忘勿石（わすれないし）

お久しぶりです。
お休みの間にもコメントやトラバをいただき、ありがとうございました(^^)
まだ頭が休みぼけしているので、お返事はまたあらためて。

今日は、このお休み中に旅先で出会えた心にしみる歌「忘勿石」をご紹介したいと思います。（これ、15日に書けると良かったんですけど^^;）

太平洋戦争中、八重山諸島最南端の有人島の波照間島（ベスマ）の島民は、日本軍の命令で西表島に強制疎開させられました。西表島は当時マラリア汚染地域で、日本軍はそのことを知っていたにもかかわらず島民を強制移住させたのです。

そんな中でも教育だけは行わなければいけないと当時校長だった識名信升氏は、西表島南風見田（はえみた）浜の東端の岩場、通称「ヌギリヌパ」（鋸の歯）の一角で青空授業を行いました。
しかし日本軍はそれすら許さず、授業は中止させられました。
そしてマラリアが疎開した島民を凄い勢いで襲い始めました。この死の病で島民の三分の一が命を落とし、子ども達も次々と亡くなりました。

疎開が解除され波照間に戻る際、識名校長は青空教室を開いたヌギリヌパの岩に、教え子達を失った痛恨の思いとこの悲惨な歴史を忘れてはいけないとの思いを込めて「忘勿石（わすれないし）　ハテルマ　シキナ」と刻みました。
亡くなった大勢の波照間島の島民はどれほどふるさとの島に戻りたかったことでしょうか。
島に帰った識名校長の悲しみはどれほど深かったことでしょうか。

この石のことは1954年偶然に発見されるまで誰にも知られることはありませんでした。世に知られるようになったのは、1983年に「もうひとつの沖縄戦」が刊行されてからです。
今はこの場所に「忘勿石之碑」が建てられています。

唯一の地上戦となった沖縄本島の影に隠れて忘れられがちな八重山諸島ですが、ここにも日本軍によってもたらされた忘れてはいけない沖縄の悲劇があります。
この石に刻まれた悲しみに思いを馳せた歌が「忘勿石（わすれないし）」です。石垣島出身のアーティスト、前花雄介さんが歌っています。



【補足】こちらも参考にしてください
http://homepage2.nifty.com/love_yaeyama/wasurenaishi00.html