民主党の宿敵だったはずの極右政党立ちあがれニッポソから、筋金入りの新自由主義者である与謝野氏を入閣させて、いよいよ国民の生活を第一に破壊する財政政策を始動させた菅内閣ですが、
先日の予算会議は野党4党欠席のままいきなり予算案の審議に入るという暴挙でスタート。
つい先日の施政方針演説で「今度こそ、
熟議の国会となるよう」訴えたのは、どこのどなただったのでしょうか?
4年間は消費税増税は封印すると国民に約束して政権の座につかせてもらったはずですが、与謝野氏入閣で消費税増税は政府内ではもはや決定事項と言って良いでしょう(これだけでも本来は解散して国民に真を問うのが筋だと思いますが)
言うまでもなく、法人税減税で税収が減った分の埋め合わせのための消費税増税です。別名「金持ちの負担を減らし、その分を貧乏人から更に搾取するための税制改革」とも言います。
最近ではアメリカも法人税減税しようとしているとさかんにマスコミが流していますね。法人税減税は日本だけじゃないんだぞ、アメリカだってやってるんだから間違いじゃないんだぞ、と力説したいのでしょうか。
あの手この手で世論をいかに消費税やむなしに導いていくかが、政府財界様御用達の大手商業マスコミの腕の見せ所だと思うのですが、これについて「法学館憲法研究所」からお勧めの論説をお持ち帰り、メモしておきます。
財政再建・増税? (引用開始)
たしかに、来年度政府予算案を見ても、一般会計の総額92兆円のうち44兆円が国債発行による借金でまかなわれ、税収は41兆円弱と、昨年に続き借金が税収を上回るという、異常な財政状況である。そして、国の長期債務は今年度末には650兆円に達し、地方の借金と合わせると850兆円ほどになり、来年度はさらにこれに30兆円程度上積みされることになる。国と地方を合わせて850兆円という借金は、国民1人あたり670万円の借金ということになる。また、それは、GDPの約170%にあたり、先進国中最悪の数字である。
こういう数字が並ぶと、まさに日本の財政は破綻寸前の危機のようにみえる。国民1人あたり670万円? そんな借金、返せるわけがないだろう(4人家族なら2680万円もの借金ということになる!)。GDPの2倍近くにまで膨らんだ借金を、いったいどうやって返済するというのか。そんな状況なら、消費税の引き上げもやむをえないではないか。……というような風潮が、いまこの国の社会を支配しようとしている。実際、マスコミも、財政危機を叫び、消費税引き上げやむなし、という論調に染め上げられつつある。それにつられて、国民のあいだにも、消費税の引き上げを容認する意見がだんだん増えているようである。
しかし、国の借金850兆円(地方分も含む=以下同じ)とか国民1人あたり670万円とかという数字は、一面的な数字である。たしかに、国は850兆円の借金を抱えているが、他方で550兆円もの金融資産をもっている(社会保障基金、内外投融資、外国債券など)。したがって、負債から資産を差し引いた純債務は300兆円ほどであり、GDPの6割程度で、それほど深刻な数字ではない、ともいえる。ただし、政府の保有する金融資産がすべて借金の返済に回せるものであるわけではないので、純債務で見れば大したことはないと楽観しすぎるのも問題であるが、そうであるにせよ、850兆円という数字は、実態よりも大きすぎるといえよう。この数字が一人歩きのごとく流布されていることには、なにやら、消費増税への世論操作という匂いを感じる。
また、国民1人あたり670万円、という数字は、額の大きさを実感させるに十分なものであるが、これも、そういう「ことさらな」意図を感じる。そもそも、国が850兆円の借金をしているというが、誰から借りているのか、である。日本の場合には、国債等の95%は日本国内で消化されている。ということは、850兆円のうちの95%は国民からの借金だということになる。つまり、国が抱えている借金の大部分は、返済期日になれば(利子を付けて)国民に返済されるのである。単純にいえば、国民1人あたり670万円の借金があるが、同時に国民は国に対し1人あたり636.5万円(+利子)の債権をもっている、ということである。だから、国民1人あたりの実際の借金は33.5万円以下という計算になるはずである(現実には、国民といっても、国債等を買っているのは郵貯や市中銀行などの金融機関が中心であるが、その資金は私たちがそれら金融機関に預けている預貯金である)。
(引用中断)
850兆円(国民一人頭670万円)の借金というのはよくセンセーショナルに報道されますが、
一方で国は550兆円の金融資産を持っていること、またその850兆円の95%の貸し主は国民なのだから、国民は一人当たり国に対し636.5万円+利子の債権を持っていることになり、相殺すれば結局国民一人頭の借金は33.5万円以下になる、という実態はそんなに言われません。
財政状態が良好だとは言いませんが、実際以上に大袈裟に危機感を煽って消費税増税やむ無しに持ち込もうという政府財界様の下心を、私達は知っておいた方が良いと思います。
もちろん借金はなくすのが良いに決まってます。しかしそのために消費税増税するなんて、政府自ら先頭に立って日本の経済をぶち壊すだけの血迷った行為です。
消費税を増税すればどうなるか。
ますます中小企業は打撃を受けて倒産の憂き目に遭い、国民の財布のひもは固くなり、内需が縮小し、デフレスパイラルを加速させるだけ、どんどん市場でお金が回らなくなります。
市場でお金が回らなくなると言うことはつまり(増税した消費税以外の)税収が減るということです。
また、消費税ってじつは滞納が多くて徴収率が悪い税でもあるのですから、財政立て直しの財源としてはあまりふさわしい方法とは言えないと思います。
消費税増税は国民生活を圧迫するだけでなく、景気対策としても、財政を立て直す策としても、良いところが一つもありません。
(引用再開)
借金を減らすには、支出を減らすか収入(税収)を増やすかであるが、こんにち、国の一般会計歳出の31%が社会保障費であり(2011年度政府予算案)、これは、いまの社会保障の水準のままでも高齢化の進展とともに増え続けていくことは疑いないから、国の支出を減らすことは社会保障の水準の大幅な低下を意味することとなる。それを避けるためには税収を増やすしかない。そういう意味で、税収増を図る政策が必要となる。
日本では、かつて、1980年頃には、所得税の最高税率は70%、これに住民税18%が加わり、高額所得者に対する最高税率は88%であった。それが徐々に引き下げられ、消費税導入の1989年には65%(所得税50%、住民税15%)になり、1999年には50%(所得税37%、住民税13%。現在は所得税40%、住民税10%)にまで下がっている。また、法人税も1980年代以後一貫して引き下げられてきた。つまり、金持ちや企業の税負担を減らし続けてきたのである。いまもまた、消費税率引き上げと同時に法人税率の引き下げがいわれている。要するに、金持ちや企業の負担を減らした分を消費税でまかなうということであり、こういうことをやっていて税収が伸びるわけがない。消費税増税の前に、所得税や法人税の適正な水準をきちんと議論する必要があると思う。また、税収を増やすためには増税が唯一の政策ではない。個人の所得や企業の利益を増大させれば所得税や法人税の税収は自然と増える。消費税収も、率を上げなくても増えるであろう。そういう政策も選択肢に入るということは、心にとめておいていいだろう。(引用ここまで)
政府が取るべき政策は難しいことではありません。
担税力のあるところから取って無いところへ再分配しろ、そうすれば内需も拡大して市場でお金が回るようになり、税収が増えることに繋がる。
という実に単純で簡潔で分かりやすいことなのです。
これは今まで何度か書いてきたことですが、これからも繰り返し書いていこうと思います。
また、今後税がどのような使われ方をするべきかを国民が知るためにも、そもそも何故財政状態が悪化したのかー道路や箱物など無駄な公共事業バラマキを続けてきたことのツケなのか、売ることのできないアメリカの国債を毎年買わされてるせいなのか等々ーの原因究明、責任追及も併せて行われるべきだと付け加えておきます。
法人税についてはこちらも是非お読みください。
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Nabe Party ~ 再分配を重視する市民の会 法人税(1) 日本の法人税はそんなに高いのか?
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