大阪w選挙は単に一地方自治体の選挙ではなく、日本がかろうじて民主主義を維持するか、それともファシズムに大きく舵を切るのか、その分水嶺だと私は思っています。
広原盛明さんがリベラル21に、
「過去の選挙公約は一切反故(ほご)にして次から次へと目先の新しい政策を打ち出し、有権者に選挙公約の意味を考える暇を与えない。そしてマスメディアを徹底的に利用して「目くらまし選挙」に打って出る。これが橋下氏(ハシズム)の常とう手段だ」
と書いていらっしゃいます。
実はこれはカルトの騙しの常とう手段でもあります。
次々と新しい「終末予言」を繰り出して考える暇を与えさせない。前の予言が実現される頃にはもう次の新しい予言が出ていて、前の予言など忘れ去られ、それが外れていることなど誰も気にかけないのです。
熱狂的なユーゲントというものはカルト信者と同じ心理構造でもありますので、やりかたが一致するのも興味深いですね。
橋下氏は知事職を任期途中で放り投げました。彼は市長選で次々に新しいイシューを繰り出すまえに、まずは自分の知事時代を総括すべきではないでしょうか。
一体彼が府民生活向上のために具体的にどんな実績を上げたのか、振り返ってみる必要があると思います。
橋下氏は奇想天外な政策をぶち上げ、それに反対する者を「民意への挑戦」「既得権益」と敵認定し、その敵に向かって挑発的な言動をぶち上げる劇場を繰り広げる手法を繰り返してきました。
だから実行力がありそう、なんかやってくれそうなイメージが先行します。
しかしいざ検証してみると、府民の生活を向上させた実績が何もありません。空虚です。何かを実行してくれるイメージは幻影でしかないことに気付きます。
全てにおいてそうです。
橋下氏は知事に就任して府の2009年度一般会計の当初予算案が11年ぶりに黒字に転じたと鼻高々でした。これで橋下氏をやり手の政治家だと手腕を買った人も多いのではないでしょうか。
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009021001000266.html しかしこれは真っ赤な嘘であったことがばれ、橋下氏自身も認めざるを得なくなりました。
橋下財政を見てみましょう
ブログ「Everyone says I love you !」に橋下氏の数々の「実績」がまとめられているのでそこから抜粋させていただきます。
松井大阪府知事と橋下大阪市長の維新の会コンビが当選なら「大阪」は破産する
http://goo.gl/lZBaU
(引用開始)
橋下知事が2008年(平成20年)2月、知事選に立候補するときの最大の公約は大阪経済の活性化と財政赤字削減でした。
以来、3年8ヶ月、橋下・松井維新の会は、福祉、教育、文化施設の切捨てを実行しました。
たとえば、府立高校に勤務する非正規の事務補助員など約350人も全員解雇しました。彼女らの年収は約110万円です。いくらも府政赤字削減の助けになりません。
「御堂筋のイルミネーションより、私たちのほうが下なんですか」と泣いて抗議する事務補助員の方々は記憶に新しいところです。
老人・乳幼児・障害者・一人親の家庭の医療費の1割負担を要求し、青少年期に学ぶ機会のなかった人々が学ぶ夜間中学校での就学援助制度も廃止を提案しました。私学助成の3割削減を主張し、これらの一部はすでに実現してしまいました。
多くの人の寄付で支えられてきた貴重な文献・資料の集まる国際児童文学館は解体され、多くの府民が利用しづらい東大阪市の中央図書館へ図書は移送されました。
(引用中断)
なお、橋下氏がやってきた府民にとって必要な支出の削減はこちらのブログに詳しくまとめられています。
◆
事務局長の着物な日々 橋下知事のやってきたこと
http://osakasyaho.blog81.fc2.com/blog-entry-3847.html 全部載せると長くなりますので是非リンク先でご確認ください。ここでは項目だけをあげておきます。
◇地震関連11事業を6割カット
◇密集住宅市外地整備補助金を大幅削減
◇教育関連費を大幅削減
◇福祉・医療関連費も大幅カット
◇全国に先駆けて国保「広域化」を画策
◇住宅施策を改悪
◇環境農林水産総合研究所・産業技術総合研究所を独立行政法人化
◇中小企業対策費を削減
◇農業費を削減
◇水産業費を削減
(引用再開)
これらの府民にとって真に必要な支出を削減しながら、財政赤字の削減どころか、この3年間に物凄い勢いで、大阪の公債(府債すなわち負債)が増えています。
府債発行の推移
平成19年度は新発債2942億円、借換債3750億円で合計6692億円だったのが、平成22年度は新発債4259億円、借換債3976億円で、合計8235億円になってしまっているのです。
ちなみに、橋下さんの知事選での公約の一つは、「新規に府債を発行しないこと」でした。
発行しないどころか、新発府債を1300億円以上も増やしてしまっているのです。
結果として、大阪の府債=負債の残高は。。。。平成19年度末に5兆8288億円だったのが、平成22年度末には史上初めて6兆円!を突破し、6兆739億円になってしまいました。
つまり、橋下府知事が誕生してわずか3年間で、大阪府は2151億円も借金が増えたということになります。
府債残高の推移
維新の会は、文字通り、弱者切り捨てを断行しまくって、なにをしているのだということです。
この財政赤字拡大の原因はなにかというと、弱者にしわ寄せをするだけで、肝心の大阪経済の活性化が全くできなかったことです。
橋下・維新の会の経済政策って、関西空港から梅田まで磁気浮上式リニアモーターカーで8分で結ぶとか(まだリニアがどこでも本格運転もしていないところにもってきて、今から新設するとなると物凄い時間と1兆円以上のお金がかかります)、大阪のカジノ特区を作るとか(これ以上、自己破産や生活保護者を作ってどうするのか)、まるで実現性がない上に、弊害のみ大きな話ばかりです。
大阪都構想もそうで、それがどういう経済的効果が上がるか不明な上に、府から都へ規模が大きくなれば地方自治で最も重要視される住民の意志が反映しにくくなります。区長を選挙で選べても、肝心の憲法学で基礎自治体とされる大阪「市」を「解体」するとなればなおさらです。
だいたい、大阪都なんていつ出来るんですか。それが出来ないと大阪の活性化はあり得ないなんて言っていたらいつまでかかるのか。
そのあげくに、出来てもいない大阪都の庁舎用の建物を買ったら大損してしまう始末です。
(略)
こうして、橋下・維新の会は4年近くも、まるで有効な経済活性化策を打ち出さず、夢を語るというか、法螺を吹くというかばかりしていたので、大阪経済の沈下に拍車がかかり、なんと大阪府の税収入が激減してしまったのです。
大阪の企業は伸びるどころか、衰退の一途をたどり、法人の所得が減った結果、法人税歳入が1年で1割以上減少してしまいました。
こんな歳入の目減りの仕方はいくらデフレの国全体でもないわけで、「すべては今の日本の行政の仕組みに原因がある」のではなくて、すべては橋下・維新の会の無為無策、失政に原因があるのです。
そんな口先だけの橋下府政3年間で府税収入は4000億円も減り、去年は大阪府税全体の史上最低額を更新し、法人税収入も史上最低となりました。これでは少々歳出を削減しても、歳入穴埋めのために借金が増えるのは当たり前です。
(引用ここまで)
橋下氏の財政手腕について「明るい民主府政」からも引用させていただきましょう。
http://goo.gl/rsnM6
(引用開始)
大阪は、中小業者・企業が事業所の99.6%を占め、雇用者数、製品出荷額、卸小売販売額など経済における位置は他の大都市に比べても高く「中小企業のまち」です。
(略)
(橋下府政の)この間、大阪府では高額の補助金を用意、固定資産税の減免、インフラ整備など、大企業の利益優先を後押しする条例を整備し、4年間で200億を超える莫大な税金をつかっています。しかし、企業の倒産件数は増加(全国は減少)。製造出荷額も大きく落ち込み、「新規雇用にほぼ効果なし」と大阪府自らも波及効果がないこと認めざるをえない現状です。
(略)
「中小企業のまち」であるにもかかわらず、大阪府の中小企業・業者支援はというと、ものづくり支援予算は07年度比44%、商業振興費は5分の1に激減しています。さらに、昨年発表された「財政構造改革プラン」では、中小業者の営業を下支えしてきた斡旋制度への支援を大幅に削減するなどその役割とは乖離しています。
(引用ここまで)
大阪は中小企業でもっているのに、その振興費を削ったら大阪経済を上向きにできるわけがないじゃありませんか!
橋下氏が福祉や教育や社会保障を削減して市民にしわ寄せしながらもなお赤字を増大させてしまったのは無為無策、かつ大阪経済の地盤沈下に拍車をかける有害な政策しかとらなかったからです。
橋下氏は、何かを削るぶち壊す(しかも福祉や教育や文化や弱者に対する政策から削りぶち壊す)才能はあっても、新しくプラスのものを生み出す才能はない、ということは言えそうです。
何かを削る、ぶち壊すだけなら子供にだってできますね。
こちらを見てもらうとわかりますが、大阪市の借金は減っているのに、大阪府の借金は増えています。過去最高の赤字です。
http://goo.gl/2D8g4 平松氏は借金も減らしたし大阪市の地下鉄も黒字にしました。
それなのに大阪市の赤字を攻撃し、自分は黒字に転じさせたと堂々とうそぶく。
こういう悪質なごまかしを平然とやるという時点で政治家としての資質は大いに疑われます。
もっとも
「なんで『国民のために、お国のために』なんてケツの穴がかゆくなるようなことばかりいうんだ?政治家を志すっちゅうのは、権力欲、名誉欲の最高峰だよ。自分の権力欲を達成する手段として、嫌々国民のため、お国のために奉仕しなければいけないわけよ。(略)ウソをつけない奴は政治家と弁護士にはなれないよ!」(『まっとう勝負!』小学館より)
これが橋下氏の持論のようですので、いくら「本音をズケズケ喋らはる人」でもこういう人では悪質なごまかしなしの誠実な政治を望むのは最初から無理でしょう。
ところで、どうして過去最高の赤字に転落したのにまるで黒字に転じたかのように装えたのか、というとカラクリは簡単です。
府は借金を「収入」として計上することができるから、です。
2割しかいない少数派の府民さんからの垂れ込みを転載しましょう。
(引用開始)
減収補てん債および行政改革推進債の発行して得たお金は、「収入」として計上。あれっ、これって借金じゃないの?
http://www.pref.osaka.jp/attach/5406/00019316/tyukan-hokoku-gaiyo.pdf
以下、不正経理の実例
橋下知事、「赤字回避宣言」を撤回
橋下知事は28日の記者会見で、府が11年ぶりに赤字を回避したと宣言した今年度の一般会計予算について「いい加減な公会計制度の下での赤字からの脱却」と述べ、事実上撤回した。府の一般会計が6基金から借りている約1500億円が予算書に計上されていないためで、知事は「財政的に粉飾してきたと思う」と話した。
基金からの借入金について知事は「いつ返すのか決まっていない。これは借り入れじゃなくて使い込み」と批判。府以外にも同様に基金から借り入れている自治体があるとして「基金から借り入れて、何とか(財政上の)数字を合わせている。ぼくが予算書を読んでもわからない。真実の数字に基づいた会計制度にしないといけない」と主張した。近く原口一博総務相に「総務省の財務諸表に対する考え方を改めてほしい」と要望するという。
(2009年10月29日 asahi.com)
公務員がやったことで知事に責任はないよって言い訳は通用しませんよ。
【大阪府基金条例】
第四条 知事は、財政上必要があると認めるときは、確実な繰戻しの方法、期間及び利率を定め、基金に属する現金を歳計現金に繰り替えて運用することができる。
(昭五八条例八・平八条例九・一部改正、平二一条例八・旧第三条繰下・一部改正)
基金からの繰り入れは知事が判断することですからね。知らなかったでは済まされないことですよ。
大阪府が出資5法人に短期貸付繰り返し、外部監査人が是正請求
大阪府が五つの出資法人に対して低利の短期(単年度)貸付を繰り返していることについて、府の包括外部監査人(中西清・公認会計士)は8日、「実態は長期貸付で、不当な財政操作にあたる」として、早期是正を求める報告書を橋下徹知事と府議会に提出した。
報告書によると、府は2008年度、育英会や土地開発公社など5法人に計1193億円を貸し付け。年度末(3月31日)に全額の返済を受け、09年度当初(4月1日)に改めて1153億円を貸し付けた。法人側は金融機関から2日間のつなぎ融資を受けてしのぎ、利息計750万円は府と法人が負担した。
府財政が悪化した1998年度以降、予算上、各年度の歳出(貸付額)と歳入(返済額)の帳尻を合わせて財源不足が表面化しないよう、長期だった貸付を短期に切り替えていた。
しかし、監査人は「歳入歳出という財政の根幹の数字を操作しており、不当」と指摘。11年ぶりの黒字転換を果たした08年度一般会計決算についても、こうした操作がなければ853億円の赤字となり、国の管理下に置かれる「財政再生団体」に転落していた、との試算を示した。
府は10年度から、育英会、土地開発公社、住宅供給公社の3法人について廃止し、金融機関からの長期借り入れに切り替えさせ、残りの2法人についても将来的に廃止する方針。
(2010年2月8日 読売新聞)
(引用ここまで)
こちらも是非
◆opeblo
「府財政を短期間で救った」芝居の終幕の件http://d.hatena.ne.jp/opemu/20110731/1312098313 つまり、
…コント風にすると↓こんな感じ?
「財政3年連続黒字です!(キリッ」
「すごいですね!どうやったんですか?」
「借金して歳入を増やしました!(ドヤッ」
「えっ?」
「えっ?」
(by観測霊さん)
ということです(笑)
驚くことに、大阪財政は橋下氏のおかげで黒字になったといまだに信じている人は少なからずいるようです。。
「粉飾決済」のカラクリは既にWikipediaにさえも掲載されていますから、未だに橋下氏が大阪府財政を黒字にしたと思い込んでるおめでたい人は一度見て欲しいです。
http://goo.gl/oDSUZ 府の財政を悪化させた一因に新バカ殿城、こと咲洲庁舎購入の大失策があります。
それは次回にしましょう。
- 関連記事
-
スポンサーサイト