全国知事会が橋下氏に刺激されて、地方分権に限って自民、公明、民主のマニフェスト採点票を出してきました。(平均点は自民が60.6点、民主は58.3点、公明は66.2点。分権改革の具体策への評価では、民主が自民を上回ったが、知事らが求める地方財源の確保に不安があるとして減点)
そしてその後、橋下氏をはじめとする首長連合は、知事会とは異なり民主党支持を表明しました。
そもそも政党支持を表明する行為自体、私は評価できません。(知事会の採点も結局支持政党を示しているようにうけとられても仕方ないでしょう)
余談ですが、採点対象を自民公明民主に絞ったところも評価できません。二大政党制を既成事実化、社民と共産は最初から締め出しって態度はおかしいでしょう。
そしてそれを無批判でトップ扱いで報道するマスコミの大衆迎合的な姿勢もうんざりです。だってこの一件は橋下氏が絡んでなければトップ扱いなんてしなかったでしょうから。
知事会と同等かそれ以上にマスコミの扱いが大きい首長連合ですが、首長連合ってそもそも橋下一派の私的集団みたいなものですから、首長連合の存在そのものが茶番だと思うのは私だけでしょうか?
以前私は
『だいたい公職の立場にある知事たちがこぞって一政党支持をぶちあげること自体、非常に問題ではないでしょうか。
「全国の知事はそろってこの政党を支持します」との声明をだすということは、公務員が有権者に「あなたもこの政党を支持しましょう」とアピールするようなものです。 』
と書きました。
以下の仁坂知事、共産党の市田氏の意見に私も賛成です。
橋下知事らの首長グループに「ちょっと乱暴」 和歌山県知事が「参加するつもりはない」
2009.7.1 12:33
仁坂知事は次期衆院選について「争点は地方分権だけではない。政党を選ぶ基準は、人生観などいろいろある」と指摘。「マニフェストを書くことが競争になり、うけを狙ったものになってしまう」との懸念を示した。
仁坂さんの懸念通り、いま民主党はマニフェストをころころ修正するマニフェスト狂想曲に踊らされ、自民党に突っ込まれています。
「特定政党支持おかしい」共産・市田氏が橋下知事を批判
共産党の市田忠義書記局長は29日の記者会見で、自治体首長グループで支持政党を表明するとの橋下徹大阪府知事の意向について「グループで特定政党を支持するのは首長のあり方として正しくない」と批判した。
市田氏は「首長はどの政党の推薦を受けて当選しても、当選すれば住民全体の奉仕者だ」と指摘。「地方分権は大事だが、暮らしや外交の重大な問題が山積している時に、郵政解散のように一点に争点を絞るやり方は争点そらしにつながる」と主張した
知事と言う存在は公人、公務員として政治的に中立でなければならないはずです。知事会を特定の政党を支持する政治集団化させようと橋下氏が引っかき回すのをビシッと止める知事はいなかったのでしょうか。知事会は橋下氏に踊らされるな、といいたいです。
橋下氏に引きずられる格好で採点票など出してしまった知事会をふがいなく思います。愚かな行為です。ひょっとしてメディアで知事会の存在感が首長連合より薄くなるとでも思ったのかな?
そんな首長連合も一時は中田氏の市長辞任で存在意義があやしくなり、トーンダウンしました。
橋下氏も首長連合を「喫茶店談議から始まった4、5人の集団」と自嘲気味でしたし、こんな発言のブレや矛盾も出て、主張が二転三転しました。
橋下知事、発言にブレ 各党マニフェスト知事会採点控え
2009年8月 6日
全国知事会による各政党の衆院選マニフェスト(政権公約)の採点を前に、一部の知事が自らの点数評価を先行して公表していることについて、大阪府の橋下徹知事は5日の定例会見で、「知事会での採点が意味を持たなくなる」と不快感を示した。知事会は、自民、民主、公明3党との討論会の結果を踏まえて採点することを決めており、「字面だけでなく、討論会で各党の『魂』をみて判断しなければ」と橋下知事。分権施策の明文化を強く訴えていたにもかかわらず、突如“精神論”を持ち出すなど、発言のぶれが目立っている。
(中略)
「国と地方の協議の場」の法制化を民主党がマニフェストで明記しなかったことをめぐり、「(東京都議選での圧勝などで)勢いづくあまり地方への配慮を欠いた」と酷評するなど、あくまで文言を盛り込むことにこだわってきた橋下知事。その発言内容の変化に、報道陣からは「何をきっかけに思いが変わったのか」などの疑問の声が相次いだ。
そもそも橋下知事が「字面での評価」への疑問を口にするようになったのは、4日に民主党の小沢一郎代表代行と会談した直後。知事は「小沢先生はすごいですね」と繰り返し、「僕は今まで字面の部分しか見ていなかった・・・」と、会談でのやり取りがマニフェストの評価方法に影響したことをほのめかした。
こうした経緯から、5日の会見では「会談を契機に民主を応援したくなったのではないか」といった質問も。橋下知事は「白紙の状態」とかわす一方、続く言葉で「字面では世の中動かない」と強調した。
さらに、「首長連合」でのマニフェスト評価についても、全国知事会の採点に従うとしていたこれまでの言い分を微妙に変え、「(知事会の評価とは異なる政党を応援するという選択肢を)今の段階では否定しない。できる限り残しておきたい」と発言。
(後略)
知事会の採点は各知事の評価の平均点を出す方式だったのですから、別に自分の点数を公表しても構わないと思うんですが、それに不快感を示した、って・・あのぅ、橋下氏、知事会の意思決定を自分の支配下に置きたい下心が丸見えなんですけど。
しかも「分権施策の明文化を強く訴えていたにもかかわらず、突如“精神論”を持ち出す」なんて記者が突っ込むとおり、民主支持を出したいというオーラが出まくってるんですけど。
(だいたいマスコミは知事会の中で一知事に過ぎない橋下氏の意見ばかり何故こうも特別扱いしてに取り上げるのでしょうね。彼は知事会の会長でしたっけ?彼は何様?
ポピュリストを持ち上げるような報道はやめて欲しいです。)
しかし知事会が平均点を自民を民主の上に置いたことで、首長連合はラッキーにも息を吹き返した感じですね。もし知事会が民主を上においていたら、首長連合の存在感は薄くなってたでしょう。このあたりの強運もコイズミを思い出します。
それにしても、『「首長連合」でのマニフェスト評価についても、全国知事会の採点に従う』としていたくせに、その言に反して知事会の意向とは違う意向を出していますね。
これって結局、橋下氏が言う「知事会での採点が意味を持たなくなる」行為じゃないですか?
普通ならこういう矛盾した言動は社会的信用をなくすのですが、どうも政治の世界では違うようです。
「首長連合に入ってない他のヤツはダメだけど、自分はOK」という自分勝手の典型例。
自分は何をしても許されるという彼の幼児性が出てますし、メディアを含む周りもこれを許しており、彼を益々増長させています。
橋下氏は知事会を「政権与党に牙をむくことが本質的にできない機関」などと批判したそうです。
ここでも「クソ教育委員会」発言のように相変わらず自分の意向とは違う相手を簡単にけなす幼稚さがにじみ出ていますね。
しかし橋下氏自身は「経団連に牙をむくことが本質的にできない機関」なのではないですか?
あえて既成権力自民に歯向かい、新しい時代をリードする存在感アピってますけど、実際今の自民は虫の息です。歯向かうポーズを取るのは簡単でしょう。
バカボン2世ばかりになって政治的な胆力を失った落ち目の自民に経団連も半ば見切りつけて民主党に乗り換えようとしている、という話も聞きます。
ところで、首長連合が民主支持を打ち出したことを
『知事野党の民主党側は納得の様子。同党府連代表の平野博文・前衆院議員は「自公を応援しないだけでも、選挙にはプラスになる」と喜んだ』
そうです。
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news1/20090812-OYT1T00097.htmより
橋下一派に頭をなでられて犬のように喜んでる民主が情けない!!
橋下氏は僅差で民主に軍配をあげましたが、これはなにか気に入らないことが出てきたらオレは自民に行っちゃうかもね、と揺さぶりをかけているのです。
こんなていたらくでは、橋下氏はどんどん自分の値をつりあげるでしょう。
そしてそれは民主党を自民以上に自民らしい政党に転落させるでしょう。(またはそのために橋下氏を利用して持ちつ持たれつ、という関係になることも考えられます)
彼は以前、自民の支援を取り付けたのは別に自民を支持したいとかでなく、霞ヶ関に行った時に自分に箔が付くようにするための手段に過ぎないとテレビで言っていました。彼は目的のために利用できるものは遠慮なく利用するリアリストですから、知事会のことも民主支持をぶちあげて民主党に恩を売る手段として利用しようと思ってたのでは、という気がします。そして知事会は採点票を出したことによってまんまと利用されました。
彼のようなポピュリストが政局のすきまで跳梁跋扈するのが政権交代後の暗雲の一つだと、私はとても憂慮しています。
《関連エントリー》
民主党は間違っても橋下氏と握手しないで欲しいと思います 橋下という第二の「コイズミ」に騙されない 橋下氏らが推進する道州制とは?民主党はこの道州制を推進するのでしょうか?
- 関連記事
-
スポンサーサイト