昨年安倍首相が民放のテレビ番組に出演中、こういうことがありました。
●安倍首相、TBS「街の声」に異議 「意図的な編集」ほのめかす
2014/11/19 19:37
http://www.j-cast.com/2014/11/19221293.html
安倍晋三首相が、解散・総選挙を特集したテレビの報道番組で「街の声」を意図的に編集したのではないかと異議を唱えたことが、話題になっている。そのイライラぶりに、ネットでは批判的な声も出ている。
解散表明の会見後、安倍首相は、テレビ番組などをハシゴして精力的に説明行脚した。嫌いだとされる朝日系には出演せず、メディアを選んでいたようだ。
TBS側が意図的に編集したのではないかと
TBS系の報道番組「NEWS23」にも、安倍首相は一番最後になって出演した。父親で同じ政治家の故・晋太郎氏が毎日新聞記者出身であることから、毎日系のTBSも選ばれた可能性があるが、それは分かっていない。
番組では、毎日新聞の岸井成格特別編集委員ら3人が安倍首相に対峙する形でインタビューが行われた。
安倍首相はまず、岸井氏らから質問を受けて、今衆議院を解散する理由について説明し、アベノミクスはうまくいっていないとの指摘についても長々と反論した。しかし、岸井氏は、庶民の間では景気回復が実感になっていないと指摘し、続いて、番組が事前に取材した「街の声」がVTRで紹介された。
そこでは、「株価が上がってきてアベノミクスの効果はあった」「解散・総選挙で民意を問うのはよい」といった好意的な声もあったが、「お給料は上がってない」「景気も悪い」「全然アベノミクスは感じていない」「大企業しか分からへん」など否定的なものが多かった。
これに対し、岸井氏が何か聞こうとすると、安倍首相はそれを制止し、次のようにまくし立てた。
「これはですね、街の声ですから。みなさん選んでいると思いますよ、もしかしたらね」
安倍首相は、TBS側が街の声を意図的に編集したのではないかと言いたかったらしい。
この安倍首相の恫喝に対する批判が今日、国会で為されましたが・・
●安倍首相:番組に注文「言論の自由」…批判へ反論
毎日新聞 2015年03月03日 21時10分
私が考えを述べるのは言論の自由だ−−。安倍晋三首相は3日の衆院予算委員会で、民放のテレビ番組に出演中、内容に注文をつけたことを批判され、語気を強めて反論した。
民主党の大串博志氏が問題にしたのは、首相が衆院解散を明言した昨年11月18日のTBSの生放送番組。首相は、景気について街頭の批判的コメントを多く取り上げたとして、「選んでますね」「これ、問題だ」などと番組で指摘した。自民党はその2日後、在京テレビ6局に選挙報道の公正中立を要請した。
大串氏が「個別の報道の取り上げ方についてその場でおかしいというのは問題だ」とただしたのに対し、首相は「いったい何人に聞いたのか。不偏不党な放送をしてもらいたいのは当然だ」と反論。「疑問を国民に投げかけた。それが正しいかどうかも含め選挙で審判を受けた」と主張した。大串氏は「報道への介入と言われても仕方のない発言だ」と追及したが、首相は「何の問題もない」と突っぱねた。【福岡静哉】
やはり安倍首相は「言論の自由」はなんたるかと言うことがまるでわかっていませんね。この人は世界人権宣言や日本国憲法の基礎を為す「人権」の基本的理解がまるで出来ていないのです。まるで大日本帝国時代からタイムスリップしてきた人並みの理解力しかないです。
あ・・ひょっとして、安倍首相は現憲法が制定されたときには「まだ生まれてなかったから(表現の自由のなんたるかを)知らない」のかな?
安倍首相を批判するとき、いちいち当たり前すぎる基本から書き始めなくてはならないのにはうんざりしますが、仕方ないので書いておきましょう。
「言論の自由」というのは、国民側が権力側に対して「言論の自由を侵害するな」と主張するものあって、権力側が主張するものではありません。アベノミクスに批判的な街の声はTBSが意図的に編集したという根拠はありますか?ないでしょう?
何の根拠もなしに自分に都合の良い決めつけを「最高権力者」がまくしたてるのは「言論の自由」ではなく、「権力による報道介入」「言論の自由に対する恫喝、侵害」というのです。
一国の首相が、人権(自由権)の基本中の基本がわかってない・・・今更ながら、もう。
お願いですから、安倍首相がどれほど民主主義や人権についての知識に乏しいか、そういう人間に舵取りをさせると民主主義や人権がどれほど危険にさらされるか、メディアは広く知らしめてくれませんか。
そういう「言論の自由」は権力側ではなくあなたたち側にこそあるのですから。
安倍首相の発言は、批判を許さない独裁者・ファシストそのものです。シャレになりません。
現在安倍首相にも献金疑惑が出ているようで、それはそれで追及しなくてはいけないのですが、本来「政治とカネ」の問題がでてこなくても、こういう民主主義を冒涜する独裁的な資質を露わにした時点で民主主義国家の首相の椅子から直ちに引きずり下ろされなくてはいけないのです。多少の健全さが残っていた一昔前なら、安倍氏は何度辞職させられたかわかりません。
(でも今は、多数の国民は政治とカネの問題が出てこない限り、政治家の進退には無関心みたいですし・・)
こういう「基本的人権」の基本的な理念がわかっていない人間は、民主主義の色んな理念や要素を自分に都合の良いようにねじ曲げて解釈し、全体主義・ファシズムを正当化するのに使います。
典型的なのは「選挙で多数に選ばれた長の言う事が民意であり、民意は絶対だ」という一時期橋下氏がやたら振り回していたあの論理です。自分に対する批判は民主主義への冒涜だ、と言わんばかりです。
安倍首相も「疑問を国民に投げかけた。それが正しいかどうかも含め選挙で審判を受けた」と、橋下氏と同趣旨の答弁をしてますね。
これ、民主主義に見せかけて、じつは民主主義とは正反対の全体主義に他なりません。
それと同じように、安倍首相は「言論の自由」を「権力が市民に対し威圧するする言葉を発する自由」にスライドさせて、市民が持っている「言論の自由」への弾圧を正当化しています。
それもこれも、「民主主義」を単なる多数決くらいにしか思っておらず、「自由権」も単に好き勝手に振る舞えること、くらいの貧弱な認識しかないからでしょうが、この知性の劣化を放置しておくと、この粗雑な独裁の論理が日本ではいっぱしに民主主義の論理として通用してしまいそうです。
実は独裁や全体主義でしかないものを、これは自由や民主主義なんだと勘違いさせられる・・・民主主義や人権の教育が殆どされない日本では起こりえますね。
次のエントリ-で述べますが、こういう人物が作るヘイトスピーチ規制法も、本当に規制されるべきヘイトを規制するのではなく、正当な言論を規制して萎縮させるツールに転用される危険がものすごく大きいので、最大限の警戒が必要です。
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