puyonyanさん経由で、コンピューター監視法、ウィルス作成罪の存在を知りました。
これは、表現の自由、表現の事前抑制禁止、通信の秘密、罪刑法定主義、令状主義などなど、憲法、刑法、刑訴法上の原則を破り、監視国家への道を開く悪法です。
この国はどうして性懲りもなく人権侵害を促進し民主主義から後退するような法ばかり作りたがるのでしょうか。人権後進国に退行したがるのは自民党から民主党に移行しても何も変わりませんね。
ウィルス作成罪の実際の条文はこちら
第十九章の二 不正指令電磁的記録に関する罪
(不正指令電磁的記録作成等)
第百六十八条の二
人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
2 前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
3 前項の罪の未遂は、罰する。
(不正指令電磁的記録取得等)
第百六十八条の三
前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
この法には、こんなにも重大な問題点が・・・以下、こちらのサイトを参考にまとめてみました(一部そのまま抜粋しています)
◆盗聴法<組対法>に反対する市民連絡会 【声明】コンピュータ監視法に対する疑問
http://www.anti-tochoho.org/ut/gg20101214.html◆PortSideStation横浜市民放送局
【録画配信中】私たちのインターネット通信を監視する「コンピュータ監視法」とは何か1/24(月)
http://portside-station.net/2011/01/23/6859/●ウィルス作成罪の構成要件「その意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令」という定義は抽象的で曖昧です。未完成のワクチンやプログラムのバグでパソコンが誤作動しても「不正な指令」として処罰の対象となる可能性も否定できず、捜査当局による恣意的な捜査が行われる危険があります。
何を作れば処罰対象になるのかがはっきりしなければ、市民の自由な表現行為は萎縮せざるをえないことになるでしょう。
●ウィルス作成罪は使用を罰するだけでなく、作った段階で罰しようというのが特徴です。
作っただけでは何の法益の侵害もないのに何故処罰しようとするのでしょうか。しかも予備罪と使用罪の刑罰の重さが同じなのは理解しがたいことです。
予備はまだ犯罪の実行に着手する前ですから、実際予備罪が設けられている犯罪でも、実行した後の法定刑に比べてかなり軽いのです。(ex.殺人罪は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役なのに対し、殺人予備罪は1月以上2年以下の懲役)予備行為と実行行為が同じ量刑なのは他に例がありません。
ここにこの法案の隠れた意図があるのではないかと懸念されています。
つまり、それだけ予備罪を重い罪としておけば、作成の段階で強い捜査権限を持てるようになります。予備の段階で捜査協力を要請しやすし逮捕捜索に躊躇無く踏みこみやすくなるのです。これでは捜査当局が容易に日常的監視を行えるようになってしまいます。
●ウィルス(「不正な指令」)がつくられたことをどうやって調査・立証するのでしょうか。
作成行為を罰しようとするなら作成段階でウイルスを差し押さえてこれがウィルスだと言うしかありません。従ってかなり早い段階から被疑者を監視して逮捕することになります。
ウィルスをつくってるだろうという見込みをもって怪しいとさえ言えば、いつでも誰でも警察の監視対象にできるのです。
●差し押さえは刑訴法にのっとって行われることになりますが、法は「有体物の差し押さえ」を前提としていて電子データの場合を想定していません。電子データは有体物と異なり、ネットワークで芋づる式に全てを掌握できてしまいます。プライバシーもへったくれもありません。市民は安心してコンピュータを使うことはできなくなるでしょう。
これはいままでの有体物の捜索・差し押さえでは想定されていない事態です。有体物の差し押さえを対象とする現行の刑訴法で電子データの差し押えもできるとすることには無理があります。
●捜査当局の要請によって、プロバイダは最長90日間通信履歴を保存せねばなりません。これは市民の通信の自由、プライバシー権を明確に侵害するもので、多くの問題をはらんでいます。
これで当局は通信履歴で対象者の交友関係、思想、信条、趣味などを把握できます。しかも繰り返し保全要請をすることも可能です。そうなれば通信履歴の保存要請で盗聴法並み、いやそれ以上の効果をあげることができます。盗聴法は対象犯罪が限定されており、また盗聴には裁判所の令状も必要されていることを考えると、捜査当局による通信履歴の保全要請が使いやすさゆえに乱発される恐れがあります。
『もしもこの法改正が進めば、インターネットや携帯電話による市民の情報通信は常に監視されることになるだろう。警察による通信履歴の検閲や、コンピューター上でのプログラミングすらも、ウィルス作成罪にあたるとして取り締まることが可能になる』
『可決を契機に、現在日本は批准していない国際的なテロ防止と称して情報通信を監視する「サイバー犯罪条約」に批准することが考えられ、さらに批准を契機に盗聴法改正まで行われるのではないかという見解がある』
とジャーナリストの岩上安身さんは指摘しています。
サイバー犯罪条約についてはこちらをどうぞ
◆日弁連ーサイバー犯罪に関する条約の批准に関する意見書
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/2004_23.html◆日弁連ーサイバー犯罪条約とその国内法化に関するQ&A
http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/list/kokusai_keiji/kokusai_keiji_a.htmlこのコンピューター監視法は元々共謀罪とセットで出てきましたが、評判の悪い共謀罪は切り離してこれだけ先に通してしまいたいという思惑があるようです。しかし、この法は共謀罪同様、テロ対策を口実にしてそのじつ国民監視に流用できる人権侵害法であると言わざるを得ません。
この通常国会に提出予定です。国民一人一人の情報を国家が掌握し管理する言えば、昨年末、国民総背番号制の導入がコソーリ決定されています。
塵も積もれば山となる。こういう一つ一つの法が積み重なってやがて気づいたときにはがんじがらめ、人権を守る憲法が改正無しに骨抜きにされる監視社会になってしまうのは歴史が教えるところです。
ニーメラーの警句をここでも今一度思い起こし、一つ一つ確実に批判し潰していかなくてはならないと思います。監視国家への道を開かないために。
盗聴法廃止の賛同のお願いはこちらからです。
http://www.anti-tochoho.org/ut/ss20100201.html
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