民主党代表選を見てみる
- 2010/09/02
- 16:00
民主党の代表選が始まりましたね。
相変わらず「政局はあっても政策無し」の自民党派閥抗争の延長の様相にうんざりしながらも、また、二人の間に入った鳩山元総理のめまぐるしい変節に呆れ果てながらも、やはり談合で手打ちにするよりは、代表戦になってよかったと思います。
何故かというと、政治指針であったはずのマニフェストが今や炎天下でズルズルにくずれた厚化粧の如く見る影もなくなり、迷走状態だからです。ここで政策論争を戦わせば、民主党はどういう方針でどこへ行こうとしてるのか、国民にきちんと示すことができるでしょう。
そう言う意味で私は代表戦を歓迎します。このお二人と同意見です。
◆きまぐれな日々(kojitakenさん)
小沢一郎は支持しないが、小沢一郎の代表選出馬を強く望む
◆草の根通信の志をついで(東本高志さん)
終りのはじまりとしての菅VS小沢の対決と妥協 民主党代表選をどう見るか
但し、代表戦が本当に有意義と言えるには、かなり具体的な部分にまで突っ込んだガチンコの政策論争にならなくてはなりません。「強い経済、強い社会保障」やら「マニフェストへの回帰」といった紋切り型の抽象的なお題目のやりとりばかりが予想されますが、これはほとんど中身が無く意味のない議論です。そういえばこれまでも総裁選、代表戦の政策論争ってそんな感じで、見応えのある論争ってあまり見たこと無いですね。
また、もしこういう紋切り型の抽象的な(あるいは中傷的な)やりとりに終始して具体的な細部の部分にツッコミができないのなら(そうなる気がする(^^;)、菅さんも小沢さんも自分の政策がきちんと詰め切れていないと言えますね。
そして、論争が深まらず上滑りで終わり、あとは多数派工作ばかりに労力を費やすなら(多分そうなりそう)、結局民主党も今までの自民党と何の変わりもない存在でしかないことを失望と共に国民に知らしめることになりましょう。
鳩山政権も菅政権も本質的に似たり寄ったりですから、そんなに政策に違いは出てこず、今後も論争は盛り上がりに欠けるだろうと予想されます。
ですが、若干違う点もあるようです。(若干です。自民党も派閥により若干政策の違いはありました、その程度の違いです。)
〈衆院選マニフェストについて〉
菅首相:実現に誠実に取り組む。財源の制約などで実現困難な場合、国民に率直に説明し理解を求める
小沢氏:政権交代の原点に立ち返り、誠実に実行することに全力を挙げる
小沢さんは「マニフェスト回帰」を正面にうちだし、一方菅さんは誠実に取り組むけれど小沢さんよりはもう少し柔軟に捉えるという点が若干違う程度です。
まあ鳩山政権時代から既にマニフェストは「やるやる詐欺」で、とても誠実に取り組んだとは言えません(最近またサボってる通知表をご覧下さい。こちらとこちらとこちら)
ですから小沢さんの言葉を額面通りに受けとるわけにはいきません。それに比例定数削減など、実現して欲しくないマニフェストもありますし。
〈消費税、財政について〉
菅首相:消費税を含む税制の抜本改革について検討し、実施に当たっては国民の真を問う。
小沢氏:消費税論議の前にまず徹底的に無駄を省く。政策財源は捻出できる。
菅さんは消費税を上げ、予算を削減し、公務員も削減する、という自民党そのままの新自由主義の路線をばく進しようとしているのは、内閣スタート時点で解っています。とうに破綻したこんな税制、財政政策など、到底受け入れられません。
では小沢さんは菅さんと何が違うかと言えば、「マニフェストで国民に約束したとおり消費税率ageはもう少し待て」ということだけ。それでどうするのかと言えばあとは菅さんと変わりないでしょう、予算削減と公務員削減です。
しかし「徹底的な無駄の削減」はもう事業仕分けショーで既にお試し済みではないですか?
当て込んでいたほど財源は捻出できず、結局教育、スポーツや福祉や文化など、削ってはいけないのに手っ取り早く削れるところを削りました。
結果、国民生活にツケをまわし、福祉や文化は貧困に拍車がかかることになるのがよくわかった事業仕分けショーだったはず。これ以上削れと言うなら、ますます国民生活を豊かに保障すべき財源が削られることになります。
一体いつまで「もっと無駄はあるはずだ、そこを削れば財源が出てくる」という神話にとらわれているのでしょうか。
お金があるところからたっぷり税金取って税収自体を増やそうという発想がどうして二人には欠片もないのでしょうか。・・あるわけないか、そんなことしたら財界様が許さないですもん。
そうそう小沢さん、徹底的に無駄を省きたいのなら軍事費、思いやり予算に手を付けましょうよ。たっぷり出ますよ(笑)
菅さんは小沢さんと違い消費税を上げるという点で言語道断ですが、小沢さんだって今は消費税あげなくったっていずれはageてくるのは目に見えています。
こういう緊縮財政では、縮小再生産にしかならず経済はどんどん萎縮していきます。国民生活は豊かにならず、デフレのままです。
小沢さんも程度の差はあっても新自由主義路線ですから、結局菅さんと五十歩百歩だと思います。
〈子ども手当について〉
小沢さんはマニフェスト回帰の一押しとして、子ども手当の増額をあげています。
でも、国民の側から言わせて貰えば、もっとやるべき優先課題があるだろうと言いたいです。たとえばセイフティネットの再構築、規制緩和の見直しや派遣法をもっとまともな改正案に練り直すことで、いい加減格差問題に取り組んで貰いたいのです。今朝の新聞では08年は世帯間格差が過去最高だと報道されていました。なのに民主党政府は発足して1年たっても無為無策です。
あと、取調の可視化、後期高齢者医療廃止、企業献金全面禁止も、早急に取り組むべき公約です。
民主党にとってはマニフェストの目玉は子ども手当だったからこれにこだわりたいのでしょうけど、国民がマニフェストの何を求めているかについてピントずれてる時点でなんだかなあ、です。
〈普天間問題について〉
私が税制、財政と並んで注目したのがこれです。
菅首相:日米合意を踏まえて取り組む。もう一回白紙に戻して議論すると、混迷を招く
小沢氏:沖縄県、米政府とあらためて話し合う。知恵を出せば納得できる案は必ずできる
噂では小沢さんは「アメリカに唯一NOと言える政治家」らしいですから(笑)、一体どこまで本気で普天間問題見直しに取り組むかを見たいと思っていました。
が、早々に底が割れてしまったようですね。
望んでるのは日米共同声明の撤回なのに、その可能性を早々に否定しちゃいましたね。ならば普天間問題でも小沢さんには期待できそうもありません。
「幹事長時代、政府の政策決定に全く関与していない」という言い訳はちょっとご都合主義的な責任逃れではないでしょうか。だって幹事長は時の首相を支えるものだし、現に企業団体献金禁止を21世紀臨調に丸投げして公約を反故にした張本人は小沢さんです。
だいたい「沖縄、米政府双方と話し合って双方が納得できる云々」なんていう八方美人的玉虫色方針は、鳩山さんが言ってたことです。で、何をしたかと言えば、アメリカの言いなりになって沖縄に一方的負担を押しつけること。
政府が「沖縄と米政府双方と話し合う」「双方納得できる案を」と言うときは「沖縄に問答無用で飲んで貰う」というのと同義語です。
もういちど鳩山さんと同じことをその時幹事長だった小沢さんに言われたって、だれが「小沢さんならアメリカの言いなりならず必ず国外県外移転をやってくれる」などとお人好しにも信じられるでしょうか。
二人とも基本的にアメリカ従属、財界言いなりの新自由主義路線であることにさしたる違いはなく、これから2週間、せいぜい「マニフェスト回帰」やら「政治とカネにけじめをつけろ」やらだけで終わりそうな予感・・・
(ところで「政治とカネ」といえば、菅さんは確か幹事長辞任でけじめをつけたと言ってたのに、自分の対立候補になったとたん攻撃材料にした、と言う感は否めませんね。)
この私の予想が裏切られ、2週間後には白熱した深い政策論争が行われていることを望みます。
そうすれば、まだ代表戦によって今後の政治にいくばくか希望が持てるし、民主党完全終了のお知らせをしなくてすむのですが。
相変わらず「政局はあっても政策無し」の自民党派閥抗争の延長の様相にうんざりしながらも、また、二人の間に入った鳩山元総理のめまぐるしい変節に呆れ果てながらも、やはり談合で手打ちにするよりは、代表戦になってよかったと思います。
何故かというと、政治指針であったはずのマニフェストが今や炎天下でズルズルにくずれた厚化粧の如く見る影もなくなり、迷走状態だからです。ここで政策論争を戦わせば、民主党はどういう方針でどこへ行こうとしてるのか、国民にきちんと示すことができるでしょう。
そう言う意味で私は代表戦を歓迎します。このお二人と同意見です。
◆きまぐれな日々(kojitakenさん)
小沢一郎は支持しないが、小沢一郎の代表選出馬を強く望む
◆草の根通信の志をついで(東本高志さん)
終りのはじまりとしての菅VS小沢の対決と妥協 民主党代表選をどう見るか
但し、代表戦が本当に有意義と言えるには、かなり具体的な部分にまで突っ込んだガチンコの政策論争にならなくてはなりません。「強い経済、強い社会保障」やら「マニフェストへの回帰」といった紋切り型の抽象的なお題目のやりとりばかりが予想されますが、これはほとんど中身が無く意味のない議論です。そういえばこれまでも総裁選、代表戦の政策論争ってそんな感じで、見応えのある論争ってあまり見たこと無いですね。
また、もしこういう紋切り型の抽象的な(あるいは中傷的な)やりとりに終始して具体的な細部の部分にツッコミができないのなら(そうなる気がする(^^;)、菅さんも小沢さんも自分の政策がきちんと詰め切れていないと言えますね。
そして、論争が深まらず上滑りで終わり、あとは多数派工作ばかりに労力を費やすなら(多分そうなりそう)、結局民主党も今までの自民党と何の変わりもない存在でしかないことを失望と共に国民に知らしめることになりましょう。
鳩山政権も菅政権も本質的に似たり寄ったりですから、そんなに政策に違いは出てこず、今後も論争は盛り上がりに欠けるだろうと予想されます。
ですが、若干違う点もあるようです。(若干です。自民党も派閥により若干政策の違いはありました、その程度の違いです。)
〈衆院選マニフェストについて〉
菅首相:実現に誠実に取り組む。財源の制約などで実現困難な場合、国民に率直に説明し理解を求める
小沢氏:政権交代の原点に立ち返り、誠実に実行することに全力を挙げる
小沢さんは「マニフェスト回帰」を正面にうちだし、一方菅さんは誠実に取り組むけれど小沢さんよりはもう少し柔軟に捉えるという点が若干違う程度です。
まあ鳩山政権時代から既にマニフェストは「やるやる詐欺」で、とても誠実に取り組んだとは言えません(最近またサボってる通知表をご覧下さい。こちらとこちらとこちら)
ですから小沢さんの言葉を額面通りに受けとるわけにはいきません。それに比例定数削減など、実現して欲しくないマニフェストもありますし。
〈消費税、財政について〉
菅首相:消費税を含む税制の抜本改革について検討し、実施に当たっては国民の真を問う。
小沢氏:消費税論議の前にまず徹底的に無駄を省く。政策財源は捻出できる。
菅さんは消費税を上げ、予算を削減し、公務員も削減する、という自民党そのままの新自由主義の路線をばく進しようとしているのは、内閣スタート時点で解っています。とうに破綻したこんな税制、財政政策など、到底受け入れられません。
では小沢さんは菅さんと何が違うかと言えば、「マニフェストで国民に約束したとおり消費税率ageはもう少し待て」ということだけ。それでどうするのかと言えばあとは菅さんと変わりないでしょう、予算削減と公務員削減です。
しかし「徹底的な無駄の削減」はもう事業仕分けショーで既にお試し済みではないですか?
当て込んでいたほど財源は捻出できず、結局教育、スポーツや福祉や文化など、削ってはいけないのに手っ取り早く削れるところを削りました。
結果、国民生活にツケをまわし、福祉や文化は貧困に拍車がかかることになるのがよくわかった事業仕分けショーだったはず。これ以上削れと言うなら、ますます国民生活を豊かに保障すべき財源が削られることになります。
一体いつまで「もっと無駄はあるはずだ、そこを削れば財源が出てくる」という神話にとらわれているのでしょうか。
お金があるところからたっぷり税金取って税収自体を増やそうという発想がどうして二人には欠片もないのでしょうか。・・あるわけないか、そんなことしたら財界様が許さないですもん。
そうそう小沢さん、徹底的に無駄を省きたいのなら軍事費、思いやり予算に手を付けましょうよ。たっぷり出ますよ(笑)
菅さんは小沢さんと違い消費税を上げるという点で言語道断ですが、小沢さんだって今は消費税あげなくったっていずれはageてくるのは目に見えています。
こういう緊縮財政では、縮小再生産にしかならず経済はどんどん萎縮していきます。国民生活は豊かにならず、デフレのままです。
小沢さんも程度の差はあっても新自由主義路線ですから、結局菅さんと五十歩百歩だと思います。
〈子ども手当について〉
小沢さんはマニフェスト回帰の一押しとして、子ども手当の増額をあげています。
でも、国民の側から言わせて貰えば、もっとやるべき優先課題があるだろうと言いたいです。たとえばセイフティネットの再構築、規制緩和の見直しや派遣法をもっとまともな改正案に練り直すことで、いい加減格差問題に取り組んで貰いたいのです。今朝の新聞では08年は世帯間格差が過去最高だと報道されていました。なのに民主党政府は発足して1年たっても無為無策です。
あと、取調の可視化、後期高齢者医療廃止、企業献金全面禁止も、早急に取り組むべき公約です。
民主党にとってはマニフェストの目玉は子ども手当だったからこれにこだわりたいのでしょうけど、国民がマニフェストの何を求めているかについてピントずれてる時点でなんだかなあ、です。
〈普天間問題について〉
私が税制、財政と並んで注目したのがこれです。
菅首相:日米合意を踏まえて取り組む。もう一回白紙に戻して議論すると、混迷を招く
小沢氏:沖縄県、米政府とあらためて話し合う。知恵を出せば納得できる案は必ずできる
噂では小沢さんは「アメリカに唯一NOと言える政治家」らしいですから(笑)、一体どこまで本気で普天間問題見直しに取り組むかを見たいと思っていました。
が、早々に底が割れてしまったようですね。
中日新聞朝刊(2010/09/02)より
(引用開始)
米軍普天間飛行場の移設問題でもやり合った。小沢氏が米政府と、沖縄剣と再協議する意向を示し「頭にあることは言えない」と日米合意の見直しを示唆すると、首相は「(五月の日米合意時の)幹事長は小沢氏。白紙に戻すと、混迷をあらためて招く」と突っ込んだ。
これに小沢氏が「ちょっと、誤解されるといけない。白紙に戻すと言ってるわけではない。また、幹事長時代、政府の政策決定に全く関与していない」と割って入る場面もあった。
(引用ここまで)
望んでるのは日米共同声明の撤回なのに、その可能性を早々に否定しちゃいましたね。ならば普天間問題でも小沢さんには期待できそうもありません。
「幹事長時代、政府の政策決定に全く関与していない」という言い訳はちょっとご都合主義的な責任逃れではないでしょうか。だって幹事長は時の首相を支えるものだし、現に企業団体献金禁止を21世紀臨調に丸投げして公約を反故にした張本人は小沢さんです。
だいたい「沖縄、米政府双方と話し合って双方が納得できる云々」なんていう八方美人的玉虫色方針は、鳩山さんが言ってたことです。で、何をしたかと言えば、アメリカの言いなりになって沖縄に一方的負担を押しつけること。
政府が「沖縄と米政府双方と話し合う」「双方納得できる案を」と言うときは「沖縄に問答無用で飲んで貰う」というのと同義語です。
もういちど鳩山さんと同じことをその時幹事長だった小沢さんに言われたって、だれが「小沢さんならアメリカの言いなりならず必ず国外県外移転をやってくれる」などとお人好しにも信じられるでしょうか。
二人とも基本的にアメリカ従属、財界言いなりの新自由主義路線であることにさしたる違いはなく、これから2週間、せいぜい「マニフェスト回帰」やら「政治とカネにけじめをつけろ」やらだけで終わりそうな予感・・・
(ところで「政治とカネ」といえば、菅さんは確か幹事長辞任でけじめをつけたと言ってたのに、自分の対立候補になったとたん攻撃材料にした、と言う感は否めませんね。)
この私の予想が裏切られ、2週間後には白熱した深い政策論争が行われていることを望みます。
そうすれば、まだ代表戦によって今後の政治にいくばくか希望が持てるし、民主党完全終了のお知らせをしなくてすむのですが。
- 関連記事
-
- 代表戦の公開討論が始まって、菅氏も小沢氏も総理にふさわしくないことを再度確認しました。 (2010/09/04)
- 民主党代表選を見てみる (2010/09/02)
- 鳩山元総理が酷すぎる(追記あり) (2010/08/28)
スポンサーサイト
トラックバック
民主党代表選での「論戦」を追う (1)
菅氏か小沢氏かどちらを支持するかとか、どちらに民主党代表(つまり首相)になってほしいか、ということよりも、この代表選でおこなう...
- 2010/09/03(00:58)
- 村野瀬玲奈の秘書課広報室
小沢一郎が早くも正体を露呈。それでも「小沢政権」を望む
個人的なことを書くと、8月の盆明けから少し忙しく、そこにもってきて猛暑だったので、昨日はついに夜9時前に帰宅したあと、テレビのニュース...
- 2010/09/03(08:47)
- きまぐれな日々