低レベル放射性廃液、海洋廃棄へ…福島第一原発
東京電力は4日午後4時頃に記者会見し、福島第一原発2号機タービン建屋の極めて高いレベルの放射性廃液の貯蔵などのため、既に保管済みの低レベル放射性廃液計約1万1500トンを海洋に放出すると発表した。
海洋に放出するのは、集中廃棄物処理施設の約1万トンのほか、地下水が浸入している5、6号機地下の約1500トン。早ければ5日にも放出するという。
放出の影響について、東電は、近隣の魚類や海藻などを毎日食べ続けるとしても、成人の実効線量は年間0・6ミリ・シーベルトで、自然界から受ける年間線量の4分の1だとしている。
(2011年4月4日16時57分 読売新聞)
なお、
東京電力によると、海へ放出する低レベルの放射性廃液は法律で定める濃度の約100倍(2011年4月4日 共同通信)とのことです。
ひどいです。100倍が「低レベル」って誰が決めたのでしょうか?こんな処理の仕方が国際的にも許容されるのでしょうか?
1993年、ロシアによる日本海への放射性廃棄物投棄が明らかになり、国際世論の批判を招いたことがありましたが、日本もこれと同じ批判を受けることにならないでしょうか?
それにまたまた食べても大丈夫と太鼓判を押していますが本当でしょうか?
次に掲載する報道にもありますが、魚類に関する放射性ヨウ素の規制値は定められていないのに、何を基準に安全宣言しているのでしょうか?
食物連鎖による放射能の濃縮が怖いわけですがそれはこれから始まります。それも考慮に入れて大丈夫だと言ってるのでしょうか?
「自然界から受ける年間線量の4分の1」とのことですが、食べたら体内被曝になるのだから自然界から受ける放射線量と比べるのは無意味ではないのでしょうか?
素人の私でも次々疑問がわいてきますが、これらの疑問に対する答えはみあたりません。
21世紀版水俣病にならなければさいわいです。
汚染水流出場所のピット直近の海水からは通常運転時の原子炉水の約1000倍に当たる濃度の放射能が検出されました。それほどの高濃度の汚染水が海にドボドボ流れ込み続けていたのですから、つい、低濃度なら海に捨ててもまだましだろう、と思ってしまいがちです。
それでも捨てられる汚染水は法律で定める濃度の約100倍。比較するとたいしたことないように思えてしまいますが通常なら考えられない環境破壊です。
私たちはだんだん放射能の存在に慣れてきて鈍感になってきてはいないでしょうか。それが一番怖いことだと思います。◆サロン金曜日@高知
低レベル放射性廃液
http://saron-kinyoubi.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-f8ec.html#
(引用開始)
ひどい話だ。廃液の放射能除去もせずに、そのまま海へたれ流しにするという。今夜もう、すでに放出されているのだ。
ビーカーの中、ゆっくりと熱せられ続けると死ぬまで逃げ出さないカエルを思い出す。私たちは、少しずつ少しずつ、放射能に慣らされていく。最初は、ベントだと言ってほんの少し放射能を放出した。やがて、環境中への放出は日常的なものとなり、それらは、施設のあちらこちら高濃度の汚染を引き起こし、土も水も大気も広範囲の被爆を強制しつづけている。そして、今また、海中への廃液投棄となった。ついに、大地にとどまらず海まで汚染し続けていくのである。
この次は、高レベルの汚染水まで流すことになるかもしれない。空気からも作物からも魚からも放射能を取り込みつづける日常生活を、いつか当たり前のことのようにして、今すぐ体に害はないからかまわないと思いこんで生きていくのかもしれない。そして、気が付いたときは、ハイリスクの癌を患い死を待つのみとなるのかもしれない。
空も海も大地も、東京電力の私物ではない。国民を被爆させつづける権利などあろうはずもない。東電と国家が一体となって、放射能は大丈夫、デマに惑わされないようにと言い続け、国民を騙していくこの犯罪行為!けっして許してはならない。子々孫々にわたるまで、肝に銘じて。
ちなみに茨木市沖合でとれたコウナゴからはこの廃液が海に排出される前に既に放射性物質が検出されています。
小魚から放射性物質…影響ない程度・規制値なし
読売新聞 4月4日(月)20時37分配信
茨城県北茨城市の平潟漁協は4日、同市の長浜沖でとれたコウナゴから1キロ当たり4080ベクレルの放射性ヨウ素131が検出されたと発表した。
魚介類の放射性ヨウ素についての規制値はないが、飲料水で300ベクレル、野菜類で2000ベクレルと定めた規制値に比べて高い。
コウナゴは1日に船引き網漁で捕獲された。1キロ当たり447ベクレルの放射性セシウムも検出されており、魚類の暫定規制値の500ベクレルに近い値だった。
同漁協は、1日までに日立沖などで採取した魚介類5品目について、民間の検査機関で放射性物質を検査。カレイやヒラメなどほかの魚介類から検出された放射性ヨウ素は最大でも35ベクレルで微量だった。
現在は茨城県沖でコウナゴ漁が行われておらず、同県産のコウナゴが市場に出回ることはないという。
厚生労働省によると、魚類に関する放射性ヨウ素の規制値は、海水で拡散することや短期間で放射線が半減することなどから、危険性が低いとして定めていないという。
今回、コウナゴから高い値のヨウ素が検出されたことを受けて、厚労省は茨城県に対し、出荷について慎重な対応を求めるとともに、今後、魚類の規制値について検討する。
これも素人の疑問ですが、たとえ半減期が短くとも、もし子供がその魚を食べて半減する前のヨウ素が体内に入れば、チェルノブイリの時に子供がヨウ素が含まれた牛乳を飲んで甲状腺ガンが多発したのと同じ危険があるのではないでしょうか?
一回だけヨウ素が含まれる汚染水が海に廃棄され、それ以後一切ヨウ素が海に流れ出さないなら「半減期が短いから一定期間後は大丈夫」といえるでしょうが、ヨウ素はずうっと絶え間なく海に注がれているのです。
今回の″低レベル″放射性廃液が放出されることによって、今後海洋生物から検出される放射性物質の値がこれよりさらに高くなることは想像に難くないです。
厚労省は今後規制値を決めるそうですが、既に検出された数値を元に甘く設定しないでほしいと希望します。
私たちは常にビーカーの中の水の温度に敏感でありたいものです
【追記】
今回の海洋廃棄について参考になると思われるエントリーをヤメ蚊さんから
◆情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)
放射性能汚染水の廃棄に大いなる疑問~東京電力、深夜の会見で
東電の5日未明の記者会見で、福島第1原発の5、6号機の建屋の地下水(法的に放出できる放射能汚染の基準値の数百倍)をくみ上げて排水する必要性について、質問したが、東電からまともな回答は得られなかった。あの会見の状況からは、正直、必要性のない排水をしているのではないかという疑問を払しょくできない。
東電の説明は、6号機の建屋の地下に毎分2リットルの水が流れ込み、かつ、ほかにも多数水が浸入しており、建屋内の機械類が水によって破損する可能性が高いために、建屋の地下に水が流れ込まないように建屋の周辺の地下水をくみ上げて海へ放水するのだという。
しかし、それを裏付ける写真もなければ、毎分2リットル以外の多数の場所についての具体的な説明はできない。
こんな説明で政府が本来、違法な濃度の汚染水を海洋へ投棄するよう命令したのか、と聞くと、くわしく説明しているはずだという。
それなら、その政府に説明した通りの説明をいまここでしてくれというと後で説明するという。
そこで、記者にそのような説明をするだけでよいという判断をした責任者の名前(=その時点での統合対策本部の責任者)の名前を明らかにするように迫ると、それは言えないという。
何を聞いても答えない。海洋投棄するだけの必要性がまったく感じられないのだ。
海洋への放水をしているのは、5,6号機の建屋周りの地下水のほか、集中廃棄物処理施設に貯まっている1万トンの低濃度汚染水だ。こちらは、2号機のトレンチに貯まっている高濃度の汚染水を運ぶ先として必要だということだが、現在、すでに、復水器というものを空っぽにしてそちらに入れる予定であるため、あえて海洋投棄をするだけの緊急性はまったく感じられない。
この日の会見では、2号機のトレンチの汚染水を入れるための仮設タンクの発注日を聞いたがこれも答えなかった。
以上の事実からは、東京電力(及び統合対策本部)は、24日に2、3号機のタービン建屋地下で高濃度の汚染水が大量に貯まっているのを確認したにもかかわらず、原子炉に冷却のために投入している水が外へ放出されている可能性を無視して、汚染水が流れ出した時のための仮設タンクの発注をせず、トレンチの水が見つかってあわてて対処するという決定的なミスをし、さらに、トレンチからピットを通って毎時何万トンもの高濃度汚染水が放水されていることが発覚したため、あわてて、2号機のトレンチの汚染水を入れるための容器をあらゆる手段を通じて確保しようとしているとしか思えない。
5、6号機の周辺の海洋投棄は、この2号機を巡るミスを隠すための、目くらましと考えるのが、合理的だ。
今回のことが私の勘ぐりにすぎないとしても、これまでの情報提供の遅れはすでに海外メディアから非難され始めている。日本はもはや同情の対象ではなくなっているのだ。東電及び統合本部がこれまでの情報提供の方法に誤りがあったことを認め、正確な情報を公開しなければ、日本は世界から完全に敵視されるだろう。
(引用ここまで)
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