米軍基地は日本に必要だから仕方がない、という自縄自縛
- 2010/05/25
- 14:00
中日新聞(5/23朝刊)が普天間問題について市民50人に聞いたアンケートを載せていたので書き写します。対象人数が50人と少ないので即これが世論だということにはなりませんが、参考程度に見ていただくといいと思います。
今までのエントリーと内容が重複するところも多いでしょうが、まとめも兼ねて、基地は必要or不必要、また移設に賛成or反対の理由を、もう一度一つ一つ見てみたいと思います。
沖縄米軍基地は日本の平和に必要か
必要と思う場合、県外移設に賛成か(計50人)
●必要(33人/50)
移設反対(18人/33) その理由
a.日本の国益、沖縄駐留米軍の存在意義を考えると県内移設は仕方がない(海兵隊は戦略上地政学上、沖縄にあるべきだ、という意味だと思われます)
b.年頃の娘が三人いる。米軍基地が近いと事件が心配
c.自分が首相なら土下座してでも沖縄の人に辛抱してもらう。そのかわり税金を安くするなど生活への配慮や米軍弊紙による犯罪をもっと公にして厳罰にするなどの対策をする
a.については、海兵隊が沖縄にいなくてはならない戦略上地政学上の理由はなにもありません。過去記事で揚げてきましたのでそちらを参考に
b.はごもっともです。だから日本中みな基地には来てもらいたくないのです。沖縄の人も自分の娘が心配なのは同じです。ですから、娘が心配なら、基地は撤去という方向で考えていくべきでしょう。
c.は典型的札束叩きではないかと。では、もしあなたなら税金を安くして貰えたり振興策でお金がもらえたり、米軍に厳罰を課せられるようにすれば(地位協定の問題はあるでしょうが)、基地を引き受けても良いですか?という話になります。
自分ができないのに沖縄に押しつけるなら、それは沖縄差別です
自分がイヤなら沖縄の人だってイヤなのです。
移設賛成(15人/33)
自分の町でも受け入れる(10人/15)
・心情的には反対だが、、沖縄に押しつけるわけにはいかない。
・原発と同じ。拒否するだけでは国のためにならない
移設は賛成だが自分の町はいや(5人/15)
・基地がいらない世界をつくれば解決するが、それができないから困る
沖縄差別を避けようとする点はいいのですが、「米軍基地を拒否するのは国のためにならない」といのは見事な「米軍基地は抑止力」の呪縛だと思います。
「基地がいらない世界が作れればいいがそれができないから困る。」少なくとも、日本に基地がないと困るというのも、思いこみ、自縛ではないでしょうか。
だって善し悪しは別にして、日本には世界5位以内、アジアで2位の規模を持つ自衛隊があるではないですか。5兆円の予算でもまだ米軍基地がないと足りないというのはちょっと心配性過ぎやしませんか。
それに、今の日本には軍事力ではなく憲法9条こそが抑止力ではないかと私は思います(過去記事に書きました)
移設は賛成だが自分の町はいや、というのは正直な本音だと思いますがさすがに自分勝手、他人に対しては説得力に欠けますよね^^;
●不必要・そもそも日本に米軍基地はいらない(17人/50)
・基地ありきでは、戦争がない世の中などつくれない
・米国は本当に私達を守ってくれるのか
・テロの標的はいつも米国。米軍がいない方が安全では
・沖縄に押しつけず、一人一人が自分の問題と考え、基地縮小の運動を続けるべき
三分の一の人がそもそも米軍基地はいらないと考えてるのですね。たった50人のアンケートですから何とも言えませんが、もし日本の三分の一の人がそう考えてるとしたら、これは無条件基地撤去に向けて国民的議論をおこせる数字ではないでしょうか。
さて、27日に鳩山首相は普天間など沖縄の基地機能や訓練の分散移転に直接協力を求めるため、全国知事会を開きますが、これは日本は米軍基地を引き受けなくてはならないという自縄自縛から一歩も抜け出ていないのを示すもので、私は賛成できません。
日本が引き受けなければならないという前提がおかしいのですから、どこかひきうけてくれるとこないですかと探すのもおかしなことです。
日本はもうこれ以上基地を引き受けないという意思を沖縄とともに連帯して発信していく必要があるのに、知事会で引受先を探すことは「私達も一緒に基地を引き受けよう」という誤った方向の考え方を強化してしまいます。
地域が基地を引き受けないのは、沖縄とともに日本から基地を無くそうとする動きの一環です。
地域が基地を引き受けない=沖縄におしつけるという誤った構図を作られちゃったらたまりません。
基地被害の痛みは、戦争で家族を亡くす痛みと同様、誰かが引き受けなくてはならない痛みではなく、誰一人として味わわせてはならない痛みだと思います。
米軍基地は必要悪、仕方ないという自縄自縛を解くポイントは、
・日本の安全、抑止力のために必要悪だという思いこみ
・基地被害があってもある程度はしかたない、という卑屈なあきらめ
(これって、私達の無意識にすり込まれた卑屈な被植民地根性ではないでしょうか。もし安保を解消しないのだとしても、従属的関係を解消し、対等な関係にならなければ、基地被害はなくなりません。普天間は、アメリカでは安全基準をみたしておらず、あのような基地を住宅地に作ることは出来ません。なのに日本だと平気で安全基準を無視しているのです。これこそアメリカが日本をポチだと見下げている証拠です。
一度、米軍基地がある(あった)他の国はどうなのか比較してみるのもいいと思います。日本がいかに卑屈かわかるでしょう)
・安保がある以上仕方ない、というが、安保は実は一方的通告で解消できることをどのくらいの人が知っているか
・抑止力が必要と言うからにはその前提として仮想敵国が存在しなければならないが、ほんとうにその仮想敵国は脅威なのか、という検証
このあたりがポイントだろうと思います。
そしてもうひとつ考えてみていいのが、軍事力を備えることで他国の侵略を抑止する、という従来の考えはもう古いんじゃないかと言うことです。
もう他国を侵略・占領し植民地にし、自国の利益を生み出そうという帝国主義時代はとっくに終わりました。もうそんなやり方は古いし不経済極まりないです。東西冷戦も終わりました。
で、現在の戦争は、以前のような国対国の戦争ではなく、国対テロ組織や犯罪組織、民族抵抗との戦争に変わってきています。
この戦争にはかつての抑止力というものが通じないのです。
国対国の戦争だと、相手の城にむかって砲撃し、その城を破壊すれば勝負がつきます。
しかしテロ組織にはそういう動かない城がありません。相手はフレキシブルに移動する多数の人間です。しかもそれは憎悪によりメンバーが再生産され、きりがありません。つまり、旧来の抑止力がきかないのです。
かくしてアメリカはいつまでたってもテロの影に怯えることになります。そして今のようにアメリカの従属的な運命共同体のままでは、日本もそこに巻き込まれるおそれが大きいです。
このことも「米軍基地の抑止力」を考えるとき、覚えておいた方が良いのではないかと思います。(追記:それに最近戦争仕掛けるのは米国ばかりということも)
ところで余談
「首相から与えられた課題に答えが出せないなら知事会は解散だ」って、これまた勇ましい自己犠牲精神ですこと。
率先して負担を申し出るという意外性で人心をつかむのが上手い橋下氏らしい発言だと思いました。
基地を引き受けないのは、沖縄の同胞を見殺しにする非国民だ、とか言い出しそうです。これ、一見正しそうに見えるから騙される人も出てきそうですね。
もっともこの人、核武装論者で軍隊大好き徴兵制賛成の人ですし、大坂カジノ構想なんてブチ上げる人ですから、カジノやバーのネオンがきらめきかっこいい米兵が闊歩する眠らない街の首長として君臨したい、なんて夢をみているのかも・・(^^;
今までのエントリーと内容が重複するところも多いでしょうが、まとめも兼ねて、基地は必要or不必要、また移設に賛成or反対の理由を、もう一度一つ一つ見てみたいと思います。
沖縄米軍基地は日本の平和に必要か
必要と思う場合、県外移設に賛成か(計50人)
●必要(33人/50)
移設反対(18人/33) その理由
a.日本の国益、沖縄駐留米軍の存在意義を考えると県内移設は仕方がない(海兵隊は戦略上地政学上、沖縄にあるべきだ、という意味だと思われます)
b.年頃の娘が三人いる。米軍基地が近いと事件が心配
c.自分が首相なら土下座してでも沖縄の人に辛抱してもらう。そのかわり税金を安くするなど生活への配慮や米軍弊紙による犯罪をもっと公にして厳罰にするなどの対策をする
a.については、海兵隊が沖縄にいなくてはならない戦略上地政学上の理由はなにもありません。過去記事で揚げてきましたのでそちらを参考に
b.はごもっともです。だから日本中みな基地には来てもらいたくないのです。沖縄の人も自分の娘が心配なのは同じです。ですから、娘が心配なら、基地は撤去という方向で考えていくべきでしょう。
c.は典型的札束叩きではないかと。では、もしあなたなら税金を安くして貰えたり振興策でお金がもらえたり、米軍に厳罰を課せられるようにすれば(地位協定の問題はあるでしょうが)、基地を引き受けても良いですか?という話になります。
自分ができないのに沖縄に押しつけるなら、それは沖縄差別です
自分がイヤなら沖縄の人だってイヤなのです。
移設賛成(15人/33)
自分の町でも受け入れる(10人/15)
・心情的には反対だが、、沖縄に押しつけるわけにはいかない。
・原発と同じ。拒否するだけでは国のためにならない
移設は賛成だが自分の町はいや(5人/15)
・基地がいらない世界をつくれば解決するが、それができないから困る
沖縄差別を避けようとする点はいいのですが、「米軍基地を拒否するのは国のためにならない」といのは見事な「米軍基地は抑止力」の呪縛だと思います。
「基地がいらない世界が作れればいいがそれができないから困る。」少なくとも、日本に基地がないと困るというのも、思いこみ、自縛ではないでしょうか。
だって善し悪しは別にして、日本には世界5位以内、アジアで2位の規模を持つ自衛隊があるではないですか。5兆円の予算でもまだ米軍基地がないと足りないというのはちょっと心配性過ぎやしませんか。
それに、今の日本には軍事力ではなく憲法9条こそが抑止力ではないかと私は思います(過去記事に書きました)
移設は賛成だが自分の町はいや、というのは正直な本音だと思いますがさすがに自分勝手、他人に対しては説得力に欠けますよね^^;
●不必要・そもそも日本に米軍基地はいらない(17人/50)
・基地ありきでは、戦争がない世の中などつくれない
・米国は本当に私達を守ってくれるのか
・テロの標的はいつも米国。米軍がいない方が安全では
・沖縄に押しつけず、一人一人が自分の問題と考え、基地縮小の運動を続けるべき
三分の一の人がそもそも米軍基地はいらないと考えてるのですね。たった50人のアンケートですから何とも言えませんが、もし日本の三分の一の人がそう考えてるとしたら、これは無条件基地撤去に向けて国民的議論をおこせる数字ではないでしょうか。
さて、27日に鳩山首相は普天間など沖縄の基地機能や訓練の分散移転に直接協力を求めるため、全国知事会を開きますが、これは日本は米軍基地を引き受けなくてはならないという自縄自縛から一歩も抜け出ていないのを示すもので、私は賛成できません。
日本が引き受けなければならないという前提がおかしいのですから、どこかひきうけてくれるとこないですかと探すのもおかしなことです。
日本はもうこれ以上基地を引き受けないという意思を沖縄とともに連帯して発信していく必要があるのに、知事会で引受先を探すことは「私達も一緒に基地を引き受けよう」という誤った方向の考え方を強化してしまいます。
地域が基地を引き受けないのは、沖縄とともに日本から基地を無くそうとする動きの一環です。
地域が基地を引き受けない=沖縄におしつけるという誤った構図を作られちゃったらたまりません。
基地被害の痛みは、戦争で家族を亡くす痛みと同様、誰かが引き受けなくてはならない痛みではなく、誰一人として味わわせてはならない痛みだと思います。
米軍基地は必要悪、仕方ないという自縄自縛を解くポイントは、
・日本の安全、抑止力のために必要悪だという思いこみ
・基地被害があってもある程度はしかたない、という卑屈なあきらめ
(これって、私達の無意識にすり込まれた卑屈な被植民地根性ではないでしょうか。もし安保を解消しないのだとしても、従属的関係を解消し、対等な関係にならなければ、基地被害はなくなりません。普天間は、アメリカでは安全基準をみたしておらず、あのような基地を住宅地に作ることは出来ません。なのに日本だと平気で安全基準を無視しているのです。これこそアメリカが日本をポチだと見下げている証拠です。
一度、米軍基地がある(あった)他の国はどうなのか比較してみるのもいいと思います。日本がいかに卑屈かわかるでしょう)
・安保がある以上仕方ない、というが、安保は実は一方的通告で解消できることをどのくらいの人が知っているか
・抑止力が必要と言うからにはその前提として仮想敵国が存在しなければならないが、ほんとうにその仮想敵国は脅威なのか、という検証
このあたりがポイントだろうと思います。
そしてもうひとつ考えてみていいのが、軍事力を備えることで他国の侵略を抑止する、という従来の考えはもう古いんじゃないかと言うことです。
もう他国を侵略・占領し植民地にし、自国の利益を生み出そうという帝国主義時代はとっくに終わりました。もうそんなやり方は古いし不経済極まりないです。東西冷戦も終わりました。
で、現在の戦争は、以前のような国対国の戦争ではなく、国対テロ組織や犯罪組織、民族抵抗との戦争に変わってきています。
この戦争にはかつての抑止力というものが通じないのです。
国対国の戦争だと、相手の城にむかって砲撃し、その城を破壊すれば勝負がつきます。
しかしテロ組織にはそういう動かない城がありません。相手はフレキシブルに移動する多数の人間です。しかもそれは憎悪によりメンバーが再生産され、きりがありません。つまり、旧来の抑止力がきかないのです。
かくしてアメリカはいつまでたってもテロの影に怯えることになります。そして今のようにアメリカの従属的な運命共同体のままでは、日本もそこに巻き込まれるおそれが大きいです。
このことも「米軍基地の抑止力」を考えるとき、覚えておいた方が良いのではないかと思います。(追記:それに最近戦争仕掛けるのは米国ばかりということも)
ところで余談
橋下知事 普天間問題で「要請あれば、関西で受け入れ検討」
産経新聞 05月13日21時03分
鳩山由紀夫首相が沖縄県の米軍・普天間飛行場移設問題に関連し、全国知事会の開催を全国知事会長の麻生渡福岡県知事に求めたことについて、大阪府の橋下徹知事は13日、「首相から受け入れ要請があれば、優先順位が一番高いのは関西だ」と述べた。橋下知事は、27日にも開催される知事会に出席する意向。
橋下知事は「(沖縄)県民のことを考えれば、早くものごとが動き出すことが重要だ」と指摘。そのうえで、「首相から与えられた課題に答えが出せないなら知事会は解散だ」と強調した。
また、「安全保障の問題もあるが、今、基地を受け入れていないところが受け入れるべきだ」との考えを示し、「首相から要請があれば優先順位が一番高いのは関西。関西で答えを出さないといけない」と述べた。
「首相から与えられた課題に答えが出せないなら知事会は解散だ」って、これまた勇ましい自己犠牲精神ですこと。
率先して負担を申し出るという意外性で人心をつかむのが上手い橋下氏らしい発言だと思いました。
基地を引き受けないのは、沖縄の同胞を見殺しにする非国民だ、とか言い出しそうです。これ、一見正しそうに見えるから騙される人も出てきそうですね。
もっともこの人、核武装論者で軍隊大好き徴兵制賛成の人ですし、大坂カジノ構想なんてブチ上げる人ですから、カジノやバーのネオンがきらめきかっこいい米兵が闊歩する眠らない街の首長として君臨したい、なんて夢をみているのかも・・(^^;
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