連立合意の着地点について、沖縄の新聞をメモ
- 2009/09/10
- 23:12
まずは琉球新報から
琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-149673-storytopic-11.html
◆社説
3党連立合意 目線は米国でなく国民に
2009年9月10日
難航していた民主、社民、国民新の3党連立協議が9日、合意に達し、連立政権発足が確定した。
だが3党合意の中身は「玉虫色」のまま。連立政権は火種と“地雷”を抱えた船出となりそうだ。
連立協議の焦点は四つ。米軍普天間飛行場の県外移設、日米地位協定の全面改定、インド洋・ソマリアの自衛隊撤収の可否。そして憲法だ。
3党合意の文書を見る限り、いずれも結論は先送りされている。
今月下旬の日米首脳会談への配慮が玉虫合意の要因のようだ。
普天間移設問題で民主党は2008年に発表した「沖縄ビジョン」で県外、国外移転を掲げていた。
それが、衆院選のマニフェスト(政権公約)では、在日米軍基地の「見直しの方向で臨む」と後退した経緯がある。
政権奪取に向け民主党と選挙協力した社民党は、連立協議で「県外移設」の明記を要求した。
県内2、3、4区で社民、民主候補が勝利し、1区も国民新が激戦を制した。
「米軍再編」合意で普天間の県内移設を進める自民党への「ノー」の意思が3党に勝利を与え、県政史上初の選挙区自民ゼロの結果さえもたらした。
政権を手中にした途端、3党が県外・国外移転の方針を転換するのは、まさに羊頭狗肉。有権者、県民を欺く行為ともなりかねない。
合意書では「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」との記述にとどまった。
地位協定改定に消極的で「運用改善」に終始した自公政権に比べれば「まだまし」と県民に説明するつもりであろうか。
社民が求めた「自衛隊撤退」も「アフガニスタンの実態を踏まえた支援策を検討する」との文言にとどまり、撤退の文字はない。
憲法問題も重要だ。護憲政党の社民党が、改憲勢力も抱える民主党と連立を組む。まるで「海水魚と淡水魚が一緒にすむ」ようなものだ。どちらかが息が詰まるか、息の根も止まりかねない危うさがある。
安保、外交、憲法そして「沖縄」が連立政権の「アキレス腱(けん)」となるか、それとも「連立の要」となるか。
答えは連立政権の基盤、目線が米国にあるか、国民にあるかで異なる。政権の政策で確認したい。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-149667-storytopic-201.html
◆基地見直し合意 3党連立政権樹立へ2009年9月10日
(引用開始)
<解説>普天間「県外」先送り 連立優先し“妥協”
民主、社民、国民新の3党連立協議は、社民が求めた在沖米軍基地を見直す内容を盛り込むかどうかで、調整が難航したが、最終的には「見直しの方向で臨む」との表現で決着した。当初は、名護市辺野古への新基地建設見直しの連立合意書への明記を求めていた社民党がハードルを下げた。オバマ米政権との関係づくりへの配慮をかたくなに主張した民主の意向が勝り、早期の連立合意を優先した「妥協の文言」との指摘は否めない。普天間飛行場の移設先についての決着は、先送りされた格好だ。
社民党幹部の照屋寛徳衆院議員は、名護市辺野古の新基地建設見直しの明記を主張し続けた。ただ、全体的な協議としては沖縄の要望に理解は示しつつも「連立ありき」の雰囲気は漂っていた。照屋氏は8日の協議で「沖縄の議員の腹積もりはできている」と発言。明記しないまま連立合意に踏み切れば、沖縄選出・出身議員や県連議員の「離党」も辞さない覚悟をにおわせた。党存続にもかかわる発言に、譲れない要望との認識が党内で広がった。
だが「辺野古」や「普天間」の明記には、在日米軍再編の日米合意にも配慮した民主の抵抗は強く、最終的には「連立」するための妥協を迫られた格好だ。
合意内容は、各党の立場によって、どのようにも解釈可能な表現だ。3党協議に携わったある議員は「各党にとって都合のいいように解釈できる“魔法の合意文”だ」とし、「玉虫色」の内容だと認める。
社民党にとっては「満点」ではないが「沖縄県民の負担軽減」との表現に「普天間飛行場や辺野古への新基地建設」の見直しを求めた意向も込められた。民主党にとっては、特定の基地名を示していないことから「現行の再編合意案をすべて白紙に戻す意味ではない」と米側に釈明する余地も残ったと言える。
今後は普天間飛行場の移設先が焦点になるが「合意には県内、県外、国外とは規定されていない」(協議関係者)。「負担軽減」の定義が一致しない中で、移設先の決着は今後も予断を許さない。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-149668-storytopic-201.html
◆3党連立政権樹立「普天間」明記せず 知事「中身聞きたい」
2009年9月10日
3党連立政権樹立で合意したことを受け、仲井真弘多知事は9日、県庁で記者会見し、普天間飛行場移設について「話を聞くまでは、これまでのスタンスと全く変わらない」と述べ、名護市辺野古移設が現実的な選択肢との認識を重ねて表明。基地問題への対応では「県民の負担軽減の観点から国政の重要な課題として取り上げられ、再確認されたと理解している。政府にしっかりと取り組んでいただける」と期待を示した。
米軍再編や在日米軍基地の在り方を見直す方向について知事は「具体的にどのような方向で見直していくのか、外交、防衛担当(大臣)が決まったら、早めに中身を聞きたい」と述べ、新閣僚に具体的な説明を求める意向を示した。
日米地位協定改定の提起方針について「非常に立派なことで、高く賛意を表したい。これまでは政府に取り上げてもらえなかったので一歩前進だ」と歓迎。「比較的取り掛かりやすいのは環境関係ではないか」と述べた。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-149682-storytopic-3.html
◆不満、評価、あきらめ 3党合意に県内関係者
2009年9月10日
連立政権3党合意文書に、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設見直しが明文化されなかったことについて、県内移設反対派からは「残念」「後退感がある」などの不満や批判が相次いだ。一方で宜野湾市の伊波洋一市長は「県外移設の方向性が定まる」と一定の評価。名護市の移設推進派は「現実的に県外は厳しい」と指摘し「結局、玉虫色の合意で濁そうとしている」との見方を示した。
名護市のヘリ基地反対協議会の安次富浩代表委員は「県民の声は普天間の即時閉鎖と新基地建設反対だ。合意内容に盛り込んでほしかった。残念」と語った。
一方、辺野古区有志会代替施設推進協議会の宮城安秀会長は「県外移設を明示できなかったのは、結局玉虫色の合意で濁そうということではないか。米国を説得できるか、ほかに持って行く場所があるか、という問題がある。現実的に県外移設は厳しい」と話した。
宜野湾市の伊波市長は「日米地位協定改定や在日米軍基地のあり方見直しをきちんと確認できてよかった」と評価。「鳩山由紀夫民主党代表は選挙前、選挙後も県内移設反対の意向を示しており(合意を順守すれば)県外の方向性は定まると思う」と語った。
基地の県内移設に反対する県民会議の山城博治事務局長は「鳩山代表は再三『辺野古は見直す』と県民に訴えてきた。明文化を避けたのは後退の感が否めない」と指摘。合意文書についても「見直しの『方向』との表現が気になる。『その方向で努力したがだめだった』という逃げではなく、力強い解決への努力を求める」と強調した。
基地を環境問題の観点でとらえ活動を展開している沖縄生物多様性市民ネットワークの伊波義安共同代表は「どうして躊躇(ちゅうちょ)するのか」と合意に時間がかかったことに不満を示し「前政権と同じと言われないよう米国と対等な関係を築いてほしい」と語った。
沖縄タイムスから
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-09-10-M_1-027-1_005.html
◆県外移設に期待 3党連立合意/交渉長期化には懸念の声【09月10日】
「県外移設を実現する好機」「交渉が長引けば普天間基地の危険が放置される」。民主、社民、国民新の3党が「米軍再編見直しの方向」「日米地位協定の改定提起」を掲げ連立政権樹立に合意した9日、県内では歓迎の声が上がる一方、実現性に懐疑的な見方も。同日は、普天間代替施設予定地でのデモフライトが「ヘリの整備不良」で延期に。地元は強い不信感を示し、「民意無視が通用しないと証明された日」との声も出た。
辺野古区の有志らでつくる代替施設推進協議会の宮城安秀代表は「ほかに普天間を受け入れるところがあるのか。仮にあったとしても交渉やアセスで時間がかかる。その間、普天間の危険性が放置されるのではないか」と指摘。その上で「手を挙げて誘致したわけではない。辺野古はこの問題で長い間苦労してきた。来なかったら来ないでいい。これ以上、長引くのだけはやめてほしい」と複雑な心情を語った。
「政権方針に一喜一憂せず、基地反対の民意を積み上げたい」。ヘリ基地反対協の大西照雄代表委員は冷静な見方を示しつつ、「日々の運動が日米の基地押し付け政策を追い詰めた成果だ」と力を込めた。デモフライト中止にも触れ、「老朽化した危険なヘリを配備する米軍と追随してきた政府のでたらめさを証明した象徴的な日。3党合意も民意無視の手法を許さない国民世論を受けたものだ」。
普天間飛行場に隣接する宜野湾市上大謝名地区。大城ちえ子自治会長は「辺野古に移転しても辺野古の住民が危険になる。今回をチャンスに県外移設を期待する」と歓迎した上で、「見直しといって、いたずらに長引かせずに早急に対応してほしい」と要望した。
普天間爆音訴訟の島田善次原告団長は「『見直しの方向』という玉虫色でなく即時撤去を明確にするべきだった」としつつ、「実態とかけ離れたデモフライトを一方的に決め延期する横暴さが、日米政府の本質。住民運動を強化し、政権の方針が実現するよう後押ししたい」と述べた。
上江洲静子さん(59)=那覇市=は「県外移設と言ってもどこも受け入れるとは言わないだろうから、あまり期待していない。地位協定見直しは、国が沖縄の実情を分かってくれたということだと思う」。宮城英雄さん(58)=那覇市=は「基地には国民の税金もかかっているので縮小してほしい。(見直し方針で)米政府が国民の本音を分かってくれれば」と期待した。
長くなりましたので後はリンク先で
◆民社国、連立で合意/米軍再編見直し確認/「普天間」明記は見送り【09月10日】
◆早期解決なら県内 普天間移設/知事、地位協定改定「前進」【09月10日】
(一部引用)
自民党県連の翁長政俊幹事長は「政権運営を優先し『普天間』の県外移設が合意文言に盛り込まれていないのは公約違反だ」と批判。「うるの会や県議会野党の要請も反映されておらず、県民への裏切り」と切り捨てた。
沖縄の自民党県連は中央と違い、普天間の移設に力を注いできました。9/5には、民主党が掲げる県外移設を「実現できるなら応援したい」とエールを送った位です。
‘自民党’から手厳しい批判を受けるとは何とも皮肉ですね。
私は昨日連立合意が民主党の提案より進歩したと評価しましたが、戦後ずっと苦しんできた沖縄の目はさすがにシビアです。
もともと民主党は普天間基地の移設、地位協定の見直しを主張していたのです(http://www.dpj.or.jp/news/?num=13694、http://www.dpj.or.jp/news/?num=12964など)
「野党時代の発言はええ格好しい。政権の座についたら国民ではなくアメリカ様の方を仰ぐ」の法則通りにさせないよう、沖縄県民だけでなく全国民が監視しましょう。
「自公政権に比べればまだまし」という評価だけで終わってしまうようなリップサービスはもう要らないと民主党に言い続けるのを忘れてはいけないと思いました。
うやむやにするならば、参院選では民主党に一切投票しない、位のつもりで。
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- 2009/09/12(22:26)
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