<ニーメラーの警句>
ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。
ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。
ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。
ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した―しかし、それは遅すぎた。
最初は公立校の教員や府や市の職員といった公務員や労働組合、
そして学者、
市楽団、大阪フィル、文楽といった文化
次々と新たな敵を設定して攻撃し、大衆に「叩く喜び」を与えてきた橋下氏ですが、とうとう、その対象が一般市民にまで及んできたようです。しかも子どもと老人、という弱いところから。
まさにニーメラーの警句を地でいっていますね。
曰く、「大阪市の住民サービスはバブル期の贅沢」なのでそれを「ゼロベースでグレートリセット」するのだそうです。
(2012/4/6読売新聞より。リンク切れ)
大阪市の改革プロジェクトチーム(PT)が5日公表した「施策・
事業の見直し」試案に、児童の少ない市立小6校を2014年度ま
でに統廃合する方針が盛り込まれた。
104事業を見直し、3年間で総額548億円をカットする、大阪
市の改革プロジェクトチームの「施策・事業の見直し」試案につい
て、橋下市長は5日、報道陣の取材に、「収入に合わせ、ぜいたく
を改める」と理解を求めた。
――かなり市民に負担を求める内容だ。
「全国の自治体で税収が伸び悩んでいるのに、税金を使う方はバブ
ルの絶頂期から変わっていない。特に大阪市のサービスは手厚く、
税収が減ったのに、住民サービスに手をつけられていない。家計で
は、収入が伸び悩んでいる時は支出を絞り、ぜいたくを改める」
「市政改革室に大号令をかけ、同じような他都市と同レベルに落と
した。標準レベルに落とさせてくださいと、市民に訴えていく」
(後略)
では、何をどう削減して「標準レベル」に落とすつもりなのか、こちらで見せていただきましょう。
◆【堺からのアピール】教育基本条例を撤回せよ
どの口が言うたんや! 「今の住民サービスは全部できます」(半年前の橋下)
http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/5266689.html
「施策・事業の見直し(試案)~市役所のゼロベースのグレートリセット~」(2012/04/05発表)
http://www.city.osaka.lg.jp/shiseikaikakushitsu/page/0000163563.html
弘済院(養護老人ホーム);2013年度廃止
音楽団;2014年度廃止
キッズプラザ;廃止(年度記述なし)
青少年野外活動施設;2014年度廃止
生涯・市民学習センター;2014年度廃止
市民交流センター;2014年度廃止
ネットワーク推進員;2013年度報酬廃止
上下水道福祉措置;2013年度廃止
民間給与改善費(保育所);2012年度廃止
管路輸送;2013年度廃止
新婚家賃補助;2014年度新規募集停止
温水プール;2014年度24区→9区(15か所廃止)
スポーツセンター;2014年度24区→9区(15か所廃止)
区民センター等;2014年度34→9(25か所廃止)
老人福祉センター;26→18(8か所廃止)
子ども・子育てプラザ;24→18か所(6か所廃止)
放課後事業;2013統合化(要するに廃止)
男女共同参画センター;2014年度必要なソフトは区で実施
子育て色々相談センター;2014年度必要なソフトは区で実施
住まい情報センター;2014年度必要なソフトは区で実施
老人憩いの家;2013年度運営助成廃止
軽費老人ホームサービス;2014年度独自加算廃止
地域生活支援事業;2013年度支援ワーカー数の削減
がん検診;2013年度一部無料廃止
1歳児保育特別対策;2013年度保育士配置基準見直し
学校一般維持運営費;2014年度までに8校統合
教育相談;2014年度利用実績に応じ削減
多様な体験活動(小中学校);2013年度個人選択の仕組みへ
コミュニティ協会委託;2012年度スリム化
社会福祉協議会;2012年度スリム化
ファミリーサポート;2013年度スリム化
学校元気アップ;2013年度スリム化
(引用中断)
ところが、橋下氏は市長選の時は「都構想を実現しても住民サービスは変わらない、敬老パスは維持するって言ってたのです。
(引用再開)
(以下、転載)
橋下市長の市長選時の住民サービスについての発言
2011.10.25
http://kiziosaka.seesaa.net/article/263676420.html
ABCテレビの「キャスト」 2011年10月25日放送分(市長選候補予定者4人の討論会)から、橋下市長の大阪市民の住民サービスに関する発言を抜粋
発言1(医療・福祉を充実して欲しいの声が一番にある。職員の数を減らして、住民サービスを同じようにできるのか?)
それができるんです。大阪市役所の本庁にあれだけの人を置いておく必要はありません。区役所にもっと人を貼り付けるんです。今、区役所の平均職員数は200名位ですが、大体、大阪の各区各区は人口が5万から多いところで20万人。普通の市町村でいえば、千名位の職員が本来は必要なんです。
だから、大阪市役所、あの中之島、淀屋橋に、多数の人数を置いておくことはなくて、各区役所にもっと職員を貼り付ければ、多少1割とか2割、平松市長の改革プログラム、平松市長が出される案ぐらいは僕もやりますけど、それぐらい減らしたとしても、区役所に人をどんどん貼り付ければ、住民サービスはきめ細やかく対応できます。
発言2(「大阪都になって、無理矢理(大阪市の財源を)持って行かれたら、誰が市長・区長をやっても、住民の暮らしは守れない」の主張に対して)
違います。これは仕事とお金がワンセットなんです。単に大阪都と特別自治区で、仕事とお金を再配分するだけですから、今、大阪市、大阪府が持ってるお金、仕事を役割分担するだけなんです。平松市長が、今、空港でも高速道路でも、大阪市は権限持ってる訳なんですが、それを知事に渡してください。
その代わり、住民サービスに特化していただいて、その部分のお金で住民サービスをやれば、今の大阪市が提供している住民サービスは、全部これはできます。
発言3(大阪都ができるまで、大阪市長としてやりたいことは?)
勿論これは、住民サービスを充実させていきますけどね、余分な仕事はどんどん知事に渡します。僕は住民サービスに特化する。
今、大阪市の候補予定者として、24区まわってますが、とてもじゃないですけど、260万人住民をこのひとりの市長が住民サービスについて、コミュニケーションとるってことは無理です。僕は無理って感じてますから。
やっぱり選挙で選ばれた長を8人、9人、複数しっかりと置いて、その範囲の中で、しっかりと住民のみなさんと、コミュニケーションとってもらう。
今、大阪市民の皆さんは、自分の区の区長の名前すら分からない、そんな状況なんです。区役所に言っても何も権限がない。淀屋橋、中之島にいっても、ちょっと遠過ぎる。もう、市民はみんな諦めちゃってる。
だから自分たちの近いところに、物事をしっかり実現してくれる区役所を作って、僕ひとりで260万人全部担当できませんから、8人、9人の選挙で選ばれた長に分担してもらうんです。
(移行するまでの、例えば数年間は、そこまでは橋下さんが260万市民の面倒みるわけじゃないですか)
やります。やりますけど、区長にできる限りの権限と財源を与えて、選挙で選ばれるような、その、新しい都構想になるまでの間は、住民から選ばれるような仕組みも作りながら、擬似大阪都構想に近い形で区役所を充実させて、そちらで予算の使い方を決めてもらおうと思ってるんです。
(移行の間も、それをしながら、民間の力を導入して・・ですね。)
勿論そうです。
(以上、転載終わり)
(引用ここまで)
明らかに言ってることとやってることがちがいますよね?
あ、白紙委任だから公約違反なんか何の問題もなかったんでしたっけ。
では、本当にこんなに住民サービスを犠牲にしなくてはいけないくらい市の財政は逼迫してるのでしょうか?
500億円の収支不足で市民サービスばかりコストカットする必要があるのかどうか、Afternoon Cafe推薦の結さんのツイートとブログをご紹介します。
結 @yuun08
橋下市長は選挙前、大阪市の人口当たり予算が他市より大きいのは、無駄が多いのは、公務員がたくさんいて高給で、無駄が多いからだと批判した。いざ市長になって、予算を組む時には「バブル期のぜいたくな住民サービス」が原因となるらしい。まだまだ、序の口だよ
大阪市の住民サービスの大幅切捨てを含む市改革試案に、キャストでは、毎年500億円の税収不足を挙げ必要性を強調。でもね関・平松市政では、平成17年度から22年度の間で、2719億円の予算削減 http://yuun.chu.jp/miniosaka/siseikaikaku_h18_22.pdf#page=9 をしながら手厚い住民サービスを守ってきたんだよ
◆橋下市長の大阪都構想を、きちんと考えてみる
橋下市政の「お金が足りないから、住民サービスを引下げ」を考えるhttp://miniosaka.seesaa.net/article/265641405.html結さんはこのエントリーで実に緻密な検証をされていますので、詳しくはリンク先をお読みいただきたいのですが、今の大阪市なら財政再建していくにあたってできるだけ住民にしわ寄せがいかせないような創意工夫は十分可能です。現に平松市長はそういう政治をしてきました。
なのに橋下氏はそういう努力は一切しないで真っ先に住民サービスを切っています。実に安直かつ無能、そして冷酷です。単にバンバンコストカットするだけならどんな素人にだってできます。
何故彼は住民の生活に資するような政治を行おうとしないのでしょうか。
それは彼は「大阪をよりよくする」という目的で政治を行ってるわけではなく、単に自分の権力欲を満たすのが目的だからだと思われてなりません。だって垂れ込み部屋の最初に書いてあるようなことを言う人ですから。
「政治家を志すっちゅうのは、権力欲、名誉欲の最高峰だよ。自分の権力欲を達成する手段として、嫌々国民のため、お国のために奉仕しなければいけないわけよ」
公務員叩きや社会的弱者叩きで溜飲をさげていたら知らない間に自分が叩かれる番が回ってきます。そのときになって初めて焦っても、ニーメラーの警句を聞かなかった罰だと鼻であしらわれることでしょう。
結さんの仰るとおり
『「収入に不足があるから、住民サービスを削るよ」と市長が言うだけで、市民は納得していいのでしょうか?
わたしたちは、今回の改革PT試案について、その必要性を厳しく問い、納得できるまで問い続けなければ、失うものは、けして小さくありません。』
ところで「グレートリセット」やら新人職員に「市民に命令する立場になった」と檄を飛ばすなど、次々目新しい話題を提供する橋下氏ですが、実はこんなことを考えているのかも。
「みんな、ボクにじゃんじゃん腹を立てて、
ねつ造事件&思想調査のことは忘れてね!」
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