神奈川新聞より~NYタイムズ東京支局長の日本メディア批判の記事(メモ)
- 2015/03/08
- 04:00
それに比べると地方紙はまだ頑張ってくれています。
神奈川新聞も良い記事を載せていますので、丸ごと記録して読み返したいと思います。
ということで、またまた長文の保存用エントリ-、恐縮です。
特に大マスコミはこれを読んで報道の自由度61位という不名誉も併せて思い出し、襟を正して欲しいです。
●時代の正体<71>「イスラム国」は問う(6)「日本のメディアは最悪」-邦人人質事件から/米NY・タイムズ マーティン・ファクラーさん
2015.03.03 11:30:00
http://www.kanaloco.jp/article/84926/cms_id/129022
過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件で2人が殺害されてから1カ月が過ぎた。テロを含めた国際情勢にどう向き合っていくのか-。米有力紙ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラーさんは、日本が重大な局面を迎えているにもかかわらずさほど論議が交わされていないことが不思議でならない。その背景にメディアが機能していないことを指摘する。
◇
ジャーナリストの後藤健二さんの殺害映像がインターネットに流れた約1週間後の2月8日、ニューヨーク・タイムズは1枚の風刺画を掲載しました。
タイトルは「Could ISIS Push Japan to Depart From Pacifism?」(「イスラム国」は平和主義から日本を離脱させられるか?)。テロの脅威で国民をあおり、憲法改正という政治目的の達成へ進む安倍晋三首相が描かれていました。
正確な数は分かりませんが、風刺画はツイッターだけでも何千とシェアされました。リツイート(拡散)している多くは米国人ではなく日本人です。なぜか。邦人人質事件をめぐる政府の対応や思惑について、関心を持っているからです。
しかし、こうした風刺画や論評が外国の新聞に掲載され、日本の新聞には載らないのはなぜでしょうか。日本のメディアは一体何を報じてきたのでしょうか。
■「列強」への道
日本はいま、重大な局面を迎えています。平和主義を守り続けるのか、米国や英国のように「列強」としての道を歩むのか。その判断を突きつけられたのが、今回の事件だったのです。
安倍首相が望んでいるのは後者です。かねて「積極的平和主義」を掲げ、米国の有力な同盟国として、国際社会の一員として、役割を果たすことの必要性を強調してきた。
今回の中東諸国訪問は、安倍政権の姿勢を世界に示す大きなチャンスと考えていたのでしょう。湯川遥菜さん、後藤さんの殺害が予告された後も、安倍首相は「テロに屈しない」と強硬姿勢を崩さず、最終的に2人は殺害されました。
私にとって、政府がテロリストとの交渉を拒んだことは、何の驚きもありませんでした。安倍首相は今回の事件を「国民が犠牲になったが、テロリストとは交渉しなかった」と米国や英国にアピールする材料にするつもりだろうと思っていました。
日本はこれまで「八方美人」でした。どこの国とも仲良く、その代わり、どこにも敵をつくらない姿勢を貫いてきた。安倍首相が描く国家像は真逆です。米国との同盟を強化し、国際社会における存在感を強めようとしている。当然、リスクは増え、敵も多くつくることになるでしょう。
今回の事件でイスラム国のテロリストは「日本の首相へ。おまえはイスラム国から8500キロ以上離れているが、イスラム国を掃討する十字軍に進んで参加することを誓った」と言っている。繰り返しますが、安倍首相はこれまでの日本とは全く異なる国家をつくろうとしている。日本はそういう岐路に立っているわけです。
国家として重大局面を迎えているにもかかわらず、なぜ日本のメディアは国民に問題提起しないのでしょうか。紙面で議論を展開しないのでしょう。国民が選択しようにも、メディアが沈黙していては選択肢は見えてきません。
日本のメディアの報道ぶりは最悪だと思います。事件を受けての政府の対応を追及もしなければ、批判もしない。安倍首相の子どもにでもなったつもりでしょうか。保守系新聞の読売新聞は以前から期待などしていませんでしたが、リベラルの先頭に立ってきた朝日新聞は何をやっているのでしょう。もはや読む価値が感じられません。
私がいま手にするのは、日刊ゲンダイ、週刊金曜日、週刊現代といった週刊誌です。いまや週刊誌の方が、大手紙より読み応えがあるのです。
安倍政権になり、世論が右傾化したという人もいますが、私はそうは思いません。世論はさほど変わっていないでしょう。変わったのは、メディアです。
■批判こそ役割
米国のメディアもかつて失敗を犯しました。米国は2001年、同時多発テロという国家を揺るがす危機に直面しました。約3千人が亡くなり、政府は対テロ戦争に乗り出した。03年には「イラクが大量破壊兵器を隠し持っている」という情報を根拠にイラク戦争を始めた。
米国の主要メディアはブッシュ政権の決断を後押ししました。後にそれが大きな誤りだったと気が付くのですが、国家的危機を前に国民だけでなく、権力の監視を託されているはずのメディアも冷静さを失ってしまったのです。
イラクに大量破壊兵器などありませんでした。誤った戦争だったのです。翼賛体制に協力したメディアは戦争に加担したのです。
この大きな反省から、メディアは権力監視の役割を果たすことの重要性、権力と距離を保つことの必要性を学びました。二度と間違いを犯さぬよう、日々、現場で実践しようと努力しています。
「国家の危機」はメディアを機能不全に陥らせる怖さを潜んでいます。今回の邦人人質事件でも「国家の危機に政府を批判するとは何事か」「テロを容認するのか」という声が一部で上がりました。筋違いな話です。
今回、日本メディアはあまりにも簡単に批判をやめてしまった。しかし、2人死亡という事態で沈黙してしまったら、国内で数千人が犠牲になるようなテロが起きた際、一体どうするのでしょうか。
国家の危機にこそ、メディアは権力が暴走しないよう目を光らせなければならない。冷静さを保ち、建設的な議論を展開しなければならない。
日本のメディアには一刻も早く目を覚まし、本来のメディアとしての役割を果たしてほしいと思います。さもなければ、メディアとして語る資格はもはやないでしょう。
【神奈川新聞】
ついでに、一刻も早く目を覚ますべきメディアの今の断片も書き留めておきましょう
テレビ朝日は・・・
明日6日(金)報道ステーションに出演します。3月は、27日も出演します。この二回で最後です。
4月以降は、篠塚報道局長が出すなと言ったので出られなくなりました。
最後の二回、古舘さんにも番組でいろいろ聞いてみたいと思います。是非見てください。
— 古賀茂明 (@kogashigeaki) 2015, 3月 5
古賀茂明「テレビ朝日の報道局長、篠塚さんっていうんですけれど、この人がもう絶対古賀は出すなという厳命を下したみたいなので(中略)実はこの篠塚局長っていうのはずっと早河、今の会長ですね。この人の懐刀っていうか、茶坊主みたいなものなんですけど」(古賀茂明氏のメルマガより)
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) 2015, 3月 6
古賀氏はメルマガの中で、『報道ステーション』の踏み込んだ内容は、古館氏よりも、「(政権批判が原因で番組を)クビになっちゃうという女性のプロデューサー」や担当ディレクターなど、政治部や経済部、社会部と「戦い」ながらビデオ編集で重要な部分を死守するスタッフの勇気の賜だと書かれている。
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) 2015, 3月 6
なんかもう、政権批判というメディアの本来の役割を果たそうとすると、スタッフはまるでWWⅡ下のレジスタンスみたいにならなきゃいけないんですね
一方NHKは・・・
●NHK会長:慰安婦問題番組「政府スタンスで放送考える」
毎日新聞 2015年02月05日
http://mainichi.jp/select/news/20150206k0000m040145000c.html
NHKの籾井勝人会長は5日の定例記者会見で、戦後70年にあたり従軍慰安婦問題について番組で取り上げるかを問われ「政府の正式なスタンスがまだ見えないので、放送するのが妥当かどうかは慎重に考えないといけない」と述べ、政府が8月にも発表する「戦後70年談話」の行方を見て判断する意向を示した。自律的な放送を放棄するかのような発言は批判を呼びそうだ。
また従軍慰安婦に関する政府見解は見直す余地があるかを聞かれ、「その手の質問には答えを控える」と述べた。さらに、答えない理由について問われると「しゃべったら、大騒動になる」とコメントを避けた。
これではNHKでは、堂々と大本営発表を担当する政府広報機関に成り下がる宣言をしたと批判されても仕方ありません。
もっとも、籾井会長の中では「政府の正式なスタンス」は既定事項だったようです。
●NHK会長:「河野談話、国方針でない」1月審議会で発言
毎日新聞 2015年03月06日
http://mainichi.jp/select/news/20150306k0000m040117000c.html
NHKの籾井(もみい)勝人会長が1月9日に開かれた国際放送番組審議会で、慰安婦問題で旧日本軍の関与を認めた1993年の河野洋平官房長官談話について「国の方針ではない」と発言していたことが5日分かった。
NHK関係者によると、籾井会長が国際放送の自主基準「国際番組基準」の一部を引用し、「日本政府の方針を正確に伝えなさいと書いてあるが、はっきりした方針は意外とない」と述べた。その一例として慰安婦問題を挙げ、「安倍(晋三)首相が安倍談話(戦後70年談話)を出せばこれは国の政策だが、河野談話はそうではない」と発言したという。
河野談話について2007年に閣議決定した政府の答弁書は「閣議決定はされていないが、歴代の内閣が継承している」。安倍首相も「歴代内閣の立場を全体として引き継ぐ」としている。
5日の衆院総務委員会で高井崇志氏(維新の党)がこの発言を取り上げた。籾井会長は「(2月18日の)民主党部門会議で、河野談話は『今は有効だ』と肯定した。ここで何を言おうが、もはや関係ない」と述べた。審議会の発言について否定はしなかった。審議会の議事概要は近く公表されるが、2月13日に委員に配布された文案では、籾井会長の河野談話についての発言は省略されていたという。
十分に政治的発言で、中立を掲げるNHKの会長に不適格。
しかも<籾井会長の河野談話についての発言は省略され>証拠隠しまで。
もはや、NHK受信料を払うのは自民党への政治献金と同じ⇒NHK会長:「河野談話、国方針でない」1月審議会で発言 http://t.co/kEH1OfPzr6
— おくあき まさお (@tuigeki) 2015, 3月 7
NHKは政治的中立性を捨て歴史歪曲主義政府のスタンスに従うことを決めているのですから、今後「慰安婦はただの売春婦だった」というチャンネル桜並みの番組が作られても驚きません。
日本を代表する公共放送は、もはや民主主義国のメディアではなくなっています。
安倍首相の私的広報機関に何故、強制的に受信料を徴収されねばならないのか、腹が立ってきます。
せめて籾井会長を退陣に追い込まなくてはNHKが目をさまし、再びジャーナリズムの精神を取り戻すスタートにも立てないです。
自由権規約委員会の審査では、日本は先進国にしては恥ずかしいくらい沢山の項目で勧告を受けてるのに、次回の審査はもう一つ「報道の自由が保障されていない」という項目が追加されちゃうかも・・・。
- 関連記事
-
- 日本のファシズム度テスト (2015/03/08)
- 神奈川新聞より~NYタイムズ東京支局長の日本メディア批判の記事(メモ) (2015/03/08)
- 民主主義の歴史が浅い国では、民主主義を維持する事にもっと貪欲でないと直ぐに壊れてしまう (2015/02/28)