先日このようなツイートを見ました。
@monjukun
もんじゅ君 http://goo.gl/Hh9s8
おうちもなくなったのに160ページも説明読んで大量の書類を書かないと補償がもらえなくて、しかも領収書も必要で…ひどいよ (/ _ ; ) 生活のためにあせって書類出したらもう、追加請求できない…。東電さんは国会に黒塗りマニュアル提出してるのに、被害者のひとはこんなに大変なんて。
ちなみに黒塗りマニュアルとはこれのこと。
福島第1原発:東電の黒塗り公開「疑問だ」 深野保安院長
http://goo.gl/Rgcv9
東京電力が衆院特別委員会に提出した墨塗りの事故時運転操作手順書=2011年9月7日、関東晋慈撮影 経済産業省原子力安全・保安院の深野弘行院長(54)が16日、毎日新聞の単独インタビューに応じ、東京電力が福島第1原発の「事故時運転操作手順書」などの大半を黒塗りで公開したことについて「なぜ開示しないのか疑問だ。東電の情報公開の姿勢に問題がある」と批判した。
深野氏は「保安院としては手順書(の原本)は入手していない」と述べたうえで、「(1号機を冷却する)非常用復水器がなぜうまく作動しなかったかなど原因を調べるのが我々の仕事だが、手順書はその基になる」と指摘。今後、東電に黒塗り前の手順書の提出を求める意向を示した。
事故発生から半年が経過した原発の現状について「安定できたものの、大量の汚染水が存在し、収束とは言えない。課題は山積している」と語った。原発が全電源喪失に至った事態については「現実感を持っていなかった。『頻度は低く、深刻な事態になる前に防げる』という気持ちがあった」。津波対策についても「地震の『随伴事象』と捉え、取り組みが甘かった」と、規制組織としての能力不足を認めた。
また、原発事故の国際評価尺度(INES)を事故直後「レベル4」と判断し、過小評価だと批判されたことについても「もっと早く(正確に)評価すべきだった。批判は受けなければいけない」と話した。
一方、全国にある原発の安全性については「絶対に(安全だと)言えないし、言わない。人間である以上100%はない。しかし、今後実施するストレステスト(安全評価)で、どんなリスクがありどこまで備えができているかを示していく」と述べた。
深野氏は、震災発生時は経産省商務流通審議官で、3月下旬に保安院原子力災害特別対策監との兼務となった。前任の寺坂信昭院長の退職に伴い、8月に着任した。【中西拓司、関東晋慈】
毎日新聞 2011年9月16日 21時24分(最終更新 9月16日 21時52分)
黒塗りって終戦直後の教科書じゃあるまいし、さすがの保安院さえもイエローカードを出す悪質な情報隠蔽です。自分の書くべき手順書にはこんなことをやっておきながら、損害賠償を一円でもケチろうとして被害者には煩雑で分かりにくい詐欺的な書式を要求しています。
その詳しい内容がこちら。
◆日弁連HP
東京電力株式会社が行う原発事故被害者への損害賠償手続に関する会長声明
東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)は、本年9月12日から、福島第一、第二原子力発電所事故被害者の内、仮払金支払者に対し、補償金請求にかかる書類一式の発送を行っている。今回の請求書式は個人向けのものであり、中小企業、個人事業者向けのものについては、今月中にも発送されるとのことである。
当連合会は本年9月2日付け会長声明において、東京電力の損害賠償基準に関する問題点を既に指摘しているが、今回、被害者に送付された請求書式及びその請求手続については、さらに以下のとおり問題がある。
第1に、この請求書自体が、居住していた土地・建物等が、放射性物質の汚染によって居住できなくなり、そのため財産として価値が減少している場合の補償等、「中間指針」においても賠償の対象とすることとされている最も重大な損害について、請求できる書式となっていない。仮に今回の請求に対する賠償提示に合意した場合、これらの損害がどのように取り扱われるかも明確ではない。この問題については、最終的な判断が不可能でも、暫定的な対応は可能であり、最も重大な問題を先送りした上で、手続を進めること自体が大いに疑問である。少なくとも合意書には、この点の損害賠償が除外されていることを明記すべきである。
第2に、請求書式は、分量としても約60ページ、さらに説明書類は約160ページに及ぶものであり、被害者にとっての書きやすさより、東京電力側の負担を軽減することを念頭に置いて作成されており、また、その記入に多大な時間、労力及び注意力を要する非常に煩雑な様式になっている。
このような書類に被害者とりわけ高齢者、障がい者自らが全てを記載し、疎明資料を集めて漏れなく申請することは著しく困難であり、適切な代理人ないし助言者なくしてこれだけの複雑かつ大量の書式に記入することを求めるのは現実的ではないといわざるを得ない。より簡便な方式の提案を求めるとともに、その他の方式による請求も受理すべきである。
また、疎明書類の原本をホチキス止めで提出することを求め、原本が請求者の手元に残らない方式とされているが、今後、他の救済機関を利用する場合に支障を生ずる危険性がある。さらに、疎明資料がない場合についても、東京電力の窓口への相談などを求めるのみであり、明確な代替証明手段を示しておらず、このような煩雑な方式をとることにより、請求を断念して泣き寝入りする被害者が発生することも懸念される。
第3に、請求時の同意書において、損害が「地震あるいは津波による損害ではなく、本件事故による損害であること」の確認を求めている。しかし、被害者の損害の中には、地震・津波と本件事故の両方に関連する損害が多く含まれていると考えられ、請求すべき損害は、本件事故と関連があれば足りるのであり、「地震あるいは津波による損害ではない」ことを求めるのは、被害者をミスリードして賠償可能な損害を請求から落としてしまう危険性が大きい。
第4に、事前に承諾書として、非常に高度なレベルの個人情報といえる診断書、カルテ、検査記録等までを損害賠償の相手方である東京電力に開示・提供することを求めている。しかし、不法行為の加害者が、被害者のプライバシー情報を取得することを当然と考えるような請求手続は、今回の事故の実情に照らせば、被害者の理解を得られないと考える。これらの資料は今後、政府が設立している原子力損害賠償紛争解決センターや裁判所において、東京電力が支払を拒むための資料として使用される可能性があり、行き過ぎである。診断書などの疎明で不足すると東京電力側で考えた場合に、事情を説明して個別に同意を求めるのが適切である。
したがって、当連合会は、東京電力に対してこれらの請求方式について被害者本位のものに見直し、以下のような問題点について、被害者に対し周知徹底することを求める。
そして、被害者の方々に対しては、以下の諸点を考慮された上で、慎重な行動を取られることを切望する。
第1に、このような複雑な書式に記入して東京電力に対する請求書を出す場合は、過去の記録、記憶を十分に確認の上、請求漏れがないよう、慎重にも慎重を期する必要があり、弁護士等専門家の助言なくして記入しそのまま提出することは予期しない不利益を被ることがあることを理解いただき、不十分な理解のまま書いて提出するのは絶対に避けていただきたいこと。
なお、当連合会のホームページに各弁護士会が作成している「原子力災害被災者・記録ノート」を掲載している(下記URL参照)ので、まだお手元にない方についても、今からでも入手の上、過去に遡って記録を付けることをお勧めしたい。
(http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/higashinihon_daishinsai.html#fukushima)
第2に、損害賠償を受けるためには、このような煩雑な請求書を作成して東京電力に請求する方法だけではなく、より簡便な申立書式による申立てを認めている原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てることが可能であること。
第3に、東京電力に対する請求書を出しただけで他の救済手段が採れなくなるわけでは必ずしもないが、合意書に署名すると、少なくとも賠償対象期間の損害については、他の救済手段が採れなくなるという法的効果をもたらすことになる。したがって、賠償額に不満あるいは疑念があるときには、安易に合意書に署名せず、原子力損害賠償紛争解決センターへの申立てや裁判所に対して訴訟を提起するなど他の手段も検討していただきたいこと。
第4に、今後、各地の弁護士会において説明会が開催される予定なので、そこに参加していただくか、全国各地で被害救済のための弁護団が結成されつつあるので、不明な点があれば是非弁護士に相談いただきたいこと。
当連合会及び全国の各弁護士会においても、原発事故被害者の方々が迅速、公正かつ適正な補償を受けられるよう、その態勢を整えてきたが、今後も賠償請求の支援態勢のより一層の充実のために全力を尽くす所存である。
2011年(平成23年)9月16日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児
(強調は私)
上にある「9月2日付け会長声明」というのがこちら。
東京電力株式会社が公表した損害賠償基準に関する会長声明
東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)は、福島第一原子力発電所事故の賠償について、本年8月30日、新たな基準を発表した。今回の基準は、3月11日の事故発生から8月31日までに発生した損害を対象としている。具体的な支払額は、政府等の指示で避難を余儀なくされた際に、交通費を負担した場合は、県内での移動は原則として1回につき1人5000円、宿泊費を負担した場合は原則実費で1人1泊当たり8000円を上限とし、実際に使った金額が基準を超える場合は、事情を確認した上で支払額を決めるとした。また、避難した人の精神的な損害には月額10万円などを支払うほか、避難によるけがや病気の医療費についても実費を支払うとしている。避難によって仕事ができなくなった人には、事故以前の収入と現在の収入の差額などを支払うとしている。
しかし、この基準には以下の問題点があることを指摘しなければならない。
第一に、損害項目・対象者から、中間指針で認められているもののいくつかが除かれていたり、制限されているという問題がある。
牛肉の放射性セシウム汚染への対応の問題は、原子力損害賠償紛争審査会の指針にも盛り込まれ、多くの畜産農家にとって死活問題となっている。多くの畜産農家から早期の対応を求める声が寄せられていることは当然であり、事業の継続のためには一刻も早い対応が望まれているにもかかわらず、このような重要問題を先送りした東京電力の対応は極めて遺憾である。
また、観光業についての補償について、東京電力の基準では、解約と予約控え等に伴う減収分を基準について補償するとされている。しかし、小売業や外食産業等、観光業には予約ではない顧客の占める割合が多い業態もあり、解約と予約控えだけでなく、過去数年の売上げと利益の実績に基づいて損害額を算定することがより公平である。8月30日に公表された「平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律施行令案」においても、主として観光客を対象とする小売業と外食産業等予約をしないのが通例と思われる観光業まで含めて、広くその「請求対象期間における事業の収益の減少」について仮払金を支払うとしていることからみても、東京電力の基準は適切ではない。
さらに、財産価値の減少分の補償の点については、「中間指針」においても賠償の対象とすることが明記されているが、避難が継続中で最終的に家屋や土地の財産的な価値がどの程度減るかが不明として、東京電力の基準では問題が先送りとされている。しかし、最終的な判断が不可能でも、暫定的な判断は可能であると考えられ、早期に賠償の方針を明確にすべきである。
第二に、中間指針で対象とはされていないものの、緊急に損害賠償の必要がある項目については、そもそも基準に掲載されていない。
避難対象とされた区域以外の地域からも、子どもや妊産婦の安全を考えて多くの者が自主的に避難をし、それが長期化している今日、その賠償が急ぎ必要となってきており、東京電力においても、指針が策定以前であるからという形式的な理由によって賠償の範囲外として交渉を拒否するような姿勢をとることは許されない。審査会でも賠償の必要性については意見が一致しているところであり、早急に賠償すべきである。
第三に、避難の際の交通費、宿泊費について、上限を設けたり、生活費の増加分を精神的損害に含め、それ以外の賠償を認めないという扱いをしているが適切ではない。本件の場合、極めて緊急かつ大規模の避難が発生し、家族・地域社会すらもばらばらとなったために、交通費、宿泊費、更には家族や近隣住民の間の交通費・通信費等の生活費の増加は著しく、支払った経費については、上限を定めずに、また、精神的損害に全て含ませず別途に賠償すべきである。
第四に、損害の証明のための必要書類について、被災者に領収書や各種証明書の提出を求めているが、被災地域内に会計記録を置いたまま避難しているケースや、事故後の混乱の下、何度も移動を余儀なくされた中で、これらの書面が保管されていないケースも多く、十分な補償が受けられるかどうかについて、不安の声が上がっている。行動経過から合理的に推定できる場合については、領収証の有無にかかわらず、賠償の対象とすべきである。
第五に、東京電力は、今後、3か月ごとに支払をするとしているが、被災者はいずれも、被害が続いている以上、毎月の支払に追われており、その生活苦は著しい状況となっている。したがって、今回の請求を基礎として、今回請求した者に対しては、毎月定額の支払をするか、3か月ごとに前払をするなどといった方策が確保されるべきである。最後に、当連合会は、被災者の被害回復のために、原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介によって迅速かつ適正な解決がなされるよう、最大限協力するとともに、全弁護士会を挙げて、被災者に対する法律相談体制を拡充することに全力で取り組む所存である。
2011年(平成23年)9月2日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児
津久井弁護士もこちらで注意を呼びかけてらっしゃいます。
東電の賠償請求書に気を付けて!!本当なら東電が誠心誠意を尽くして損害賠償に臨むべきなのは当然すぎるくらいです。しかし蓋を開けてみれば賠償しましょうといってる範囲は不当に狭く、その手続きを非常にわかりにくくして被害者を煙に巻き丸めこもうとする魂胆が透けて見える悪質なもの。
doku_f Seikoh Fukuma
この賠償請求書を被害を引き起こした企業側が作って、そこに今後一切異議申し立てしませんと言う文を仕込むとか、後で証拠にならないように原本を回収するとかは、過去に水俣病でみなチッソがやった手口なんだよな。こう言う所は良く研究してるよな東電は。
地震や津波が発生したときの原発の安全対策マニュアルはいい加減なのに、こういうマニュアルだけは確立してるみたいです。
弁護士会が「詐欺注意」を呼びかけねばならないなんて、いったい東電はどういう了見なのでしょう。東電のやることなすこと全て疑ってかかるべき、決して信頼してはいけませんね。ご注意ください。
ところで経団連の米倉会長は東電の損害賠償について次のような談話を発表しています。
米倉会長は、枝野経済産業大臣が東京電力は役員報酬や人件費を公務員並みに削減すべきだという認識を示したことについて「東京電力に関する要求というのは、あまりにも一方的すぎるという気もする。事故の賠償は、国が率先して、前面に立ってやるべきで、その対応は遅れているのではないか」と述べ、政府がもっと前面に立って事故の賠償に取り組むべきだという考えを示しました。
(NHK NEWSWEB 経団連会長 賠償は政府が前面に http://goo.gl/O2bkjより)
確かに原発推進は国策ですが、米倉会長、原発推進の張本人の一人でもあるあなたが「事故の賠償は、国が率先して、前面に立ってやるべき」だなんていうと、図々しい責任転嫁の上塗りにしか聞こえないのですけれど。「あんたにだけは言われたくない」というやつですね。
東電が損害賠償義務に望む態度は、控えめに言って「誠意のかけらもない悪徳守銭奴」と言えないでしょうか。
税金による限度額なしといっていい賠償肩代わりを保障した原子力損害賠償支援機構法がますます理不尽な「泥棒に追銭法」に思えて仕方がありません。
(参考記事:
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-740.html)
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