（ひとこと）悲しき知恵

安倍政権の下、教育基本法は更に改悪され、つくる会の教科書採用率が上がり、国旗国歌を強制し、規則と競争で子ども達を締め上げ、思考停止のイエスマンを育てる教育がこれから全国的に広がるでしょう。
しかし、やがて「教育に起立と厳しさは必要」と安倍氏好みの教育を肯定し出す国民もふえてくることでしょう。

最初は上からの理不尽な弾圧に抗議が起きても、やがてその締め上げは正しいし必要なモノなのだ、と肯定する者が下々の中から出てきて、やがてそれがあっという間に下々のマジョリティになるのが日本の特徴ではないでしょうか。

昭和天皇死去の時も、最初は過度の自粛はおかしいと国民は批判的だったのに、あっというまに「自粛しないヤツは非国民」という空気に変化しました。

イラクで三人が人質になったときも、当時の小泉首相が自己責任だと三人を非難しだしてから国民的バッシングが高まったと記憶しています。

理不尽な上からの弾圧に対しはじめは普通に抵抗が起きても、やがて必ず下々の方からその弾圧を肯定し迎合し出す。
上から抑圧される理不尽な環境に置かれたとき、その環境を覆して生きる権利を取り戻そうとするのではなく、それに迎合し適応することで生き延びようとするのが、この国の国民が長い間培ってきた悲しき知恵なのだと思います。

やがて改憲案の「公益及び公の秩序」による人権制限も「ルールを守った上でないと人権は認められない」という論調に賛同する人が増えてくるかもしれません。
例えば瓦礫受け入れ反対のデモの自由が弾圧されたり、言論の自由が制限されるようになっても、弾圧された方を同じ弾圧される側にいる者達が「ルールを守らなかった方が悪い」と非難しだすかもしれません。
まるで戦前のように。

弾圧される側が弾圧する側にたって、同じ弾圧される側の人間を排除する、という日本人に顕著な「統治主体意識」的な精神構造を、私は危惧します。