政権交代から1年以上たちますが景気対策、雇用対策は全く無為無策のまま放置状態、政府はその無能さを晒し続けています。失業率も貧困率も自殺者数も悪化の一途です。
何故いつまでも悪状況が続くのかについて、御用評論家や御用学者が首をひねりたくなるような論説を流布してるようです。本当の原因、犯人から目をそらせるためなのでしょう。
そういう‘ガセネタ’に端的なツッコミを入れて下さったエントリーをお持ち帰り
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七詩さんのHP 就職難についての迷信
就職難について様々な言説がいわれているが、それらについて考えてみたい。
まずゆとり教育元凶論。ゆとり教育を受け甘やかされた世代は使い物にならないという類の論調だが、これは同じ世代でも様々な人がいるわけだし、就職できないのは甘やかされて育った本人の責任ということで一種の自己責任論ともいうべきものだろう。
ホームレスや失業者にお前が悪いといってみても何の解決にもならない。
「甘えるな!」と一喝して何か立派な発言をしたようになったいるのも同様だろう。
大学生水増し論。これは以前に比べて大学の数も増え、大学生に値したい大学生が増えたのだから大学生としての就職を探す限り、就職できないのは当然という論法だ。大学生が厳しく高校生が引く手あまたならこれもあっているのかもしれないが、実際には高校生は大学生以上に就職が厳しい。マスコミの報道の焦点が大学生にあるだけで、高校生、既卒、その他の求職者はもっと大変であるので、こうした大学生水増し論も論拠がない。
さらに一見もっともたしいのは既得権益論。中高年の正社員が若者の席を奪っているという論法で、こうした意見は今後さらに幅をきかせそうだ。でも、どうなのだろうか。仮に中高年が失職したって、その分、企業は若者を雇うだろうか。最大の利益を確保しようとしたら既存の社員のサービス残業の増加やアルバイト採用で補おうとするのではないか。
それに無職や低収入の若者の中には中高年の親に養われている人もいる。
中高年の失職は社会不安を倍加させる。
(引用ここまで)
どれも呆れるようなこじつけばかりですね。
<ゆとり教育元凶論>
ゆとり教育で甘やかされたって、これ、どういうことなんでしょう?
学校が週休二日になり、授業で教える学習内容が多少レベルダウンしただけで、それまでに比べて使い物にならないほど甘やかされた人間ができあがってしまうのでしょうか?
単に「ゆとり教育」という言葉からくるイメージだけで、学生像を勝手に決めつけているとしか思えないのですけれど。
<大学生水増し論>
大学生が増えたから就職難になったのだ、というのはもう噴飯物です。こちらでも酷評されています。
◆
非国民通信それでも日本は雇用を絞る
(引用開始)
よく大学新卒者の就職難に対して「大学進学率が上がって大卒者が増えたからだ」などと宣う連中もいるわけです。一見するともっともらしく聞こえる部分もあるかも知れませんが、それならば相対的に数の減った高卒者の就職難は緩和されていなければならないはずです。大学に進学する人が増えて高卒で就職する人が減っているのなら、その分だけ競争率は下がりますから。では現実はどうかと言えば、高卒の求職者は2.3%減に対して求人数は7.6%減、その求人倍率は僅かに0.67と惨憺たる数値が上がっています。結局「大卒者が増えたから~」みたいなことを口にする輩は雇用側を免責したがっているだけで、高卒で就職しようが大学へ進学しようが、就職難には変わりないのです。勤労の義務なんて代物が課せられているにも関わらず、就労機会は圧倒的に不足している、そういう状況が放置されているわけです。
(引用ここまで)
◆
テラの多事寸評「就職難は大学生が増えすぎたのが原因」説に対する反論
(引用開始)
地方は本当に雇用がない。大学への進学は、若者が少しでも自分の雇用の機会を広げようとして行うんだ。増えすぎなんじゃなくて、それくらいしかよい選択肢がないんだ。
地方は絶望的に雇用がない。地方の若者は0.3とか冗談のような求人倍率のなかにあって、少しでも雇用のチャンスを高めようと大学に進む。そういう現実を見ないで、バカな学生が増えたとか、大学潰せとか言っている人たちがいる。そういう問題じゃない。それは悪質な議論のすり替えだ。
(引用ここまで)
<中高年の既得権益論>
これまたスゴイ論法です。
働き盛りの中高年が次々と失職しないのが悪いとでも言うのでしょうか?
そんなことになったらどうなるでしょう?
中高年の労働者層は、家庭で次の世代を養っている年代です。育ち盛りの子どもに学校を止めさせて働かせろとでもいうのでしょうか?
絵に描いたような「貧困の世襲」が起きるわけで、中高年が潰されれば、その次の世代も潰されるのは明白です。
だいたい正社員として雇用が持続されているのが正常な状態であって、それがあたかも悪いことのように「既得権益」と言う言葉で表現されることがおかしいのです。
中高年も雇用が維持され、なおかつ、新卒者も採用されるのが正常で健全な労働市場であるという当たり前の前提をひっくり返している暴論です。
これも悪質すぎるスリカエですね。
いつまでも居座り続ける政治家の老害とは訳が違うのです。
いずれにしても、悪いのは新卒の若者だ、いや中高年の労働者こそ、と被雇用者側の責任ばかりにされてるのは何故なんでしょう?
あさっての方向に敵を設定してスケープゴートにしたり、あるいは本来なら団結して手を取り合うべき所に敵意を生じさせ無用ないがみあいを作り出させる、というのは、民衆の不満をそらしたり、あるいは責任追及を逃れるために用いられる常套手段です。
あるときは、
99%は慎ましやかな暮らしを送っている公務員を諸悪の根源であるかのように叩いたり
(公務員を叩いたって絶対に雇用や景気が好転するわけがないのですから、陰湿な鬱憤晴らしでしかありません)
あるときは正規と非正規を差別化していがみ合わせたり
(これは結局両方の労働条件を悪化させるだけです)
何が正しく何が間違いか、溢れる情報の中で惑わされぬよう、じっくり考えたいものです。
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