天皇在位20周年の祝賀のDVD学校配布~子ども達に天皇ヘイカ万歳と言って欲しいのでしょうか
- 2009/11/16
- 01:00
その詳しい経緯を、ブログ薔薇、または陽だまりの猫さんが書かれていらっしゃいました。リンク先をご覧下さい。
◆薔薇、または陽だまりの猫
「天皇在位20周年記念DVD」を文科省が全国の教育委員会・学校に配布
(実際にDVDをリンク先から見ることが出来ます)
天皇即位 20 周年記念式典 DVD 学校配布について/CML から
途中で自公政権から現政権に移行したわけですが、DVDを学校に配布する方針に何ら変わりなかったようですね。まあ、安倍教育基本法も、国歌国旗の指導も従来通りで行く方針ですから、当然と言えば当然です。(臨時休日にしなかったことだけは良かったのですけれど)
なお、
実は、このDVD、制作費だけで1,000万円かかっておりそれは内閣府の予算で執行されています(制作請負は毎日映画社)が、それ以外に全国の学校、自治体に発送する経費が別にかかっています。であるにもかかわらず、政府自身が広報するように政府インターネットテレビ・皇室チャンネルでDVDと全く同じ動画(約26分)を見ることができるのです。これぞ、税金の無駄遣いでしょう
とのこと。
インターネットで見れるなら、わざわざ大金かけてDVD作らなくてもいいじゃないですか。
財政難の折、事業仕分けで四苦八苦しているときでも、皇室関係で使われるお金は太っ腹で仕分け対象外、うらやましい限りです。(ちなみにこの記念行事の予算はいくらなのか調べてみようとしたのですがわかりませんでした)
そして一部地域の教育委員会は配布したDVDの各学校での鑑賞状況や、日の丸の掲揚について各学校を調査していたことがわかりました。
文科省からDVDを子どもに見せろ等、特別の要請はなかったようですが、それはそこ、上が何も言わなくても意向を汲んで動くんですよね、教育委員会は。
国歌斉唱の強要と同じです。国歌国旗法を作った小渕政権は、「これは何が国旗で何か国家なのかを明確にしただけの法律であって、決して国家や国旗を強制するものではない」と言っていましたが、教育委員会のやってることは周知の通りです。
ちょうどヤクザの親分が何も命令せずとも下っ端は親分の意を組んで自発的に動くのと似ています。
天皇記念DVDで感想調査 奈良市教委、全学校対象
内閣府が天皇陛下即位20年記念式典での上映用に制作し、文部科学省などを通じ各学校に配布されたDVD「天皇陛下 御即位から二十年」について、奈良市教育委員会が10月、所管する小中高校計70校の鑑賞状況や児童生徒の感想を調査していたことが12日、分かった。
奈良市教委は、式典当日に各学校で日の丸を掲揚するか事前調査し、当日の掲揚状況も調査することが明らかになっている。市教委は「内心の自由に触れるものではない」と説明している。
市教委によると、調査は10月下旬、市議会の委員会での議員質問に対応するために実施。校長や教頭に電話で聞き取った。「公務のことが分かった」「DVDの内容が難しかった」などの感想があったという。
委員会で質問した保守系市議は、その後の鑑賞状況についても回答を求めており、市教委は再度同様の調査を実施し、12日の日の丸掲揚状況とともに回答する方針。
DVDは26分30秒で、内閣府が制作。文科省は9月4日付の事務連絡で全国の教委や都道府県の私立学校担当部局などに周知と配布を要請し、DVDを送付した
即位式典の日、日の丸掲揚を調査 高知、兵庫の3市教委
天皇陛下即位20年を記念する政府式典に合わせた学校での日の丸掲揚について、高知県の香南市と、兵庫県の洲本、赤穂両市の教育委員会が、市内の小中学校の掲揚状況を調査していたことが13日、各市教委への取材で分かった。
香南市教委によると、調査は式典のあった12日に市内の12小中学校すべてを担当者が訪問し、掲揚されていることを確認、同日中に県教委に報告した。
香南市教委の松崎俊比古次長は「掲揚は国全体の取り組みとして、県からの依頼で行っており、強制したわけではない」としている。
兵庫県洲本市教委は12日にファクスで掲揚状況を問い合わせ、19校すべてで掲げていることを確認した。「報道機関などからの問い合わせに対応するための調査で、掲揚を指導してはいない」としている。
同県赤穂市教委は12日にあった定例の校長会で、全15校での実施を確認した。「たまたま校長会があったから聞いた」としている。
私も「薔薇、または陽だまりの猫」さんのリンク先からビデオを見てみました。
相も変わらず大仰な賛美と歯が浮きそうな敬語のオンパレード、こういう内容のDVDを学校教育の場で見せようとは。
学校教育では天皇制よりはるかに大切な国民主権や民主主義については実にお粗末な時間しか割いておらず、上っ面をなぞるだけしかできていないのが現状です。
なのにわざわざ1000万もかけてこんなDVDを学校に配布し、しかも子ども達に見せたかどうか調査するなんて、国民主権や民主主義的な精神を育てることをないがしろにして、ひたすら天皇に対する畏敬の念を植え付けようとしているとしか感じられませんでした。
DVD配布とその後の調査は、国旗を掲揚して天皇を賛美する教育をしろという圧力ににほかなりません。
・・・これは皇民化教育ですか?
安倍教育基本法の継続、尊重。国歌国旗の強制。天皇礼賛のプレッシャー。
三つが手を取り合って、逃げ場なく真綿でじわじわ締め付けられるようです。
国歌国旗の強制を考えるとき、現在の天皇制を避けて通っては論じられないこともよくわかります。
記念式典では、無数にはためく日の丸の小旗、大きい日の丸と金屏風の前にいる天皇皇后を前に君が代を斉唱し、天皇ヘイカ万歳三唱の光景。これは戦前の天皇ヘイカ万歳の光景とどこが違うのか、私にはわかりません。頭を抱えてしまいます。(追記:奉祝国会議員連盟のメンバーがなんとも本質を表してます・・・開催宣言は平沼赳夫氏、万歳三唱先導は森喜朗氏)
以前少し書いたことを繰り返しますが、いくら復古的な人々でも、今時天皇に政治権力を戻そうなどと本気で考える人はいないでしょう。今更わざわざ天皇に政治権力を与えても、ほとんどメリットがないからです。
むしろ政治的権力を持たない存在にすることにより、戦後民主主義のフィルターをすりぬけ、非民主主義的な精神を培うことができるメリットがあるのです。
どんなすすんだ政治制度があってもそこで暮らす人々の精神が封建的な名残を強く残す社会であれば、民主主義は成熟していかないでしょう。
俗に言う古い革袋に新しいワイン、というやつです。
旧態依然とした精神はこうした節目節目の積み重ねで少しずつ培われていきます。
民主主義の土台は、民主主義的な精神です。土台がしっかりしていなくては、そのうえにどんな立派な建物を建てようと、いつかは内部からぐらつくのです。
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