中高生にもわかる日の丸君が代プチ問答集(3・続)
- 2010/04/13
- 22:45
前のエントリーでは、文科省の学習指導要領や教育委員会の通達に基づく日の丸君が代の指導について私なりの批判をしましたが、法的な観点からの批判もつけ加えたいと思います。
このエントリーは「中学生にもわかりやすい」とはいかないかも・・(^^;
(前述の日弁連の意見書を要約、抜粋しています)
●学習指導要領の法規範性
①教育基本法の規定(改正前10条、現16条)は、国が教育行政の諸条件を整備確立するときは、「教育は、自主的かつ創造的になされるべきであって、教育の方法に対する国家的介入については抑制的であるべき」という憲法上の要請をふまえ、教育が不当な支配に服することならないようにすべきとの限定を付したものである。
②学習指導要領の法規範性に関する最高裁判例(旭川学力テスト事件)は、
教育行政機関が教育の内容、方法について基準を設定する場合には、教育における機会均等の確保と全国的な一定の水準の維持という目的のために必要かつ合理的と認められる大綱的な基準を定めるものにとどめられるべき、としている。
③そうとすれば、設定した教育の内容、方法について基準が大綱的基準を逸脱し、内容的にも教職員に対し一方的な一定の理念や観念を生徒に教え込むことを強制するようなものである場合には、教育基本法が禁じた「不当な支配」に該当し、ひいては、「教育の方法に対する国家的介入については抑制的であるべき」という憲法上の要請に反するものとして、その法規範性は否定されるべきである。
④そこで学習指導要領の「日の丸君が代条項」を上に当てはめて検討してみるに、
・同条項は1989年の改訂により「望ましい」という表現から「指導するものとする」という義務的な表現になっており、教職員の裁量の余地を残していないと解し得ること(大綱的基準を逸脱の可能性)
・実際、教職員に対し、不利益処分をもって国旗国歌を強制していると評価しうる状況が見られること(不当な支配に該当の可能性)から、
同条項に法規範性が認められるかは疑問である。
⑤もし同条項に法規範性が認められるとしても、その法規範性は
教育における機会均等の確保と全国的な一定の水準の維持という目的のために必要かつ合理的と認められる大綱的な基準を定めるものであり、かつ、教職員に対し一方的な一定の理念や観念を生徒に教え込むことを強制しないとの解釈の下で認められるべきものである。
従って同条項の法規範性を認めたとしても、同条項によって教職員、児童に対し国旗に向かっての起立や国歌の斉唱を強制できると解することは、困難である。
⑥以上から、「同条項は教職員に対し国旗に向かって起立し国歌を斉唱する義務を負わせている」という学習指導要領の解釈とこれに基づく運用は、最高裁判例に照らしても誤りと言わざるを得ない。
(つづく)
このエントリーは「中学生にもわかりやすい」とはいかないかも・・(^^;
(前述の日弁連の意見書を要約、抜粋しています)
●学習指導要領の法規範性
①教育基本法の規定(改正前10条、現16条)は、国が教育行政の諸条件を整備確立するときは、「教育は、自主的かつ創造的になされるべきであって、教育の方法に対する国家的介入については抑制的であるべき」という憲法上の要請をふまえ、教育が不当な支配に服することならないようにすべきとの限定を付したものである。
②学習指導要領の法規範性に関する最高裁判例(旭川学力テスト事件)は、
教育行政機関が教育の内容、方法について基準を設定する場合には、教育における機会均等の確保と全国的な一定の水準の維持という目的のために必要かつ合理的と認められる大綱的な基準を定めるものにとどめられるべき、としている。
③そうとすれば、設定した教育の内容、方法について基準が大綱的基準を逸脱し、内容的にも教職員に対し一方的な一定の理念や観念を生徒に教え込むことを強制するようなものである場合には、教育基本法が禁じた「不当な支配」に該当し、ひいては、「教育の方法に対する国家的介入については抑制的であるべき」という憲法上の要請に反するものとして、その法規範性は否定されるべきである。
④そこで学習指導要領の「日の丸君が代条項」を上に当てはめて検討してみるに、
・同条項は1989年の改訂により「望ましい」という表現から「指導するものとする」という義務的な表現になっており、教職員の裁量の余地を残していないと解し得ること(大綱的基準を逸脱の可能性)
・実際、教職員に対し、不利益処分をもって国旗国歌を強制していると評価しうる状況が見られること(不当な支配に該当の可能性)から、
同条項に法規範性が認められるかは疑問である。
⑤もし同条項に法規範性が認められるとしても、その法規範性は
教育における機会均等の確保と全国的な一定の水準の維持という目的のために必要かつ合理的と認められる大綱的な基準を定めるものであり、かつ、教職員に対し一方的な一定の理念や観念を生徒に教え込むことを強制しないとの解釈の下で認められるべきものである。
従って同条項の法規範性を認めたとしても、同条項によって教職員、児童に対し国旗に向かっての起立や国歌の斉唱を強制できると解することは、困難である。
⑥以上から、「同条項は教職員に対し国旗に向かって起立し国歌を斉唱する義務を負わせている」という学習指導要領の解釈とこれに基づく運用は、最高裁判例に照らしても誤りと言わざるを得ない。
(つづく)
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