ドイツのメルケル首相の来日講演で浮かび上がる安倍政権の恥ずかしい姿(3)~ドイツ紙の報道
- 2015/03/17
- 20:00
が、なんと。
先日のメルケル首相の訪日のニュースも、ドイツの主要メディアでは首脳会談後の記者会見の写真が全く使われなかったそうです
<明日うらしま>
●297:メルケル訪日のドイツでの報道/メディアから匙を投げられた安倍政権とNHK/言論の自由の深化はどうすべきか
2015年3月16日月曜日
http://tkajimura.blogspot.jp/2015/03/nhk.html
少し遅くなりましたが、今月の9日、10日のメルケル首相の訪日に関する、ドイツの報道について以下簡単にお報せします。
まずは、以下に観られるようにドイツの主要プリントメディアでは、なんと安倍首相との首脳会談後の記者会見の写真が、まったく使われませんでした。代わりに天皇を訪問した時と、朝日新聞社と日独センター共催の基調講演で中学生に歓迎されるメルケル首相の写真だけです。
このこと自体が、いかにドイツメディアが安倍政権に失望して、匙を投げてしまっていることの現れであるといえます。すなわち首脳会談としての報道価値がないとの判断の現れです
(引用中断)
嫌われていますね、安倍首相。そして首相としての資質がないと判断されてますね。
ロシアのプーチン氏だって写真掲載拒否までいかなかったと思うのですが。
ここまで露骨に嫌われている「民主主義国」のトップって、他に思いつくでしょうか?
日本国民の皆さん、こんな人物を二度まで総理大臣に据えているってどういうことなのか、ちょっと考えてみませんか?
日本国民自身がファシズムを望んでいるのだと諸外国に判断されてもおかしくないという危機感は感じませんか?
引きつづき、ブログ「明日うらしま」さんから、ドイツ紙の反応(主要紙の見出しとリードのみの翻訳と南ドイツ新聞の論説の翻訳)と、日本の報道のあり方についての厳しい批判をお持ち帰りさせていただきましょう。
新聞の画像と全文はリンク先で直接ご覧下さい。
フランクフルター・アルゲマイネ紙:
日本の平常への困難な道(電子版では:安倍晋三への「ドイツ授業」)
メルケル首相は日本で、ドイツの過去とのかかわりを学生たちに報告した。安倍首相とは軍隊の将来について会談した。
ディ・ヴェルト紙:
妊娠したら謝らなければならない
日本は老齢化しており中期的に労働力が不足する。 にもかかわらず仕事を持っている五分の一の母親はいじめられている。アンゲラ・メルッケル首相は女性の雇用促進ではまだ初期段階の国を訪問した
南ドイツ新聞:
選び抜かれた礼儀(電子版見出し:メルケル慇懃に批判を試みる)
アンゲラ・メルケルは日本訪問で、脱原発の長所と第二次世界大戦での自ら犯罪の承認について、ただ非常に慎重に説得しようと望んだ。
南ドイツ新聞論説の全文翻訳:
日本:和解の教訓
クリストフ・ナイトハルト
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日本は批判に慣れていない。政府は、その第二次世界大戦での歴史観に疑問が呈されると、それによって孤立して国際間ではコンセンサスとなっていても、拒否反応を示すのである。批判が善意でありえても東京には伝わらない。歴史を歪めることは長期的には無理である。
アンゲラ・メルケル首相は東京への旅の前に、領土と歴史問題での対処に関して、東京を批判したり教訓を与えることなく、どのように表現すべきかを自問しなければならなかった。彼女はこの微妙な課題を巧みに解決した。彼女は忠告を与えず、ただドイツの和解の経験を指摘しただけであった。彼女は、例えば東アジア諸国のかたくなな姿勢への選択肢として、「1500年、1600年、1700年当時の国境がどこであったか」などは、問題とすべきではないと述べた。メルケルの含意ある示唆は、すでに政府が非難攻撃しているリベラルな朝日新聞社で基調講演を行う決断にみられた。その場の聴衆の質問に答えて、彼女は言論の自由について何の問題もないと述べた。
民主的な政府には異なる意見が必要であるといった。 日本の公共テレビのNHKはこのことからまったく学ぼうとはしない。そのニュースでは首相がどこに登場したかを、ある新聞社でとしか伝えなかった。日本の学習能力はこの程度である。
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(以上論説翻訳)
この短い論説に良く示されているように、メルケル首相は、非常に慎重に、脱原発の選択肢や、特に歴史認識に関して、その意義を伝えたいとしたのに、アレルギー的に拒否反応するだけで、聞く耳を持たない出来の悪い反抗期の子供のような安倍政権と、「朝日新聞社で」と具体的に伝えないNHK(*注釈)は、ドイツメディアから落第点を付けられ、ついに匙を投げられてしまいました。これが7年ぶりのドイツ首相の日本訪問の結果の現実でした。日本の報道だけではこのような国際世論は伝わらないでしょう。
(中略)
(*注釈 )NHKはここで、『日本のメディアでは、他社の報道を引用しないという慣習があることを知らないところからくる誤解だ」と言い逃れをするかもしれません。
しかしこの慣習は非常に日本的なおかしげなものです。おそらくは記者クラブ制度からくるなれ合いの悪習であるのではないかと思われます。
ドイツでもそうですが、少なくとも欧米のメディアでは、日常的に「〇〇新聞はXXと報道した」と引用するのは当たり前のことです。その上で、自らのコメントを付けます。このようにして、報道媒体間での議論が切磋琢磨され、しのぎを削ることができ、豊かな議論と報道ができるのです。
たとえば、「慰安婦問題」に関する朝日新聞叩きの根拠になっている「吉田清次偽証言」にしても、当時、この偽証言を報道したのは朝日新聞だけではありません。読売新聞も、NHKも、彼の証言を同じように報道しています。あたかもそれが無かったごとく、自己検証抜きで、平気で朝日を新聞を批判する厚顔無恥で二枚舌のインチキがまかり通るようなことは、欧米のメディアではあり得ないことです。
このようなおかしな引きこもりってもたれあう悪習から抜け出し、日本の大手新聞もどんどん他社の報道を引用して、論議を深めることが望まれます。
(引用ここまで)
ディ・ヴェルト紙が、妊娠すると仕事を継続するのに不利な状況におかれることを「妊娠したら謝らなければならない」と表現しているあたり、単に「雇用促進の初期段階」にあるというだけでなく、日本独特のマタニティ・ハラスメントを皮肉っているように感じます。
被害者側を責め立てる日本の「自己責任論」は欧米では奇異で理解しがたいものですが、それはどんな理由があろうと、個より上位の存在である集団に迷惑をかけるな、という日本の伝統的な全体主義的思考に由来しており、マタハラも同様です。そんな精神構造をドイツは見抜いているのでしょう。
日本政府の原発推進政策も歴史歪曲主義もドイツは直接当事者ではないので、ドイツ首相が正面切って日本政府を批判すれば波風が立ちます。ですからメルケル首相が「日本と中国や韓国との関係についてはアドバイスする立場にはない」と断ったのは当然と言えるでしょう。それでもなんとか日本に恥をかかさないように日本に脱原発と過去の歴史の自省を促すにはどう講演すればよいかに腐心したのだ、というのがドイツのジャーナリズムの共通認識ですし、日本でも毎日、東京などはそういう認識です。
しかし、NHKや産経や、日本政府はそう捉えていませんし、肝心の朝日も何故メルケル首相が朝日を選んだかについての考察は見かけませんでした。
だから「日本の学習能力はこの程度である」などと書かれてしまうのです。
今回のメルケル首相の訪日は、日本がファシズムの時代に逆行しているという欧州の認識をより一層強く確信させたことでしょう。
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