千葉法相が任意取り調べでの録音を容認の方針
- 2010/07/22
- 12:00
この情報を伝えたのは神奈川新聞だけのようです。
神奈川新聞
任意聴取の録音容認方針、江川紹子氏質問に千葉法相が回答
2010年7月21日
参院任期満了(今月25日)後の閣僚続投が内定している千葉景子法相(神奈川選挙区)は20日の閣議後会見で、犯罪捜査にからむ検察庁などの任意聴取において、捜査協力者によるやりとりの録音を容認する考えを示した。「閣僚任期中に何らかの形で捜査機関へ伝える」とした。
フリージャーナリスト・江川紹子氏の質問に答えた。千葉氏が横浜で弁護士をしていた当時の神奈川新聞司法担当記者が江川氏という関係。会見後の取材に同氏は「現場経験を踏まえ、これまでの法相でなしえなかった足跡を残してほしい」とエールを送った。
任意聴取段階での録音を禁止する法的な根拠はないが、江川氏は質問で「任意の協力者であるにもかかわらず、捜査当局は聴取経過の録音を認めない」などと指摘し改善を求めた。
千葉法相は「任意聴取段階での録音は過去の事例としてある」として、「拒否する根拠はない」との認識を表明。容認対象についても「(東京地検)特捜部だけが例外といったことにはならない」などと、警察も含めた捜査当局全般に録音についての周知を進めていく意向を示した。
「この取り調べや警察署への同行は任意である」と言いながら、実際は警察署に長時間監禁して実質強制的な取り調べを行うことは日常茶飯事です。
「任意」のはずなのに警察官に取り囲まれて警察署への同行を断れないような雰囲気が醸し出され、連れて行かれたが最後自白するまで帰りたいと申し出ても帰らせてもらえなかったり、トイレにも行かせてもらえなかったり・・・はざら。
警察が次の日も来いと言えば一般市民は怖くて断れないでしょうから嫌々警察署に出向くでしょう。そうして連日朝から晩まで連続して警察で取調をうけることのどこが任意なんだか。
氷見事件も容疑者とされた男性は三日間長時間の「任意」取り調べを受けた末に自白、そして逮捕に至っています。
足利事件でも「任意」の段階で警察に非常に乱暴な罵声と暴力を浴びせられたことがトラウマになって、逮捕後の取調では「素直」に自白を続けてしまいます。
警察が目を付ければ逮捕できるだけの事由がなくても「任意」の名目でしょっ引いて自白を引き出し、その自白をもとに逮捕するというのが日本の警察の常套手段です。
ですから任意取調の段階で取調の様子を記録しておくのは非常に大切なことです。取調の録音をしてはいけないという法的根拠は何もないのにこれまで警察は録音を拒んできました。ですから法相のこの回答は、任意の段階の取調を可視化するものとして一歩前進と評価できるでしょう。
もし録音を拒否されたら取調には応じないようにしましょう、法相が録音OKというお墨付きをだしたのですから。
nyanmayu さんがツイッターでこう書かれています。
原則禁止というか、法的根拠ないのに事実上録音をさせないのです。(続く)
(続き)逮捕・勾留されていない人に対する取調べは、あくまでも「任意」の取調べ。私たちは取調べ自体をいつでも拒否できるし、条件をつけて応じるのも自由。録音させろという条件でも。法的には、捜査機関側に録音を拒否して取調べを強行する権限はないのです。(続く)
(続き)もし任意の取調べを受ける憂き目にあったら、黙ってICレコーダーを持ち込んでしまいましょう。見つかってしまったら、明確に持ち込み録音を求める。いったん拒否されても求める。それでも主張しきれず、録音できないまま取調べが強行されたら、(続き)
録音を求めたが拒否されたという事実を証拠化しておくべきです。経緯を文章化し確定日付を得るか、警察署長や検察庁宛に抗議文を内容証明で送りつけておくのも手です。ただ、一方では逮捕に踏み切られるリスクは常に考える必要があるので、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
「この任意取り調べに応じなかったら逮捕するぞ」という脅しをチラつかせるのであれば、もうその取調は任意とは言えませんね。
任意の取調において「録音に応じないなら取調を拒否しましょう」というレクチャーをしなくてはならないのはある意味奇妙なことです。だって録音を要求したのにそれが認められず取調が続行される、と言う状況は既に「任意の取り調べ」では無くなってるのですから。
日本では「任意取り調べ」の名目で実際は強制的な身柄拘束下の取調が横行しているからこういうレクチャーが必要になってしまうのです。
法相がこの通達を捜査機関に徹底して現場で遵守されれば、千葉法相は取調の全面可視化はやらなかったけれど「これまでの法相でなしえなかった足跡」をひとつ残せたことになりますね。物足りない気もしますけど。
- 関連記事
-
- 非民主的な靖国‘特高警察’に抗議します~ヤメ蚊さんのブログから転載 (2010/08/25)
- 千葉法相が任意取り調べでの録音を容認の方針 (2010/07/22)
- 取り調べ全面可視化を拒む民主党の意味不明な屁理屈 (2010/06/23)
トラックバック
[時事][犯罪][ブログ]「任意取り調べの録音」が証拠で大騒動に。この先駆者が小谷野敦氏・江川紹子氏
- 2010/10/08(07:55)
- 見えない道場本舗