大阪市教育委員会は教育基本条例案に同意にしたようです。正気の沙汰じゃありません。
この条例を通すなら、教育委員はそろって辞任するんじゃなかったのでしょうか?(←すみません、これ、府教育委員の方でした。Luciferiaさんありがとうございます。)何故あれほど反対していた条例を呑んだのでしょう?
首長が教育目標設定「容認」 委員、橋下市長に伝達
2012年2月7日
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201202070053.html
大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)が成立を目指す大阪府市の教育基本条例案をめぐり、橋下市長と市教育委員が7日、2回目の意見交換会を開き、委員側は、首長が教育目標を決める規定を条件付きで受け入れる考えを伝えた。橋下市長は今後も教育委員と意見を交換し、府条例案に沿った形で市条例案をまとめて2月末開会の市議会に提出する考え。維新は市議会では過半数を占めておらず、条例案成立には他会派の賛同が必要となる。
1月30日の府市統合本部の会合で、首長が教育目標となる教育振興基本計画案を作成すると明記すると決まったことについて、委員側は「現行法の定める教育の方向性に反せず、予算執行のうえでの目標にとどめる」という条件のもとで容認する意見を伝えた。
これに対し橋下市長は、計画案作成にあたっては教委と折り合いがつかない場合でも、首長が議会に提出する仕組みを変えるつもりはないと強調。「例えば大阪は少年犯罪が多く、大阪特有の教育課題がある。政治が一定の方向性を示す必要がある」と述べた。
確か、橋下氏は1月の教委との話し合いでは、こんな意味不明で理不尽な揺さぶりをかけて教委を困惑させていましたね。
(垂れ込み部屋・4より)
http://os7.biz/u/zS6Qn
教育基本条例案:大阪市教委、置き去りに
大阪市の橋下徹市長と大阪府の松井一郎知事が2月議会で成立を目指す「教育基本条例案」について、市教育委員や市教委が意見を述べないまま、議論から置き去りにされている。橋下市長と市教育委員の議論はこれまでに1回だけ。条例案は30日の府市統合本部会議で決着する見通しで、市側の意見は反映されそうにない。橋下市長は「完全に出遅れ」と、同日以降の議論は受け付けない考えだ。
(中略)
橋下市長が知事時代から議論してきた府教育委員と異なり、市教育委員や市教委は橋下市長のスピードに慣れていないことが原因とみられる。橋下市長は28日、「市教委は完全に出遅れている。スケジュールを切っていくのが政治で、合わせるかどうかは自己責任。今の教育委員会制度の欠陥の象徴だ」と批判した。
市教育委員は来月、懇談を求めているが、橋下市長は条例案の議論には応じないとしている。市教育委員長の矢野裕俊・武庫川女子大教授は「市長とはこれから話し合う約束をしたばかりで遅過ぎるというのは理解できない」と話している。【林由紀子】
毎日新聞 2012年1月29日 12時09分(最終更新 1月29日 12時45分)
(引用ここまで)
はい、「独裁」入りましたー!
> スケジュールを切っていくのが政治で、合わせるかどうかは自己責任。
「そんな決定権がお前にあるのか!」とサングラスの人に怒られればいいと思いました。
橋「話し合うよ」
教「わかりました、えーっとですね」
橋「ハイ時間切れ」
教「え?いや、ちょっと待って…」
橋「遅いよ。ついて来れないのは自己責任」
って小学生かっ!Σヽ(>□<;)
これで「議論」してるつもりなんだから、ホントに頭が痛いです…。
(2012.02.01 ( Wed ) 22:01:41 | 観測霊 )
何をそんなに急いでいるのか、「完全に出遅れてる」なんて言いがかりみたいな事をふっかけてるのか、
訳もわからず急かされ、「遅すぎる」と議論に応じてもらえないのでは、教育委員は不安な心理状態に落ちいるでしょう。
ちなみに相手を不安な心理状態に落とすのは、交渉を優位に進めるイロハです。
さて、教委が妥協したのは、橋下氏からこんな“譲歩”を“勝ち取った”と教委が考えたからではないでしょうか?
連続最低評価の教職員免職、橋下市長が撤回表明
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120207-OYT1T00813.htm
大阪市の橋下徹市長は7日、2月市議会に提案する教育基本条例案で定める教職員の人事評価制度について、2年連続で5段階評定最低ランクで分限免職の対象とする規定を撤回する考えを明らかにした。
上司の評価に加え、「児童生徒や保護者からの評価で決める」と述べ、保護者らによる不適格教員の申し立て権を新たに導入する方針を示した。府議会に同様の条例案を提案する松井一郎知事も同調する見通しで、8日の府市統合本部会議で最終調整する。
橋下市長は、7日開かれた市教育委員との意見交換会で、「(人事評価の)最低ランク2回で免職するのはやめる。(最低ランクD評価の)一律の5%枠は外す」と表明し、5%のD評価枠も撤廃する。
指導力不足や不適格教員への人事評価について、「『この先生はおかしい』と評価した保護者からの申し立て権をつければ、5%枠よりも厳しい内容になるかもしれない。評価のやり方をパーセンテージ(割合)で決めないのであれば、生徒、保護者に評価してもらう」と話した。
(2012年2月7日 読売新聞)
そもそもこの「教員の相対評価」については、実は橋下氏はこんな失態を晒しています。
http://youtu.be/JbycO-Gblc8いやはや、「大阪の生徒は、相対評価されてるんですよ!全国で大阪だけ!」と熱弁をふるうバカ殿に対し、大八木キャスターから「生徒には相対評価すべきでないというのに、なぜ教員にあてはめるのか?」と矛盾を突っ込まれその後はしどろもどろ(大八木キャスターGJ!)
こんな苦い思い出もあってか、橋下氏は「教員の相対評価」を撤回しました。教育委員会としてはひとつ大きな勝利を勝ち取ったわけです・・・のように思えます。
ですが、ちょっと冷静になってみましょう。
橋下徹の言論テクニックを解剖する(マガ9・中島岳志さん)
http://www.magazine9.jp/hacham/111109/
橋下氏が本書の中で最も強調するのが「仮装の利益」という概念です。彼は次のように言います。
交渉において相手を思い通りに動かし、説得していくには、はっきり言って三通りの方法しかない。
“合法的に脅す”“利益を与える”“ひたすらお願いする”の三つだ。そのなかで、最も有効なのは“利益を与える”ことである。
この場合の利益には二通りある。一つは文字通り相手方の利益。もう一つは、実際には存在しないレトリックによる利益だ。不利益の回避によって感じさせる“実在しない利益”とも言える(6頁)。
橋下氏は「実際には存在しないレトリックによる利益」を作為的に創出することによって、相手に要求を飲ませるべきであると述べています。そして、この「仮装の利益」をより有効に起動させるためには、「譲歩の演出法」が重要になると説きます。
相手方に利益を与えるということはこちらの譲歩を示すということだ。譲歩とそれに伴う苦労は、徹底的に強調し、演出すべきだ。譲歩とはよべない些細なことであっても、さも大きな譲歩であるように仕立て上げるのである。そうすることで、相手方の得る利益が大きいものであると錯覚させることができるからだ。これも交渉の技術である(10頁)。
(中略)
さらに橋下氏は、交渉に際して「譲れるもの・譲れないものを明確に分別しておく」ことが重要であると説きます。彼は、あらゆる主張を「譲歩できるもの」と「譲歩できないもの」の二種類に徹底的に分別し、「二者択一の法則で自己の利益を絞り込む」必要があると言います。
(引用ここまで・強調は私)
あ~あ・・してやられましたね、教育委員会。
悪徳ローン会社の顧問弁護士時代に、会社を連戦連勝に持ち込んだ彼一流のあくどい交渉術炸裂です。
「教員を相対評価しない」なんて「仮装の利益」です、だって現状は教員の相対評価なんて実行されてない状態ではありませんか。「実際には存在しない利益」です。
今までずっと相対評価なんてなかった、それを今度から相対評価にしてやると脅し続ける、そしてある日、やっぱり相対評価はやめといてやる、という、すると、「何か利益を得たような気になってしまう」
この「仮装の利益」パターンではスピードも大事、相手にゆっくり考える時間を与えては、相手に仮装の利益と気づかれてしまいます。
「ハイ時間切れ!ついてこれないのは自己責任」と教委を無用に慌てさせたのもそのためでしょう。
彼にとって「教員の相対評価」はいざとなれば「譲歩できるもの」であり、どうしても「譲歩できないもの」は、「
首長が教育目標を定めること」だったのです。
彼はまんまとそれを手に入れることができそうです。
悪徳ローン会社の際どい駆け引きの手法は、大切な子ども達の教育のあり方を決めていくのに果たしてふさわしい手法といえるのでしょうか?大阪のみなさん、納得できますか?
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