菅さんは、鳩山時代の閣僚を11人も残して鳩山政治の継承を打ち出しています。鳩山政治に国民はNOを出したはずなのに、顔が変わっただけでこうも支持率がアップするとはどういうことなのでしょうか?
菅さんは早々にも増税に取り組む姿勢を見せており、今の風潮ではこれが消費税増税に繋げられてしまう恐れもあります。それなのに、この新政権を歓迎するとはどういうことなのでしょうか?
村野瀬玲奈さんが支持の中身がより詳しくわかるように朝日の記事を教えてくださいましたので、これをもとに、他社の世論調査も覗きながら支持の内容を見てみましょう。村野瀬さんありがとうございます。
菅さんを支持する理由は4択から中から1つ選ぶ方式になっていて、ほとんどドングリの背比べですが、一番多かったのが実行力、次に菅さんだから。
説明をつけるとすると、鳩山さんは実行力が無くぶれてばかりいたので、菅さんならもう少しちゃんとやってくれるんじゃないか、世襲ではないし、といったところでしょうか。
これについては日テレの世論調査の方がもう少し詳しいのでそちらを見てみましょう。
http://www.ntv.co.jp/yoron/201006/index.html(日テレ世論調査では、菅新政権を支持する:62.4% 支持しない:23.6%)
《支持する理由 》
他に代わる人がいないから 33.5%
指導力・リーダーシップに期待が持てるから 18.6%
菅総理の人柄が信頼できるから 17.4%
支持する政党が菅総理を支持しているから 11.1%
特に理由はない 9.0%
政策に期待が持てるから 4.8%
その他 3.3%
わからない、答えない 2.4%
《支持しない理由》
鳩山前総理と代わり映えがしないから 34.9%
政策に期待が持てないから 18.3%
支持する政党が菅総理を支持していないから 15.9%
指導力・リーダーシップに期待が持てないから 9.5%
特に理由はない 8.7%
菅総理の人柄が信頼できないから 4.0%
その他 7.1%
わからない、答えない 1.6%
自民の時も「何故支持するのか」で一番多い答えが「他に代わる人がいないから」という消極的理由だったのですが、民主党も早くもその回答が一番になってしまいました。しかし続いての、指導力・リーダーシップに期待が持てるから 18.6% 、菅総理の人柄が信頼できるから 17.4%は決して少ない数字ではなく、鳩山さん個人の優柔不断さは菅さんにはないだろうという積極的な期待が見て取れるように思います。
一方支持しない理由のトップは、鳩山前総理と代わり映えがしないから 34.9%
これはもっともな理由だと思います。最初に述べたとおり、鳩山時代の閣僚を11人も残し(特に普天間に関わった岡田氏、北沢氏、前原氏)、国民が否定したはずの鳩山政治の継承を打ち出しているからです。
この点を菅新政権を支持する人々はどう考えているのでしょうか?ここが一番知りたいところです。
まず、
◆新しい内閣の大臣や民主党役員の顔ぶれ全体をみて、菅首相の人事を評価しますか。評価しませんか。
評価する 60 評価しない 16
これは意外な数字でした。
人事を評価している人が60%いるのです。
この人事は、普天間問題については日米合意を踏襲、そして、新自由主義や消費増税論者が新しく加わった人事です。確かに目新しく新鮮な人が多いとは思います。
では、普天間について有権者はどう考えているのでしょうか。次の調査結果を見てみましょう。
新報道2001より(菅新政権を支持する 52.8% 支持しない 30.2% )
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/shin2001/chousa/chousa.html【問3】菅新政権に一番期待することは何ですか。
景気対策 35.2%
財政再建 20.2%
雇用問題 10.8%
政治とカネの問題の解明 8.2%
普天間問題 6.4%
社会保障改革 7.8%
公務員改革 3.6%
(その他・わからない) 7.8%
景気や雇用の問題も待ったなしですが、
意外なほど普天間問題の関心が低いのが目を引きます。
毎日の世論調査では、普天間基地の辺野古移設について回答は、5月調査では賛成は41%で反対の52%だったのが、
合意通りに「進めるべきだ」との回答が51%に増えました。
国民(本土)の沖縄の基地問題への関心はとうに薄れているということですね。
これは菅さんが
「普天間と『政治とカネ』の問題のなかで十分に国民に伝えきれなかった。その二つの“重荷”を自ら辞めることで取り除いていただいた」
と発言し、普天間は終了という見解を示したこと、マスコミも人事で小沢、反小沢と言った派閥争いを全面におもしろおかしく出したこと、そしてなにより「普天間問題は沖縄という地方の問題だから、関心がない」という本土の薄情さ、沖縄差別の存在を示していると思います。
普天間問題の「戦犯」ともいえる岡田氏、北沢氏、前原氏の留任が否定的に捕らえられなかったのはこのためです。
これで互いに助け合う共生社会なんて再生できるのでしょうか?チャルマーズ・ジョンソン氏の
「同じ日本人である沖縄住民が米軍からひどい扱いを受けているのに他の日本人はなぜ立ち上がろうとしないのか、私には理解できない。」という言葉を改めて思い出します。
新自由主義や消費増税論者が新たに加わったことについては、まだ、大多数の人があまりピンと来ていないのかもしれません。
しかし暮らしに直結する消費税について、前出の毎日によれば、消費税引き上げに賛成52%、反対44%。鳩山内閣当時の5月調査(賛成48%、反対47%)より賛成が増えて過半数となったようです。
マスコミと永田町が一体になった増税やむなし、
増税=消費税アップの刷り込みは成功してるようですね。消費税増税に対する抵抗感は徐々に取り除かれて言ってるのではないでしょうか。
またこれは世論調査の項目として見ることは出来なかったのですが(もしあったら教えてください)、やはり世襲議員が一人だけ、というもの評価されたような気がします(私の推測です)
さて、何故ダメ出しした鳩山政治を踏襲する菅新政権を支持するのか、総合的にみるとこんな理由になるんじゃないでしょうか。
『とりあえず優柔不断な鳩山さんでなければいい、他に特に期待できる人もいないし。お金に汚そうな小沢さんも辞めたし。まあ、菅さんは自民出身じゃなくて市民運動出身だから少しはいいかもしれない。
普天間問題?あれ、もう終わったことでしょ、別に良いんじゃないの?
それより景気や財政再建だよ、消費税増税の問題だよこれからは。消費税アップ?う~ん、ほんとは反対だけど、事業仕分けとかで切り詰めても財源ないんじゃなあ・・消費税アップもしょうがないかなあ・・菅さん、そこんところ上手くやって。』
鳩山内閣がスタートした時点で高支持率だったのはまだわかります。初めての政権交代直後の政権でしたから。
しかし、今度は違います。最初から鳩山政治の踏襲というハッキリしたカラーがわかってるのです。つまり、これまでと何も変わらないことがほぼ予想できてしまってるのです。
私は結構辛口なのでスタートする前からマイナス要因があれば遠慮無くマイナス点を付けてしまうのですが、それでも支持する人が多いと言うことは、マイナスとして評価すべき所をマイナスと評価していない、と言うことなのだと思います。
つまり国民(特に本土)の多数が「普天間問題はお終い、消費税増税はやむを得ない」という空気を肯定していることが、この新政権の高支持率に繋がっているのではないでしょうか。
だとしたら、私は、新政権のみならず、こういう空気に流される多数派の国民に対してもあえて批判をしたいと思います。
こんなこというと、お前だって国民の一人だろう、上から目線で何様のつもりだ、というお叱りが飛んできそうです。
しかし、私は
『反ファシズムのためには「権力批判」だけでは不十分で「国民批判」が欠かせない』という松浦氏の言葉をいつも心に刻んでおきたいと思っています。
(こちらも参考に
http://www.asyura2.com/07/kenpo1/msg/613.html)
別に菅政権を支持することがファシズムに繋がる、と言う意味ではありません。(橋下氏を支持することはファシズムに繋がると思ってますが)
その国の政治家のレベルは国民のレベルを表している、という言葉通り、時の政権のレベルは時の国民のレベルを反映しているのです。ある意味、政権は国民全体の鏡と言えるでしょう。
もちろん第一に批判の対象とするのは時の権力ですが、そういう権力を選んだ自分たちですから、より良い政権を持とうとするのなら、常に自分たち自身を見つめ、磨き、高めていこうという意識がなにより大事だと思うのです。もちろん私も国民の一人として常に自戒をこめて。
(これは、選んだ国民がわるいのだから、と時の権力を免罪するものでは決してありません)
そして、民主主義社会においてこれはいけないだろうと思われることを否としないのは、容易にファシズムに取り込まれる危険性を秘めている社会なんだろうと思うからなのです。
あと、世襲閣僚が中井氏一人除いて非世襲であることが取りざたされていますが、私はそれだけを積極的に評価する気にはなれません。世襲の弊害(浮世離れしたボンボン)というマイナス要因がないだけでは、それをプラス要因とは呼べないと思っています。
究極のポピュリスト、橋下氏は世襲ではありません。余談ですが・・
「最小不幸の社会」ってなんかネガティブで消極的で、気持ちが暗くなりますねえ・・・菅さんて、政治家としての言葉のセンスは良いとは言えないんじゃないのかしら
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