コメント
国保は「相互扶助」にあらず
国民健康保険は、保険料を払えないからと加入を拒むことができない強制保険です。
その制度の設計上も、成立経緯からいっても、保険料を払えない人も含めて加入させ、きちんと医療を受けさせることが目的となっています。
しかし、こうした前提を抜きにして『保険』のみを強調するミスリードが全国で横行しているように思います。
国保法1条には相互扶助の文言はないにもかかわらず、多くの自治体窓口で
「国保は助け合い・相互扶助です」と説明がされます。
負担能力がなくても保険に入らせ、「相互扶助だから金を出せ」、保険料が払えなければ差し押さえというのはむちゃくちゃです。
国保は相互扶助ではなく社会保障の一つです。あえて、「助け合い」という言葉を使うならば、「国保加入者同士の助け合い」ではなく、
「国全体で医療を受ける権利を分かち合う『助け合い』の一環に、国民健康保険がある」とするべきでしょう。
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共生社会の具体例
飯野 靖四
特集:所得格差と社会保障
■要約
スウェーデンの社会保障は完全雇用社会におけるセフティネットとして位置づけられており、社会保険と税によるサー
ビスがその中心である。そしていずれの社会保障からも漏れた人を対象にするのが社会援助(公的扶助)である。
スウェーデンではある一定額以上の所得があれば、それ以上稼ごうとしないで自分の時間を持とうとする人が多い。
それが65歳定年より前の段階で退職する人が多いのと、医師が開業しないで公務員として働く大きな理由である。
スウェーデンにおける可処分所得の格差は世界でも2番目に小さい。それはそもそも総所得の格差がそれ程大きくない上に、社会保障給付によって大きく所得格差が是正されるからである。スウェーデンの所得税は国税、地方税とも基本的に比例税であって、社会保障のための資金集めの役割に徹しており、所得格差の是正効果は社会保障給付ほど大きくない。
■キーワード
セフティネット、社会保険、所得再分配、ジニ係数
1. スウェーデンの社会保障と平等主義
スウェーデンは福祉国家として世界的に有名であり、わが国でもその福祉水準の高さは羨みをもっていろいろと紹介されている。例えばス
ウェーデンではすべての労働者は少なくとも5週間の有給休暇の権利が与えられているとか、またす
べての子供の親は出産前後に少なくとも480日の有給休暇が与えられているとか、あるいはスウェーデ
ンでは小学校から大学にいたるまですべての授業料が無料であるとかいったことである。しかしス
ウェーデン社会の基本目標はそのような「高い福祉水準を維持すること」ではなくて、「すべての働ける人が気持よく働き、困ったときには助け合うような公平な社会を作り上げること」である。したがって国の最重要課題はすべての住民に気持ち良く働ける機会と場所を提供すること、つまりハイレベルの完全雇用を維持することである。社会保障はそのような社会において、たまたま病気や怪我、あるいは老齢、出産・育児などで一時的ないし永久に働けなくなったときに、失われた所得を補償して従前の生活水準を保障し、すみやかに一般生活への復帰ができるのを助ける目的でおこなわれるのであって、要するにスウェーデンの社会保障は完全雇用社会におけるセフティネットとして位置づけられているのである。
このような社会保障を含めた社会制度全体の基礎に流れている共通の思想は「平等」である。
…(引用ここまで)…
やはり、国民すべからく福祉の恩恵に浴することのできる…“共生社会”って素敵ですね…。^・^
銀の弾丸は存在しない
スウェーデンは高福祉・高負担で世界的に有名ですが、その高福祉の源泉は激しい競争に基づく高度経済成長にあります。海外からの投資を積極的に呼び込む為に法人税やキャピタル・ゲインが優遇される一方、成長を維持出来ない企業や社員は倒産や解雇と云った形で容赦なく撤退を余儀なくされます(現在のスウェーデンの失業率は7.5%)。勿論、解雇後は失業保険や雇用訓練等の十分な支援があります。日本ではよく、女性や障害者の社会進出は「暖かい社会」と云う文脈で語られますが、スウェーデンでは「働ける人は働くべきだ」との観点から、専業主婦と云うあり方自体に否定的です。
また、出産や育児、老人介護等の医療福祉も社会全体受け持つ体勢が整えられていますが、それにより家族と云う意識そのものが希薄化すると云ったジレンマも抱えております。
結局のところ、どんな制度にも一長一短がある訳で、その中からベストミックスを選べるのなら・・・と云ったところでしょうか。
日本版資本主義経済の異常さ…
当然に資本主義経済は競争原理に基づき利益を追求するもので非人間的で人間性を削ぎ落とし、人間の尊厳を踏みにじるシステムであることは、今更いうまでもありませんが、北欧諸国の様な『福祉国家』と『日本』との大きな違いは、大企業・財界などほんの一握りの富裕層の企業理念であると考えます。北欧諸国の富裕層は、社会保障制度維持、整備や国の財政健全化ために応分の負担を惜しまないのみならず、政府に対し、『我々に増税しなさい。』と要求しているんですね。それに比べ日本はどうか?…。わたしがここで記すまでもなく、秋原さんが日頃、縷々記されてみえます通りです。非正規雇用社員を問答無用に解雇し、寮からも放り出す。労働者をゴミの様に棄て、257兆円もの暴利を独占した挙げ句に政府に対し『法人税下げろ』の大合唱…。切り捨てられた非正規労働者の方々も生きるため、止むなく生活保護を申請しても窓口で、『まだあなたは若いから働け…』と、にべもなく門前払い…。ここ十数年来、毎年30,000.人を超える自殺者…。北欧諸国では、経済的困窮に起因する自殺者は皆無に近いんです。
こんな日本社会は異常に過ぎると思います。
自立は大切です。が、日本の場合自立したくてもできない、働きたくても再就職できないし、セーフティーネットが脆弱で死活問題に直面します。
わたしが勤めていた銀行などのメガバンク上位3行は、不良債権の後処理などと言い、手数料収入や有価証券評価益などにより史上空前の純利益を計上しているにも関わらず、つい最近まで『法人税』をビタ一文も納付していなかったのです。先日、三菱東京UFJ銀行の頭取が替わったようですが、新頭取の平野氏(わたしと同郷)は海外畑を歩いてきた国際派(?)バンカーです。この人事を見ただけでもメガバンクが性懲りもなく、海外でマネーゲーム(博打)を続ける魂胆が透けて見えますね…。日本の大企業・財界は資本主義における最低限のルールも無視しているんですね…。
社会の理念、富裕層の社会的企業責任の捉え方が日本と北欧諸国などの『福祉国家』では全く違いますので、大問題だと考えるのです。
青い鳥様へ
スウェーデン・モデルの雛形が出来たのは1970年代初頭で、以降、オイルショックやバブル崩壊、リーマンショック等と言った環境変化に合わせてその都度大きな制度の見直しを行ってきており、今尚発展途上と言えます。ですので資本主義だからと言って頭ごなしに否定するのではなく、個々の問題点に着目してその改善を目指すべきではないでしょうか?(個人的には今の日本の問題としては、世代間格差や格差の固定化、労働環境の硬直化等が大きなボトルネックになっていると思っています)
juna様へ…
わたしは、銀行を辞め、1990年代の中頃から約5年間、中華人民共和国の北京市内に居を構え、日中合弁事業のコンサルタント業務の会社を設立し、日中合弁企業設立のお手伝いをさせて頂きました。その当時は改革開放・社会主義市場経済のはしりの時期で、中国政府は外貨獲得を目指し、日本や欧米諸国の企業は飽和状態の自国の市場に旨味がなくなり中国13億人の巨大な市場への進出を目論みました。両方の利害が一致し、どんどん外資企業が中国へ雪崩れ込んできました。わたし自身、上海・南京・鄭洲・武漢・成都・香港各地を飛びまわり、中国国営企業の総経理(社長・会長)や、企業内の中国共産党幹部の皆さんとも懇意にさせて頂きましたが、皆さん日本の世界に冠たる最先端技術や日本型企業経営を高く評価されてみえました。わたしは資本主義を頭ごなしには否定はしませんが、1990年以前の健全な日本経済を支えた日本型企業経営(終身雇用・正社員が当たり前の経営)に戻し、労働者の権利が擁護される法規制をかけるべきだと論じているんですね。新自由主義・市場原理主義は、法の規制を全て取っ払ってしまうために、強欲資本主義経済の暴走を許してしまうんですよ。わたしは人間の命を踏みにじる今の日本の様な最悪の状態がいけないと論じているのですね。今の中国の経済の過熱(バブル)は非常に危険であると断言します。あの巨大市場のバブルが崩壊すれば、日本が経験したバブル崩壊の規模の比ではありません、世界経済に大打撃を与えますよ。四川省ひとつ取って見ても、人口は日本とほぼ同じ、面積は日本の数倍…。日本と中国は、貿易量も莫大で相互に大切なパートナーであることは論を待ちません。もし中国経済が崩壊すれば日本経済に与えるダメージたるや、はかり知れません。日本は官民あげて日本の轍を踏まない様に中国側にアドバイスすべきでありますが、見ますにそんな気配が感じられません。話が横道にそれまして申し訳ありませんが、要するに資本主義経済は野放しにすると本当に恐ろしいという事を言いたいのです。いみじくも、juna様は、スウェーデンは発展途上…と記されましたが、日本は脱成長に舵を切り替えるべきと考えます。発展途上くらいが丁度いい塩梅なんです。juna様ご指摘のベストミックスは、わたしも大賛成です。それぞれの国民性や事情は様々ありますからね…。
第一次産業に力点を置き、食糧自給率を高め、日本の得意分野である、物づくり(適度な規模の)など、実体経済に移行し、労働者の懐を温め内需拡大を目指すことにより、長く続くデフレスパイラルから脱却できるものと考えます。何事も塩梅…バランスが必要ですね…。
juna様、いろいろご指摘くださり、ありがとうございました。勉強させて頂きました。
中国のバブル崩壊は
今回のウォール街占拠デモ参加者の抱えている怒りの根底に、高成長時には資本家達がほぼ無制限でごっそりと利潤を奪って行くのにも関わらずバブル崩壊時の損失は有限でしか取らないと言う点があるように思います。せめてこの非対称性はどうにか是正したいものですね。
それと、私自身も個人的には清貧暮らしで構わないとは思っているのですが、これからの高齢化社会を支えていく為にはある程度の経済成長は必要かと思います。悩ましいですね。
こちらこそリアルな現場の在り様を教えて頂き、ありがとうございます。
会社は潰しても個人は潰さない社会
不条理がまかり通る、ニッポン
はじめまして、青い鳥と言います。
>そこで働いていた人たちには手厚い失業保険と再雇用のためのしっかりした教育プログラムがあり、働ける人はいずれどこかの職に付くということのようでした。それに比べると、日本は「個人はいくら潰しても、大企業はけして潰さない社会」のように思えます。
ご指摘の通りで、日本の社会保障制度は脆弱で、非正規労働者が雇い止めに遭うと、住居もなくなり即座に死活問題に直面します。こんな無茶苦茶許されていい筈ないんですね…。東日本大震災で宮城のSONYの工場が被災し、22名の非正規労働者が、雇い止め通告を受け、今、闘ってみえますが、SONYのC.E.O.は、8億円を超える役員報酬をせしめている…。こんな不条理が通る酷い社会なんですね…。日本は…。もうわたくしめの様な貧困者は、日本では生きられないのですよ…。
>か弱き者さん(非承認です)
私自身この件に関して知らない状態で個人名を上げての批判を公開するのもどうかとためらわれましたので、今回は申し訳ありませんが、非公開とさせていただきます。
また詳しい情報等、ソースを示してご提示下されば、と思います。
国民健康保険は高すぎる!!
私自身国保の滞納の相談に行った事があるのですが~相談ではなく脅しです!!何の為の相談なのでしょうか?払えるなら~相談には行かないはずです!!確かに中にはまったく払うつもりがなく...相談さえいかない悪質な人もいるでしょうけど~相談に言って少しでも払う意思があるにもかかわらず!!お金がないなら~親戚からお金を借りて払うように言われた時には...ビックリしました。結局人事なんですよね?だから最近のテレビでもご飯を食べたくても食べれなくて亡くなってる人や病院にも通えない人がいるんでしょうね?こんな日本で大丈夫なんでしょうか?子供を育てる生むのにも正直抵抗があります。