現在政府は「教育の政治的中立」という名を騙って、学校に対し、筋金入りの歴史修正主義教育、政治的偏向教育の圧力をかけています。戦前戦中の日本の凄惨な負の歴史の具体的記述は「日本を貶める自虐だ」として常に攻撃の的です
しかし20年ほど前まではまだマシだったようですね
元慰安婦の方の話を授業で直接子供達に聞いてもらった取り組みを記したツイートをお持ち帰りします
(ツイートを沢山埋め込みすると重くなりますので、初回以降文章だけを引用します)
大谷さんは97年にフィリピンの元「慰安婦」ロラ・ナリンさんが日本での証言集会のために来日されたのに合わせ、自分の受け持つクラスにも招き、授業で話していただくことを決めた。事前の歴史学習では日本軍が中国大陸に侵略を開始し、アジア各地に戦場を拡げていったことをとりあげていた。
『加害の歴史を伝えること』というタイトルの、大谷猛夫さんの取り組みが印象深かった。1973年から2007年まで東京の中学校社会科教師だった方だが、93年にフィリピンを訪れ元「慰安婦」女性に出会ってから、日本の被害だけでなく加害の事実も授業に反映していく取り組みを始める。
ロラ・ナリンさんは44年、村に侵入してきた日本軍兵士に連行され、陵辱を受ける。家に押し入った兵士は家族に暴行し、家族はロラさんの目の前で殺されたという。ロラさんは当時12歳だった。途中何度も感情が高ぶってしまうロラさんの話に、中学生は水を打ったように静まり返って耳を傾けたという。
生徒の感想抜粋「ナリンさんが「日本」という言葉を聞いただけで血が逆流するような気分だったと(略)私たちがしたことではない。今の日本ではなく、昔の日本が戦争をし、悲劇を起こした。だけど、日本は責任をとらなくてはいけない。戦争を二度としない、真実を知り、そして忘れない、ということ」
「たった12歳の女の子が何人もの人が目の前で死んでいくのを見たり、自分もひどいことをされたなんて信じられない。(略)私はそんな日本兵を許せない。どうして日本はそんな二度と繰り返されてはいけないことを教科書に載せないんだろう。(略)こんなのは絶対おかしいと思う」
「教科書に載っていないことがいくつもあってびっくりした。(略)簡単に殺したり、ぎゃくたいしたり、人間のすることじゃないと思った。こういうことを日本の政府は認めなければいけないし、みんなに教えるべきだと思った。でもそれより謝らなければならないと思った」
「私はナリンさんがもっと日本兵がしたことを私たち日本人に訴えてくると思っていた。でもナリンさんは何よりも二度とこんなことが起こらないように、自分が体験した苦しみを私たちがあじわうことのないように、と私たちのことを考えてくれていることに驚いた。だから戦争の話は聞きたくないのだけど→
一生懸命聞いた。重たい荷物を運ばされ、レイプまでされて、心も体もボロボロなのに、逃げて逃げて家まで戻ってきたのに、辺り一面何もなくなっていたなんてひどすぎる。やっと家族に会え、自分の身に起こったことを話すとお父さんは狂ったように叫びだし、どうしてこんな小さな子がこんなひどい目に→
あわなくてはいけないのか、といったところまでくると通訳さんは泣いていた。ナリンさんを抱きかかえながらお父さんが叫んでいるようすを想像すると、私までつらく悲しくなってきた。こんな悲劇が二度とおこらないように私も願いたい、と思った」
この大谷さんという方は他にも中国から遺棄毒ガス事件の被害者の中国人男性を招いたり、元日本軍の軍医を招いて、日本の加害の事実を子どもたちに教える取り組みをされていたそう
子どもたちの感想が、こんなことを知らせてくれないのはおかしい、きちんと知らせてほしいし、政府は謝るべきだと率直に書いてあって、わたしも読んでいてはげまされた。子どもたちはまっすぐ見つめることができるし、真剣に証言者の声に耳を傾け、考えることができる。それなのにね。
いかがでしょうか
子供達の感想を聞くと、子供達には、過去の自国の過ちを正面から受け止めてそこから学んだ教訓を未来に生かしていく力がちゃんと備わっているのだと感じました
歴史を学ぶとは、過去に学ぶとはこういうことです
何度も書いていることですが、戦争の悲惨な被害体験を継承することも大事ですが、本当に反戦の原動力となるのは、自国が過去におかした過ちを知ることです
過去の日本の軍国主義の被害者は口を揃えてこう言います
慰安婦問題にしろ南京大虐殺にしろ70年も前の出来事であって、戦後に生まれた私達が直接犯した犯罪ではありません
ですから、当たり前ですが、被害者もこの犯罪行為について直接私達に謝罪しろと迫っているのではありません
しかし、私達が過去に目を閉ざし、過去の過ちを正当化しようとするなら、それはセカンドレイプであり、私達がもう一度過去の犯罪を犯したに等しいことになります
そして必ず未来で過去と同じ過ちを繰り返すでしょう
それを食い止める一番の力は、過去の過ちをしっかり学ぶ事だと口を酸っぱくして強調したいです
https://www.facebook.com/shin.inoue.18/posts/531618653578189
▼リンク先から
何度も繰り返すがもう一度。反戦を訴えるとき、自分たちの戦争被害よりも戦争加害を知ることが戦争を防止するのにより強い力となると思う。日本が中国で何をしたか、米がイラクで何をしたか、兵士の体験談を伝え聞くことだ
日野原重明(医師・聖路加国際病院理事長)
「日本は日中戦争という誤った戦争に踏み出し、近隣諸国に大きな惨禍をもたらしました。中国で人体実験をおこなった731部隊の石井四郎中将は京都大学の先輩です。私が医学部4年生のとき人体実験の16ミリ映画をみせられました。
捕虜を檻のなかに入れてチフスやコレラ菌その他の各種の病原菌を感染させて何日目に熱が出るか、何日目に発疹が出るか、何日目に死ぬかというものです。
また、南京で日本兵が銃剣で妊婦のおなかを突き刺す場面も見ました。見た学生はみんなぞっとして、脳貧血を起こして倒れるんです。
僕らはそういう事実を知っているから、「あれはもう過去のことで、なかったことだ」なんて嘘は通じない。アメリカのべトナム戦争もそうですが、戦争というものは人間を悪魔にしてしまいます。
被爆の悲惨さを知る私たちは、世界に何万発もの核兵器があることを踏まえ、平和の尊さを語り継いでいかなければなりません。現代人に必要なのは戦う勇気より平和を守る勇気です。
私は日本が平和憲法を実現して世界平和のとりくみの先頭を目指すことを願っています。米軍への基地提供も10年後には解消したいと、アメリカに伝え、その後は完全に軍備のない独立国家となってほしいと思います。
そのために安保条約を破棄することにアメリカは文句を言えません。いい方向にするんですから。また、反対したら他の国は文句を言いますよ。
ポツダム宣言を受諾して日本が無条件降伏をしたのはアメリカに無条件に従うということではなく、世界に非戦を宣言したのですから。
東京大空襲の時には多くの被災者が聖路加国際病院に運ばれてきました。大やけどを負った大人や子どもたちが薬品もなく目の前で死んでいきました。その光景はいまも私の脳裏に焼き付いています。
私は命を守る医者です。命を脅かす最大のものが戦争です。だから私は日本が軍隊をもつことに同意できないし、平和運動に徹するのは医者の務めです。全国革新懇ニュース2007年9月10日号
(私の昨年の8/16ツイートのまとめをシェアしていてくださったようです^^)
今学校で日本の過去の歴史的犯罪を聞かせる取り組みをしようとすれば、かなりの圧力がかかるでしょう。憲法23条で保障された「教育の自由」はもう死に絶えつつあります。
ここでも立憲主義の破壊が進んでいるのです現在、安倍政権の戦前回帰、歴史修正主義は国際社会から強く批判を受けています
国際社会は、お前の国は過去にこんな酷いことをやったじゃないかと非難しているのではありません。現在の日本の歴史修正主義勢力が過去の犯罪を認めず、被害者を冒涜し、過去を美化し歴史を書き換えようとしていることを非難しているのです
安倍政権はじめとする日本会議系歴史修正主義者達は、慰安婦は強制連行されたと朝日が触れ回ったから日本の評判が貶められた、と吹聴していますが、バカも休み休み言って欲しいです
現在のドイツはかつてのユダヤ人大量虐殺を正面から謝罪し、戦犯を自らの手で追及し続けています
そのことが「ドイツを貶めた」でしょうか?
もしもドイツが「ユダヤ人の虐殺など無かった、ナチは間違っていなかった」と言ったらそれこそドイツの評判は地に落ちます
それと同じ。
「慰安婦が強制連行されたと世界に広めた」から日本の評判が貶められたのではありません
そんなことはナチのアウシュビッツ同様、とっくに知れ渡っている歴史的事実です
その歴史的事実ををねじ曲げて正当化しようとしている歴史修正主義者達の存在が日本の評判を貶めているのです
もうあれは済んだことだ、もう二度と起きないから今更知ろうとしなくったって、という声も時には聞くことがあります
もう二度と起きない?
とんでもない、第二次世界大戦から現在に至るまで繰り返されてきました。ベトナムで、イラクで、アフガンで、ガザで。
安保法制で再び海外での武力行使への道を開こうとしている今、過去の過ちを直視できない人間がそれに手を貸さないとどうして言えるでしょうか
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