ヤメ蚊さんがブログ
「情報流通促進計画」でふれていらっしゃいますが、日弁連新会長は早速、麻薬密輸の罪で死刑が確定している日本人男性の死刑執行通告について声明を出しています。
私も会長声明を引用しましょう
中国政府の邦人に対する死刑執行通告に関する会長声明(引用開始)
わが国が批准し、中国がすでに署名している国際人権(自由権)規約(以下「規約」という。)の第6条2項は、「死刑を廃止していない国においては、死刑は、犯罪が行われた時に効力を有しており、かつ、この規約の規定及び集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約の規定に抵触しない法律により、最も重大な犯罪についてのみ科することができる。」としており、自由権規約委員会は、その一般的意見6(16)において「『最も重大な犯罪』 の表現は死刑が全く例外的な措置であることを意味するように厳格に解釈されなければならない」と述べている。「最も重大な犯罪」とは、少なくとも人の死という結果を伴う犯罪に限定されることを意味する(略)
自由権規約委員会や日本が理事国を務める国連人権理事会は死刑廃止を視野に入れて死刑の適用が可能な犯罪の削減を求めている。同様の事態がヨーロッパの国民について生じた場合、政府は前面に出て、自国民の処刑を避けるためにあらゆる手段を執るはずである。日本は死刑制度の存置国ではあるが、同様の犯罪の場合には無期刑が最高刑であり、死刑の対象とはされていない(覚せい剤取締法第41条2項)。国内法では死刑を科し得ない事件について、国際人権基準に明確に反する死刑によって日本国民の生命が奪われようとしている事態を座視するべきではない。
内閣総理大臣、官房長官はこの死刑の執行予定に関して既に「懸念」を表明されたと聞くが、当連合会は、わが国の政府に対し、規約第6条によって日本国民に保障された生命権を保護するために、死刑執行しないよう、中国政府に対して明確な要望をすべきことを求める。
(引用ここまで)
日本政府は、岡田外相が「裁判から死刑執行までの手続きが妥当なものであったか一部では疑念の声もあるとして慎重な対応を要請、日本国民の対中感情悪化につながる可能性もある」と婉曲的な「懸念」を示す程度にとどまっており、死刑執行停止を明確に求めた文言を発してはいません。
また、日本の世論もこの死刑執行通告に対し大きな抗議が起きているようには思えません。
郷に入れば郷に従え。悪いことしたんだから死刑になったって文句は言えない(たとえ日本の法律では死刑にならなくても)。暴力団員なら死刑にされたってかまわない。
という気持ちが働いているのでしょうか。
加速する厳罰主義が垣間見えるようですね。
国も世論も、中国の死刑執行に関してあまし熱心に反対しない・・・やはり死刑を置く国はだんだん人の命を大事にしなくなっていくものなんだなあ、と感じます。
私は死刑制度に反対しますから、この判決に当然反対ですし、抗議したいと思います。
岡田外相は「それぞれの国に法律があり、司法制度がある。中止してくれと正面からいうわけにはいかない」と妙な「理解」を示しました(4/3中日新聞より追加)
一般論として、確かにその国の法律や司法の判断は尊重されなくてはいけません。
しかし誰の命も奪っていない犯罪に死刑という最も重い刑が科せられることは、国際標準からして到底許容できるものではありません。
仮に百歩譲って、たとえ日本が殺人罪に死刑を設けていることを肯定する立場をとっていても、麻薬密輸で死刑を肯定することは許容できることではないはずです。
国内で死刑を肯定する人も中国のこの死刑執行には抗議すべきだと思います。
死刑が好きだから中国の死刑を非難しないし、もともと日本は国民を何が何でも守ろうという国家ではない、という国の性格を見せつけられます。
(余談ですが、普段チベットへの人権弾圧に抗議している方々は、日本人に対するこのような人権蹂躙に対しても抗議するのが筋だと思うのですけど・・)
英政府は、麻薬密輸の罪で死刑判決を受けたイギリス人被告の刑の執行停止を10回も呼びかけました。
それにもかかわらず執行されてしまったとき、ブラウン首相は「最も強い言葉で非難する」と激怒しました。
http://news.livedoor.com/article/detail/4528071/自国民の生命を守ることは政府の最も大事な仕事のひとつです。
日本も生ぬるい「懸念」などではなく、明確に執行中止を求めて貰いたいと強く希望します。
【追記】
村野瀬玲奈さんの中国で
日本人が死刑執行されることに抗議できない日本を読ませていただいて、これは死刑制度反対の観点から書くのが本筋と気付きました。
でなければ、もし日本人が中国で殺人を犯して死刑判決を受けた場合、それに明快に抗議できないからです。
そのニュアンスが曖昧なままだったので、本文を若干修正しました。
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