肝心の「企業・団体献金禁止」マニフェスト実施はどうなったのでしょう?
- 2010/04/27
- 17:41
総理の方は法的責任を問うまでにはいかないと判断されたわけですが、二人ともにこの事件を国会等で明らかにし、説明する政治的責任を負っていることにかわりありません。
鳩山総理は最初、検察から資料が戻ってきたら、公開してあきらかにするといっていたのに、例によって言を翻してそれを取りやめてしまいました。説明責任を果たす気がないということでしょうか。
それに、総理は野党時代「秘書が逮捕されたら議員は辞職すべし」と厳しい対応を迫っていたのに自分がそれを実践しないのは二枚舌、といわれてもしかたありません。
今後政治とカネの黒い関係を可視化して断ち切るするためにも、鳩山総理は事件を明らかにする説明責任がありますし、再発防止のための法制に即座に取り組む義務があります。
でなければ、民主党など所詮は第二自民党だと揶揄されても仕方ないだろうと思います。
政治とカネの関係をクリーンにするためにまずやらなくてはいけないことは企業・団体献金禁止であり、民主党もマニフェストに3年後をめどに企業・団体からの献金を全面禁止する公約を掲げていました。
しかし、昨年10月11月に立て続けに政治資金集めパーティを開いた小沢さんは、「企業・団体献金のあり方」について21世紀臨調(新しい日本をつくる国民会議)に提言を求めることにしました。
『19日の記者会見で、来年の通常国会に提出する政治資金規正法改定案に「企業・団体献金全面禁止」を盛り込むのかと問われた小沢氏は、「それ(21世紀臨調の提言)が出ないうちに、こうだ、ああだといってしまったら、お願いした意味がない」』(2009年10月29日(木)「しんぶん赤旗」)
として、21世紀臨調の提言があるまで企業献金禁止を先送りにして、パーティを開催。
これに対し、法案の成立など待たずに率先して受け取りをやめればいいだけなのに、そうしないのは公約実行する気がないのではないかと共産党などから反発を招いたと記憶しています。
21世紀臨調(新しい日本をつくる国民会議)と言えば、財界人や御用学者の集まり。いわば政党に企業献金する側の立場の人達です。よりによってそんなところに提言を求めてどうしようというのか。例えは悪いですが、泥棒に縄を渡して自分を縛れといってるようなものですが・・。
とりあえず、その21世紀臨調の提言がやっとでたようです。
その中身について、時間の都合で超他力本願で大変恐縮ですが、阪口弁護士のブログと、上脇博之教授のブログからごっそり引用にさせていただきました。お許しを。
◆弁護士阪口徳雄の自由発言
21世紀臨調の企業献金禁止に関する提言は自民党・財界の応援団(政治とカネ209)
4月16日、21世紀臨調は企業団体献金の禁止全面禁止ではなく、企業・団体献金を政党本部、都道府県に1個の政党支部には認め、他の政党支部は禁止するという提言をした。
http://www.secj.jp/pdf/20100416-2.pdf
この提言は結論から言うと潰れかかった自民党や巨額の献金で政府の政策買収をしたい財界を『支援』する政治資金規正法の『改革案」である。
しかも、企業・団体献金禁止に動くマスコミ、世論並びに民主党の中で企業団体献金禁止に動く一部の議員に対して、極めて高いハードルを設定した。
この高いハードルを要約すると、
企業・団体献金禁止などの政治家のカネに関するルール作りは
① 日本の民主主義や政党政治の将来像
② 国 民と政党、政治家が共有すべき新しい政治文化のあり方を描きながら
③ 国民の批判に謙虚に耳を傾けつつ、与野党の幅広いコンセンサスの下で行われる必要がある。
そのためにまず
④ 政党・政治家がなすべきことは、政治資金の「収入」と「支出」の実態の全容を正直に国民に吐露し大規模な情報開示に踏み切ること、
⑤ 「民主主義のコスト」として合理的かつ必要不可欠な額はどれほどのものなのかを精査し、国民に説明責任を果たすこと
⑥ 政治資金の「支出の仕分け」を行い、徹底的に無駄遣いの排除を断行することである。
その上で、企業団体献金禁止をする為には
⑦ 非営利の典型である政党や政治家の活動が寄付やボランティアによって積極的に支えられていくことと矛盾のない制度設計のあり方、
⑧ 自発的な結社であるはずの政党をこれ以上政党交付金に全面依存する「国営政党」とすることは望ましいか否か
⑨ 政党と政治家の関係についても実態を精査し、
⑩ あるべき政党組織や政党内の民主的な手続き、内部統制のあり方についても議論する必要がある。
⑪ いずれの問題でも、「政党」のあり方そのものを議論の俎上に乗せることは不可避であり、
以上のハードルを越えない改革論議は不誠実である。
とまで断定した。
この提言の根本的欠陥は企業・団体献金を存続した場合の政党、政治家への弊害について全く論じていないことである。政党本部、都道府県の支部に献金を残すならば、自民党に財界が今までしていた献金はそのママ残る。
このような政党間でおよそ一致しないハードルについて議論をし、まして≪与野党の幅広いコンセンサスが必要≫となれば100年たっても企業・団体献金全面禁止はできない。
それが21世紀臨調の狙いであることは明白。
見え見えのお粗末な提言。
はたして民主党はこれに対してどういう態度をとるのか。
もし民主党がこのような提言にのり、企業団体献金全面禁止に踏み切らないならば、民主党をマニフェスト違反で訴えることも検討中。
◆上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場
企業献金に関する21世紀臨調の提言は財界主権を温存させるもの!
(引用開始)
(4)このように21世紀臨調の提言は、「政党の在り方に関する真剣な検討」が必要だといいながら、「選挙区単位の政党支部に対する企業・団体献金については、直ちにこれを禁止し、企業・団体から寄付を受け取ることができる主体を党本部及び都道府県単位で指定した1つの支部に限る案を検討すべきである。」として、企業・団体献金の全面禁止を提言してはいないし、また、企業・団体の政治資金パーティー券購入の全面禁止を提言していない。
(5)そもそもこの提言は、企業・団体献金が本来法的に許容されないことを無視しているし、企業・団体献金が利益誘導になるという弊害を軽視したものである。
企業・団体の政治資金パーティ券購入が実質的には企業・団体献金と実質的に同じである実態を無視してもいる。
企業・団体献金等の全面禁止が議会制民主主義の条件であるとの認識さえないものだ。
言い換えれば、法的な議論は無視して、政治腐敗の温床も存続させ、財界による政策「買収」の復活の可能性も残そうという、とんでもない提言であるし、議会制民主主義の条件を生み出そうという気が全くない提言である。
(6)また、民主党は、マニフェストで、両方の全面禁止を有権者に約束したが、21世紀臨調は、それについて与野党が認めた場合を別にして、反故にしても良いと主張しているに等しい提言を行っているのである。
経済同友会は政党シンクタンクへの企業・団体献金を容認する提言を発表していた。
21世紀臨調の提言は、それに比べても企業・団体献金の存続が露骨である。
要するに、財界主権の政治を存続させたいのであろう。
こんな恥ずかしい提言を、記者会見までして発表するとは、呆れ果てる。
厚顔無恥としか言いようがない。
(7)私たちは、すでに民主党のマニフェストを具体化した提案を行っているが、民主党は、それを無視し、自らのマニフェストを反故にし、21世紀臨調の提言や経済同友会の提言に乗るのだろうか!?
民主党の正体が自民党と同じ財界政党であるかどうかが見えることだろう!
去年から半年以上かけて、なんというアホらしい提言でしょうか。(これも税金の無駄遣いで仕分けして欲しいですね)
そもそも企業献金は法的にいっても認められるべきではないので、21世紀臨調の提言など待たずに即刻禁止すれば済む話なのです。
(こちらを参考にhttp://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/50926342.html)
民主党はおそらくこの提言を受け入れるでしょう。でなければ諮問した意味がありませんから。21世紀臨調ならこういう提言になるとわかってるから諮問したのでしょう。
要するに、民主党は企業・団体献金全面禁止のマニフェストを反古にする口実を得るために、わざわざ21世紀臨調に諮問したとしか思えません。
マニフェストでは勇ましいことをいってみたものの、やはり企業献金を全て捨ててしまうのが惜しくなったのですね。
それで政党助成金も今まで同様にいただくわけですから、随分虫のいい話だと思います。
正直「そんなことだろうと思った」です。
ここでも第二自民党の本性が出てきそうです。
障害者自立支援法廃止など、政権交代して少しはよいこともありましたが、政策を自公路線(財界、アメリカより)にまたひとつ旋回しそうな予感。
もしこの提言を受け入れ、マニフェストに反して企業・団体献金の禁止を生ぬるいザル法にするならば、昨日も書きましたが民主政権は「野党時代の言を翻して、自公政権と変わりないことをやりだした」として厳しい批判に晒されて当然です。
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