(結構な長文になりましたが、おつきあい下さると嬉しいです)
安倍首相がフジテレビで念願のTV出演を果たしました。見る価値のない番組ですが、一応動画を貼っておきます
(※動画が非公開となりましたので、別のを貼っておきます。その1~その11までありますので、その1だけはっておきます)
この番組の放送開始後、私のTLは、生肉祭へと(笑)とりあえず生肉はおいといて。
これを見ていて頭が痛くなった人は大勢いると思います。
ほぼ安倍首相の主張垂れ流し、政府公報でしかない1時間でした。
安倍内閣は選挙前にわざわざ「公正な報道を」と報道機関に公然と圧力をかけたくらいですから、今度はフジテレビは憲法学者や法曹関係者を集めて「安保法制のここが間違っている」みたいな番組を作るべきですね。そうでなければ公平中立とは言えません。フジTVさん、ご検討下さい
さて、この番組で安倍首相が延々と喋った内容は、既に何度も何度も何度も繰り返し政府が言ってることばかりでした。
国民はそれを聞いて「理解できない」といってるのに、さらにまたそっくり同じ事をそのまま再生したって理解できるようになるはずがありません。
こういうの、「国民に対する丁寧な説明」とはいいません。いいとこ、「バカの一つ覚え」って言います。
しかも内容は全て論破され尽くしたオワコンばっかり。
なのに、それに反論する人が殆どいないのを良いことにさも正論であるかのように独り舞台で演説するのは、一種の詐欺行為といえます。
私のブログを読んで下さってる方にはもう説明不要だと思うのですが、念のため初めて読んで下さった方にもわかるように、個別的自衛権と集団的自衛権の違いから簡単に説明しときたいと思います
日本が集団的自衛権を行使するというのは、同盟国(主にアメリカ)が戦争状態に入ったとき、アメリカが日本に手助けをしてくれと要請し、日本がそれに応じて応援に駆けつけることをいいます。
ですから集団的自衛権とは、日本にとっては自国の防衛とは全く関係ないしろものです
それに対し、個別的自衛権とは、日本が自国に攻撃を受けたとき、あるいはまさに受けようとしているとき、自国を防衛することを指します
このように、集団的自衛権には「自衛」という言葉が使われていますが、実際は「自衛」ではないことに注意して下さい
個別的自衛権=日本が一国で(個別で)日本への侵略、攻撃に対し防衛すること
集団的自衛権=アメリカと協力し合って(集団で)日本への侵略、攻撃に対し防衛すること
だと勘違いしないようにしてください
この安保法制に賛成の理由をみると、「尖閣に中国が攻めてきたら~」というのが多いのですが、明らかに上述の勘違いをしていますね(このとき日本が行使するのは集団的自衛権ではなく個別的自衛権です。もしアメリカが日本の要請で一緒に防衛に参加したら、アメリカが集団的自衛権を行使したことになります)
まだ両者の違いがわかってない人が沢山いるんですね、でなければ他国の戦争を代理させられるだけの安保法制に30%近くも賛成するわけがないでしょうから
では、番組を見てみましょう
安倍首相はパネルで、いわば個別的自衛権と集団的自衛権の重なる部分(水色の部分)を今回の安保法制で容認するのだと説明しています
↓
しかし、この水色の部分はじつは存在しません。なぜなら、個別的自衛権と集団的自衛権は重なることはないからです
「わが国を防衛するのにやむを得ない範囲内での集団的自衛権の行使」という概念自体が最初から論理矛盾なのです(ココ大事)もう一度、集団的自衛権とは何か、個別的自衛権とは何かを思い出して下さい。
『両者は、自国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるかどうかという一点において、明確に区別されるものであり、ある武力行使が個別的自衛権にあたるのか、それとも集団的自衛権にあたるのかは二者択一の関係にあり、両者が同時に成立することは』ありえないのです(by水島朝穂先生 これは以前の政府解釈でもあります)
強いて言えば、この水色の部分はもともと「個別的自衛権」がカバーする分野であって、集団的自衛権は全く関知しない分野なんですね
でも、番組内ではこのことは全く指摘されませんでしたね
出演者、ちゃんとつっこんでください!
また、番組内で安倍首相は何度も何度も「戸締まりをしっかりする」と言っていますが、これは自国の防衛(個別的自衛権)を例えるときに使われる定番の比喩です。それを知ってる人には「戸締まり論」が出た時点で、首相の話はもうアウトだということがわかります。アメリカを助太刀にいくのは「戸締まり」を強固にすることと関係ありませんからね
あ、もしも「アメリカを助けてあげることで恩を売っておけば、いざというときアメリカが助けてくれるだろう、そうすれば戸締まりが強固になる」なんて考えてるとすれば、それはあまりに不確定要素が多すぎる子供っぽい願望に過ぎないと思いますよ
安倍首相はこのパネルを出すのに先んじて、水色の部分にあたる事例として、「北朝鮮のミサイルが巡回する米艦を攻撃したら~」という事例を出しています。番組内で唯一出された具体的な実例ですが、実はこれ、例の「米艦船の邦人輸送」や「ホルムズ海峡の地雷除去」とならんで前からあげられてた事例です
ここでは詳しく述べませんが、これも現実には殆ど起こりえないことだし、仮におこったとしても、まさにこれは「個別的自衛権が発動できる場面」ですから、あらたに安保法制で認める集団的自衛権などまるで関係ない場面です。実際このようなケースでは個別的自衛権が発動できる旨、政府は答弁しています
既に
あかりちゃんもあっさり指摘済みですね
(そういえば番組の最後の方であかりちゃんの元ネタ「教えて!ヒゲの隊長」の動画を使ってましたけど、既に本家の再生回数をあかりちゃんは遙かに上回り、高評価も本家の10倍以上あるのに、よく出してきましたね、かなりずぶとい神経です)
そして、首相は右の白い部分の、いわば本来の集団的自衛権にあたる場合は行使容認しない、こういうケースの要請には応じないと言っています。
ですが、
これは全く信用できません。
非常に曖昧な「新3要件」では、政府がこの白い部分を「存立危機状態」と認定することなど雑作もないのです。特別秘密保護法で情報をどんどん秘密指定にしてしまえば尚更ですね
過去を振り返ってみましょう、日本はこれまでアメリカのやる戦争に一つも異議を唱えたことはありません。イラク戦争では真っ先に支持を表明しました。戦争終了後には各国があの戦争は間違いだったと自己検証してるのに、日本はそれすらやらないのです
今回の安保法制だってこれほど成立に向けて暴走している理由の一つは、
日本で法案提出する前に、夏までに成立させるとアメリカで勝手に約束をし、アメリカはそれをあてにしてなんと既に自国の予算に日本が負担する金額を組み込んじゃっているからなのですそんな日本が、アメリカの要請を断ると思いますか?
こうなると、集団的自衛権行使は日本の場合はこういいかえていいかもしれません
「集団的自衛権」は自衛権でもなんでもないし、もっと言えば、権利でもない。本質は、アメリカの言いなりになり、アメリカが引き起こす戦争に武器を持って参戦する「義務」のことだ。http://is.gd/1Pv25o
(追加) (追加ココまで)アメリカの戦争はベトナム戦争をはじめ、アフガン、イラク戦争のような不当な侵略戦争ばかり、イスラム圏の激しい怒りを買っています。ISのような残忍なテロリスト集団が生まれたのも、元はといえばアメリカの自業自得なのです
いずれ日本が手伝わされるはめになる戦争はそんな戦争になるでしょう、これがイスラム圏の怒りを買わないと思いますか?
実際に湯川さん、後藤さんを殺したISは、日本は既にアメリカに従属しかしていないと述べていました
これで日本が絶対テロ対象にならないと断言するなんて、どれだけ無責任な発言をするのかと腹が立ってきます
(追加) (追加ココまで)出演者、ちゃんとつっこんでください!
更に、安倍首相は集団的自衛権が合憲だとする根拠に
またまたまたまた「砂川判決」を持ってきましたここで出演者総ツッコミしなさい!
政府は法案を出したとき
「わが国が、自国の平和と安全とを維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置を執り得ることは、国家固有の権能の行使であつて、憲法は何らこれを禁止するものではない。」
という砂川判決の一文を取り出して、集団的自衛権は合憲だとの論拠にしました
しかしこれは、判決の前後の流れをぶった切って都合の良い一文だけを取り出しただけ、判決の趣意を全く無視しています
学者達は
「砂川判決は、米軍を日本に駐留させることが9条違反にならないかが問われたケース。最高裁は米軍を駐留させることは日本の自衛権に含まれると解しても9条に違反しない、と言ってるのみで、日本が集団的自衛権行使することに関しては一切審議されていない。従って砂川判決は集団的自衛権行使を是認する根拠にはなり得ない」
と一刀両断しています
当然政府はぐうの音もでず、これに対する再反論を一切していません
ところが一定時間がたつとまた、砂川判決は「わが国が、自国の平和と安全とを維持しその存立を全うするために・・・」とやり出す
また学者も同じ批判をする
しばらくするとまた政府は「砂川判決は、わが国が、自国の平和と安全とを維持し・・・」と繰り返す
その都度学者も(以下略
もうこれを何度リピートしたことか
これが小林教授のいう「バカの壁」であり、「バカは無敵」ってやつです
安倍首相は自分が死んでることに気づかないゾンビですか?
というか、これはもう真面目に議論するつもりなどなく、砂川判決の事を知らない市民を一人でも多く騙すのが目的の確信犯ですね。
つまり、政府はこの番組で、集団的自衛権は日本の防衛とは何の関わりもないのに、日本の防衛をより手厚くするモノだ、と国民を騙して法案に対する支持を取り付けようとしているのです。
安倍首相の主張は詐欺だというのがおわかりいただけるでしょうか
出演者、ちゃんとつっこんでください!
それでも110日間の国会審議で明らかに破綻した政府の言い分をこうしてくどくど繰り返すのは、ヒトラ-のこの言葉を忠実に実行してるのでしょう
一般市民は想像以上に原始的である。
プロパガンダは常に単純な繰り返しでなければならない。
諸問題を簡単な言葉に置き換え、識者の反対などものともせずに、その言葉を簡明な形で繰り返し繰り返し主張する者こそ勝利する
さて、番組は次に、この水色の部分と白の部分(今回の安保法制では行使しないと政府が勝手に言ってる集団的自衛権の部分)の境目はどういうことなのかの説明に入ります
ここでいよいよ、待望の生肉登場です
(バイオハザードに出てくるクリーチャーにしか見えない・・・)ここから安倍首相は一切具体的な事例を出して説明しようとはしません。母屋だの離れだの火事だのという例え話オンリーですそういえばニコ生の時も、麻生君が不良に絡まれて、とかいう何だか情けない例え話しかしませんでした。
どうして安倍首相は例え話しかしないのでしょうか?
ここは肝心なところですから、まず実例で説明すべきなのに、そこからしておかしいですよね?
例え話というのはもともと、実例で説明すると少々難解な場合、それをわかりやすくするために用います。
ところが安倍首相の場合、例え話をすればするほどわけがわからなくなっていきます。
実例を出してそれを例え話になぞらえて説明するなら例え話も生きるというモノですが、徹頭徹尾例え話しかしないから何が何に例えられているのかすらわからず混乱するだけなんです
どうしてストレートに実例を出さないか
以前は水色の部分に該当する実例として、ホルムズ海峡と、米艦船の邦人輸送なんかもあげていましたが、それらは北朝鮮のミサイル話同様、現実には起こりえない想定である上に集団的自衛権行使の場面ではない、ということで木っ端微塵になっちゃいました。
それ以来、安倍首相は実例をだすことができなくなりました。
だから、麻生君が不良に絡まれて、とか、戸締まりとか、振り込め詐欺とか、家の離れが火事で、とか、
生肉が、とかもうカオスな例え話でごまかすことしかできないのです
首相の例え話でスッキリ理解できた人、いますか?
あんなに一生懸命説明してるからわかってあげなきゃ可哀想、とか、これだけ説明されてるのにわからないなんて、私が悪いのかしら、と、なんとなく理解できているような気になっている人がいるとすれば、それは裸の王様を褒めている群衆と変わりませんよ?
わざわざ意味不明な例え話にして国民を混乱させてることを見抜きましょう
(追加) (追加ココまで)そして、もし例え話に例え話で切り返すなら、住友先生のこちらが的確でしょう
番組に対して言いたいことはたくさんありますが、もうひとつだけ
これ、はっきりさせましょう
ところで国民にはこんなゴミみたいな説明してますが、海外向けにはどう説明してるのでしょうか。まさか、母屋が火事とか存立危機事態がどうのとか言ってませんよね?
単刀直入、本来の集団的自衛権行使の話をしています。およそ軍隊を持つ国で集団的自衛権を認めていないのは、永世中立国と日本だけです。だから海外では、集団的自衛権の是非の論議には興味がなく、政府は国民に向けて話してることについては触れる必要がないのでしょう
国内向けにはこんな風にハッキリとはいいません。
国内向けと国外向けと違うことを言う~それだけでも国民はバカにされてるとわかりますね
●離れ、振り込め詐欺、生肉…安倍首相の安保法制説明がワケわからなさすぎで失笑! フジテレビへの生出演は逆効果http://lite-ra.com/2015/07/post-1307.htmlすっかり長くなりましたが、最後にもう一度書いておきましょう
安倍首相の番組出演は、集団的自衛権は日本の防衛とは何の関わりもないのに日本の防衛をより手厚くするモノだ、と国民に嘘をついて、法案に対する支持を取り付ける詐欺行為である あ~、こんなのを1時間も見て疲れてしまいました。
長文エントリ-におつきあいいただいた口直しに生肉祭をちょこっとどうぞ
オチ
<再追加>
私達は私達の国の首相が海外からどのように見られてるかを知って置いた方がいいでしょう
欧米では極右国粋主義者として警戒されてきたことはこのブログでも書いてきましたが、先日の生肉で、失笑買っていることも記録しておきます
海外からは、極右国粋主義者の上におバカという評価です
<村野瀬玲奈の秘書課広報室>
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安倍晋三首相生肉独り遊び事件(?)http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-6530.html
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