ちょっと遅いですが、番組を見た感想をメモしておきたくなりました。
番組の内容は、こちらのブログが書かれていますのでリンクを張ります。
◆友さんの「大脇道場」
NO.821 NHKスペシャル 『セーフティーネット・クライシスII 非正規労働者を守れるか』を観た。◆dj19さんの「dj19の日記」
[政治][社会]今夜のNスペ「セーフティーネット・クライシスII 非正規労働者を守れるか」は見なきゃ友さん、dj19さんありがとうございます。
youtubeでも見れますので、まだの方は是非ご覧になってください。
もともと派遣のような形態は、賃銀ピンハネや劣悪な労働条件の温床になるので戦後禁止されていたのを、経営者側の要請で原則自由にしたものです。非正規雇用者には、労働者が働く上での様々な権利や、雇用保険、健康保険といったセーフティーネットがありません。それらは正規雇用者だけのものです。
今や非正規労働者が占める割合は、全労働者の三分の一。
三分の一って凄い人数です。
こんなたくさんの人がセーフティーネットの恩恵を受けることが出来ない危険性に直面しています。決して誇張ではなく、文字通り命の危険にさらされています。
私には、1999年の労働者派遣の原則自由化は、労働者の生きる権利を保障した労働基準法の脱法行為にしか見えません。労働に見合った賃銀や当然受けるべき権利を、追いはぎのように強奪しているしてるようなものです、合法的に。
そして一旦非正規雇用の負のスパイラルにはまると、もうどんなに自分で努力しても抜け出すことのできない構造になっています。この抜け出せない格差と格差の世襲は、現代になって復活した新たな「身分制度」にしか思えません。
番組では派遣労働者の実態に労働組合の正社員が疑問を抱き、派遣の改善を求めたケースが紹介されました。
その労組の委員長は、派遣社員は賃銀が低く、不安定な暮らしをしていることに衝撃をうけたと言います。派遣社員も正社員と同じ内容の仕事をしているのにボーナス時期には何も貰えず、食堂でも正社員は400円なのに派遣は600円とか、これは酷いのではないのか、と。
一年間交渉した結果、70人の派遣社員が半年の期間工として雇われ、健康保険を勝ち取りましたが、賃金格差はそのままだそうです。
これは正社員の労働組合が立ち上がってくれた例ですが、正規と非正規のこういう差別的な扱いは「分断して統治せよ」という言葉を思い出させます。
以前、派遣社員の生の声を取材した本を読みましたが、その非人間的な扱われ方は劣悪な労働条件に多数の労働者が苦しんだ産業革命時代に逆戻りしたかのようでした。
ある派遣社員の派遣の寮では、休み明けに派遣会社の人間が勝手に合い鍵で部屋に入ってきて逃げてないかチェックするそうです。まるで強制収容所です。
仕事中に怪我をして満足に働けなくなったら何の保証もされずにそのまま解雇されてしまう。たちまち生活が困窮します。事故で死んでも労災にしません。派遣労働者は命さえ使い捨てです。
こういう屈辱的な状況にあって、せめて人間らしく扱え、という叫びが聞かれます。
人類が長い時間をかけて勝ち取ってきた人間の尊厳とか生存の権利とかが、21世紀に入ったらこんなに簡単に傷つけられるとは・・。
最近は非正規労働者達が団結して、労働組合を結成しだしたと聞きます。まだほんの一歩ですが、嬉しい変化です。
番組に話をもどしますと、派遣業と非正規雇用者双方が歩み寄って生き残る方策を生み出したオランダの例を紹介していました。フレキシキュリティー法です。
フレキシキュリティーとは、フレキシビリティーとセキュリティーを合わせた造語で、企業にとっては雇用調整に柔軟性を持たせ(フレキシブル)、非正規労働者には、同一労働同一賃金、雇用保険などの社会保障(セキュリティー)を約束するのです。
日本でも再び規制を強めて派遣可能な職種を減らすのは、今いる派遣労働者をあらたに失業させかねませんから、このフレキシキュリティー法は大いに参考になると思います。
しかし、当然財源がいるわけで、オランダの消費税は19%(生鮮品は6%と下がりますが)です。
麻生さんは3年後消費税10%とはやばや宣言しました。
ですが湯浅さんが指摘するように、消費税導入した当初は社会保障を充実させるためと言っていたのに、結局医療費の自己負担や老人医療、障害者医療の自己負担が全てアップしています。出演していた厚生労働副大臣は、それでも財源が足りないんだと言いますが、天下りをはじめととする税の無駄づかいはそのまま。
そもそも税収って直接税がまず原則で、間接税はその次ではなかったでしょうか。大企業は体力があるのに法人税は引き下げられたままです。こういう余力のあるトヨタやキャノンなどの大手企業が率先して派遣切りを行ってるのに、政府は何ら厳しい指導をしないで放置し、消費税のような間接税をあげられても不公平感は増すばかり。
また、消費税引き上げだけを宣言しても社会保障制度充実になんら具体的ビジョンもないままでは、結局何も社会保障の対策を立てないのでは、と勘ぐってしまいます。
日雇い派遣は禁止しようか、程度の焼け石に水の案しか出てこない自民の腐敗政治、四代続いた無能総理が、この寒空に大量の人々が住む場所を失わせようとしています。
もうこの唯一の責任の取り方は、潔く政権座から降りることしか残されてないとひしひし感じながらテレビのスイッチを切りました。。
ところで湯浅さんの書いた本「反貧困」が、朝日新聞社主催の第8回大佛次郎論壇賞を受賞されたそうです。是非読んでみたいと思います。
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