「日本政府は歴史歪曲主義&レイシスト団体と緊密に連携をとる仲である」という公式発表
- 2015/03/03
- 12:00
もう一度報道をメモしておきましょう
●「慰安婦像相いれず原告と連携」官房長官2月25日 13時30分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150225/k10015728691000.html
菅官房長官は午前の記者会見で、アメリカに住む日本人らが、いわゆる従軍慰安婦の問題を象徴する銅像の撤去を裁判で求めていることについて、「像の設置はわが国の立場と相いれない」として、原告の関係者らと緊密に連携を取って対応していることを明らかにしました。
この中で、菅官房長官は、アメリカ・ロサンゼルス近郊の市に住む日本人らが、公園に設置された、いわゆる従軍慰安婦の問題を象徴する銅像を撤去するよう裁判で求めていることについて、「政府として個別具体的なコメントは控えるべきだと思うが、慰安婦像などの設置は、わが国政府の立場やこれまでの取り組みと全く相いれないものであり、極めて残念なことと受け止めている」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は「アメリカは多様な民族、文化的バックグラウンドを持った住民が平和と調和のなかで共生する社会になっており、そういうなかで慰安婦を巡るような出身国によって意見の全く異なる案件を持ち込むことは適切でない。原告の関係者を含む在留邦人とは、わが国の総領事館幹部を通じて緊密に連携を取っている」と述べました
「慰安婦像などの設置は、わが国政府の立場やこれまでの取り組みと全く相いれないものであり、極めて残念なことと受け止めている」
だそうですが、あれ?安倍首相は今年の一月にも「私は河野談話を継承し、見直したりはしない」と言ってますよね?
河野談話を継承するのが「わが国政府の立場」じゃないんですか?
河野談話を継承しておきながら慰安婦像設置に反対って、矛盾してますけど。
それから、
「慰安婦を巡るような出身国によって意見の全く異なる案件」云々と述べてますけど、日本人が皆あなた方歴史歪曲主義者と同意見みたいな言い方はやめてもらいたいです。
実際アメリカの日系人団体NCRRは従軍慰安婦支援に加わっていることをこちらのブログが指摘されています。
<誰かの妄想・はてな版>
●日系人団体NCRRの慰安婦問題に対する見解
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20150227/1424970530
細かいツッコミはココまでにしておいて、びっくり仰天な話というのはもちろんこれです。
「(慰安婦像撤去を提訴した)原告の関係者を含む在留邦人とは、わが国の総領事館幹部を通じて緊密に連携を取っている」
これ、日本政府は法形式的には違うけど実質的には原告に加わっている、と公式発表してるんですよ?すごくないですか?
この原告の在留邦人はどんな人達について、こちらの記事ではこのように伝えています。
●安倍内閣が「連携」するグレンデール原告団とは?――シリーズ【草の根保守の蠢動 番外編】
http://hbol.jp/27374
より抜粋
(引用開始)
グレンデール裁判原告団とは?
慰安婦像の撤去を求めグレンデール市を相手取った訴訟を起こしている団体とは、「歴史の真実を求める世界連合会/ The Global Alliance for Historical Truth」と名乗る団体だ(以下、GAHT)。
GAHTのWEB サイト(https://gahtjp.org)によると、団体の設立は訴訟に先立つ2014年2月6日。会長は加瀬英明氏(日本会議代表委員・日本会議東京本部会長/体罰の会会長)が務め、そのほか役員として、藤岡信勝氏(新しい歴史教科書をつくる会会長)と目良浩一氏(日本再生研究会会長)が共同代表として名を連ねている(※目良氏は日本会議の月刊機関紙「日本の息吹」2014年4月号に自身の活動について寄稿している。このことからも目良氏と日本会議本体との極めて濃厚なつながりをうかがい知ることができるが氏が日本会議の会員である確証や、GAHTが日本会議からの支援を受けている確証は今の所得られていない)。
GAHTの運動は慰安婦像撤去訴訟にとどまらない。
GAHTは彼らのいう「慰安婦問題」について、「慰安婦報道により日本の名誉が毀損された」「慰安婦プロパガンダにより日本人の名誉が傷つけられた」と講演会や勉強会を通じて活発に主張を展開している。
(引用ここまで)
歴史歪曲主義者の総本山ともいえる日本会議の親戚なのですね。
この団体、海外活動を盛んに行っているようで、こんな妄想が海外で支持を集めるとは思えませんが、嘘も百回言えばなんとやらですので、油断は禁物かと思います。
日本会議は「今や、閣僚の8割以上を支え、各地の地方議会で意見書を採択させるまでの影響力を持つ」ほどこの国の中枢に入り込んでるので、GAHTと日本政府と親和性があっても何の不思議もないのですが、それにしても、政治家個人個人でなく「日本政府」という公的存在がこの団体と連携をとることを公式に発表したということには驚きます。
(引用開始)
民間団体が行っている訴訟について政府が言及することも異例ながら、原告と「緊密な連携を取っている」と述べるなど、まさに異例づくめの発言と言わざるを得ない。
(中略)
官房長発言の危うさ
ヘイトスピーチ団体の元幹部が外国の自治体を提訴することも、宗教団体関係者が慰安婦問題について講演することも、そのこと自体は何の問題もない。レイシストであれ宗教者であれ誰であれ、政治的権利はある。彼らの活動が民間の活動として留まっている限り何の問題もあるまい。
しかし、いうまでもなく、慰安婦問題は日本の外交課題であり、本来であればしかるべき外交チャネルを用いて、旧植民地各国や諸外国と折衝にあたるべき課題だ。
にもかかわらず、菅官房長官は、ヘイトスピーチ団体の元幹部や、宗教団体関係者が関係する民間団体と「緊密に連携をとっている」という。この点について、政府内でも「今回の訴訟に政府が関与すれば、民間人が外国で起こした訴訟に関与する前例を作ることになるだけでなく、日本国内の訴訟に外国政府が関与する余地を与えかねないとの懸念が政府内にある」(http://www.sankei.com/world/news/150226/wor1502260006-n1.html)という。
政府がどのような立場で慰安婦問題にコミットするにせよ、このような団体を通じて「日本の意思を表明する」というのであれば、政府内の懸念意見のとおり、外交プロトコル無視の暴挙にもなりかねない。また、見様によっては、ヘイトスピーチ団体や特定の宗教団体の活動を政府が支援しているとも言えなくもない。やはり、今回の菅官房長官の発言は、異例中の異例と言わざるを得ないのではないだろうか。
(引用ここまで)
政府が「歴史歪曲主義とヘイトスピーチの推奨が日本政府の公式見解である」と宣言しても、もはや政府を批判する力は国内に残っていない、という自信を政府が持てるようになった、ということでしょうか・・・・異常すぎます。
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