「無垢な善意は時にファッショを生むことがある」

政局について詳しくないので普段ほとんど書かない私ですが、総選挙も近いので最近感じていることをもう少し書いてみたいと思います。

次の総選挙はよほどのことがない限り民主党が大幅に勝ち、社民や共産などは票を食われて議席をへらすでしょう。これには不安を覚えます。

今の民主党への追い風は、人が人らしく生きれる社会のため自公の悪政を変えたい、という思いが込められています。
しかしその思いがいつしか民主党が自民並にタカ派の面がこともあることを忘れさせ、民主が政権を取ればバラ色、という思いこみに変化していくのはとても危険だと思います。

静岡知事選では民主党の川勝さんが当選しました。つくる会には在籍してなかったようですが、新自由主義者でネット右翼的考えをもった人物のようです。
（dj19さんのこちらをどうぞhttp://d.hatena.ne.jp/dj19/20090714）
この当選を民主党の勝利だからという理由で喜ぶのなら、とても冷静な判断とは言えません。
民主ならなんでもいいというわけではないでしょう。

現実は民主党＝善、自民党＝悪みたいな二元論ではなく、もうすこし複雑だと思います。
民主党には支持できる面もあればそうでない面もあります。特に私は9条に関しての問題には賛成できません。
最近、政権に近づきつつある民主党は橋下さんに秋波を送ったり、マニフェストも幾分後退した内容に変え、右旋回してきています。

それでも私は政権交代を望みますが、それは「自公政権の続行に比べマシな選択肢」だと思うからであって、民主党の何もかもを諸手を挙げて賛成しているわけではないのです。
民主党の危険な側面を見ないで民主が政権取れば万々歳、というのでは一種の現実逃避ではないでしょうか

政権をとった時には今の自民と変わり映えしないのではなんのための政権交代かわかりません。
何度も言いますが、政権交代はあくまで手段であり、そこからが正念場なのです。
民主が天下取ればバラ色であるかのような錯覚には賛成できません。

左右どんな方向であっても、政治に於いては集団的熱狂は諸刃の刃だと思います。
なぜなら、そういう心理状態では人は極端な方向に暴走し、排外的になる危険があるからです。
（極端な例ですが、安保時の学生運動も過激派を産んでしまいましたし、古くはフランス革命でもギロチン処刑の恐怖政治に走りました。）
私はオバマ選挙の時のアメリカの熱狂ぶりに一歩引いていたエントリーを以前書きましたが、民衆が一方向にこぞって流れることに潜む危険をどこかで感じたからだと思います。

政権交代はとてつもないスキャンダルでも出ない限りもう確実です。
だから、今度は私達は意識して国会に第三極の政党の議席を確保することが大切だと思います。
（特にに日本人て没個性皆同じを強要する国民性ですから、民主一色はなお恐ろしいです）
そして、国民全体が厳しい目で政権担当する民主党を監視していくことがいよいよ大事になってきました。

「善意」が気付いた時にはもう取り返しの付かない事態を呼び込んでしまっていたなんてことは、歴史を見ればよくあることです。
ある意味４年前の郵政民営化の熱狂的な選挙と同じ轍は踏まないようにしなくてはいけません。

自公の悪政をやめさせようという「善意」で民主党を一人勝ちさせるのは望んだものとは結果的に反対の結末を招くおそれがある、ということを肝に銘じたいと思います。