地方公務員の選挙活動・政治活動は一切禁止と勘違いされてる方へ
- 2012/02/14
- 17:00
そんな方はこちらの解説をどうぞ。
まずは正しい知識を身につけましょう。
◆横浜市従
地方公務員の選挙活動 ・政治活動の自由(2004年改訂版)
http://www.siju.or.jp/opinion/article/040623-180518c.html
(1)地方公務員の選挙活動・政治活動の自由は憲法で保障された権利
選挙活動・政治活動の自由は、憲法の国民主権の原理に直結した国民の重要な権利であり、憲法が保障する表現の自由の根幹をなすものです。
憲法第21条は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と明記し、この憲法上の保障は、すべての国民に等しく及び、地方公務員も例外ではありません。
判例も「政治活動の自由は、自由民主義国家における最も重要な基本原理をなし、国民各自につきその基本的な権利のひとつとして尊重されなければならない」(国家公務員の事件。昭56・10・22最高裁判決)ことを認めています。
(2)地方公務員の選挙活動・政治活動への規制は少ない
地公法36条は地方公務員の選挙活動・政治活動を規制していますが、この規制は例外ですから、これを拡大解釈することはできません。自治体当局は、公選法や地公法を拡大解釈して、あたかも地方公務員は一切の選挙活動・政治活動ができないかのような通達や指示を職場に配布していますが、これは間違いです。
地方公務員の選挙活動・政治活動への規制は限定されたものであり、旺盛な選挙活動や政治活動ができるのです。
1)地公法第36条の政治活動の制約のしくみ
そこで先ず、地公法第36条の規定の特徴を話しておきます。
1, 地公法第36条は非現業職員のみに関するもので、現業・公企の職員および特別職の嘱託職員には全く規制がありません。
2, 地公法第36条の禁止規定には罰則がありません。つまり、警察権力が介入する余地は全くないのです。警察の捜査がなければ当局による処分も事実上難しいでしょう。
3, 地公法第36条の制約は、地方公務員が勤務する行政区域内でのみ適用されるのであって、行政区域外では「庁舎・施設利用の禁止」を除き民間労働者と同じ活動ができます。
4, 労働組合が組合活動の一環として行う活動は自由にできます。したがって、組合に団結して活動をすすめることが重要となってきます。
2)地公法第36条が規制している政治活動
地公法第36条の条文を何気なく読むと、地方公務員の選挙活動・政治活動はほとんど規制を受けているように見えます。しかし、実際はそうではありません。私たちが通常行ってきている活動はほとんど問題とされることはありません。
1,「政党など政治的団体」の「結成への関与」、「役員となること」および「構成員になることの勧誘運動」の禁止(1項)
ここで禁止されているのは、政治団体の発起人となったり、代表者となることです。単に団体の構成員となること、政治団体の会合に出席することなどは禁止されていません。
また、「勧誘運動」というのは、「不特定多数の者を対象として、組織的 ・計画的に決意をさせるよう促す行為」を指すのであり、たまたま限定された少数の友人に入党をすすめることや、個々に政治的団体への入会を依頼することは、禁止の対象ではありません(通知昭26・3・19地自乙発第95号)。
2,「投票勧誘運動」の禁止(2項1号)
「勧誘運動」の意味については1,で述べたとおりですから、個々の公務員が投票の依頼を行うこと自体を禁止しているわけではありません。
3, 「署名運動の企画、主宰等の積極的関与」の禁止(2項2号)
禁止されているのは、選挙に関する「署名運動」(例えば、特定の候補者の支持を求める署名活動)を組織し、自ら発起人や代表者となることです。もちろん、選挙に関係のない署名や組合の要求の署名運動は選挙期間中であっても自由にできます。また、署名に応じることも自由にできます。
4, 「寄附金募集への関与」の禁止(2項3号)
この規定で禁止されているのは、特定の政党・候補者に対する選挙カンパを集める活動の責任者となることなどです。カンパの要請に応じてカンパすること、組織的にではなく個人として友人などにカンパの要請をすることは禁止されていません。
⑤「庁舎等の利用」の禁止(2項4号)
庁舎内における活動は現場でよく問題となります。この規定で禁止されているのは、たとえば、庁舎内に選挙ポスターを掲示するとか、候補者を庁舎内に入れて訴えをさせるといったものです。組合活動としての政策や要求のポスター、ビラを掲示することはできます。候補者の名前の入ったポスターであっても組合事務所内であれば掲示することも許されています。
庁舎内での掲示などの活動は、組合の日ごろからの実績がものをいうわけで、当局から不当な干渉があった場合は、ただちに組合と連絡をとって対応してください。
以上のように地公法第36条の選挙活動・政治活動の規制は、実際問題としては、その範囲は極めて狭いのです。当局からのいわれなき「おどし」をはねのけ、組合に団結しながら旺盛な選挙活動・政治活動の展開に確信を持って活動をすすめてください。
2004年6月 横浜市従業員労働組合
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