今朝の新聞から
- 2008/12/22
- 13:49
http://www.asahi.com/national/update/1222/TKY200812210196.html
「なんで自分がホームレスに」 派遣切り、急増の年末(1/2ページ)2008年12月22日3時0分
最低気温が3度台まで下がった11月下旬の週末。買い物客でごった返す名古屋駅前で、大きな荷物を抱えた女性2人が立ちつくしていた。
自動車部品工場を20日ほど前に解雇され、寮を追われた沖縄県出身の女性(46)と、寮で同室だった鹿児島県出身の友人(48)。
電球100万個のイルミネーションが2人を照らす。女性は目の前にそびえる高層ビルを見上げている。トヨタ自動車の営業部隊が入る高さ247メートルの「ミッドランドスクエア」。07年春に全面開業した。その年、トヨタの生産台数は世界一に躍り出た。
あの絶頂期からわずか1年半。世界的な経済危機で、トヨタは赤字の瀬戸際にまで追い込まれた。減産の波は下請け、孫請けへと広がる。市街の炊き出しの列には20~40代の働き盛りが目立ち始めた。
女性も今夏まで数カ月間、トヨタの工場で請負社員として働いた。内装部品の組み付けは重労働だった。ある日、せきが止まらなくなった。肋骨(ろっこつ)にヒビが入っていたことがわかり、職場を変えた。
「あのトヨタがこんなに景気が悪くなるなんて」
風が強くなり、女性はしわが目立ち始めたコートの襟を立てた。「夜、屋根のないところでじっとしてるとね。なんで自分がこんな目にって考えちゃう。悔しいよね」
◇
3年前の秋。女性は那覇市のバスターミナルにいた。人材派遣会社の面接会場だ。夫の暴力で離婚、小さな子どもが2人いた。沖縄では月10万円も稼げない。子どもを施設に預け、出稼ぎに行くと決めた。求人誌は、東海地方の製造現場の仕事で埋まっていた。簡単な面接で採用が決まり、そのまま人材会社から旅費を受け取って愛知に向かった。
最初の職場はペットボトル工場。1日10時間以上、休日返上で働き、給料は月30万円近くになった。子どもには月3万円、季節の変わり目には洋服を送った。
3カ月~1年の契約期間ごとに電機や自動車の部品工場を転々とした。会社の都合で解雇されても、別の寮付きの仕事がすぐ見つかった。ただ、待遇は徐々に悪化。トヨタの後、8月から請負で働いていた自動車部品工場では手取り月10万円だった。
トヨタや三菱自動車の減産で、この3次下請けの工場も人が余ってきた。工場の会議室に呼ばれたのは10月20日過ぎ。「すみませんが、今月いっぱいでお願いします」。まだ契約期間は残っていたが、「この状況では仕事はない」。
さっそく次の職場を探したが、寮付きの仕事はもう皆無だった。数日後、追い打ちをかける通告があった。「別の人が入るので、31日午後4時までに寮を出ていって」
元夫が訪ねてくるかもしれないので実家には帰れない。所持金は8万円。駅前のベンチで夜を明かそうとしたが、南国育ちの身に寒さがこたえた。一晩1680円のマンガ喫茶に飛び込んだ。
お金が尽きると、ゲームセンターで閉店まで寒さをしのぎ、その後は広い多目的トイレに毛布を敷いて夜明けを待った。
◇
ボランティアの助けで区役所に相談に行き、2人は12月から名古屋市の施設に入ることになった。「やっとお風呂に入れる」。友人は笑みをこぼした。だが、女性は仕事が見つからなければ子どもの健康保険料も払えない。不安げな表情は変わらない。
輸出増に沸き、人材会社を通じて全国から働き手を吸い寄せた愛知県。雇用者数はこの5年間で20万人以上膨らんだ。それが今、猛烈な勢いで縮んでいる。
派遣切り、即ホームレス。非正規労働者の解雇は、年末にかけてピークを迎える
懸命に働いてきたのに、普通に屋根のあるところに住むことも、子供に新しい服と少しばかりのクリスマスプレゼントを買ってやることもできない。それどころか、住居を失い、路上で寝起きしなくてはならず、自分の命を繋ぐのが精一杯の身に落ちてしまう。
ぎりぎりまで努力したにもかかわらず。
それでも新自由主義者からはいまだに「努力が足りないのだ、自己責任だ」という言葉が発せられます。
彼女たちは人間扱いされる価値のない人間なのでしょうか。
何か悪いことをしたのでしょうか。
これは何かの罰なのでしょうか。
人間は物ではありません。
労働力を生み出す人間は市場に流通する商品ではありません。
なのに売れ残った商品のように処分され、ゴミのように捨てられ続けています。
駅前の高層ビルやきらびやかなイルミネーションと、行き場を失った派遣労働者の存在ははあまりに対照的です。
こういう高層ビルの最上階で、麻生閣下は今日も高級酒を楽しむのでしょう。
先日ハローワークを視察した麻生さんは、そこに職探しにきた若者に「これがやりたい、というのがないと相談される方もな…。何かありませんかね、と言うんじゃなかなか仕事は見つからないよ」、「目的意識がないと雇う方もその気にならない。何をやりたいかを決めないと就職は難しい」と説教したしたそうです。
もう、どこまで国民が置かれた状況に無知なのでしょうか。
職がないのです。やりたいことをもって選んでいられるような贅沢は余地は無いのです。
麻生さんに説教する資格などあるのでしょうか。多くの若者が仕事に就きたくてもつけない状況を生み出した事を謝る方がまだマシです。
もはやパフォーマンスをすればするほど、国民の暮らしが何もわかっていないことを露呈し、メッキがはげ、恥を上塗りしていくだけです。せめて人間らしくいさせてくれという大量に解雇された者の叫びが彼の耳に届くには、彼は余りにトンチンカンで無能です。
政府はこの大量の派遣切りに対し、無策のまま放置プレイです。余裕があるのに派遣切りする大企業に、指導するそぶりもありません。
2009年度予算財務省原案は、こういう大企業はしっかり応援するものになっている一方、社会保障制度削減路線はそのままのようです。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-12-22/2008122202_02_0.html
ところが、医療、福祉は捨て置いてもこんな事にお金を使う余裕はあるのですね。
↓
改憲準備に47億円
総務省 国民投票経費を計上
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-12-21/2008122102_03_0.html
米軍再編費は3.5倍
グアム新基地建設費盛る
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-12-21/2008122101_03_0.html
オランダで、派遣労働者を救済するフレキシキュリティー法を成立させようと経営者側と対立したのは、その国の首相でした。
日本では首相がこのような政治決断をすることなど考えられません。
もう麻生さんは国民の暮らしにもご自分の支持率にも興味はなく、一日でも長く「総理」と呼ばれる事だけが興味の対象なのではないでしょうか。
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