政治的に偏向してるのは一体どちらなのか

私がリツイートしたつぶやきをひとつご紹介します。

unbalance_x 呆庵
日の丸と君が代は教師をクビにしてまでも刷り込むくせに憲法の理念は「偏り」だって。頭おかしいんじゃないの。 RT @shiba_masa 「娘の中学校の公民の授業で、憲法の前文と9条を暗唱させた」「大切な理念かもしれないが、この時期の刷り込みは偏った政治観をもたらさないか心配」。

確かに「頭おかしいんじゃないの？」と言いたくなります。
日本は民主主義国家（のはず）です。
民主主義国家を名乗るなら民主主義や人権や平和の理念について学校で教育するのは当然でしょう？それらを教えることの何が間違っているというのでしょうか？何が「偏っている」のでしょうか？
日本という国が拠って立つ最高位の礎は憲法です。
その憲法の理念を学校で学ばせるのは当たり前のことです。どの民主主義国家だって自国の拠って立つ憲法理念や民主主義、人権、平和の理念を当たり前のように学校で教えているし、それを「偏っている」などと非難するなんておよそ考えられないことです。

現行憲法の理念を教えることは「偏った教育」であり、現行憲法の理念を否定し逆行する教育あるいは教えない教育が「偏らない教育」だとは理解しがたい不思議な考え方ですね。こちらの方がよほど「偏っている」といえるでしょう。

ところで「憲法に沿ったものの考え方が歓迎されない」というのは民間レベルでも往々にしてみられることです。
労働基本権や生存権を蹂躙するようなブラックな企業が幅を利かし、労働組合でも往々にしてそういう使用者側に媚を売るのが日本の社会の「常識」になっていますものね。
少し古いのですが、猪野亨弁護士のブログのエントリーを引用します。

テレビＣＭ
http://inotoru.dtiblog.com/blog-entry-290.html

当事務所でも、いよいよテレビＣＭを流すことになりました。
（中略）
費用が廉価なので、出来栄えは、何とも言えません。
　それよりは、結局、この程度の内容になってしまったということです。
　もともと企画会社が持ちかけてきたのは、死刑判決にうなされる元裁判員、そしてその瞳の中には、絞首台のロープを映し出すというものでした。
　「憲法１９条」という文字も入れる構想でした。
　ところが、当初、予定していた局（フジテレビ系）で、事前審査に出したところ、全くもって無理。
　そもそも、現行の法律に反対するようなものは一切不可。「憲法」という文字も不可。
　ということで、見る見る間にトーンダウンした内容になりました。
　さらに、今回の内容ですら難色を示し、要は、私の事務所のホームページをＣＭの中で紹介しているが、そのホームページが裁判員制度に反対している、そのようなところに、ＣＭから行き着くのでは苦情が出かねない、ということで放映はダメということでした。
　そうであれば、「例えば、私の事務所で、多重債務処理に関するＣＭを流したいということでも、結局は、私の事務所のホームページ（要は、反体制的なホームページ）に行き着くということになると、「ダメ」ということになるが、そういうことか。」と確認したところ、「そうだと思う。」という回答でした。
　結局、放映可となったのは、テレビ東京系列の「テレビ北海道」のみでした。
　それにしても憲法という文字すらダメとは
（引用ここまで）

「憲法」とうい文字すらタブーとは、どうやらフジテレビは我が国の憲法がお嫌いのようですね。国内で指折りの大手マスコミなのですから、憲法の精神を遵守する性格の会社であっていいはずなのですが。
そのわりに非常に問題がある現行の裁判員制度の法律には従順なようで・・。

それにしても国は最高位の憲法に従い成り立ってるのですから、理屈から言えば「体制」は「親・憲法的」になるはずだと思うです。ところがこの国では「反・憲法的」なのが「体制的」で、「親・憲法的」なのが「反体制的」なのですから、なんともねじれた国です。
憲法って国の最高規範なのにずっと阻害され続けてますね。いっそのことそんな阻害される憲法なんかやめてしまえばいいというなら、もうこの国は反民主主義、全体主義、人権軽視の戦前のファシズム国家に一直線です。

憲法が嫌い、人権が嫌い、自由が嫌い、という姿勢が最も顕著なのが日の丸君が代強制論者です。
国旗国歌に敬意を示せないなら公務員やめろ、とういうよくあるテンプレートも実におかしな話です。
だって、公務員の忠誠義務が名文ではっきり定められているのは憲法忠誠義務（憲法99条）なのです。国旗国歌への忠誠義務なんてどこにもありません。
そしてこの憲法は思想信条の自由を何より尊重しています。

ところが橋下氏や維新の会によれば、公務員は憲法よりも国旗国歌の方に遙かに忠誠を尽くす義務があるようです。公務員に対して国旗国歌への忠誠はクビにしてまで求めるくせに憲法への忠誠は全然求めないんですから。
いつから日の丸君が代の方が日本国憲法より上位になったのでしょうね？
橋下知事も維新の会メンバーの議員も公務員だから憲法尊重義務があるはずなんですが黙殺スルー、橋下知事閣下や維新の会はいつから憲法より偉くなったのでしょうか？
村野瀬玲奈さんの言葉を引用しましょう
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2634.htmlより

君が代の斉唱なんか国民に求めるのではなく、国会では毎日、朝礼代わりに政治家に憲法や世界人権宣言の起立暗唱を義務付けるべきなのです。もちろん、起立しない議員はクビです。（笑）不満や反対の声が聞こえてきそうですが、君が代強制論者のみなさん、政治家は公務員なんだし、公務員は業務命令にしたがうものなんでしょう？主権者としての国民が政治家に命令しますよ。（爆）

そういえば橋下氏は自分の政治資金パーティで「今の日本の政治に必要なのは独裁だ」と怪気炎をあげたそうで、もうこれだけで憲法忠誠義務に違反してると思いますけど。（大阪人民共和国は独自の憲法をお持ちなのでしょう笑）

日本とは傾斜偏向していて一度も平らになったことのない国、というのが私のイメージです。
傾斜した坂の上の方には世界人権宣言や日本国憲法の輝かしい理念がありますが、下の方はおよそ反民主主義、全体主義、人権軽視、ポピュリズム、ファシズムといった正反対の理念が渦巻いています。
他の先進民主主義国家ではそんな傾斜偏向などなく平らですから、世界人権宣言の輝かしい理念に近づいていくのに日本ほどの力を必要としません。
でも日本では上に進むには万有引力の法則に抗う相当な力が必要で、ともすれば国家も国民も下の方に転がっていってしまいます。
そして最近はその傾斜がよりきつくなり、止めるのが難しいほどの勢いで転がり始めていると思うのです。