(※村野瀬玲奈さんのご指摘により、一部訂正しました。みどりさん、kojitakenさん、どうも失礼しましたm(_ _)m)
私はまだ未読なのですが、神野直彦氏の「分かち合いの経済学」を色々な方が推薦しています。
◆気まぐれな日々
神野直彦『「分かち合い」の経済学』に見る消費税増税論批判◆労働組合ってなにするところ?
『「分かち合い」の経済学』は今読むべき本◆村野瀬玲奈の秘書課広報室
菅直人内閣の「税制改革」に警戒が必要。そのためにも神野直彦『「分かち合い」の経済学』を読もうこの本を読んだ感想が
志村建世さんのブログでアップされており、参考になりました。
この記事は読書感想文の感想文になるのかな、なんだか夏休みの宿題の読書感想文を友達のをコピペしてズルしたみたいな気分・・(笑)
特に印象に残ったのは最後の部分でした。
(引用開始)
この時代に必要なのは、成年男子だけでなく、女性や老人や障害者も含む、幅広い人々の生産活動への参加です。したがって旧来の「家庭内の分かち合い」を超えた「社会全体の分かち合い」が必要になるのです。その変換に成功し、国民多数の能力を伸び伸びと発揮できるようになった国こそが、真の「先進国」になれるということです。
国民福祉の先進国である北欧が、国際競争力でも強い国でいられるのはなぜか。そこには「国民が広く参加する大きな政府」があるからです。(引用ここまで)
日本ではどうでしょう。「国際競争力をつけるには、法人税減税」の一辺倒です。
私は経済に詳しいわけではありませんが、今の日本で法人税を減らすことが国際競争力をアップすることに繋がるのか、疑問に思います。
まず第一に日本の法人税は決して高い方ではないこと、また大企業は既に過去最高の内部留保をため込んでいることはこちらを。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20100413/221091/?P=7http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10488967457.html大企業は法人税減税や派遣切りなどの雇用の切り捨てで既に内部留保をばっちりためこんでいるのですから、これ以上法人税を減らしても大企業の「へそくり」を増やすだけで、国際競争力のアップに繋がるとはとても思えません。
経済全体からみれば、膨大な内部留保は市場に出回らず眠っているお金=ただの死に金になります。お金は流通することで市場が活性化するのでしょう?史上最高と言われる内部留保を、労働者の賃金アップや雇用の安定、地方税として放出しないことが、かえって経済を停滞させてるのではないでしょうか。
(ブログ「すくらむ」さんのこちらが参考になります。
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10458022602.html)
そもそも私達は、雇用と福祉の充実と経済の成長は両立しないモノ、どちらかを延ばそうと思うならどちらかを犠牲にせねばならないもののように最初から思いこんでいる節があります。
しかし、スウェーデンでは、かつてバブルが崩壊して失業率が増大したとき、手厚い社会保障でとにかく労働者を守ることにより危機を脱した実績があります。(日本はバブル崩壊してからずっとずるずる不況から脱することが出来ないままです)
「法人税減税=国際競争力のアップ」は、労働者の犠牲や我慢してもらうことで企業側を潤わせることで競争力がつくという認識が前提になっています。
しかし、その認識は実は誤ったものであり、私達は知らず知らずのうちに間違った認識を当然の前提としてすり込まれてるんじゃないでしょうか?
現実を見てみましょう。労働者には我慢して貰って、会社が潤ってきたら、次は君たちにもおこぼれが滴ってくるから、それまでの我慢だよ、という「トリクルダウン」ですが・・・もうずっと待ってるんですけど、一体いつまで待てばおこぼれが滴ってくるのでしょう?企業の内部留保は過去最高なのに、労働者の賃金アップや、地方に納める税金として、ちっとも滴って来ないじゃないですか
法人税を減税すれば税収も減るわけですから、そのぶんのつけを消費税増税で補わせようとしています。このセットメニューでは、大企業は潤うけれど、そんなに裕福ではない国民の大多数の層が打撃を被り、国内の消費全体はますます冷え込むのは見えています。
国民全体の生活が貧しくなって痩せていったら、日本の経済全体は更に地盤沈下をおこすでしょう。地盤沈下を起こしてるところにいくら「強い大企業」が高いビルを建てたってどんどん沈んでいくだけです。
ほんの一握りの人間だけが豊かで、あとは食うや食わずの貧しい状態の国は、豊かさは見かけだけ。国全体の基礎体力が無く骨粗鬆症のような状態だと思います。骨粗鬆症で「強い国際競争力」なんてとてもとても・・・
かつて日本が安定した経済大国と言われたのは、一億総中流と言われたように、国民全体が一応の生活水準を保つことが出来た骨太さがあったからではないでしょうか。(その骨太さの中心に、日本独特の年功序列賃金、終身雇用制があったわけですが、今はこの是非については述べません)
法人税減税よりも、むしろ増税してそれを国民の生活の基盤をを上げていく政策に回すことが国際競争力の底上げになるかと思います。
また、格差社会は、努力しても報われないことが特徴です。
努力が報われる社会と報われない社会とではどちらがモチベーションが高くなるかは明らかでしょう。
「国際競争力を上げるには法人税減税が必要」この常套句を疑ってかかりましょう。
そして「国際競争力を上げるには、法人税減税ではなく、企業の内部留保を国民の生活水準をあげ、格差を解消することにまわすことが必要」という発想の転換を政府に突きつけることが必要かと思います。
経済は常に流動的な生き物ですから、この方法で行けばいつの時代でも必ず大丈夫というものではなく、常に現状に応じて修正を模索して行かねばならないと思いますが、スウェーデンモデルは、二兎を追って二兎とも得る道もあることを示しており、学ぶところは大きいと思います。
「福祉の先進国こそが強い国際競争力を持つ」
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