきゃいけないか、先回りして考えて下さい!」と懇願したのを覚えている。
(略)
つまり下村氏は、「そんな事まで自分でする菅直人に対し「ぞっとした」のではない。そんな事まで一国の総理がやらざるを得ないほど、この事態下に地蔵のように動かない居合わせた技術系トップ達の有様に、「国としてどうなのかとぞっとした」のが真相」「実際、「これどうなってるの」と総理から何か質問されても、全く明確に答えられず目を逸らす首脳陣。「判らないなら調べて」と指示されても、「はい…」と返事するだけで部下に電話もせず固まったまま、という光景を何度も見た。これが日本の原子力のトップ達の姿か、と戦慄した」というわけだ。
これならわかる。誰だってぞっとするだろう。一番の当事者が、事態への対応を何ら打ち出すことすらできずにいたわけだ。このとき東電が福島第一原発から「全員退避」する方針だったかどうかについて、東電側には異論があるらしいが、仮に東電の言い分が正しくて、本当は全員退避という話ではなかったとしても、緊急事態を前に固まったままのこういう人たちを見ていたら、本当に全員退避するつもりなのかも、と疑ってしまったかもしれない。
(引用ここまで)
絶句するような情けないうろたえぶり。事故直後はこんなだったのか・・
普段繰り返し根拠のない安全神話を振りまき続け、自分たちもその上にあぐらをかいてきたのに、いざ事故が起こるとおたおたして何もできない、こういう無能な人々がこの国を牛耳っているとは・・。
そしてこういう人々が、この過酷な現実を直視しようとせず、性懲りもなくまた再稼働を推進しようとしているとは・・・。
政府が都合の悪い事実の隠蔽する様も国民からは「裏切り者」としか言えないものです。
【最悪シナリオを封印】 菅政権「なかったことに」 大量放出1年と想定 民間原発事故調が追及
http://www.47news.jp/47topics/e/224789.php
公文書として扱われず
東京電力福島第1原発事故で作業員全員が退避せざるを得なくなった場合、放射性物質の断続的な大量放出が約1年続くとする「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日分かった。複数の政府関係者が明らかにした。
(略)
文書は菅氏の要請で内閣府の原子力委員会の近藤駿介(こんどう・しゅんすけ)委員長が作成した昨年3月25日付の「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」。水素爆発で1号機の原子炉格納容器が壊れ、放射線量が上昇して作業員全員が撤退したと想定。注水による冷却ができなくなった2号機、3号機の原子炉や1~4号機の使用済み燃料プールから放射性物質が放出され、強制移転区域は半径170キロ以上、希望者の移転を認める区域が東京都を含む半径250キロに及ぶ可能性があるとしている。
政府高官の一人は「ものすごい内容だったので、文書はなかったことにした」と言明。別の政府関係者は「文書が示された際、文書の存在自体を秘匿する選択肢が論じられた」と語った
(後略)
「ものすごい内容だったので、文書はなかったことにした」って、これ、「目をつぶれば世界はなくなる」と同じ現実逃避以外のなにものでもないです。文書をなかったことにしても危険はなかったことにできません。
そして、
こちらでも指摘したように、原発事故後につくられた政府の原子力災害対策本部はこれまでの23回にも及ぶ議論を議事録として残していなかいと言う信じられない行動。
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201201240551.htmlこういうことをしていながら野田政権は 再稼働に意欲を示しています。
野田首相:原発再稼働、地元自治体を説得へ(毎日新聞 3/4)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120304k0000m010085000c.html
野田佳彦首相は3日、海外メディアのインタビューに応じた。停止中の原発について「政治判断して、稼働をお願いせねばならない時は、政府を挙げて自治体の理解を得るべく全力を尽くす」と強調。安全と認めた原発の再稼働に向け、地元自治体の説得に乗り出す考えを表明した。
(略)
インタビューは、東日本大震災から1年を前に、米CNNや英BBC、中国・新華社、韓国・聯合ニュースなど9カ国19社の報道機関が、首相官邸で実施。海外で関心の高い東京電力福島第1原発事故への質問が相次いだ。
原発再稼働について首相は、原子力安全・保安院と原子力安全委員会が、電力会社による安全評価(ストレステスト)の結果を二重に点検する仕組みを説明。国内の電力需給がこの夏、逼迫(ひっぱく)する懸念を認めた上で「稼働できるものは稼働するということで対応する」と前向きな姿勢を示した。
野田総理がいくら再稼働をお願いしようが、とても耳を貸す気にはなれません。
事故直後に露呈したあの無能さ、そして何もかも投げ出して退避しようとした無責任ぶり、その原子力村の体質や政府の隠蔽体質が少しでも良い方向に変わったとは、とても信じられないからです。
「原子力村と野田政権」は、後の世代になって、周りを見ようとしないで自分だけの利益にひた走り、周りにとてつもない迷惑を及ぼす人物を揶揄する新造語になるかもしれない、と思ってしまいます。
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