最初から人質を助ける気など全くなかったとしか思えない政府の対応まとめ その2
- 2015/02/12
- 06:00
非情にも湯川さんは殺害予告期限の翌日の1/24に、後藤さんは2/1に、殺害されてしまったのがあきらかになりました。本当に心が痛んでなりません。あらためてお悔やみを申し上げます。
お二人を救えなかった、いえ、救おうとしなかった日本政府の外交の無能さを示す事柄ははまだあります。
イスラムの専門家やジャーナリストはこぞって対策本部をヨルダンに置いたのは間違いだったと評しています。
●なぜトルコでなくヨルダン…日本政府が対イスラム国交渉で犯した“選択ミス”
http://lite-ra.com/2015/01/post-826.html
(引用開始)
日本政府は少なくとも後藤さんがイスラム国に拘束された昨年11月にヨルダンに現地対策本部を置き、以来、交渉窓口をヨルダン政府に委ねてきた。しかし、ヨルダンは親米国であるだけでなく、現状、もっとも激しくイスラム国と対立している国であり、イスラム国空爆の有志連合にも参加している。当然、イスラム国との直接的な交渉ルートがあるわけでもない。むしろ、その選択がイスラム国を硬化させ、解決を大幅に遅らせたのではないかというのだ。
いや、解決を遅らせただけではない。日本がヨルダンに現地対策窓口を置いたことで、イスラム国側は敵対国に揺さぶりをかけようと、リシャウィ死刑囚の解放を持ち出したと考えられる。つまり、日本政府の選択が無関係なヨルダンを巻き込み、イスラム国側に新たなカードを与えてしまった可能性が高いのだ。
では、日本はどうすればよかったのか。同志社大大学院教授で中東問題の専門家・内藤正典氏は、26日のテレビ朝日『報道ステーション』に出演した際、こう話した。
「今となっては遅いのですが、事件発生当初の段階で、(日本政府が協力を)トルコに要請をしていれば、まず、トルコ国民は日本の要請に関していえば、ほぼ100パーセント好意的にみるんですね。日本の為になにかしなければいけないと(トルコは)思う」
「しかも人質を49人昨年とられて、3ヶ月におよぶ交渉のすえ、全員無事解放している。なおかつ米軍の対イスラム国の攻撃要請に対しては頑として首を縦に振らない。攻撃のためには基地を貸していない」
たしかに、イスラム国爆撃の有志連合にも参加しているヨルダンに対して、トルコは昨年9月にオバマ米大統領から「攻撃参加」を強く要請されたものの、その呼びかけを拒否している。また、イスラム国と独自のルートをもち、中東の中で人質交渉を成功させた実績が最もある国でもある。
また、内藤教授は情報の面でも、トルコの方がはるかにメリットがあったのではないかと語っている。
「それにトルコとシリアの間は人の往来が非常に活発ですので、結局トルコ側でそういう世論を醸成すればシリア側に伝わるんです。しかし、ヨルダンからそこへ伝えるのは困難です。」(26日の『報道ステーション』)
「現地対策本部はヨルダンでなくトルコの首都アンカラに置く方が、はるかに情報が集中してくる。多くのガセ情報から本物を選ぶときに、ヨルダンでは欧米の情報機関が中心になるが、トルコでは欧米+現地情報が得られる」(23日のツイッター)
こうした意見は内藤教授がトルコの専門家だから出たものではない。宮田律氏はじめ他の中東の専門家の間でも同じ見方をとる人は多い。中東支局の経験がある全国紙の外信部記者もこう話す。
「日本政府は今頃になって、トルコとシリアの国境で引き渡しがある、として、トルコ政府にも協力を働きかけ始めましたが、遅すぎます。初動段階で日本政府がトルコに現地本部をおいて交渉を依頼していたら、ここまで事態が錯綜することはなかったかもしれません。もしかしたら、Youtubeでの公開もなく、秘密裏に交渉が進み、それこそ身代金で湯川遥菜さんも解放された可能性もあった」
しかしだとしたら、日本政府はなぜトルコではなく、ヨルダンを選んだのだろう。
まず考えられるのは、アメリカの顔色をうかがった判断、ということだ。前述のように、トルコはイスラム国に対しては独自外交を展開しており、アメリカとは距離をとっている。「テロとの戦い」でアメリカに追従する安倍政権としては、親米で有志連合に入っているヨルダンに現地対策本部をおくのが当然、と安易に選んでしまったの可能性が高い。
(引用ここまで)
また2月7日放送の『報道特集』(TBS系)では開いた口がふさがらないような政府の対応が報道されました。
●安倍政権にまた人質見殺しの新事実が…相次ぐ失態暴露に公安が口封じ逮捕の動き?
http://lite-ra.com/2015/02/post-849.html
(引用開始)
実際、昨日2月7日放送の『報道特集』(TBS系)でも唖然とさせられるような新事実があきらかになった。それは、湯川さんと後藤さんの殺害予告動画が公開された1月20日以降、日本政府がイスラム国へ送った日本語の「音声メッセージ」の存在だ。
音声メッセージの送り主は、「実在するシリア臨時代理大使」。音声の長さは25秒。その内容は、以下の通りだ。
「私、○○○(番組では○の部分は音声を伏せている)は日本政府の代表である。日本政府は日本人2名の無事な生還について真剣である。当該2名のフルネームと生年月日はそれぞれ、湯川遥菜1972年○○○○、後藤健二1967年○○○○である」
2人の映像がアップされた後に政府がこんな初歩的なメッセージを、しかも日本語で送るなんてことがありうるのかと思うのだが、この音声メッセージはどうも本物らしい。
今回、音声メッセージを公開したのは、イスラム国とパイプをもつイスラム法学者の中田考氏。中田氏に音声メッセージを送ってきた人物は、イスラム国の司令官であるウマル・グラバー氏だ。
(中略)
ウマル氏は「(この音声メッセージが)ほんとうに日本政府のものか確認したい」といい、そして「これが正しいものか」と中田氏に質問した。この状況では中田氏も「私にもわかりません」と答えるしかなかったのだが、ウマル氏は音声メッセージの信憑性について「決して信用していない」と中田氏に伝えた。
(中略)
ちなみに『報道特集』の取材に外務省は「具体的な交渉の内容は明らかにできない」としつつも、今回の事件の交渉内容を知る外務省幹部が日本語の音声メッセージをイスラム国側に送ったことを認めたという。
つまり、音声メッセージは本物であり、政府の対応は2人の動画がアップされて数日たった段階でまだこんな程度のレベルだったのである。
(引用ここまで)
日本政府のこの無能ぶりにはさすがのISISもビックリ!!
救う気の無さ、ご家族に対する冷徹な仕打ちを示す事柄もまだまだあります。政府は昨年の内にこの事件を把握していました。
しかし12月14日の総選挙を控え、外務省は後藤さんの妻にもシリア人の現地ガイドにも厳重に口止めをしたそうです。
外務省は後藤さんの安全のためだと説明したようですが、そもそもこんな非常事態時に総選挙に力を注ぐこと自体、人質救出に対する不熱心さを伺わせます。
だいたい1/20に動画が公開されて国民に知れ渡るようになるまで、政府は対策本部の少ない人員を一切増やさなかったのです。
●殺害予告まで現地本部増員なし 人質事件 20人対応に批判
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015020402000127.html
過激派組織「イスラム国」を名乗るグループによる日本人人質事件で、政府は三日、邦人二人が拘束されている可能性を昨年十二月に把握しながら、殺害予告があった一月二十日まで、現地対策本部のある在ヨルダン日本大使館の人員を増員していなかったことを明らかにした。日本は治安上の理由からシリア大使館を閉鎖しており、ヨルダン大使館を中心に情報収集や関係各国との調整を行ったが、野党からは政府対応に疑問の声が上がった。 (上野実輝彦)
岸田文雄外相は三日の参院予算委員会で、殺害予告を受けて、ヨルダン大使館に置いた現地対策本部に中山泰秀副大臣や外務省職員ら十数人を送り、三十数人態勢にしたと説明。「それ以前は派遣はなかった」と述べた。殺害予告までは約二十人で対応していたことになる。
これに対して、共産党の小池晃氏は「こういう対応でよかったのか。二人が拘束された段階で、どれだけ危機感を持って、政府は対応してきたのか」と批判。「人員的補強がなかった。ありとあらゆる努力を尽くしていれば、一月二十日以降、もっと対応が変わっていた可能性がある」と指摘した。
(後略・引用ここまで)
事件が国民に知れたことで慌てて増員した感ありありですね。
「後藤さんの安全のため」と言いながら、なんでしょうこのやる気のなさは。
心配してたのは後藤さんの安全ではなく、総選挙への悪影響ではなかったのでしょうか
●後藤さん妻に口止めして選挙、外務省の反対抑え中東歴訪…安倍官邸の人質見殺しが明らかに
http://lite-ra.com/2015/02/post-840.html
また、後藤さんのお母様は、1/28に安倍総理に面会を申し込みました。既に期限を過ぎているのでいてもたってもいられなかったでしょうに、安倍首相はけんもほろろに面会を拒否
http://tanakaryusaku.jp/2015/01/00010617
そして、後藤さんの殺害があきらかになってから5日もたった2/6の段階で、政府からの弔意もないのです。
本日、小金井市内で故・後藤健二さんの母親・石堂順子さんがドイツ最有力誌の単独インタビューに応じた。ドイツ人記者は安倍内閣が現時点まで弔意を示す連絡を母親に入れていない事実に絶句した。メリケル首相なら真っ先に駆けつけるに違いない。 pic.twitter.com/8UsBE9BMpA
— ジャーナリスト 田中稔 (@minorucchu) 2015, 2月 6
安倍首相、ご家族に対してなんと冷たいのですか。
それでいて官邸の記者団の前では目に涙を浮かべ「ご家族のご心痛を思うと言葉もない、テロリストたちに罪を償わせる」だなんてどの口が言うのでしょう、安っぽいヒロイズムに陶酔して気持ちよくなっちゃってるとしか思えません。
中東での取材経験が豊富でISISにパイプを持つジャーナリスト・常岡浩介さんがISISとの直接交渉に名乗りを上げてくれたときも、政府はその申し出を無視しました。
人命最優先ならば、何故人質を助けられるかも知れない手段を一顧だにせず捨ててしまうのか解せません。他に有効策があるとはとても思えないのに。
そして、常岡さんに対しマスコミはこの扱い。
常岡浩介氏:後藤さんが亡くなった後、2つのテレビ局の生放送番組に呼ばれたが、1つが「後藤さんを助けられたはずだとは言わないでくれ」と頼まれたができないと言ったらドタキャン扱い。もう1件は収録になり政府批判した部分はカットされていた。http://t.co/HAm27Xn7DM
— 日々坦々 (@hibi_tantan24) 2015, 2月 8
政府の御用聞きに堕したマスコミは、安倍批判を報道するのが怖くて仕方ないようですね。
そしてまたしても菅官房長官のこの会見
●菅官房長官「身代金用意せず」、イスラム国との交渉を否定
2015年 02月 2日 17:08 JST
http://sp.m.reuters.co.jp/news/newsBodyPI.php?url=http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0L60JI20150202
[東京 2日 ロイター] - 菅義偉官房長官は2日午後の会見で、過激派組織「イスラム国」とみられるグループに日本人2人が殺害された事件に関して、政府としては身代金を用意せず、犯人側と交渉するつもりはなかったことを明らかにした。
イスラム国は1月20日にインターネット上に投稿した映像の中で、拘束していた湯川遥菜さんと後藤健二さん解放の条件として、身代金2億ドルを要求していた。菅官房長官は会見で、身代金を用意していたかについて記者から問われ、「それは全くない。100%ない」と明確に否定した。さらに、イスラム国と交渉する気は「全くなかった」と述べた。
今回の事件を受けて、政府は3日、「国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部」の会合を開催し、国際テロへの対抗策などを検討する。菅官房長官は事件をめぐる政府の対応について、まず政府内で検証を行い、有識者の意見も聞く可能性にも触れた。
後藤さんも殺害されてしまった翌日、身代金も100%払わない、交渉する気も全くなかったと断言した菅官房長官。
じゃあ一体どうやって救出する気だったんですか?!一体なにをやったというんです?!拉致されたことを知ってから放置してたってことですか?!
ほんとに理解不能です。
日本政府は自国民を救出する気が最初からゼロだったと断じていいと思いますが、そんな政府、自国民を弾圧する独裁国家以外で見たことがありますか?
(つづきます)
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