誤った「地方分権改革」が推進されないように
- 2009/10/20
- 04:00
財界は道州制を「究極の構造改革」として位置づけ、道州制を含む「地方分権改革」を強力に推し進めていることは以前このブログでも触れました。
政権を取った民主党にも財界はその地方分権改革を強く迫っています。(これだけで警戒する気になりますね(笑)
先の総選挙の時、自民党はマニフェストに道州制導入を盛り込みました。もちろん財界の要望に応えたものです。
しかし民主党も直接マニフェストに盛り込まなかったものの、政策集で「将来的な道州制の導入も検討する」と言っています。また、小沢さんも「都道府県を廃止し、国と約300の基礎自治体の二層構造に移行する」と言っています。
橋下氏らの「首長連合」(公式サイトはこちら:http://www.shuchou-group.jp/)の主張は、財界の主張を代弁していると言っていいでしょう。
原口総務大臣がこの首長連合と連携を組むと表明したのは、民主党の考える地方分権の基本路線は新自由主義からそれほど距離を置いていおらず財界のそれと重なるところが多く、いずれ財界の要求に沿っていく可能性があるからではないかと、危惧しています。(民主党が財界やアメリカという聖域に踏み込めない体質であることは以前述べました)
政権を取る前から民主党と橋下氏との接近が見られましたが、それは新自由主義のテイストを残す民主党としてはある意味自然なのかもしれません。
新自由主義のテイストを残しているのは鳩山さんの選挙直後の会見でも感じましたし、未だ派遣切り対策やセイフティネット再構築の具体的な法案があまり見えてこないことからも感じます。
従って、これから進められようとしている地方分権、道州制は、注意深く見ていく必要があると思います。
今回はまず、現在の地方自治の何が問題なのかをおさらいしておきたいと思います。
Ⅰ.三位一体改革
Ⅱ.市町村の合併
Ⅰ.三位一体改革による地方財政の破綻
自公政権は、構造改革路線の下、国の地方への支出を削減する三位一体改革を打ち出しました。
それは、
①国庫補助金の削減
②地方交付税の削減
③そのかわり税源、権原を地方へ移譲する
というものでした。
しかし、実際は削減された補助金や地方交付税に見合った分の税源の移譲はなされませんでした。
(04年から3年間で国庫補助金4.7兆円、地方交付税5.1兆円、計9.8兆円削減
これに対し、国から地方への税源移譲は3兆円にとどまります。
つまり、6、8兆円分の地方への支出が削減されたことになります。)
これにより、地方は財政危機に陥りました。もともと税収が少なく地方交付税が頼みの綱であった地域では、その打撃はより深刻でした。
それまで地方自治体が行ってきた住民サービスは切り捨てられ、官から民へ移行されました。本来自治体が行うべき福祉等の住民サービスはいわば民間会社の金儲けの対象となったのです。
自治体が住民のニーズに応えるサービスを充実させるにはお金がなくては何も話になりません。
従って、まず、地方が自由に使える財源を地方が確保できるようにすることが第一です。
地方交付税の削減をやめ、何かと無駄が多いと評判が悪いこ紐付き補助金は、使い勝手を改善すべきでしょう。
また、間違った中央統制を正し、団体自治を徹底すべきでしょう。
「子どもの医療費助成を自治体がおこなうと交付金にペナルティを課す、介護保険料減免に一般財源を使うなという「指導」など、自治体の独自施策を抑制する仕組み」には唖然とします。(http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/syuuin/bunya/bunya_20.html)
地方がより積極的に住民サービスに尽くすことを奨励しこそすれ、ペナルティを課すとは、地方自治を何だと思ってるのでしょうか。
「こういう間違った中央統制こそ撤廃し、地方自治体が住民福祉の機関として、のびのびとそれぞれの特色を生かして仕事ができる保障をすることが本当の地方自治への国の責任だ」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-08-07/2009080702_02_1.html)と私も思います。
Ⅱ.市町村合併の押しつけ
国は市町村合併を推し進めました。「期限までに合併をすれば、地方交付税の交付額を合併前の交付水準で10年間延長し、その後5年間で段階的に減額。合併をしなければ、地方交付税は減額」というあめとむちを使い合併を押しつけたのです。
(参照:JANJAN 市町村合併で見え隠れする「あめ」と「鞭」)
合併の名目は自治体の規模を拡大することにより自助能力をつけさせる、ということでした。
でも実際は合併を機に自治体の「リストラ」が進められ、住民に密着した身近なきめ細かいサービスが切り捨てられたのでした。
この市町村合併の最終形態が道州制です。
今推進されてる道州制は、今より更なる市町村の合併を予定しています。
ですから、道州制への動きを十分に警戒しなくてはならないと思います。
この道州制は地方自治を確かなものにするどころか、地方自治の本旨(住民自治、団体自治)に逆行するものです。
道州制については別エントリーで改めてもう少し詳しく書きたいと思います。
政権を取った民主党にも財界はその地方分権改革を強く迫っています。(これだけで警戒する気になりますね(笑)
先の総選挙の時、自民党はマニフェストに道州制導入を盛り込みました。もちろん財界の要望に応えたものです。
しかし民主党も直接マニフェストに盛り込まなかったものの、政策集で「将来的な道州制の導入も検討する」と言っています。また、小沢さんも「都道府県を廃止し、国と約300の基礎自治体の二層構造に移行する」と言っています。
橋下氏らの「首長連合」(公式サイトはこちら:http://www.shuchou-group.jp/)の主張は、財界の主張を代弁していると言っていいでしょう。
原口総務大臣がこの首長連合と連携を組むと表明したのは、民主党の考える地方分権の基本路線は新自由主義からそれほど距離を置いていおらず財界のそれと重なるところが多く、いずれ財界の要求に沿っていく可能性があるからではないかと、危惧しています。(民主党が財界やアメリカという聖域に踏み込めない体質であることは以前述べました)
政権を取る前から民主党と橋下氏との接近が見られましたが、それは新自由主義のテイストを残す民主党としてはある意味自然なのかもしれません。
新自由主義のテイストを残しているのは鳩山さんの選挙直後の会見でも感じましたし、未だ派遣切り対策やセイフティネット再構築の具体的な法案があまり見えてこないことからも感じます。
従って、これから進められようとしている地方分権、道州制は、注意深く見ていく必要があると思います。
今回はまず、現在の地方自治の何が問題なのかをおさらいしておきたいと思います。
Ⅰ.三位一体改革
Ⅱ.市町村の合併
Ⅰ.三位一体改革による地方財政の破綻
自公政権は、構造改革路線の下、国の地方への支出を削減する三位一体改革を打ち出しました。
それは、
①国庫補助金の削減
②地方交付税の削減
③そのかわり税源、権原を地方へ移譲する
というものでした。
しかし、実際は削減された補助金や地方交付税に見合った分の税源の移譲はなされませんでした。
(04年から3年間で国庫補助金4.7兆円、地方交付税5.1兆円、計9.8兆円削減
これに対し、国から地方への税源移譲は3兆円にとどまります。
つまり、6、8兆円分の地方への支出が削減されたことになります。)
これにより、地方は財政危機に陥りました。もともと税収が少なく地方交付税が頼みの綱であった地域では、その打撃はより深刻でした。
それまで地方自治体が行ってきた住民サービスは切り捨てられ、官から民へ移行されました。本来自治体が行うべき福祉等の住民サービスはいわば民間会社の金儲けの対象となったのです。
自治体が住民のニーズに応えるサービスを充実させるにはお金がなくては何も話になりません。
従って、まず、地方が自由に使える財源を地方が確保できるようにすることが第一です。
地方交付税の削減をやめ、何かと無駄が多いと評判が悪いこ紐付き補助金は、使い勝手を改善すべきでしょう。
また、間違った中央統制を正し、団体自治を徹底すべきでしょう。
「子どもの医療費助成を自治体がおこなうと交付金にペナルティを課す、介護保険料減免に一般財源を使うなという「指導」など、自治体の独自施策を抑制する仕組み」には唖然とします。(http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/syuuin/bunya/bunya_20.html)
地方がより積極的に住民サービスに尽くすことを奨励しこそすれ、ペナルティを課すとは、地方自治を何だと思ってるのでしょうか。
「こういう間違った中央統制こそ撤廃し、地方自治体が住民福祉の機関として、のびのびとそれぞれの特色を生かして仕事ができる保障をすることが本当の地方自治への国の責任だ」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-08-07/2009080702_02_1.html)と私も思います。
Ⅱ.市町村合併の押しつけ
国は市町村合併を推し進めました。「期限までに合併をすれば、地方交付税の交付額を合併前の交付水準で10年間延長し、その後5年間で段階的に減額。合併をしなければ、地方交付税は減額」というあめとむちを使い合併を押しつけたのです。
(参照:JANJAN 市町村合併で見え隠れする「あめ」と「鞭」)
合併の名目は自治体の規模を拡大することにより自助能力をつけさせる、ということでした。
でも実際は合併を機に自治体の「リストラ」が進められ、住民に密着した身近なきめ細かいサービスが切り捨てられたのでした。
この市町村合併の最終形態が道州制です。
今推進されてる道州制は、今より更なる市町村の合併を予定しています。
ですから、道州制への動きを十分に警戒しなくてはならないと思います。
この道州制は地方自治を確かなものにするどころか、地方自治の本旨(住民自治、団体自治)に逆行するものです。
道州制については別エントリーで改めてもう少し詳しく書きたいと思います。
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