#国会を見よう ~核弾頭は弾薬です。核兵器も法律上は運搬可能です&米艦船の防護が不要ならそもそも集団的自衛権いりませんの巻
- 2015/08/06
- 22:00
●首相「米艦単独で行動せず」 集団的自衛権 防護根拠揺らぐ 東京新聞 2015年8月5日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015080502000122.html
安倍晋三首相は四日、安全保障関連法案に関する参院特別委員会で、他国を武力で守る集団的自衛権行使の事例に挙げる日本近海での米艦防護に関し「米イージス艦が単独で来ることはない」と、部隊単位で行動する米軍が自らイージス艦を防護することを認めた。自衛隊が集団的自衛権に基づき米艦への攻撃に反撃できるようにする法案の必要性に疑問が強まった。
小川勝也氏(民主)が「朝鮮半島で緊張が高まっている時に、米イージス艦が日本に助けてもらわなければならない少ない船団で行動することはあり得ない。あたかも日本が米軍を守らなければならないようなミスリードをしている」と批判した。
首相は「米側は自己完結型で、できる限り防御を固めてくる」と米イージス艦は他の米艦艇や潜水艦、米軍機と共に行動し、米軍自ら防御する態勢を整えていることを事実上認めた。その上で「世界最強の米軍であろうと、自衛隊の協力で安全が高まると考えるのは当然だ。米太平洋司令官も歓迎している」と述べた。
政府は日本近海で弾道ミサイルを警戒中の米イージス艦は「自艦を防御する能力が低下する恐れがある」と集団的自衛権を行使して防護する必要性を強調。日本に向け発射された弾道ミサイルを迎撃する能力を持つ米イージス艦が攻撃された際に、自衛隊が反撃しなければ、日本が壊滅的な被害を受ける明白な危険が生じると説明している。
◆掃海に続き必要性疑問
<解説> 安全保障関連法案に関する参院特別委員会で現実味の薄さが露呈した弾道ミサイル警戒中の米艦防護は、安倍晋三首相が最重視してきた事例だ。その根拠に疑問符がつき、法制化の必要性がさらに揺らいだ。
首相は二〇〇六年発足の第一次政権で集団的自衛権の行使容認の検討を始めた当時から、米艦防護を中心的な課題に据えてきた。安保法案の審議でも、日本防衛にあたる米艦が攻撃された場合に「守らなくていいのか」と繰り返している。
だが、米艦を防護する状況が想定しづらいという見方は、根強くあった。圧倒的な軍事力を誇る米軍が自らの守りを固められず、自衛隊に支援を要請するのは考えられないという理由からだ。首相がこれを事実上認めたことで、日本を守るための米艦防護というよりも、対米協力の姿勢を示す色彩が一層濃くなった。
首相は、米艦防護と並びこだわる戦時の機雷掃海をめぐっても、イランがホルムズ海峡を封鎖する可能性は低いことを認めている。集団的自衛権行使の代表的な二事例がにわかに起こり得ないことが明らかになり、法案の成立を急ぐ理由の説明はますます苦しくなった。 (生島章弘)
22:30あたりからになります。
『首相は「米側は自己完結型で、できる限り防御を固めてくる」と米イージス艦は他の米艦艇や潜水艦、米軍機と共に行動し、米軍自ら防御する態勢を整えていることを事実上認めた』
これは前から指摘されていたことで、自衛隊の防護なんか必要性は極めて低いことを首相自ら認めたわけです。
機雷掃海に引き続き、米艦防護も安保法制の支持を国民から取り付けるための方便に過ぎないことが安倍首相の口から明らかになりました。
それでも中谷大臣は「自艦を防御する能力が低下する恐れがある」から自衛隊の防護は必要だと言い張っていますが、この答弁は苦しいですね
専守防衛に徹する自衛隊は敵地攻撃能力を持っていない(はず)ので、自衛隊が防護に駆けつけても米艦にとってはかえって足手まといかもしれません。
自衛隊の防護が「枯れ木も山の賑わい」程度でしかないなら、「自衛隊が米艦防護しないと我が国が存立危機事態に陥る」とはいえないので、新3要件を満たしません
もし仮に自衛隊が米艦防護しないと確実に米艦が破壊され、日本へのミサイル発射は不可避、というのなら、米艦への攻撃が日本に対する「攻撃の着手」となるわけで、それだと個別的自衛権の発動の要件に当てはまりますから集団的自衛権は関係無くなります(日本に対する攻撃の着手があった時点で個別的自衛権が発動する、というのが旧政府見解)
集団的自衛権が我が国の防衛のために必要として政府があげた3つの例のうち、2つは米艦防護できないと我が国の存立に関わるという例でした。
しかしこれでは、「米艦船を防護するための集団的自衛権認めたって、我が国の安全には何の役にも立てないじゃないか」と言わざるを得ません
つまり、立法事実がないわけで、安保法制など不要だという結論に達します
さて、次は核兵器も輸送できるのか、という点についてですが、書いてある内容は全体的に似通ってるのに各社見出しが正反対なのが興味深いです。
見出しだけお持ち帰り
●核兵器輸送「あり得ない」…中谷氏、明確に否定 (読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150805-OYT1T50074.html
●中谷大臣 核兵器運搬「ありえない」 (NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150805/k10010179031000.html
●中谷防衛相「核兵器輸送はありえない」 (日テレ)
http://www.news24.jp/articles/2015/08/05/04306175.html
●核兵器輸送「依頼あっても拒否」=中谷防衛相、法文上は排除せず—参院特別委 (WSJ)
http://jp.wsj.com/articles/JJ12433431574188644382417577080113767135632
●中谷防衛相:後方支援「核兵器輸送、排除せず」 (毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150806k0000m010098000c.html
●自衛隊の「核兵器輸送は想定せず」 中谷防衛大臣 テレビ朝日系(ANN)
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20150805-00000026-ann-pol
●他国軍支援で核兵器の輸送も法律上は可能 TBS News i
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2556419.html
●中谷防衛相「核弾頭は弾薬」と答弁、核兵器輸送は可能? TBS News i
https://gunosy.com/articles/aZV2T
そんなわけで、動画から書き起こししておきます 9:30あたりからおききください
白「ではもう一つ確認なんですけど、7/29の防衛大臣のご答弁でですね、米軍のミサイルは輸送できるのかという質問に対して、法律では除外をした規定はございませんと述べてますから、運べる、ということでよろしゅうございますね、これも確認でございます」
中谷「ミサイルは弾薬に分類しておりますが、但し日米間のACSAによりまして、ミサイルは除く、ということになっておりますのでミサイルを輸送する、ということは想定はしていない、ということでございます」
白「私が聞いてるのは想定ではございません。条約というのは変わります。そうでなくて、法文上は可能かどうかを聞いてるんですけど」
中谷「法文上は可能でございますが、ACSAにおきましても条約でございます」
白「法文上はミサイルは可能だと言うことはわかりました。それではですね、日本の自衛隊が核弾頭付きのミサイルを運ぶことは法文上可能と言うことになりますね」
中谷「まず、輸送については可能であり、提供においては法律上はしない、ということでございます。それは一般論でありまして、核につきましては、我が国は当然核兵器は保有していないのでありますし、米国もその存在を明らかにしていないわけでございまして、核兵器を輸送すると言うことは想定もしておりません」
白「これからはそうすると、日本の自衛隊は核兵器を運ぶことがこの法文上可能になるということでございますね、法文上でございます私が聞いているのは」
中谷「法文上は排除しておりませんが、但しACSAにおきましてミサイル、これは含まない、ということになっております。また、それ以上に非核三原則というのが我が国はございますいので、この原則は維持するということでございます」
白「ACSAは条約なんです。我々今法文の審査をしていてそうやって別の条約をあちこち持ってこないでいただきたいですね。それからですね、非核三原則の言うのもこれはですね、日本国内においてという話なんであって、公海上とか外国においては関係無いわけなんですよ。だからこれ大変なことなんですよ。つまり法律をよく見たら、も一回確認しろと言うことですからも一回確認しましょう。じゃあ日本の自衛隊は核兵器を運べると言うことでよろしいですね」
中谷「さきほどですね、武器の輸送について、法律上運ぶことは出来ないとされているということでございましたが、これは法律上は特定の物品の輸送を排除する規定はないということでございます。但し核兵器につきましては非核三原則もございますし、また米国自身もそういうことは表明していないわけでございますので、全く我が国としてはそういう核兵器の運搬につきましては想定してないということでございます」
白「法文上可能かどうかだけを私は聞いているんです。想定はしていないとかそんな話ではないんです、私は。法文上可能かどうかだけ、イエスかノーでお答えいただきたいと思います。この法律によって、も一回聞きますよ、この安保法制によってこれから日本の自衛隊が核兵器を運ぶことが可能になるか、イエスかノーかだけでお答え頂きたい」
(書いててうんざりしてきた・・・)
中谷大臣、また同じ答弁の繰り返し
以下エンドレス・・orz
法文上、毒ガスは運べるんですね。
法文上、全ての兵器を運べるんですね
の質問に対しても全て同じパターンの回答です
法運用するにあたっては、他の政策等により、法律が定めている制約以上の制約を受けることがあります
今現在はACSAがあるし、非核三原則もあります(中谷大臣は核兵器の運搬は三原則の一つ「核は保有しない」に反すると言う認識かな?)
しかし、ACSAは容易に変わることがあり得ます。非核三原則だって武器輸出三原則みたいにいつ反故にされるかわかったもんじゃありません
そうすれば、核兵器も運搬可能ということになります
白氏はそこを問うているのですし、そこが問題なのです
法律文言上どうなるかを考えるとき、他の条約なり政策なりがどうなっているかは関係ありませんし、加味してはいけません
政府に最もすり寄っているマスコミ、読売、NHK、日テレが「法文上核兵器の運搬は可能である」と言うことを出さず、「核兵器運搬ありえない」、とのみ見出しにしたのはさもありなん(笑)
さすがに法律上は核兵器運搬可能、では国民のウケは悪くなるに決まってますから
ACSAがあるから、とか、非核三原則があるから、とか言い訳をつけるくらいなら、何故この法律に大量破壊兵器や非人道的な兵器の運搬を禁ずるという文言を書き込まないのか、という白氏の批判は的確です
クラスター爆弾や劣化ウラン弾や毒ガスなどの非人道兵器や、核兵器。これらの兵器の運搬は「法律で明確に禁止できるはずなのに、あえて禁止しない」と言うことが、安保法制のスゴイところです
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