原発事故史上三本の指に入る福島原発事故はまだまだ現在進行形、もう国内だけではなく世界に大迷惑をかけている真っ最中です。
なのに国は、何も学んでいないし何も反省していないのではないかとますます世界にあきれられてしまいそうな報道を二つ。
原発輸出に引き続き意欲=海江田経産相
時事通信 3月30日(水)17時52分配信
海江田万里経済産業相は30日の記者会見で、福島第1原子力発電所の事故が原発の海外輸出に与える影響について、「さらなる安全対策を固めていく中で世界の信頼を得られる道も付けられると思っている」と述べ、引き続き輸出を推進する意欲を示した。
政府は原発などのインフラ輸出を新成長戦略の柱に掲げており、今回の事故が今後の受注活動に与える影響も懸念されている。同経産相は「こういう形で未曽有の原発危機を克服したと世界に対して報告したい」とも語った。
懲りてない・・・
「こういう形で未曽有の原発危機を克服したと世界に対して報告したい」とのことですが、そういうことは少なくとも現実に危機を脱してから言わないと失笑ものじゃないでしょうか。
原子炉の危機的状態は収拾の兆しも見えず放射線は漏出しっぱなし、高濃度の汚染水は海に垂れ流しになったままで手の施しようがない状況です。
これで誰が「日本の原発の安全対策」を信頼するというのでしょう?
第一日本の総理が原発新規建設を見直すと言ってるわけですから、日本が輸出しようとしている商品はとんでもない欠陥商品であることを売り主自身が認めちゃってることにならないでしょうか?原発事故を起こした張本人からこんな商品、誰が買うのかと不思議になります。
もうひとつはこちら。
ヨルダンとの原子力協定案を可決 原発事故後初の国際協定
参院は31日夕の本会議で、日本からヨルダンに原子力技術を供与するための原子力平和利用協定締結承認案件を、与党などの賛成多数で可決した。協定は参院先議。衆院でも近く可決、承認される。東京電力福島第1原発事故発生後、初の原子力協定承認となる。
政府、与党は韓国、ベトナム、ロシアとの協定の早期承認も目指している。
原子力協定は、日本企業が原発関連機材、核物質、原子力技術を他国に供与、移転する際の法的根拠。今回の協定案は、日本とヨルダン双方の原子力利用を平和目的に限定することなどを明記した。
ヨルダンでは三菱重工業とフランスのアレバの企業連合がロシア、カナダ勢と受注を競っている。ヨルダン側の判断に、福島原発事故が影響する可能性もある
日本が真に供与できるものといえば、核は人の制御能力の限界を超えた代物であるという事実を再度肝に銘じるべきという警告と、テクノロジーへの過信・おごり高ぶりに対する戒めではないかと思うのですが。
さて、大災害の非常時に乗じて大連立を組もうという動きがあるようです。今度は自民党もまんざらでもないとか。
かつて原発利権にどっぷりとつかり原発産業を推進してきた真打ちの自民党と、新規建設の見直しは打ち出したものの上述したように原発輸出に積極的という民主党政府がタッグを組んだらどういうことになるか・・・
この可決された法案は賛成230名、反対は社民党と共産党と無所属一名、併せて11名だけだったことを思えば、今回の事故を覆い隠そうとする大政翼賛体制がガッチリできあがることは火を見るよりも明らかです。
それだけではなく、震災復興のためという誰もが逆らえない名目で消費税を遠慮なく増税してくることでしょう。
消費税増税のほか、一応法人税や所得税増税もあげていますが、法人税増税は頃合いをみて取り消されるでしょうし、所得税もいわゆる「人頭税」強化ではなく累進制を強化する形での増税でなければ、結局そのしわ寄せは二次的なものも含め震災の被害を被りやすい社会的経済的弱者がかぶることになりますから、なんとも不条理です。
しかし国はいったんあげた消費税を下げることは金輪際しないでしょう。
今の民主党と自民党は同種同族のガチガチのネオリベ集団、大連立を組めばもうやりたい放題です。
歯止めをかけうる存在は社民党と共産党だけですが、あまりにも少数勢力になってしまったため残念なことに十分な力がありません。
復興のために「皆が一つになる」とは何も大政翼賛会への道を開く大連立を組むことではないはずでし、そんな必要性がどこにあるのでしょうか。「未曾有の国難に挙国一致で」というスローガンに載せられてはそれこそ未曾有の危機を招きます(挙国一致とか言う言葉も戦前ぽくてなんだかな)
政府や東電は事故を軽く見せたがり情報を出し渋っているため海外では厳しく批判されています。もう東電や日本政府の発表を信用していないのです。信頼は失墜しました。こういうときにいかに情報公開ができるかでその国の民主主義度が試されるのだと思います。
私はこの原発事故の過程で情報隠蔽や御用報道(特にテレビ)がまかり通る様をみて、国民の生命や財産の最大の危機だけでなく、日本の民主主義の脆弱さがこの非常事態で大きな危機を迎えているのだと痛感しています。
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