日本には「脱亜入欧」的なアジア蔑視の感情がずっと潜んでいます。
嫌韓嫌中も元はアジア蔑視に根ざすものでしょうし、アジア系の外国人を格差社会構造の底辺に組み込んで搾取している「外国人技能実習制度」もアジア系外国人差別の一端です。
朝日新聞の報道と、井上伸さんの記事をメモしておきましょう。
●外国人実習生「あこがれの日本」で失踪 追い詰められ…http://www.asahi.com/articles/ASH375HLYH37TIPE00T.html
働きながら技能を学ぶ外国人技能実習生が行方不明になるケースが増えている。警察への届け出は2014年、過去最多だった13年をさらに更新する勢い。農業実習生として熊本県に来た中国人女性の場合、別の場所で働いていて警察に摘発され、帰国を余儀なくされた。なぜ、女性は追い詰められたのか。
緩やかな丘に畑が広がる地区に、養鶏場だった建物がある。熊本県合志市。一昨年の夏まで、中国人女性(当時24)が農業実習生として働いていた。
関係者の話や法廷での証言などによると、女性は東北部にある遼寧省のトウモロコシ農家の出身。中学を中退後、弟の学費や家族の生活費を稼ぐためにレストランで働いた。だが、家計は苦しかった。そんなときに実習生の制度を知り、日本へのあこがれもあって興味を抱いた。
「3年働けばもとが取れる」。現地の仲介業者にこう言われたという。保証金として5万元(約95万円)を借り、自己都合で3年以内に帰国した際には20万元(約380万円)の違約金を払う契約も結んだ。2012年8月、鶏の飼育などができる養鶏業の実習生の資格で来日した。
ところが、現実は違った。作業は、「資格外」の卵のパック詰め。月の手取りは時間外労働を除けば約7万円。未明まで残業のときもあったが、日本語の勉強をしながら働いた。
9カ月後、労働基準監督署の調査で資格外作業が発覚し、養鶏場で働けなくなった。実習生の受け入れの仲介などをする監理団体の寮でいったん過ごしたが、この団体も別の不正行為がきっかけで営業停止に。「稼ぎがないまま帰国すると借金や違約金が残る」と思い、昨年2月ごろに寮を出た。つてを頼って熊本県八代市内でホステスとして働いた。
同6月、女性は同県警に出入国管理法違反(資格外労働)容疑で逮捕された。同9月、熊本地裁で罰金刑の判決を受け、退去強制命令が出た。さらに、収容されている間に帰国への不安から床に頭を打ち付けて自殺を図った。止めに入った入管職員にけがをさせたとして公務執行妨害などの容疑で逮捕され、福岡地裁で執行猶予付きの有罪判決を受け、昨年末に帰国した。
「だまされた気がします」。女性は熊本地裁の公判で語った。同地裁判決は、技能実習生の受け入れや送り出しの体制について「問題があったことは否定できない」と指摘した。福岡地裁の公判では、女性が自ら日本語で記した上申書を提出。日本語で「日本が好きで来た。真面目に仕事したかった」と悔しさをにじませた。
女性が中国側の仲介者に払ったとされる保証金や違約金は、実習生の入国許可などを規定する出入国管理法の関係省令で禁止されている。女性を受け入れた監理団体の関係者は、女性が中国で払ったとしていることについて「知らない。借金をしてまで来る理由がありますか」と朝日新聞の取材に対して話した。
女性を支援してきた「コムスタカ 外国人と共に生きる会」(熊本市)の中島真一郎代表は指摘する。「女性は人身取引の被害者として保護されるべきだ」
■「雇用の調整弁にされている」
法務省入国管理局によると、2013年に行方不明の報告が事業所から寄せられた技能実習生(旧制度の研修生を含む)は3567人で、前年から1560人増えた。全国の警察に失踪の届け出があった数も13年が2458人と最多(警察庁調べ)。14年上半期は1717人に上り、前年同期を上回る。中国人が過半数で、ベトナム人やネパール人などが続く。
(引用ここまで)
いい仕事があると騙して誘い慰安婦にした頃からあまり進歩がありませんね。現代日本は70余年前から本質は大差ないということでしょうか
<井上伸の個人Yahoo!ニュース>
●2万5千人失踪、日本人の13倍の過労死、強制労働・人身売買の外国人技能実習生を介護等へ広げる安倍政権
http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueshin/20150309-00043680/
日本の外国人技能実習制度については、アメリカからも「2014年人身売買報告書」の中で、労働搾取を目的とする強制労働への人身売買の制度だと批判されていますが、驚くべき報道が続いています。「過酷労働、困窮訴え ヤギ盗んで食べたベトナム人技能実習生」、そして、2014年に失踪した外国人技能実習生は過去最多の4,851人となり、この10年間で約2万5千人が失踪し、「多くの実習生が最低賃金水準で稼働しているが、残業代の未払いなど労働関連法違反は後を絶たない。労働条件の厳しさが失踪増加の背景にあるとみられる」と報道されています。
こんな惨状になっているにもかかわらず、安倍政権は3月6日、外国人技能実習制度の受け入れ期間を最長3年から5年に延長するとともに、受け入れ職種に介護職なども追加する法案を閣議決定しました。この法案が今国会で通れば来年度から実施されることになりますが、そんなことになればさらに惨状が広がると思います。
(引用中断)
実際、「日本の20~30代の13.3倍も外国人技能実習生の方が過労死する割合が高くなっている」とのこと、これは尋常ではありません。いかに人権無視の酷使をしているか察しがつきます。
(引用再開)
結局、「技能実習」などと言いながら、実際は、違法で劣悪な職場環境で低賃金・長時間の強制労働を外国人にしいているだけです。その根源には、指宿昭一弁護士が指摘しているように、外国人労働者に労使対等の原則をはじめ基本的な労働基準法さえ守られない「技能実習制度」というシステムがあります。このシステムから外国人労働者の人身売買の強制労働という人権侵害が横行する現代の奴隷労働が生まれているわけですから、小手先の罰則や監督態勢の強化などでは実効性が伴うわけがありません。逆に5年延長や介護職など受け入れ枠の拡大などが、介護職における低賃金化に一層の拍車をかけるなど矛盾の拡大と、現代の奴隷労働のあらたな激しい惨状がもたらされてしまうことになると思います。
前回のエントリーでも紹介していますが、ジャーナリストの安田浩一氏による実態告発の一部を紹介しておきます。
私が取材した外国人研修生・技能実習生の実態の一部を紹介します。
時給は1年目が200円、2年目が300円で、勤務時間は午前7時から午後10時までが定時。しかし実際は深夜12時過ぎまで続き、なんと深夜12時以降は時給でなくボタン1個をつくるごとに5円などという完全ノルマ制になっているところがありました。休日は月に1度のみで、彼女たちはパスポートを取り上げられ、自由な外出も許されず、真冬に取材したのですが、住まいはあばら家ですきま風が吹き放題なのに、ストーブもエアコンもなく、お湯もでないので、彼女たちはダウンジャケットを着て部屋の中にいて、私が帰ろうとしたら、お湯を沸かし出して、どうするのか見ていたら、沸かしたお湯を2リットルのペットボトルに詰めて、それを抱えて湯たんぽ替わりにして布団の中にもぐりました。どうりで部屋の中に空のペットボトルが置いてあったなと思っていたのですが、そういう尋常でない状況があったわけです。
外国人研修生・技能実習生の雇用契約書の中に、とんでもないことが書かれているところもありました。その雇用契約書には、「会社の言うことは絶対に守らなくてはいけない」「定められた休日以外は休んではいけない」、そして、「男女交際をしてはいけない」「妊娠してはいけない」という文言までありました。ここで働いているのは、20代、30代の大人です。恋愛も妊娠もなぜ会社に否定されなければならないのでしょうか。
工場の壁に表が貼ってあって、外国人研修生・技能実習生の名前が一人ひとり書いてありました。その表には、1日に何回トイレに行ったかを書き込んでいるのです。1回トイレに行ったら1分間で70円の罰金と書いてある。後で調べてみたら実際には罰金は徴収されていなかったのですが、現場の外国人研修生・技能実習生に対して脅しとしてトイレの回数と時間まで拘束することで、1分でも長く働かせようとしていたわけです。
深刻なのがパワハラ、セクハラです。工場の敷地に外国人研修生・技能実習生がズラリと並べられていて、この工場の専務が右から順番にビンタしていくのです。パンパンッとかなり大きなビンタの音が工場に響いていて、私が駆けつけたので途中でやめましたけど、なぜビンタをしているのか?と聞くと、「こいつらが生意気なんだよ。日本人と同じ給料にしろと迫ってきたんだ」と言うのです。
そして、セクハラはより一層深刻なものがあります。20代の女性のケースを取材したことがあります。そこの経営者が「君は工場で働かなくていいから、うちの手伝いをしろ」と言って、経営者の家の掃除や犬の散歩などをその女性に押しつけました。そして、夜になるとその経営者がやってきて、彼女は抵抗したのですが無理やりレイプされてしまったわけです。それから彼女はお金を稼いで帰国しなければならないために経営者にさからえず、そうした行為が続いたわけです。経営者は行為を終えると枕元に1万円を置いたそうです。彼女はその1万円を受け取るかどうか迷ったそうです。迷った末に受け取る道を選びました。彼女はお金を稼いで帰国する必要があったからです。
【安田浩一氏談、文責=井上伸】
(引用ここまで)
こうした外国人は酷い扱いを受けても言葉も不自由ですし抗議出来ない弱い立場にあります。また、日本に働きに来るアジア系外国人は人権意識もそんなに高くありません。
それをいいことに潜んでいる差別意識を全開にして見下した非道な扱いをする。
こういう実態を見る度、「日本はこんなに外国から賞賛されている」自画自賛ブームが、本当に醜く思えます。(●
氾濫する「日本、スゴーイ」ブームに感じる違和感)
確かに日本は外国人に好感度が高いのは事実です。
日本人は一般的に外国人には親切です。特に欧米の白人系外国人には。
でも、一時的な滞在では表面的な良い部分しか見えません。アジア系外国人がそういう風聞に憧れて技能実習生になったら大変です。
現代日本は一度貧困に陥ったら這い上がるのは非常に困難な極度の格差社会です。
この格差社会が既に「現代版奴隷制度」とでも呼ぶべきシロモノなのですが、その格差の最底辺にアジア系外国人を構造的に組み込もうとういのが、
日本政府の「成長戦略」の一つなのです。
(現代版奴隷制度を成長戦略の一環にするという発想が日本政府の本質を伺わせますね)
そこに組み込まれた外国人に対しては、日本は途端に隠してた外国人差別意識をむき出しにするのです。
その一方で「日本はこんなに外国から賞賛されている」と自画自賛する自己愛。もう本当に病んでるとしか・・。
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