平和祈念式典に出席するなら安保法案を断念してから来て下さい
- 2015/08/09
- 15:00
●不戦の理念、永久に変えてはならない 長崎平和宣言全文 2015年8月9日11時45分
http://www.asahi.com/articles/ASH866CZ5H86TOLB010.html
被爆者代表の平和の誓い全文はこちらです。引用させていただきます。
●原爆被害の生き証人として語り続ける 平和への誓い全文 2015年8月9日11時48分
http://www.asahi.com/articles/ASH867TTCH86TOLB01B.html
70年前のこの日、この上空に投下されたアメリカの原爆によって、一瞬にして7万余の人々が殺されました。真っ黒く焼け焦げた死体。倒壊した建物の下から助けを求める声。肉はちぎれ、ぶらさがり、腸が露出している人。かぼちゃのように膨れあがった顔。眼が飛び出している人。水を求め浦上川で命絶えた人々の群れ。この浦上の地は、一晩中火の海でした。地獄でした。
地獄はその後も続きました。火傷(やけど)や怪我(けが)もなかった人々が、肉親を捜して爆心地をさまよった人々が、救援・救護に駆け付けた人々が、突然体中に紫斑が出、血を吐きながら、死んでいきました。
70年前のこの日、私は16才。郵便配達をしていました。爆心地から1・8kmの住吉町を自転車で走っていた時でした。突然、背後から虹のような光が目に映り、強烈な爆風で吹き飛ばされ道路に叩(たた)きつけられました。
しばらくして起き上がってみると、私の左手は肩から手の先までボロ布を下げたように、皮膚が垂れ下がっていました。背中に手を当てると着ていた物は何もなくヌルヌルと焼けただれた皮膚がべっとり付いてきました。不思議なことに、傷からは一滴の血も出ず、痛みも全く感じませんでした。
それから2晩山の中で過ごし、3日目の朝やっと救助されました。3年7か月の病院生活、その内の1年9か月は背中一面大火傷のため、うつ伏(ぶ)せのままで死の淵(ふち)をさまよいました。
そのため私の胸は床擦れで骨まで腐りました。今でも胸は深くえぐり取ったようになり、肋骨(ろっこつ)の間から心臓の動いているのが見えます。肺活量は人の半分近くだと言われています。
かろうじて生き残った者も、暮らしと健康を破壊され、病気との闘い、国の援護のないまま、12年間放置されました。アメリカのビキニ水爆実験の被害によって高まった原水爆禁止運動によって励まされた私たち被爆者は、1956年に被爆者の組織を立ち上げることができたのです。あの日、死体の山に入らなかった私は、被爆者の運動の中で生きてくることができました。
戦後日本は再び戦争はしない、武器は持たないと、世界に公約した「憲法」が制定されました。しかし、今集団的自衛権の行使容認を押しつけ、憲法改正を押し進め、戦時中の時代に逆戻りしようとしています。今政府が進めようとしている戦争につながる安保法案は、被爆者を始め平和を願う多くの人々が積み上げてきた核兵器廃絶の運動、思いを根底から覆そうとするもので、許すことはできません。
核兵器は残虐で人道に反する兵器です。廃絶すべきだということが、世界の圧倒的な声になっています。
私はこの70年の間に倒れた多くの仲間の遺志を引き継ぎ、戦争のない、核兵器のない世界の実現のため、生きている限り、戦争と原爆被害の生き証人の一人として、その実相を世界中に語り続けることを、平和を願うすべての皆さんの前で心から誓います。
平成27年8月9日
被爆者代表 谷口稜曄(すみてる)
※太字は私による
(動画を追加)
胸を打つ平和への誓いでした。
それに比べ、この後あいさつにたった安倍首相の言葉は何と空々しかったことか。棒読み丸出し。
核兵器も運べる法律を強行採決しようという人間がどの面下げていけしゃあしゃあと。
あいさつの動画が早速あがっていますが、1:36あたりで「帰れ帰れ!」と聞こえるような野次が飛んでいます
https://www.youtube.com/watch?v=qVAO5-y97No&feature=youtu.be&t=1m32s
沖縄の沖縄全戦没者追悼式でも、広島、長崎、両方の祈念式典でも、平和を願う式典で野次を浴びる安倍首相
平和の敵ってことでいいですね?
長崎市長の田上氏がよみあげた「平和宣言」のなかでも安保法制が触れられていました。
現在、国会では、国の安全保障のあり方を決める法案の審議が行われています。70年前に心に刻んだ誓いが、日本国憲法の平和の理念が、今揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっています。政府と国会には、この不安と懸念の声に耳を傾け、英知を結集し、慎重で真摯(しんし)な審議を行うことを求めます。
という慎重な言い回しでしたが、会場から拍手が起こると、明らかに安倍首相の目は泳いでいました。
谷口稜曄さんが安保法制を許すことは出来ないと仰ったときも、大きな拍手が起こりました。
安倍首相、聞きましたか?
あの拍手は核のない平和を希求する人々が安保法制をハッキリ拒否する意思表示です
安倍首相のあいさつ全文にもリンクを張っておきます
●非核三原則堅持し核軍縮主導する決意 首相あいさつ全文 2015年8月9日11時43分
http://www.asahi.com/articles/ASH8845XHH88TOLB006.html
『非核三原則を堅持しつつ、「核兵器のない世界」の実現に向けて、国際社会の核軍縮の取組を主導していく決意を新たに』したのだったら、どうして核武装は合憲だと言い、核兵器さえ運搬可能な安保法制を作り、平和憲法を踏みにじるのか。
どうしたって、安倍首相が式典で述べたこととやってることは両立しません
原爆の犠牲となった広島や長崎が望んでいることは核兵器廃絶だけではありません。原爆が使用されるのは戦争においてですから、戦争そのものに反対し、平和憲法を大事にしているのです。
安倍首相がこういう式典に出席して、平和について言葉を述べること自体が大きな矛盾だし、犠牲者への侮辱だと私は感じます
(会場の外からの、政権批判のシュプレヒコール、会場の中まで聞こえる…)
— 荻上チキ (@torakare) 2015, 8月 9
(総理あいさつの時、会場から野次をあげた男性がいた。会場でプラカードをかかげようとして、警備に止められる方も数人。その人たちは、かわりに腕でバッテンマークを作って抗議していた)
— 荻上チキ (@torakare) 2015, 8月 9
(プラカードをかかげようとしていた方が、警察に事情聴取されていました) pic.twitter.com/WrWMERstTA
— 荻上チキ (@torakare) 2015, 8月 9
(ちなみに。プラカードや野次を警戒する、腕章の方々) pic.twitter.com/AmRAil2pBf
— 荻上チキ (@torakare) 2015, 8月 9
一般市民のヤジに神経尖らせるなら、国会でヤジ飛ばしまくってる首相をまずなんとかして
さて、youtubeで1983年6月に公開された「はだしのゲン」のアニメを見つけました。
原爆投下のシーンはショッキングな絵になっていますが、この機会にご覧になってみて下さい。
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