事故直後から、少しでも原発事故を小さく見せようと情報公開しなかったり嘘やごまかしばかり続けてきたお政府様の欺瞞がまたしても炸裂した「事故収束宣言」には、さすがに国内の報道でも批判が多く出ました。
だれも信じやしないであろう事故収束宣言なんて、そんなことやれば政府に対する不信と反感を買うだけなのに、お政府様にはそれがわからないのでしょうか・・・。
いくつか報道を抜粋、メモしておきます。
達成強弁 実態は道半ば
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011121702000036.html
本来の「冷温停止」と似て非なる「冷温停止状態」という用語を事故収束に向けたキーワードに用い、批判を浴びてきた政府。この日は、その達成を理由に「事故収束」宣言にまで突き進んだ。
苦しい避難生活を迫られる人たちに配慮してか、サイト(福島第一の敷地)内の出来事に限っては「収束」し、サイト外は「収束していない」という論法を持ち出した。
確かに福島第一の周辺は、除染もほとんど手つかずで、放射性物質を含んだがれきの中間貯蔵施設の設置も具体化しておらず、収束どころではない。
一方、福島第一の中も、とても収束とは言えないのが現状だ。日々原発を見ている現場の作業員たちは「収束などとんでもない」と口をそろえる。
「冷温停止状態」かどうかも怪しい。そもそも「冷温停止」は、単に原子炉が冷えているだけでなく、放射性物質を密封できて初めていえること。その定義は東電の保安規定に明記されている。
「冷温停止状態」の定義の一つは「圧力容器底部の温度が一〇〇度以下」。それは達成したが、炉内の別の場所は今も一〇〇度を上回るところがある。
圧力容器の底が抜けて、溶けた燃料が落下しているが、実際にどんな状態なのかも分からない。最後の“壁”である建屋も損傷。地下水の流入が止まらないが、海への流出を阻む遮水壁もできていない。高濃度汚染水は、いつ外部に漏れてもおかしくない状態だ。
実際、四日には放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れたと判明。すると、政府の担当者は「水は関係ない」と抑制する対象ではないと言う。
収束と言いながら、原子力緊急事態宣言は解除されない矛盾も。「収束宣言」は政治的な節目にすぎず、実態は収束への道半ばだ。 (原発事故取材班)
中日新聞(12月17日朝刊)
唐突な宣言説明なく
「根拠は?」会見紛糾
原発相、工程表実現を強調
唐突に飛び出した政府の福島第一原発事故の「収束」宣言。なぜそんなことが言えるのか。十六日夜の政府・東電統合対策室の会見では、細野豪志原発事故担当相に対し、疑問視する質問が次々と浴びせられた。話がほとんどかみ合わないまま立ち去ると、会場は一時紛糾した。
多くの人々が非難を続ける中、反発が当然予想される「収束」という表現をなぜ選んだのか。
その問いに、細野氏は「ロードマップ(工程表)は『事故の収束に向けた道筋』となっている」とし、工程表の柱「冷温停止状態」が実現されたから「収束」した、との理由を繰り返した。
しかし「冷温停止状態=事故収束」とは書かれていない。答弁に批判的な質問が集まると、「あんまり言葉尻をとらえない方がいいと思いますけれども」と反論した。
溶け落ちた核燃料の場所を問われると「最終的には、炉をあけてみなければ誰もわからない」とあっさり認めた上で、「核燃料がどこにあっても、核燃料そのものが冷却されている状況を申し上げている」と釈明した。
会見が始まって訳一時間二十分後、質疑が続く中、細野氏がテレビ出演のため退席しようとすると「国民に対する背信行為だ」と記者から罵声が飛び、いったん歩みを止める一幕もあった。
示し合わせたように西沢俊夫社長も退席すると「なぜ帰るんだ」「事前に説明がないじゃないか」と再び大声が飛んだ。
専門家ら驚き、戸惑い
「そんなこといったんですか?」「間違いじゃないの」。首相の「事故収束宣言」には、専門家からも驚きの声があがった。
小出裕章京都大原子炉実験所助教(原子核工学)は「あきれた人たち」と言って沈黙。しばらくして「すみません。私の中でそれ以外の言葉が探せない」と言葉を継いだ。
そもそも事故で放射性物質を閉じ込めることができなくなった原子炉で「冷温停止」という用語を使うこと自体が不適当との指摘は多い。
小出助教は福島第一原発は「何とか悪化を食い止めているのが現状」と分析し、ステップ2さえ達成していないと指摘する。今後も強い余震に襲われる可能性がある。そのとき、建屋が大きく損傷している4号機の使用済み核燃料プールにある大量の核燃料は大丈夫なのか、懸念を示した。
岡本孝司東京大教授(原子力工学)は、原子炉の冷却や水素爆発防止、再臨界防止の対策が取られていることから、ステップ2は達成しているとの立場。それでも「収束」という言葉が使われたことには驚きを隠せない。
「収束への一歩であることは確か」としながらも、「私個人としては、核燃料を取り出したときが事故の収束だと思っていた。言葉の解釈の違いなんだろうが・・」と戸惑った様子だ。
本当の状況なぜ言わぬ
憤る現場作業員
「事故収束」にまで踏み込んだ首相発言に、福島第一原発の現場で働く作業員たちからは「言ってる意味が理解できない」「ろくに建屋にも入れず、どう核燃料を取り出すかも分からないのに」などの声が上がった。
作業を終え、首相会見をテレビで見た男性作業員は「俺は日本語の意味が分からなくなったのか。言ってることが分からない。毎日見ている原発の状態からみてあり得ない。何を焦って年内にこだわったのか」と呆れ返った。
汚染水の浄化システムを担当してきた作業員は「本当かよ、と思った。収束のわけがない。今は大量の汚染水を生み出しながら核燃料を、冷やしているから温度が保たれているだけ。安定状態とはほど遠い」と話した。
ベテラン作業員も「とう理解していいのかわからない。収束作業はこれから。今も被ばくと闘いながら作業をしている」。
原子炉が冷えたとはいえ、システムは応急処置的なもの。このベテランは「また地震が起きたり、冷やせなくなったら終わり。核燃料が取り出せる状況でもない。状況を軽く見ているとしか思えない」と憤った。
別の作業員も「政府はウソばっかりだ。誰が核燃料を取り出しに行くのか。被害は甚大なのに、たいしたことないようにいって。本当の状況をなぜ言わないのか」と話した。
わかりきってたことですが、記者、専門家、現場作業員から、さんざんですね。
海外の報道も批判的です。
冷温停止宣言:海外メディアは厳しい見方
http://goo.gl/lNKJI
東京電力福島第1原発の原子炉が「冷温停止状態」になったと日本政府が宣言したことについて、国際原子力機関(IAEA)や米国などは評価する声明を発表した。その一方、海外メディアは「原発の安全が確保されたわけではない」などと宣言を疑問視し、日本の原発事故対応に厳しい目を向けた。
IAEAは16日、宣言を受け、事故収束に向けた工程表のステップ2を日本政府と東電が「計画通り年内に終えた」と評価した。
来日中のナイズ米国務副長官(総務担当)も「復興へのステップの一つ。非常に喜ばしい」と歓迎し、次の課題となる周辺地域の除染に米国企業が参加を望んでいると述べた。
これに対して、英BBC、米CNNが野田佳彦首相の会見を生中継するなど関心の高さを示した海外メディアでは、懐疑的な見方が主流となった。
AFP通信は冷温停止状態について「安全が確保されたという意味ではない」と解説し、ルモンド紙(電子版)は「原子炉の解体、環境の回復には相当の時間を要する」と長期的な取り組みの必要性を強調した。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)も宣言について「年末までに冷却システムを回復させるとの日本政府の約束を反映させたにすぎず、原子炉が依然として抱える危険から注意をそらせる恐れがある」と指摘した。
福島第1原発事故を受けて「脱原発」を決めたドイツでは、DPA通信が「フクシマの原発の廃虚が制御された」と速報したが、「まだ安全な状態には程遠い。これで冷温停止を宣言するのは意図的なウソと紙一重。日本政府は国民の判断を誤らせている」と批判するオーストリアの専門家の見方も紹介した。
韓国の聯合ニュースは「事故の収拾作業が峠を越えたことを内外に示す意図がある」と分析した。
毎日新聞 2011年12月16日 23時36分
海外報道のうちニューヨークタイムズの報道を翻訳したブログをマイミクさん経由で教えていただいたので、ご紹介します。
◆星の金貨 再出発はどこから? : 東日本大震災
【 日本政府は深刻な疑いがあるにも関わらず、『冷温停止』宣言を行う可能性がある 】
ニューヨーク・タイムズ 12月14日
http://kobajun.chips.jp/?p=1494
巨大地震と巨大津波が福島第一原発の冷却システムを壊滅させ、3基原子炉がメルトダウンを引き起こしてから9カ月、日本政府は間もなく暴走する原子炉を、ついに再び制御下に置いた、と宣言することになっています。
しかし宣言以前から、専門家からの数々の深刻な疑問に直面しています。
12月16日 金曜日、野田首相に率いられる災害対策委員会は、損傷した3基の原子炉が『冷温停止』しているとする発表を行うかどうか、投票を行いま す。
冷温停止という専門用語は、炉心の燃料棒が『無傷で』安定している状況を意味します。
多くの専門家は、もし発表が行われるとすれば、それは原子力発電所の冷却システムの修理を完了し、年内に冷温停止を実現するとしてきた政府発表の、つじつま合わせのために過ぎないと指摘します。
委員会が冷温停止を宣言するならば、次なるステップとして冷却水プール近くに融け落ちている燃料棒を安全な場所に移し換えた後、原子炉そのものを開くことができるはずです。
しかし専門家は、国民の間で膨れ上がる事故に対する怒りを抑え込むため、ただそのことのためだけに達成宣言を行い、そのため依然として脅威の残る原子炉の安全問題から、人々の注意を逸らしてしまうのではないか、と危惧しています。
懸念の一つは、3月11日 の巨大地震に続く大きな余震によって、事故後急いで建設した応急設備の冷却システムが破壊されてしまう恐れがある、というもので、これは 多くの地震専門家が可能性が大きいと指摘しています。
専門家はさらに、冷温停止宣言は、炉心の燃料棒が単メルトダウンしているだけでなく、原子炉格納容器の底を突 き破り、土台のコンクリートの中まで貫通してしまっている深刻な状態についても、それが安定した状態である、との誇張された印象を与えて しまう恐れがあるとも、指摘しています。
「政府が望んでいるのは、すべてが今年中に制御可能な状態になり、人々を安心させることです。」
九州大学原子力工学の工藤和彦教授は語ります。
「しかし私が本当に知りたいことは、この宣言ができる状態になっているのか、という事実なのです。」
おそらくは印象をあいまいにするために、日本政府は3基の損傷した原子炉が『冷温停止』状態であると発表する際、漠然とした表現を行うことになっています。
政府側の専門家は事実、原子炉の温度は水の沸騰点を下回る温度に保たれ、融け落ちた核燃料も核連鎖反応は起こしておらず、再び制御不能になる程温度が上昇することは無い、と言ってもよい状態であると主張します。
そして本当に、この専門家たちは東京電力が損傷した原子炉の制御機能の回復を達成した、という事を信じています。
彼らはアメリカ、フランス、日本の各企業の応援のもと、急場をしのぐため建設した冷却システムが、炉心および格納容器の外に溶け落ちた燃料の冷却を達成していると主張しています。
これらの専門家はさらに、損傷の激しい1号機を覆うため新たに建設された建屋が、大気中への放射性物質の拡散を止めている、とも主張しています。この建屋は3月に水素爆発によって破壊され、北日本及び東日本一帯に危険な放射性物質をまき散らす結果をもたらした、3つの建屋のうちのひとつです。
それでもなお、専門家は冷温停止状態の原子炉の定義とは、原子炉格納容器の扉を開け、原子炉内の核燃料を取り出すことができる、その安全が保たれている状態のことである、と指摘します。
これに対して福島第一原発の場合は、損傷した原子炉から溶け落ちた核燃料を取り除くことに着手するまで3年とみている政府の目論見を、はるかに超える年月を必要とするであろう、とも指摘します。
こうした事実は、冷温停止と宣言することは人々に誤解を与えるだけであり、実際の状態よりも福島第一原発がより安全な状態に近づいていると思い込ませてしまう、と複数の専門家に言わせるにいたりました。
「福島第一原発の損傷中の原子炉のようなものを、冷温停止と主張することは全くふさわしいことではありませ ん。」
インターナショナル・アクセス社の原子力技術顧問の中野ノボル氏が指摘しました。
事実、専門家はこのように指摘します。
メルトダウンを起こし損傷した核燃料棒は、数十年間たっても未だ取り除かれてはいません。チェルノブイリ事故 の場合、ソ連当局は1986年の爆発の後、ただ単にコンクリートの石棺で覆う作業をしただけでした。
一部の専門家は、冷温停止の宣言は、緊急を要する現在進行中のさらなる放射能汚染の問題から、目を逸らさせるためのものである、と指摘します。
特に問題なのは、太平洋に近い破壊された原子炉ビルディングの基礎部分、または地下の銀製のタンクに貯まっている90,000トンの汚染水の危険性です。
「現時点で私が非常に心配しているのは、原子炉内で起きている汚染汚濁の進行です。」
と、サンディエゴ州立大学の核物質保管制御の専門家マレイE.ジェニックス氏が語りました。
彼自身は現在は事故起こした原子炉の状態は安定している、という政府発表、特に高熱を発する核分裂の連鎖反応はもう起きない、という発表を信じていた、と言います。
先月、一基の原子炉の付近で核分裂の副産物である放射性キセノンが検出されたとしても、3月の事故以来放射性崩壊が十分に進行していることを考慮すれば、それが核分裂が再び始まっていることを警告するものとは考えにくい、と語りました。
別の専門家は異論を唱えます。
前述の九州大学の工藤教授は原子炉を開いて中の燃料の状態を確認するまでは、再臨界として知られる現象である核分裂が再び始まった可能性を除外することはできない、と語りました
しかし教授やそのほかの専門家がもっと心配しているのは、もう一度巨大地震、あるいは津波が襲えば、間に合わせの冷却システムは破壊されてしまう恐れがあるという点です。
彼らが特に問題視するのは、この冷却システムは耐震基準に沿って建設されたわけではなく、1.5マイル(3.8km)以上をゴムホースで連結した浄化装置やその他の脆弱な機器に依存している点です。
「再び地震と津波が一緒にやってきたら、福島第一原発はすべてを一からやり直すことになります。」
工藤教授は指摘します。
「この状態を本当に『冷温停止』と呼べるのですか?」
http://www.nytimes.com/2011/12/15/world/asia/japan-set-to-declare-control-over-damaged-nuclear-reactors.html?_r=1&partner=rss&emc=rss
東電とお政府様は世界と国民がまだ自分たちのごまかしに騙されてくれると思っているのでしょうか?
誰にでも見透かされるこんなウソをつけばつくほど既に失墜した自分たちへの信頼が限りなくゼロに近づくからやめておこう、ほんとのこと言おう、とどうして思えないのか、私には理解不能です。
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