沖縄から見た日本の民主主義&「軍隊は国民を守らない」
- 2010/06/02
- 02:00
web上にはない琉球新報の記事から、一部を書き起こします。全文は是非こちらで
◆写真で見る・知る沖縄
【普天間】 沖縄を踏み台にした日本の民主主義
琉球新報2010/5/30
民意無視の強権政治憂う
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を明記した日米共同声明は、この国が日米同盟維持のためには手段を選ばぬ「強健国家」であることを明らかにした。
(略)
この国では民意封じ込めの歴史が繰り返されている。
1995年、米兵により不幸な事件を機に、大田昌秀知事が日米地位協定改定要求を強め、米軍用地強制使用手続きの代理署名を拒否したことで県民世論が大きなうねりを見せた。
知事の代理署名拒否が違法か否かが争われた96年の代理署名訴訟で、最高裁は強制使用の根拠となる米軍用地特措法の違憲性を訴えた県の主張を門前払いし、国側全面勝訴の判決を言い渡した。
96年4月の日米安保共同宣言で日本政府は、安保条約の適用範囲を「極東」から「アジア太平洋」に拡大する安保再定義を行った。県が求めた「在日米軍4万7千人体制の不明記」や「極東遵守条項」の要求は黙殺された。
国会では97年、衆参両院で8割もの議員の賛成により、強制使用手続きへの地方自治体の関与を事実上はく奪する米軍用地特措法の改定が行われた。
この国では司法、行政、立法の三権が結果として安保条約の運用のゆがみや、基地にまつわる構造的な「不平等」「不公正」に何ら有効な手だてを講じ切れなかった。
沖縄を踏み台にした民主主義。それが戦後日本の現実である。
(略)
沖縄戦には「軍隊は住民を守らない」という教訓があるが、今、あらたな教訓が刻まれつつある。「国は住民を守らない」。背筋が寒くなる事態である。
(後略・強調は私)
『この国では司法、行政、立法の三権が結果として安保条約の運用のゆがみや、基地にまつわる構造的な「不平等」「不公正」に何ら有効な手だてを講じ切れなかった。』というのは実に控えめな表現ですね。
実際は『この国では司法、行政、立法の三権が一致団結して、安保条約の運用のゆがみや、基地にまつわる構造的な「不平等」「不公正」を積極的に沖縄に押しつけてきた』というのが実状に近いのではないでしょうか。
常に民意が封じ込められ、およそ「日本の民主主義」の恩恵にあずかれなかった沖縄から見た「日本の民主主義」って、どんなでしょう?
沖縄の立場に立ってみれば、日本の民主主義など、まるでアメリカで奴隷制度があった頃の黒人奴隷からみた白人の民主主義、という眺めに近いかもしれませんね。
差別される側にとっては、差別する側内の民主主義など、矛盾と欺瞞に満ちたモノだと思います。つまり、沖縄差別をし続ける限り、日本に本物の民主主義はない、ということが言えると思います。
そして、こんな強健国家は
『「軍隊は住民を守らない」のみならず「国は住民を守らない」。背筋が寒くなる事態である』
ことを認識しておきたいと思います。
奇しくも私も、鳩山政権のやり方は既に独裁国家のやり方だし、政府という存在は国民の敵でしかないのかと、過去記事に書きました。
そして、この国では「軍隊は住民を守らない」「国は住民を守らない」ことが実証される事例がまた一つ。
2010年6月1日(火)「しんぶん赤旗」より
沖縄 抗議の声も監視
井上氏 情報保全隊活動ただす
日本共産党の井上哲士議員は5月27日、参院外交防衛委員会で自衛隊の情報保全隊を強化する法案の質疑で、同隊が行う国民監視活動について、「沖縄で基地の爆音被害に抗議をする人や辺野古の新基地建設に反対しての県民大会も情報収集の対象か」とただしました。
楠田大蔵防衛政務官は、「具体的な事例については答えを差し控える」としつつ、「(対象から)外せという指示をしたとは認識していない」と述べ、対象になっていることを否定しませんでした。
井上氏は「前政権時と同じように、沖縄の皆さんの運動や抗議の声も含めて対象になっている」と指摘。2007年に日本共産党が暴露した陸自情報保全隊の内部資料の内容を示し、「自衛隊ヘリの騒音苦情電話をかけたら反自衛隊活動という分類にされている。今の沖縄の声も反自衛隊活動ということで情報保全活動が行われることは本当に県民の声を愚弄(ぐろう)するものだ」と批判。情報保全隊の活動総点検を求めました。
北沢俊美防衛相は「行き過ぎがあればたださないといけない。もう一度省内を検討し対応していきたい」と答えました。
◆「自衛隊は国民監視をやめなさい!スパイ組織=情報保全隊を訴えている市民運動のブログ」より
(引用開始)
自衛隊は昨年、それまで陸海空の三部隊に分かれていた情報保全隊を大臣直轄の部隊にして一つに統合し、定員も増やして国民監視の体制を強化しました。鳩山政権が提案した今回の防衛省設置法と自衛隊法の改正案は、情報保全隊の定員を1,159人からさらに39人増員して1,198人にするもの。井上議員の質問で、野党時代に情報保全隊を批判していた民主党政権が、情報保全隊について何の是正もしていなかったこともわかりました。
(引用ここまで)
http://blog.canpan.info/kanshi/archive/143
以前自公政権は、赤旗に自衛隊がこんな憲兵みたいなことをしているのをすっぱ抜かれていましたが、民主党は更にそれを強化するのですね?
国民とは国が敵視し監視する対象だと捉えておきながら、韓国海軍の哨戒艦沈没事件を利用して「北朝鮮の脅威」を煽り、「国民は国を守る発想持つべき(by鳩山首相)」とは、なにをか言わんや!
お上に楯突く国民を敵視し監視しようなど、戦前の発想、しかもそれを公安警察ではなく、自衛隊という軍隊組織が行うことを更に強化する法案提出とは、もうなりふり構わず自民並みのスピードで弾圧国家にむかってダッシュしていこうという意欲満々(怒)
この動きは決してゆるされません。
日米共同声明同様、自民党のやり残した仕事を民主党はしっかり引き継ぎ発展させているのですから、ここでも自民党は民主党に感謝すべきでしょう。いや、もう、自民党以上に自民党らしい民主党と自民党が連立組まないのが不思議ですね~(←皮肉のつもりで書いたけど、ありえなくもなさそうでぞっとします)
私は去年の政権交代の時に、政権交代はあくまで次のステップに進むための手段であって目的ではない。スタートラインにつくだけであってゴールではない。民主党は政権につけば必ず自民党化してくるから、そうならないよう、国民は民主党を厳しく監視し、うるさく物申し続けねばならない。と何度も書きました。
もう、去年の政権交代から次のステップに進む時が来ていると思います。
今度は(今度こそ)、「国とは政府とは国民の敵であるという存在」から、「国とは政府とは国民の生活を守る存在」に転換しなくてはいけません。
日本では、選挙によって政治家が選出されてるとは言え、実質的には政府は「アメリカと財界」を代表する傀儡的存在であり、大多数の一般国民の利害を代表する存在ではありませんでした。
民主主義社会では「治者と被治者は同一」であるべきなのですが、日本ではずっとそれが実質的に存在しなかったと思います。
そしてそれは民主党政権下に於いてもなんら変わらなかったことがこの8ヶ月でイヤと言うほど証明されました。(また自公政権に戻りたいのか、という戯言は無しにしましょう、だって現状は既に自公政権に戻ったのとなんらかわりないのですから。)
政権交代の時にさんざん言われていたではありませんか。
「民主党に一度やらせてみればいい、それでダメならやめさせればいいのだから」と。
そのとおりです。
私達の忠実なしもべ(笑)として働いてくれそうな政治家、政党に、どんどん乗り換えればいいのです。
そう、「別れたら次の人♪」です(古っ!)
今のままではきっと民主党は、先月26日に自民党が衆議院に提出した自衛隊の海外派遣を随時可能にする一般法「国際平和協力法案」(自衛官らの正当防衛だけでなく、任務遂行のための武器使用を認める内容。これは明らかに違憲でしょ!)にさえ賛成に回るんじゃないでしょうか
私はこれ以上、こんなキナ臭い政権はゴメンです。
それにしても、踏まれても踏まれても決してあきらめない沖縄の前向きなエネルギーには尊敬の念を覚えます。それに比べ、本土のほうが、安保にしろなんにしろ、お上のやることに対して学習性無力感を体得してしまっているかもしれませんね。
無力感にとらわれず、次の政権交代を国民の力でおこしたいものです
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