八重山教科書採択問題の文科省の方針は撤回されるべきです
- 2011/11/06
- 03:00
しばらくバカ殿ネタが続いたので、違う話題にも触れたいと思います。
八重山教科書採択問題を心にとめてきましたがなかなかエントリーに書けずじまいでした。
教科書検定で集団強制死の記述を書き換えられさんざん歴史修正主義に踏みにじられてきた当の沖縄さえも、とうとう歴史修正主義に取り込まれるのか・・と暗澹たる気持ちでした。
村野瀬玲奈さんがブログにまとめておいてくださっていますので是非お目を通してみてください。
◆国家主義的教科書の押し付け方は強引だなあ。 (八重山地区での採択プロセスなどメモ)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2843.html
◆国家主義的教科書の押し付け方は強引だなあ。 (八重山地区での採択プロセスなどメモ) (2)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2863.html
◆国家主義的教科書の押し付け方は強引だなあ。 (八重山地区での採択プロセスなどメモ) (3)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2947.html
琉球新報ではこちらhttp://goo.gl/pjLsU
沖縄タイムスではこちらhttp://goo.gl/zON9G
で随時報道をご覧ください。
文科省が歴史修正主義に荷担していることに対する非難は有り余るほどですが、それについては玲奈さんが十分書いてくださってるのでここではそれをちょっとわきに置いといて、文科省の法判断のおかしさを詳しく見てみましょう。
経過は以下のようなものです。
8/23に八重山採択地区協議会(会長・玉津博克協教育長)は地区の同一教科書として育鵬社版の公民教科書を選定し石垣市、与那国町、竹富町の教育委員会に答申しましたが、この採択地区協議会の協議は非常に問題あるものでした。
どのようなものだったかと言いますと、
・採択協議会の玉津博克会長が「改革」と称して独断で教科書の採択手法を相次いで大幅に変更。これまでの手続きの何が問題で変更したのか理由は一切あきらかにしなかった。
協議会委員から教師を外し、教育委員らを追加(この差し替えも事後承認の形だった)。それまで現場の教師の推薦に基づいた調査員による推薦教科書の順位付けを廃止した。
順位付けは教育現場の声を反映していたのに、廃止したことにより教師が誰一人として推薦していない育鵬社版の教科書が俎上に登ることになった。これは学校現場の声を全く無視している。
・公民の選定作業は約5分で終了、委員は教科書名を言わずに審議していた、など、実質的な審議はなかったものと言わざるをえない。
・委員名も非公表なら、投票も無記名、これでは責任の所在は不明確。
・更に協議も非公開、教科書採択は密室で決められた。
こうした不透明で合意を得ないやり方は、横浜など、「つくる会」系の教科書を採択したところのやり方と酷似しています。
この地区協議会の答申をうけて、石垣市教委(玉津博克教育長)、与那国町教委(崎原用能教育長)は育鵬社版の採択を決定しました(玉津博克教育長、崎原用能教育長は採択地区協議会の委員)
こうして、内容を問題視され誰にも望まれてなかった育鵬社版が突如採用されることになり、学校現場や保護者、住民には青天の霹靂でした。
しかし竹富町教委は東京書籍版の採択を決定。
無償措置法は13条4で同一採択地区内は同一教科書を「協議」により採択することを規定しています。(ちなみに地区協議会の答申には何ら法的拘束力はありません。)
9/8に3市町村の全教育委員が集まって再び協議の場を設け、同一教科書の選定を行うことになりました。
地区協議会の非公開で5分の「協議」とは異なり、今度は会場の外には60人を超える傍聴人があふれる公開論議が行われました。
その模様はこのように報道されています。
◆琉球新報
八重山公民教科書「つくる会」系不採択 全教育委員で多数決
http://goo.gl/Bsbwq
(引用開始)
2012年度以降の4年間、石垣市、竹富町、与那国町の中学校で使用する公民教科書の選定で3市町が異なる教科書を採択した状態を受け、3市町の教育委員13人全員が8日、石垣市教育委員会で協議し、多数決で教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)が選定・答申した「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版を不採択とし、東京書籍版を採択した。
3市町の教育委員13人は、八重山教育委員協会(会長・仲本英立石垣市教育委員長)の臨時総会を開催。同会には教科書の採択権がないことから、同会を閉じた後、13人による会合を教科書を一本化し採択する協議の場とすることを確認した。
この場で協議会が答申した育鵬社版の採択について3人が挙手し、少数で不採択にした。その上で、調査員が推薦し現在同地区で使用している東京書籍版を8人が支持し、採択を決めた。東京書籍版には4人が反対、与那国町の崎原用能教育長は退席した。
同協議には県教育庁義務教育課も立ち会った。13人の教育委員が集まったこの場を協議の場とするかどうかで紛糾し、採決まで5時間45分を要した。
採択地区協議会の会長として育鵬社版の選定を主導した玉津石垣市教育長は多数決で決定することに反発し、途中で退席したが採決の場には出席、東京書籍版に反対した。結果について「納得していない。協議の内容を文科省に報告し、文科省の決定に従う」と話した。
(引用ここまで)
こちらも参考にhttp://goo.gl/82eEw
これまで無記名投票や多数決で意見を通し「多数派工作が悪いとは思わない」と開き直った玉津教育長と崎原教育長が、自分が不利になるやいなや「多数決に反対だ」とは見事なダブスタ、これにははてブの「お前が言うな」タグ」がつくことでしょう(笑)
地方教育行政法では教科書の採択権は教育委員会にありますが、先述したように、無償措置法では同一採択地区では同一の教科書を選ばねばなりません。
それぞれの教育委員会にどの教科書を採択するかの決定権を与えときながら同一地区内は同じ教科書を採択しなさいっていうのですから、これは法の不備、矛盾です。
今回のように、同一採択地区内で複数の教育委員会があって異なる採択決定をしたときはどう解釈すればいいのか、今まで国はこの法の不備、矛盾を放置してきました。
そこで政府は、無償措置法は地方教育行政法の特別法に当たり、地方教育行政法より優先すると解釈。
そして文科省は、
1.無償措置法は13条4で地区内で同一教科書を採択するよう「協議」を要求しているが、文科省としては8/23の採択地区協議会の答申と8/31の協議会の再協議で育鵬社版を採択するとしたのが協議の結果であり、9/8の全委員協議は、石垣市教育長、与那国町教育長の2氏が同協議の無効を訴える文書からも協議として不成立とする
2.どの教科書を使うかを決めるのは各々の教育委員会にあるという地方教育行政法を無視するわけにはいかないので東京書籍版の教科書を採用するという八重山の決定は尊重する。東京書籍版を使うのはかまわない。
但しそれは、同一採択地区内で違う教科書を採択するという無償措置法違反だから教科書は無償給付の対象にならず、竹富町が有償で購入すべきである。
という法判断をしました。
これに対し子どもと教科書を考える八重山地区住民の会は
1.八重山採択地区協議会(採択協議会)での協議を優先するのは全員協議の有効性を示す県教委の公文書や住民の会の要請を「全く無視したもの」と批判。「教科書無償措置法による全員協議が優先されるべきものであり、文科省の発言はこれを無視した違法なものである」と指摘。
2.竹富町の公金で教科書を購入することは義務教育の無償を求めている憲法26条2項にも違反する
と主張しました。
【文科省の判断の問題点その1】
大城浩県教育長も9/8の八重山3市町の教育委員による全員協議について「協議の場としては成立している」との認識を示しています。
育鵬社版を採択した8/23の地区協議会の答申か東京書籍版を採択した全委員協議のどちらを尊重するかは、八重山の当事者が判断すべき問題であって、国がしゃしゃり出てジャッジするものではありません。それでは戦前国家が教育を支配した反省から市町村に教育委員会を作った趣旨がいかされません。
だから本当なら玉津博克協教育長らが全員協議は無効だと国に訴えて判断を仰ぐ、などとと言う行為は無意味なはずなのです。
しかし文科省は「地元で合意形成ができない場合、国が判断を示す」としたり「地区協議会の答申が協議の結果だ。全委員協議は協議として不成立」とどちらが協議結果なのかを決めたりしています。
これは、許されない国の介入、越権行為です。
教科書を採択していく上での決定権は地域にあるのに、その決定権を国が勝手に取り上げて判断を押しつけているのです。
これはまるで地元の声を無視して一方的に国が米軍基地を押しつけるのと同じ構図です。
第一両者の協議態様を比べてみれば、一体どちらが開かれた民主主義的な「協議」の名に値するかは一目瞭然ではないですか。なのに国はあえて民主的な議論を尽くした全員協議の方を「協議として成立してない」としたのです。
これはもはや国は育鵬社版の教科書を後押ししようという結論ありき、としか言いようがありません。
【文科相の判断の問題点その2】
竹富町が東京書籍版を採択した結論自体は地方教育行政法が採択権を教育委員会に与えていることからしても有効です。協議違反だからその教科書を採択できない、ということにはなりません。
でも文科省は勝手に育鵬社版採用が無償措置法13条4の協議結果だと決めつけているので、東京書籍版採択は無償交付する用件を定めた無償措置法違反となる、よって国は教科書を無償交付せず、町が有償で買い取って子供対に支給せよ、というのです。
国が無償給付せず代わりに町に教科書代を負担させるのは憲法26条違反の疑いが非常に濃いと思います。
違憲の疑いについて森裕子文科副大臣は、
「採択地区内で採択が分かれた場合、どの教育委員会が採択したものを無償措置とするかは、最終的には費用を負担する文科省で判断するもの。憲法違反には当たらない」との見解を示しています。
法制局は「地方公共団体自ら教科書を購入し生徒に無償で給付するということまで法令上禁止されることではない」との解釈をしたので文科相はそれに従ってるようです。
おそらく、教科書の費用を国が負担しようが町が負担しようが子供が無償で教科書の支給を受けられることに変わりないから憲法違反にならないって論理なんだろうと推測します。
しかし国が教科書を無償給付するのは、義務教育がナショナル・ミニマムだからです。採択地区内で同一の教科書を採用しなかったからといって、どうして国がナショナルミニマムを放棄していいことになるのでしょうか?
そもそも採択地区内で同一の教科書を採用しなけりゃ国は教科書費用を負担してあげませんよっていう文科省の法解釈が意味不明です。
なぜ?
教育委員会ごとに違う教科書採用したら国が教科書費用を負担するのにどんな不都合があるというのでしょう?
だいたい無償措置法には、同一地区内で同一教科書にならない場合は国は教科書費用を負担しない、などという文言はひとこともありません。義務教育がナショナルミニマムであることからすればこのようなペナルティを課す法解釈は許容できる解釈の範囲を超えていると言わざるをえません。
(私は、同一地区内で同一教科書を採用すべしと言う規定は削除し、学校ごと、あるいは教育委員会ごとで教科書採択を決めるように改正するのがよいかと思います)
文科省は、竹富町に東京書籍版を使うなと命令するまでの権限はないので、東京書籍版を採択することは認めつつも国の無償給与の対象から外し、町に有償で買い取らせる(かなりの負担になると思います)ことで育鵬社採択の圧力をかけている、 といったところでしょう。
このような文科省の判断は許されません。
中川文科相は直ちに方針を撤回すべきだと考えます。
<追記>
将来、石垣市教育委員会が採択した教科書を使用する予定の石垣市内の小学生2人とその保護者らが、石垣市教委を相手に東京書籍版公民教科書の無償給付を確認する行政訴訟を提起する意向を固めたようです。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-183696-storytopic-238.html
八重山教科書採択問題を心にとめてきましたがなかなかエントリーに書けずじまいでした。
教科書検定で集団強制死の記述を書き換えられさんざん歴史修正主義に踏みにじられてきた当の沖縄さえも、とうとう歴史修正主義に取り込まれるのか・・と暗澹たる気持ちでした。
村野瀬玲奈さんがブログにまとめておいてくださっていますので是非お目を通してみてください。
◆国家主義的教科書の押し付け方は強引だなあ。 (八重山地区での採択プロセスなどメモ)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2843.html
◆国家主義的教科書の押し付け方は強引だなあ。 (八重山地区での採択プロセスなどメモ) (2)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2863.html
◆国家主義的教科書の押し付け方は強引だなあ。 (八重山地区での採択プロセスなどメモ) (3)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2947.html
琉球新報ではこちらhttp://goo.gl/pjLsU
沖縄タイムスではこちらhttp://goo.gl/zON9G
で随時報道をご覧ください。
文科省が歴史修正主義に荷担していることに対する非難は有り余るほどですが、それについては玲奈さんが十分書いてくださってるのでここではそれをちょっとわきに置いといて、文科省の法判断のおかしさを詳しく見てみましょう。
経過は以下のようなものです。
8/23に八重山採択地区協議会(会長・玉津博克協教育長)は地区の同一教科書として育鵬社版の公民教科書を選定し石垣市、与那国町、竹富町の教育委員会に答申しましたが、この採択地区協議会の協議は非常に問題あるものでした。
どのようなものだったかと言いますと、
・採択協議会の玉津博克会長が「改革」と称して独断で教科書の採択手法を相次いで大幅に変更。これまでの手続きの何が問題で変更したのか理由は一切あきらかにしなかった。
協議会委員から教師を外し、教育委員らを追加(この差し替えも事後承認の形だった)。それまで現場の教師の推薦に基づいた調査員による推薦教科書の順位付けを廃止した。
順位付けは教育現場の声を反映していたのに、廃止したことにより教師が誰一人として推薦していない育鵬社版の教科書が俎上に登ることになった。これは学校現場の声を全く無視している。
・公民の選定作業は約5分で終了、委員は教科書名を言わずに審議していた、など、実質的な審議はなかったものと言わざるをえない。
・委員名も非公表なら、投票も無記名、これでは責任の所在は不明確。
・更に協議も非公開、教科書採択は密室で決められた。
こうした不透明で合意を得ないやり方は、横浜など、「つくる会」系の教科書を採択したところのやり方と酷似しています。
この地区協議会の答申をうけて、石垣市教委(玉津博克教育長)、与那国町教委(崎原用能教育長)は育鵬社版の採択を決定しました(玉津博克教育長、崎原用能教育長は採択地区協議会の委員)
こうして、内容を問題視され誰にも望まれてなかった育鵬社版が突如採用されることになり、学校現場や保護者、住民には青天の霹靂でした。
しかし竹富町教委は東京書籍版の採択を決定。
無償措置法は13条4で同一採択地区内は同一教科書を「協議」により採択することを規定しています。(ちなみに地区協議会の答申には何ら法的拘束力はありません。)
9/8に3市町村の全教育委員が集まって再び協議の場を設け、同一教科書の選定を行うことになりました。
地区協議会の非公開で5分の「協議」とは異なり、今度は会場の外には60人を超える傍聴人があふれる公開論議が行われました。
その模様はこのように報道されています。
◆琉球新報
八重山公民教科書「つくる会」系不採択 全教育委員で多数決
http://goo.gl/Bsbwq
(引用開始)
2012年度以降の4年間、石垣市、竹富町、与那国町の中学校で使用する公民教科書の選定で3市町が異なる教科書を採択した状態を受け、3市町の教育委員13人全員が8日、石垣市教育委員会で協議し、多数決で教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)が選定・答申した「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版を不採択とし、東京書籍版を採択した。
3市町の教育委員13人は、八重山教育委員協会(会長・仲本英立石垣市教育委員長)の臨時総会を開催。同会には教科書の採択権がないことから、同会を閉じた後、13人による会合を教科書を一本化し採択する協議の場とすることを確認した。
この場で協議会が答申した育鵬社版の採択について3人が挙手し、少数で不採択にした。その上で、調査員が推薦し現在同地区で使用している東京書籍版を8人が支持し、採択を決めた。東京書籍版には4人が反対、与那国町の崎原用能教育長は退席した。
同協議には県教育庁義務教育課も立ち会った。13人の教育委員が集まったこの場を協議の場とするかどうかで紛糾し、採決まで5時間45分を要した。
採択地区協議会の会長として育鵬社版の選定を主導した玉津石垣市教育長は多数決で決定することに反発し、途中で退席したが採決の場には出席、東京書籍版に反対した。結果について「納得していない。協議の内容を文科省に報告し、文科省の決定に従う」と話した。
(引用ここまで)
こちらも参考にhttp://goo.gl/82eEw
これまで無記名投票や多数決で意見を通し「多数派工作が悪いとは思わない」と開き直った玉津教育長と崎原教育長が、自分が不利になるやいなや「多数決に反対だ」とは見事なダブスタ、これにははてブの「お前が言うな」タグ」がつくことでしょう(笑)
地方教育行政法では教科書の採択権は教育委員会にありますが、先述したように、無償措置法では同一採択地区では同一の教科書を選ばねばなりません。
それぞれの教育委員会にどの教科書を採択するかの決定権を与えときながら同一地区内は同じ教科書を採択しなさいっていうのですから、これは法の不備、矛盾です。
今回のように、同一採択地区内で複数の教育委員会があって異なる採択決定をしたときはどう解釈すればいいのか、今まで国はこの法の不備、矛盾を放置してきました。
そこで政府は、無償措置法は地方教育行政法の特別法に当たり、地方教育行政法より優先すると解釈。
そして文科省は、
1.無償措置法は13条4で地区内で同一教科書を採択するよう「協議」を要求しているが、文科省としては8/23の採択地区協議会の答申と8/31の協議会の再協議で育鵬社版を採択するとしたのが協議の結果であり、9/8の全委員協議は、石垣市教育長、与那国町教育長の2氏が同協議の無効を訴える文書からも協議として不成立とする
2.どの教科書を使うかを決めるのは各々の教育委員会にあるという地方教育行政法を無視するわけにはいかないので東京書籍版の教科書を採用するという八重山の決定は尊重する。東京書籍版を使うのはかまわない。
但しそれは、同一採択地区内で違う教科書を採択するという無償措置法違反だから教科書は無償給付の対象にならず、竹富町が有償で購入すべきである。
という法判断をしました。
これに対し子どもと教科書を考える八重山地区住民の会は
1.八重山採択地区協議会(採択協議会)での協議を優先するのは全員協議の有効性を示す県教委の公文書や住民の会の要請を「全く無視したもの」と批判。「教科書無償措置法による全員協議が優先されるべきものであり、文科省の発言はこれを無視した違法なものである」と指摘。
2.竹富町の公金で教科書を購入することは義務教育の無償を求めている憲法26条2項にも違反する
と主張しました。
【文科省の判断の問題点その1】
大城浩県教育長も9/8の八重山3市町の教育委員による全員協議について「協議の場としては成立している」との認識を示しています。
育鵬社版を採択した8/23の地区協議会の答申か東京書籍版を採択した全委員協議のどちらを尊重するかは、八重山の当事者が判断すべき問題であって、国がしゃしゃり出てジャッジするものではありません。それでは戦前国家が教育を支配した反省から市町村に教育委員会を作った趣旨がいかされません。
だから本当なら玉津博克協教育長らが全員協議は無効だと国に訴えて判断を仰ぐ、などとと言う行為は無意味なはずなのです。
しかし文科省は「地元で合意形成ができない場合、国が判断を示す」としたり「地区協議会の答申が協議の結果だ。全委員協議は協議として不成立」とどちらが協議結果なのかを決めたりしています。
これは、許されない国の介入、越権行為です。
教科書を採択していく上での決定権は地域にあるのに、その決定権を国が勝手に取り上げて判断を押しつけているのです。
これはまるで地元の声を無視して一方的に国が米軍基地を押しつけるのと同じ構図です。
第一両者の協議態様を比べてみれば、一体どちらが開かれた民主主義的な「協議」の名に値するかは一目瞭然ではないですか。なのに国はあえて民主的な議論を尽くした全員協議の方を「協議として成立してない」としたのです。
これはもはや国は育鵬社版の教科書を後押ししようという結論ありき、としか言いようがありません。
【文科相の判断の問題点その2】
竹富町が東京書籍版を採択した結論自体は地方教育行政法が採択権を教育委員会に与えていることからしても有効です。協議違反だからその教科書を採択できない、ということにはなりません。
でも文科省は勝手に育鵬社版採用が無償措置法13条4の協議結果だと決めつけているので、東京書籍版採択は無償交付する用件を定めた無償措置法違反となる、よって国は教科書を無償交付せず、町が有償で買い取って子供対に支給せよ、というのです。
国が無償給付せず代わりに町に教科書代を負担させるのは憲法26条違反の疑いが非常に濃いと思います。
違憲の疑いについて森裕子文科副大臣は、
「採択地区内で採択が分かれた場合、どの教育委員会が採択したものを無償措置とするかは、最終的には費用を負担する文科省で判断するもの。憲法違反には当たらない」との見解を示しています。
法制局は「地方公共団体自ら教科書を購入し生徒に無償で給付するということまで法令上禁止されることではない」との解釈をしたので文科相はそれに従ってるようです。
おそらく、教科書の費用を国が負担しようが町が負担しようが子供が無償で教科書の支給を受けられることに変わりないから憲法違反にならないって論理なんだろうと推測します。
しかし国が教科書を無償給付するのは、義務教育がナショナル・ミニマムだからです。採択地区内で同一の教科書を採用しなかったからといって、どうして国がナショナルミニマムを放棄していいことになるのでしょうか?
そもそも採択地区内で同一の教科書を採用しなけりゃ国は教科書費用を負担してあげませんよっていう文科省の法解釈が意味不明です。
なぜ?
教育委員会ごとに違う教科書採用したら国が教科書費用を負担するのにどんな不都合があるというのでしょう?
だいたい無償措置法には、同一地区内で同一教科書にならない場合は国は教科書費用を負担しない、などという文言はひとこともありません。義務教育がナショナルミニマムであることからすればこのようなペナルティを課す法解釈は許容できる解釈の範囲を超えていると言わざるをえません。
(私は、同一地区内で同一教科書を採用すべしと言う規定は削除し、学校ごと、あるいは教育委員会ごとで教科書採択を決めるように改正するのがよいかと思います)
文科省は、竹富町に東京書籍版を使うなと命令するまでの権限はないので、東京書籍版を採択することは認めつつも国の無償給与の対象から外し、町に有償で買い取らせる(かなりの負担になると思います)ことで育鵬社採択の圧力をかけている、 といったところでしょう。
このような文科省の判断は許されません。
中川文科相は直ちに方針を撤回すべきだと考えます。
<追記>
将来、石垣市教育委員会が採択した教科書を使用する予定の石垣市内の小学生2人とその保護者らが、石垣市教委を相手に東京書籍版公民教科書の無償給付を確認する行政訴訟を提起する意向を固めたようです。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-183696-storytopic-238.html
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