安保法制の中には自衛隊法改正も含まれていますが、それが海外派兵を命じられた自衛隊員が命令を拒否することはもちろん、
引きとめようとする家族さえも処罰するものであることをメモしておきます
赤紙がきたら誰も逆らえず、家族も万歳三唱して死地に送り出すしかなかった70年前のデジャヴです<STOP!違憲の「安保法制」>
●本田稔・立命館大学教授の「自衛隊法『改正』案で罰則適用拡大 『戦争に行くな』は犯罪」
http://is.gd/77MqwQ
自衛隊法「改正」案で罰則適用拡大 「戦争に行くな」は犯罪
立命館大学法学部教授(刑法) 本田稔
政府が衆議院で強行採決した安保関連法案は、10の法案から構成される「平和安全法制整備法」と新規法の「国際平和支援法」から成り立っています。分量も多く、専門用語で書かれているため、読みづらいですが、そにうちの自衛隊法「改正」案の違憲性は明白です。
政府が衆議院で強行採決した安保関連法案は、10の法案から構成される「平和安全法制整備法」と新規法の「国際平和支援法」から成り立っています。分量も多く、専門用語で書かれているため、読みづらいですが、そにうちの自衛隊法「改正」案の違憲性は明白です。
自衛隊法は、自衛隊の規律を維持し、任務を遂行するために、様々な行為を禁止しています。上官の職務命令に対して多数で共同して反抗し、また現場の指揮官が上層部の職務命令に反して不法に自部隊を指揮する行為。そのような行為を相談・計画し(共謀)、そそのかし(教唆)、あおる行為(煽動)。これらは、厳しく処罰されます。また、防衛出動命令を受けた際に、勤務条件などに関して国家の代表機関と交渉するために団体を結成したり、現場の指揮官が自部隊を不法に指揮する行為も処罰されます。それを共謀・教唆・煽動した場合も同じです。さらには、サボタージュ(職務懈怠)、上官命令への反抗・不服従、その教唆・幇助も処罰されます。
今回の改正は、これらの罰則を国外で行なわれた場合にも適用することを目論んでいます。これまでは、憲法9条のもとで、自衛隊の国外での武力行使だけでなく、戦闘地域における危険な任務遂行も禁止されてきました。しかし、安保関連法案は、存立危機事態において、集団的自衛権行使の名のもとに、自衛隊が米軍と共に武力行使できるようにし、また重要影響事態において、非戦闘地域において米軍へ食料や弾薬などを提供し、後方支援できるようにしています。また、戦闘行為が収束し、停戦合意が成立した後においても、戦乱が継続する地域に自衛隊を派兵し、自衛隊員がその治安維持のために武器の使用ができるようにしています。
自衛隊が米軍と共同して武力行使すれば、相手国の標的にされるのは明白であり、また後方支援と称して、米軍に弾薬を提供するなどすれば、米国の武力行使を補完・強化する兵站と見なされ、相手国からの攻撃対象にならないはずはありません。さらに、停戦合意のもとでの治安維持活動が長期にわたって「殺し、殺される」状況を作り出し、多くの戦死者を出す危険な行動であることは、アフガニスタンでの経験からも明らかです。少しでも躊躇すれば、上官命令の不服従とされ、処罰されます。このまま自衛隊法が「改正」されれば、国外に派遣された自衛隊員は、任務違反を理由に処罰されることなしに、この任務から逃れることはできません。
自衛隊員の家族や友人は、危険な任務に従事するのを引き止めようとするでしょう。しかし、それは許されません。それは職務懈怠の教唆にあたる可能性があるからです。育てた息子、愛する夫・父、恋人を声を出して引き止めることは犯罪であり、安保関連法案では許されないのです。平和運動家は、国内外で戦争の真実を知らせ、また戦闘地域の近くまで赴いて、憲法違反の戦闘行為を止めるよう自衛隊員に呼びかけるでしょう。しかし、それは指揮官に不法な指揮をするよう煽動し、また自衛隊員の士気を弱め、上官の職務命令に従わないよう教唆する犯罪にあたり、厳罰に処せられる可能性があります。
自衛隊の最高司令官である総理大臣は、自衛隊の内部で造反分子が現れていないか、不満分子が団体を結成しようとしていないか、サボタージュや命令違反の動きがないかを監視するでしょう。派兵された自衛隊員は、相互に監視し監視されるなかで、「殺し、殺される」この職務に従事することを余儀なくされます。
憲法18条は、国家が意に反する苦役に国民を従事させることを禁止しています。意に反する苦役を強要する安保関連法案の違憲性は誰の目からも明白です。何としても参議院において廃案に追い込まなければなりません。
「京都民報」第2698号(2015年8月2日(日))第5面掲載
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