実は、政治は詳しくないです・・f^^;
なので、難しいことは省いて、
アメリカ大統領選で感じたことを徒然に。
オバマ氏の評価はおいといて・・
私はどちらかというと、選挙戦からオバマ氏よりも、オバマ氏に熱狂する
アメリカ市民に目がいってしまいました。
もちろん
アメリカ市民が熱狂する気持ちは十分わかります。特に人種差別に苦しんできた黒人層には感激もひとしおでしょう。
その感激に身を任せるのは高揚感をえられ、連帯感も感じます。非常に気持ちがいいものです。
しかし、その快感はこらえねば、と、私なんかは本能的に警戒してしまいます。
政治においては、カリスマに熱狂、陶酔して、良いことなど一つもないと思うのです。たとえその政治家が真に偉大な政治家であっても。(カリスマに心酔するのは現実とは違う夢を愛しても良い芸能人だけにしましょう。)
一歩間違えるとそれはいわゆる排他的ナショナリズムにどっと流れそうで恐ろしいのです。
カリスマに対するフィーバーと熱狂的な排他的ナショナリズムは、心理的に共通するところが大きく、容易に転換してしまいそうな気がするのですが・・どうでしょうか?
ナショナリズムと言えば、今でこそ国民の8割が間違ってると嫌うイラク戦争。
しかし911の後、ブッシュのイラク戦争開戦を熱狂的に支持し、それに反対する意見はとても言えそうもない全体主義的な空気を作ったのは、ほかならぬ
アメリカ国民自身でした。銃社会ですから、日本以上に怖くて少数反対意見は言えなかったろうと思います。
あのとき、
アメリカ市民はブッシュに熱狂してなかったでしょうか?
政治家は言葉を操るのはお手の物。国民は感激したくなるのをぐっとこらえ、それが本当に中身をともなった言葉かどうか冷静に分析する、クールで懐疑的でひねくれた性格であってちょうど良いと思うのです。
ワンフレーズポリティクスに見られるように、私は言葉の魔力には懐疑的でありたいと思います。
オバマ氏は、1996年にイリノイ州議会の上院議員に当選します。このときのスピーチが、後に大統領選挙に出馬する大きな土台となった事は言うまでもありません。 彼の持っている思想が全て集約されていたと言っても過言ではないでしょう。また、イラク戦争にも触れ、この戦争を支持した民衆も、反対した民衆も、愛国心の元に主張したのであって、それは全てアメリカへの愛に収束するという旨の発言を行い、その中継を見たアメリカ人から大きな支持を集めました
(http://obamasi.seesaa.netより引用)/
もし私がアメリカ兵に家族を殺されたイラクの民間人なら、この言葉を聞いて激怒するでしょう。
国連の反対を押し切って正義の戦争と銘打って土足で人の国をめちゃくちゃにしておきながら、それは自国への愛だったと?ふざけたナルシズムも大概にしてもらいたい、もし間違ったことをしても、自国への愛がその免罪符になるのか、と。
愛国心があればすべてOKみたいなフレーズが、アメリカでは簡単に大きな求心力になるのが、世界の中でアメリカが真にCHANGEできるのかと疑いたくなってしまう理由です。
オバマ氏はアメリカのチェンジ、アメリカの再生を訴えましたが、それは再びアメリカが世界のリーダーとなることを前提としたものでした。
アメリカは正義である、アメリカは一番のリーダーである、アメリカは、そういうナショナリズムに燃えてる国です。それはオバマ氏のもとでも何ら変わりません。これがアメリカ人の誇り、アイデンティティーだから変えられないのだと思います。
でもそのプライドがアメリカをイラク戦争に走らせたのではないでしょうか・・
熱狂的支持の対象がオバマ氏であっても、わたしはアメリカのこの
ポピュリズムに懸念を抱いてしまいます。
アメリカは正義であり一番なのだという誇りは、実は単なる幻想であり傲慢ではないのかと、オバマ氏もアメリカ国民自身も問い直して欲しいのです。そうでなければ右に振れた振り子が左に振れただけ。
感涙にむせぶ多くの黒人をみました。差別され続けた人々が感無量なのももっともです。
しかし過剰な期待は禁物、人種差別解消前進にとっては、これもまた他と同じく一つの小さな石の積み重ねに過ぎない気がします。
たとえばサッチャー首相が女性であったことが政策にあまり関係なかったと同様、一旦大統領になれば黒人であることはあまり関係なくなってくるのではないでしょうか(人種差別主義者から命をねらわれる危険は別にして)
マイケルジャクソンは黒人ですが、彼は黒人の方を向いてるわけはありません。
ノーをつきつけたブッシュの右腕、ライス国務長官は黒人です。
オバマ氏は、新自由主義から脱却して格差を少しでも解消できるのか、イラクやアフガンの誤りをどう正すのか。アメリカの医療が皆保険制度でないことには驚きです。
これから誰の方を、どちらの方をむいた政治をしていくのかは、まだお手並み拝見の段階でしょう。
熱狂はさめたら怖いです。舞い上がった恋愛がさめたときと同じ、急降下。
期待に添った結果が出ずに失望感が広がれば、持ち上げたぶんだけ手の平を返したバッシングが始まります。特に白人層からの巻き返しがあるかもしれませんね。
こういう悪しき
ポピュリズムは、結果的に良い政治家をも排除してしまうでしょう。たとえオバマ氏が真に偉大な政治家であっても。
星条旗を前に涙にむせびながら胸に手をあて祖国への誇りと忠誠に感極まって抱擁を交わすアメリカ人をみると、私はどんな時でも一抹の危うさを覚えます。閉塞感の中、なんとなく「男達の大和」みたいな世界にあこがれ、特アを仮想敵国にして戦争ごっこを夢見、強い日の丸にアイデンティティーを求める若者と、どこか重なってしまうのです。
とはいえ、ブッシュよりオバマ氏はましですから、(というか私もオバマ氏の勝利を願ってたので、)嬉しいことは嬉しいのですが・・・素直に無邪気に喜べません
(大統領選そのものじゃなくて、大統領選をつうじて見えたアメリカ人気質の欠点、みたいなエントリーになっちゃいました^^;)
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